第5回「コスモ秘帖奪回作戦」(1978年8月4日)
前回、コスモ秘帖の謎を解く端緒が得られたのも束の間、突然滑空してきたプテラノドンに秘帖を奪われてしまったタイムGメンたち。

ビックラジィー「コスモ秘帖は強い放射線を出しておる。このカウンターさえあれば今からでも追えますわい」
バンノ「モリィ、タイムマザーとコンタクト取れそうか?」
モリィ「もうすぐです」
バンノ「お聞きの通りだ。21世紀に連絡がつき次第、我々は帰らねばならん。こんな短い時間にコスモ秘帖を奪回できるのかね?」
隊長のバンノは、秘帖捜索に消極的な様子だったが、ゴウたち若い隊員は口々に探索を行うべきだと主張し、バンノも遂に折れる。
バンノ「ようし、やってみろ」
ゴウ「じゃあ、ファイタス、出発します!」
バンノ「ああ、タイムマザーから指令を受け次第、捜索は打ち切りだぞ」
ゴドメスとの戦いはさておき、コセイドン隊は、リナたち時間移住者を21世紀へ無事に連れ戻す任務があるのだ。
ファイタス1号にゴウとテツ、2号にマリとビックラジィーが乗って、コセイドン号から出撃する。
ビックラジィーの持つカウンターでコスモ秘帖のおおまかな位置を探りながら進む1号と2号。

マリ「それにしても、わかんないなぁ」
ビックラジィー「ああ?」
マリ「コスモ秘帖ってテレサ星にあったんでしょう」
ビックラジィー「いかにも」
マリ「アルタシヤさんのご先祖が残した宝物ですって」
ビックラジィー「さよう」
マリ「じゃあ、ご先祖様はテレサ星がゴドメス人に侵略されること、御存知だったのかしら? そんな先のことまで見通して、しかもゴドメス人をやっつける方法を伝えるなんて……」
途中、通信回線を開いたまま、マリが素朴な疑問を口にする。

ゴウ「なーるほど、マリの言うことももっともだ。話が出来過ぎてるよな、テツ……おい、どうしたんだい」
テツ「考えてるんだ、何故そんな都合の良い秘帖が代々テレサ星に伝えられていたのか……ひょっとすると」
ゴウ「ひょっとすると?」
テツ「……いや、なんでもない」
ゴウ「気を持たすなよ」
マリ「いいから、テツ、話して御覧なさいよ」
空を飛んでいるマリもテツをせかすが、テツが話す前に、ビックラジィーがコスモ秘帖の存在を示す「コスモリアクション」を捉えたと騒ぎ出し、結局、テツが何を言おうとしていたのか分からないままだった。
しかも、何故かこれ以降、この疑問について登場人物たちが一切話題にしなくなるので、この件は永久にうやむやになってしまうのが、ちょっと残念である。
例によって、ちゃんとSF的な答え(たとえば、ゴドメスを倒した後、ゴウたちがタイムスリップして過去のテレサ星へ行き、コスモ秘帖をアルタシヤの先祖に託した……とかね)が用意されていたのではないかと思うが、何らかの事情でボツにされたようだ。
閑話休題。
コセイドン号では、やっとモリィが21世紀との亜空間通信を復旧させることに成功していた。

バンノ「それにしては時空管理局につながらんじゃないか」
ウララ「ふーっ、さーんざ敵のタキオンに掻き回されちゃったからねえ」
初期の「コセイドン」は、バンノ、ウララ、モリィの大人たちと、ゴウ、テツ、マリたち「坊やたち」の対比が割とはっきりしていて、その辺の世代間ギャップも楽しみのひとつであった。
そう言う意味では、やはり、第1クールでウララが退場してしまうのは痛かった(毎回言ってる気がする)。
バンノ「長官! 出て来い、ったく、人の苦労もしらねえで、居眠りしてんじゃねえのか、オタンコナス!」
その場にいないのを良いことに、言いたい放題のバンノだったが、

言い終わらぬうちに、正面のモニターに鬼より怖い観世栄夫(長官)の顔が映し出される。

バンノ「長官……」
長官「おっ、バンノ君、心配しとったぞ」
バンノ「どうも、恐縮であります……」
急に畏まって、小さな敬礼をしながら挨拶するバンノ。管理人、爆笑。

