第3回「コセイドン 亜空間漂流の恐怖」(1978年7月21日)
前回の続きから、中生代白亜紀において、謎の宇宙人ゴドメスの母船ガルムスが渦巻状の強力なビームで、地上のあらゆるもの(土壌から水、樹木、恐竜たちに至る全てのもの)を吸い取っているシーンからスタート。
タイムGメンのテツやゴウには、それを止める術はなく、ただ見ているしかなかった。

ビックラジィー「テレサ星もそうじゃった。ゴドメスの餌食となる。あらゆる水、有機質、養分が根こそぎ奪われていく……」
やがてエネルギーチャージの為か、一旦ガルムスは活動を止める。
血気盛んな二人はコセイドン号に戻り、ハクアス、ファイタスの出撃をバンノ隊長に進言するが、長官(2001年の時空管理局)は、マザーの時空航行の軌道計算が終了次第、各時代に派遣されているすべてのタイムGメンを、白亜紀へ集結させると頼もしいお言葉を下さる。
もっとも、コセイドン隊以外のタイムGメンは結局出て来ないんだけどね。

バンノ「ゴドメスの攻撃は大規模かつ徹底的です。我々も全力を尽くしますが、皆さんに置かれましても厳重な警戒の上、集結地点○○へ、12時間以内に集まって頂きたい」
複数のモニターに映った人々に話しかけているバンノ。
彼らは、この時代の時間移住者たちなのか、他の時代のタイムGメンたちなのか、バンノの台詞からはどちらとも取れるので、良く分からない。いずれにせよ、彼らは画面に表示されるだけで実際に登場することはない。
などとやっていると、再び激しく地面が揺れ始める。

ウララ「西北西50キロの地点に大規模な地震が発生しました。今、マグニチュード9、10、11、12、13、14……」
バンノ「畜生、地殻変動かぁーっ?」
無論、それはガルムスによる「剥ぎ取り光線」によるものだった。

渦巻状のビームを地球に送り込んでいるガルムス。
テツ「あいつら、地表ごと運ぶつもりか」
バンノ「畜生、地球を齧る気か? リンゴじゃねんだ!」

コセイドン号の外へ出て、ガルムスによる文字通りの地球強奪を見上げる面々。
アルタシヤ「私たちの星も同じでした。反動力線(?)で、養分の高い土壌を剥ぎ取っていくのです」

ウララ「やっと収まったようね」
バンノ「一帯にコロニーはなかったんだな?」
ウララ「ええ、不幸中の幸いだけど」
モリィ「この次はどっかやられるでしょ。請け合いましょう」
バンノ「モリィ! つまらんことを請け合うな!」
と、今度はガルムスが降下して、コセイドン号に近付いて来る。
ゴウたちは急いで船に戻ろうとするが、ガルムスは攻撃は仕掛けず、代わりに総監ザジが呼びかける。

ザジ「ソル系第三惑星原住民に告ぐ、戦艦ガルムスに座上する予は総監ザジ、アルタシヤと彼女が持つコスモ秘帖の引渡しを要求する」
ゴウ「コスモ秘帖?」
初めて聞く言葉に、ゴウは鋭い目でアルタシヤを振り返る。

アルタシヤはつらそうにその視線を避ける。
バンノ「俺はコセイドン隊隊長バンノだ、おい、なんのこった、その、秘帖ってのは?」
ザジ「ふふふふ、どうやらアルタシヤは君たちに秘密を打ち明けていなかったらしいな。よろしい、日が沈むまで待とう。それまでにアルタシヤに心を決めさせておけ」
船に戻ったアルタシヤは、素直にそのコスモ秘帖をみんなに披露する。
筒状の金属製のアイテムで、ま、ぶっちゃけ、ライトセーバーみたいなものである。

ゴウ「これがコスモ秘帖?」
モリィ「なんだい、その秘帖ってのはよ」
マリ「教えてあげる

秘密の秘、帖面の帖、分かったぁ?」
モリィ「分かった、触らないで!」
モリィのことが大好きで、何かあればすぐモリィにべたべたしようとするマリと、それを必死に避けようとする女嫌いのモリィであった。

バンノ「マリぃ、今そんなことしてる時じゃねえだろ?」
マリ「はぁーい」
テツ「こんなもんにゴドメスを倒す力が封じ込められてるのか」
ウララ「やっと腑に落ちたわ。奴らがあんたを追ってた訳が!」
アルタシヤ「隠してたこと、お詫びします」
バンノ「いや、まぁ、いいだろう。よその星の人間をそう簡単に信用できるもんじゃねえ」
ゴウ「全くだ、信じらんない!」
バンノ「ああっ?」
ゴウは、そんなちっぽけなアイテムにゴドメス軍を滅ぼす力が秘められているとは信じられないと、率直に意見を述べる。当然、ビックラジィーは激怒して反発する。