長官、モニターに映る金髪ギャルに気付き、驚きの声を放つ。
長官「そんな女性が、コロニーの中におったのかね」
バンノ「いや、こちらは2万3千光年を隔てたテレサ星の王女アルタシヤ姫です」
ミツル「ゴドメスに追われて地球に来たんだってさ」
リナ「おかしなロボットも一緒よ」
長官「ほう、姫とロボット、どっかで聞いたような話だな」 バンノ「うふんっ、宇宙は広大ですからな、似た話が飛び出す確率も高いでしょう」
登場人物みずから、「スターウォーズ」の真似をしていることを認めるような会話を交わす。管理人、爆笑。
もっとも、根幹のストーリーまで影響を受けている訳ではない。
そんな話をしていると、タイムマザーがタイムトラベルの軌道計算が終わったことを告げる。
が、1時間以内に帰還しなくてはならないと聞かされ、バンノの顔が険しくなる。
それまでにコスモ秘帖が見付かればよいが……。

バンノ「ファイタス、秘帖はどうした?」
マリ「ほーら、来た、今目標に接近中」
バンノ「時間軌道の計算は終わった。いいか、30分以内に戻らんとおいてけぼりだぞ!」
モリィ「隊長、30分じゃないでしょう」
バンノ「いやいやいや、サバを読んでるんだよ……わかったかーっ?」

テツ「サバを読んでると分かっていても」
ゴウ「びっくりしてやるのがエチケット」
テツ「もう少しです、待ってて下さい!」
互いのことを知り尽くしている上司と部下の会話。いいわぁ。

ほどなく、マリは崖の途中で休んでいるプテラノドンを発見する。その足元にはコスモ秘帖が転がっている。
マリ「後25分。隊長のサバ読みとしても1時間ないわ……どうやって取り返そう?」
同じ頃、戦艦ガルムスの艦橋。
総監ザジも、偵察隊の報告から、コスモ秘帖をプテラノドンを奪ったのではないかと勘付いていた。

ザジ「災いを取り除く、絶好の機会だ。行って来るぞ」
部下「はっ」
ザジ、自ら戦闘機に乗ってその場所へ向かうことにする。

ザジが画面から消えた後、カメラが意味もなく、残された部下の顔をクローズアップするものだから、
部下(行って来い、帰ってくんな) つい、しなくても良い妄想をしてしまう管理人であった。
コスモ秘帖は崖の途中に引っ掛かっていたが、そこへザジが戦闘機を率いて現れ、山肌にミサイルを撃ち込んで山崩れを起こし、コスモ秘帖を大量の土砂で埋めてしまうという作戦に出る。
ザジ「はははは、これで良い、いかにコスモ探知装置があろうと、土の壁が反応を遮る。コスモ秘帖は永遠に葬られた」

勝利の凱歌を上げ、嘲笑うかのようにファイタス1号の上空を旋回するザジ総監。

マリ「やる気? 受けて立つわ!」
テツ「やめろ、マリ、崖の向こうへ逃げろ」
マリ「なんで?」
テツ「時間がないんだよ、マントル砲だ」
マリ「つまんないの」
頬を膨らませつつ、素直に後方へ下がるマリ。
そのファイタス2号を追いかけるゴドメス戦闘機は、1号に装備されている強力なマントル砲をまともに浴び、全て撃墜される。
マリ「やったーっ」
ビックラジィー「頼みがあるんじゃ、マリさん、あの崩れた崖の前へ降ろしてくれんか」
マリ「どうするの」
ビックラジィー「秘帖を掘り出す手を考えたい」
マリ「へー、根性ね」
ロボットながらその心意気を買って、マリは言われた通りに2号を着陸させる。
全滅した筈のゴドメス軍であったが、ただひとり総監ザジだけ生きており、その近くの森を歩いていた。

そして、コスモ秘帖の埋まった場所へ向かうマリとビックラジィーを発見する。

マリ「とっても無理よ、白亜紀にはブルドーザーもないし」
ビックラジィー「いいや、成せば成る!」
などと話していると、ザジが不敵な笑い声を上げながら森から出てくる。

マリ「じぃ!」
ビックラジィー「ザジじゃっ!」
ザジ「そおれっ!」
鞭を振り回すザジを前に、ビックラジィーにしがみつくようにして逃げ回るマリが可愛いのである!
テツ「マリが危ない」
ゴウ「よおし、出番だ」
テツ「ファイタスボンバー、ホップ!」
3週間ぶりにゴウがファイタスボンバー(人間大砲)で射出され、コセイダーに変身する。
「コセイドン」は、第1クールではいわゆるスーパーヒーロー(コセイダー)がお約束のように登場する訳ではなく、一度も変身しない回も多く、最初見たときはかなり新鮮に感じられた。
第2クール以降になると、コセイダーがウルトラマンや仮面ライダーのような存在になってしまうのが、実はちょっと残念な管理人であった。