ビックラジィー「テレサの星に伝わる宝を侮辱なさるのか」
ゴウ「こんな重宝な物があるんなら、あんたらが攻められた時、とっととゴドメス倒しゃいいんだ」
もっともな疑問を口にするゴウ。
ビックラジィーによれば、肝心の使い方が分からないらしい。
このコスモ秘帖の謎を解くことが、第1クールのメインテーマとなる。
ゴウ「それを宝の持ち腐れって言うんだぜ。お陰でさんで、俺たちもあの子供たちもえらいとばっちりを受けたって訳だ」

ゴウの言葉に、後方の席に座ったまま眠りこけているリナ(永浜三千子)を見るアルタシヤ。
リナとミツルの兄弟の両親は、アルタシヤの宇宙船に対するゴドメスの攻撃の巻き添えを食って殺され、二人はコセイドン隊に保護されているのだ。
アルタシヤ(私とコスモ秘帖の為にこの人たちまで殺されてしまう……)

やや沈んだ雰囲気を盛り上げようと、バンノが立ち上がって明るい声を張り上げる。
バンノ「心配せんでよろしい、マザーの軌道計算さえ終われば、タイムGメンがどっと援軍に来るんだ。秘帖だかダチョウだか知らんが、世話にならんで済むんだ」

バンノ「おい、モリィ!」
モリィ「……」
バンノ「モリィ君、聞かれたらハイと返事をしろ! マザーとのコンタクトはまだ取れんのか?」
モリィ「亜空間通信はデリケートなメカですから……さっきの地震がいけなかったのかなぁ、かなり乱れてますな」
バンノ「モリィ、まさかマザーと?」
コセイドン隊の女性隊員の制服は、ミニスカではなく、ショートパンツを履いている。露出度と運動性を高い次元で両立させた素晴らしいデザインである。パン チラの可能性が絶無なのは悲しいが。

マリ「連絡取れないって言うの?」
モリィ「うん、ま、なんとかやってみましょう」
マリ「ねえ、ちょっとモリィ、なんとかなるんでしょうねえ」
バンノ「もう、ベタベタしないで、話はできねえのか!」
マリ「白亜紀に島流しにされたらどうなるのよ、私たちみんなゴドメスにやられてしまうじゃない」
何かある度に、愛しのモリィに触ろうとするマリ。
この人間関係の設定は、早い段階で「なかったこと」にされ、マリとモリィがいちゃつく(モリィはあくまで嫌がっているが)シーンは見られなくなってしまうのだが、確かにバンノが言うように、いちいちそんなことをしていたら、鬱陶しくてしょうがなかっただろう。
彼らのやりとりをよそに、アルタシヤは、ビックラジィーを連れて静かにコセイドン号から出て行く。

ビックラジィー「テレサ星再興は諦めなさると?」
アルタシヤ「これ以上地球に迷惑をかけるのはテレサ星王族の誇りが許しません」
ビックラジィー「バカな、秘帖の謎さえ解ければ……」
アルタシヤ「じい、ごめんね」
アルタシヤはビックラジィーの背中にあるボタンを押す。
ドラえもんの尻尾と同じく、それはロボットの機能を停止させるボタンだった。
ビックラジィーはたちまち動かなくなり、地面に横たわる。
アルタシヤ「じい、お前はほんとに忠実なロボットでした。きっとこの星の人たちがお前を大事にしてくれるでしょう」
アルタシヤは、いとおしそうにビックラジィーの体を撫でてから、歩き出す。
アルタシヤは地球にこれ以上迷惑をかけてはならないと、ゴドメスへの投降を決意したのだ。
……まぁ、アルタシヤが降伏したところで、ゴドメスがこの豊かな星を放棄して宇宙の彼方へ去ってくれるとは到底思えないんだけどね。

荒野を進むアルタシヤの前に、三人のゴドメス兵が出現する。
アルタシヤ「私はテレサ星のアルタシヤ……これがコスモ秘帖」
兵士たちはアルタシヤの差し出したコスモ秘帖を奪い取り、アルタシヤの体もムチで縛って引き寄せる。
兵士「お前をザジ総監のところへ連れて行く、それ!」
この兵士の声は二又一成さんだが、彼は、後にコセイダーの声も演じている。
と、何処からか「アルタシヤーっ!」と彼女を呼ぶ声が聞こえてくる。
心配になって探しに来た、ゴウである。

兵士「原住民だ」
兵士「ひとりらしいな」
驚いて振り向く兵士たち。
この時、兵士の手がアルタシヤの右側のおっぱいを、むにっと触っている……。
ゴウは二人の兵士を倒すが、残ったひとりがアルタシヤに銃を突きつける。

ゴウ「卑怯だぞ」
兵士「卑怯? それはお前らケモノの使う言葉だろう、我々はただ勝てばいいのだ!」
ゴドメス人は植物が進化した生き物なので、地球人のことをケモノなどと蔑称するのだ。
銃を向けられて絶体絶命のピンチに陥るゴウであったが、たまたま近くに現れたトリケラトプス(ちっちゃい)に兵士が気を取られた隙に撃ち殺し、アルタシヤを助け出す。

ゴウ、コスモ秘帖を拾い上げると、無言でアルタシヤのいましめを解く。
アルタシヤ「トキ・ゴウ」
ゴウ「なんです?」
アルタシヤ「何故私を助けたのです? 私がいる限り、あなた方コセイドン隊はゴドメスを敵に回さなくてはならないのですよ」
ゴウ「そんなことは、分かっている」
アルタシヤ「私と秘帖をザジのもとに送ればよかったのに……」
ゴウ「ちっともよかない、あんたらの星はどうか知らんが、地球人にハートがあるんだ! 悪い奴らを放っておいて、宇宙もクソもあるかっ、何のためのタイムGメンだ。助けられたら素直に喜べ」
ゴウ、秘帖をアルタシヤの手に握らせると、さっさとひとりで歩き出す。
二人は倒れているビックラジィーのところまで引き返し、ビックラジィーを再起動させるが、その彼らの頭上に再びガルムスが巨大な姿を見せる。
ちょうどその頃、コセイドン号でもモリィがタイムマザーとの通信回路を復旧させていた。
マリ「わぁっ、素敵!」
手袋を嵌めた手で、パタパタと嬉しそうに手を叩くマリ。
で、いつものようにモリィに抱きつこうとする。

マリ「モリィ、愛してるぅ!」
モリィ「ちょっちょっと……」
バンノ「そこの二人、愛さなくても良いんだ! モリィ、マザーを呼べ」
マザー「軌道計算は完了しています。直ちに帰投なさい」
一方、総監ザジはコセイドン隊に報復を宣言してから、「エントロフィービーム」をデモンストレーション的に地上に撃つ。
エントロフィービームは、プラスとマイナスの二種類あり、プラスは激しい爆発を起こし、マイナスは全ての物を凍らせる冷凍ビームになる。

バンノ「あ、あれは?」
アルタシヤ「ゴドメスの最新式の兵器です」
モリィ「隊長、猛烈なタキオン反応です」
バンノ「タキオン? じゃああの光には超高速粒子が含まれてるのか?」

同じ頃(……と言うのもアレだが)、時空管理局。
マザー「タキオンが使われている為、7000万年の時を越えて、21世紀に害を及ぼしたのです」
マザーが、コセイドン隊が出動することになったそもそもの発端である21世紀における謎のエネルギー反応が、他ならぬガルムスのエントロフィービームによるものだと推測していた。
局長「しかし、攻撃されたのは二日前だ」
マザー「だから、7000万年前の砲撃が二日前の日本に届いたのです」
局長「待ってくれ、攻撃されたからGメンを派遣したのに、これじゃGメンを派遣したから攻撃されたことになる!」
マザー「原因と結果が逆立ちするのはタイムトラベル(モノ)にはよくあることです」 居直ってやがる……
その後、コセイドン号は間一髪でエントロフィービームから逃れて、亜空間へ突入する。
亜空間までは追って来れないだろうと、ホッと一息つく面々。

アルタシヤ「一体私たちは何処を飛んでるのかしら?」
ミツル「亜空間だよ。普通の空間は縦、横、高さの三つで出来てるでしょう。でも、ここにはもうひとつ時間の軸が加わるんだ。とにかく、ここに潜ってる間は……」
安全の筈の亜空間であったが、突然激しい衝撃が船尾を襲い、コセイドン号を震わせる。
コセイドン号が消えた後、ザジ総監が闇雲に撃ったエントロフィービーム(のタキオン)が亜空間に影響を及ぼしているのだ。
マリ「亜空間なのに?」
バンノ「いや、あのビームは時間軸を貫くことが出来たんだ……」
亜空間で攻撃を受けるコセイドン号の姿を映しつつ、次回へ続く。
……と言う訳で、今回はゴウがコセイダーに一度もならないんだよね。
よくある特撮番組のように、毎回ルーティン的にヒーローが変身しないのが、とても新鮮に思えたものだ。