マリ「あっ、ゴウ!」
空を飛ぶコセイダーに気付き、顔を明るくさせるマリ。

それにつられて「えっ、どこどこ?」と言うように振り向くザジがちょっと可愛い。

コセイダー「マリ、こいつは俺が引き受けた」
ザジ「お前もコセイドン隊のひとりらしいな。その力を試してやる」
今回も、スーツの中には大西さんが入ってるようだが?
声も、ゴウの声のままである。
だからマリたちもコセイダーとは呼ばず、ゴウと呼んでいる。
13話でコセイダーがタイム戦士コセイダーに進化すると、声も別人になり、さっきも言ったように強化服を着たGメンと言うより、スーパーヒーローのような特殊な存在のように扱われるようになる。
先回りするようだが、初期のようにゴウ自身が演じる身近なキャラクターのままでいて欲しかったな、と。
タイム戦士となってからも、それはそれで面白いんだけどね。

ザジと激しく斬り結ぶゴウ。
ザジ「お前らの弱点が分かったぞ」
ゴウ「なんだと?」
ザジ「タキオンビームで21世紀を狙い撃ちしてやる。タイムトラベルを司るコンピューターを破壊する!」
ザジはゴウに斬られたにも拘らず、「早々に試してみよう、結果が楽しみだ。いずれまた会おう」と謎めいた言葉を残して斜面を転がり落ちて行く。
ゴウ「なんだとお、妙なことを言いやがったな」
マリ「ゴウーっ! 凄い、素敵、愛してる!」
マリ、モリィのことを一途に愛していた筈なのに、ここではゴウに思い切り抱き付いている。
もうこの段階で、マリとモリィに関する設定に変更が加えられたようだ。

バンノ「頼むよ、テツ、ゴウ、マリ! 頼むから早く帰って下さいよ」
最初は「早く帰れ」と怒鳴りまくっていたバンノ、最後は哀願口調に変わる。
ファイタス1号と2号が大急ぎでコセイドン号へ帰還している頃、

ザジ総監の死体がガルムスに収容され、培養室に運ばれていた。
ビックラジィーが以前言ったように、彼らは植物型生命体なので、どんなにダメージを受けてもクローン増殖法によって甦ることが可能なのだ。
ガルムスの兵士たちが毎回のように大量に倒されても一向に数が減らないのも、こうやってすぐ復活させているのだろう(劇中でそんな描写はないが)。

ゴウたちと入れ替わりに、アルタシヤとビックラジィーは船を降り、彼らと別れの挨拶を交わしていた。
テツ「一度でいいから、アルタシヤさんに21世紀を覗いて欲しかったな」
ゴウ「彼女には秘帖を探す役目があるんだ。ザジが死んでもゴドメスはゴマンと残っとる」

アルタシヤ「さようなら、コセイドン隊の皆さん」
ビックラジィーと二人きりになって、さすがに寂しそうなアルタシヤであった。
……しかし、この状況で、コセイドン隊が二人をほとんど放り出すようにして船から降ろしてしまうのは後の展開を考えるといささか冷た過ぎるような気がするなぁ。
とりあえずみんなで21世紀へ戻り、装備などを万端整えてからまた白亜紀に来ると言うのが人の道だろう。
が、結局コセイドン隊は21世紀へは戻れなくなる。

復活したザジの指揮するガルムスが、コセイドン号の前方にタキオンビームを撃ち込んで来たのだ。
そのエネルギーは、時空を超えて21世紀のタイムマザーに甚大な被害を与え、タイムトラベルが再び不可能となってしまう。
ザジ「攻撃終了。コセイドン隊は元の位置にある。タイムトラベルは不能のようだ。エネルギーが限界だ。直ちに引き揚げよ」

ガルムスは退却したものの、21世紀へ戻ることが出来なくなったコセイドン隊。
ゴウ「これからどうすんですか?」
バンノ「そいつは俺が聞きたいね……」
白亜紀に島流し同然の状況に置かれ、さすがのバンノたちも言葉少なく立ち尽くすのだった。
次回へ続く。