第14話「強悪の結花 三姉妹対決の日!?」(1987年2月12日)
ひとりで父・小太郎の墓参りに訪れている結花。

結花(父さん、もう4月にもなりますね、父さんが願ったように私たち三人力を合わせて元気にやってます。どうか安心して見守っててください)
心の中で語りかけ、静かに手を合わせる結花、その足元に矢文が飛んでくる。
手紙には「内密の指令あり」とだけ書かれてあり、結花は近くにいるであろう般若の姿を探して墓地の中を走り回る。と、不意を衝かれ、何者かに当身を食らってしまう。

その後、別人のように派手なメイクをして街へ繰り出し、他校の生徒をボコボコにする結花の姿が見られるようになる。
結花「私の名前は折鶴の結花、おぼえときな」
星流学園の屋上。

クマ「そんな心配することないでしょ、しっかりした結花姉御のことだから……あ、そうだ、女学生一人温泉の旅、なぁんちゃって!」
由真「バカ」
結花が、数日前から家に戻っていないのだ。
そこへゴロウとヒデが「てえへんだ~」と騒ぎながら飛んでくる。
ヒデ「結花姉御が、あちこちの番集めて締めまくってるって……商工のダチが言ってたんです」
由真「ぶぁわかやろう! 冗談言ってんじゃねえよ」
ゴロウ「でもぉ、他にも見た奴がいるんです。なんか鬼気迫るって感じで……」
クマ「まさか、裏番が? 表と裏の番がぶつかるようなそんなことになりゃしねえだろうな」

由真「そんなことある訳ねえだろ! そんなこと……」
結花に限ってそんなことがある筈ないと信じつつ、由真の心は不安に揺れ動く。
ちなみに星流学園の表番が2年の由真、裏番が3年の結花と言うことになっているのだ。
日曜の朝、父親の墓参りに行った後、結花の身に何か起きたのではないかと由真と唯は考えていた。
二人は、ろくに寝ないで姉の行方を探し続けていたが、何の手掛かりも得られない。疲れ果てて由真が家に戻ってぼんやりしていると、警官がやってきて、結花を傷害や恐喝、窃盗の容疑で逮捕すると息巻く。
由真「待ってくれよ、姉貴がそんなこと……」
警官「風間結花のものに間違いないね?」
由真「これは……」
警官が由真に見せたのは、紛れもなく結花の使う金属製の折鶴だった。
無論、一連の騒動の仕掛け人は「影」であった。

山の奥で、滝に打たれて何やら呪文を唱えている二人の女性。
彼らは六道衆の刺客で「二方髪(にほうはつ)」と言う、忍者デュオであった。
滝の裏側の洞窟には、雇い主であるオトヒの姿もあった。

オトヒ「実を虚となし、虚を実となす。二方を巧みにし、思いのままに人の姿を装い、破滅に導く二方術の術、仕上げが楽しみよのう」
二方髪「「三本の矢、それは一本では脆いもの、心の離れ離れになった時、矢は互いに相手を貫かんとする。私どもの手に落ちし、本物の姉と妹たちの戦いがやがて見られましょうぞ」」
二方髪は、常に二人でハモりながら話すのである。同じ職場にいたらちょっと鬱陶しい……。
演じるのは二階堂美由紀さん、玉井千鶴さんだが、個人の役名はなく、顔もはっきり映らない、ちょっと不憫な感じである。
その後、再び学校で話す由真と唯。
唯は、悪行を重ねているのは本物の結花で、影の術に操られているのではないかと推測するが、由真はニセモノに決まっていると否定する。

唯「折鶴は本物じゃった。締められた番格たちは結花姉ちゃんじゃったって言うちょるって……」
由真「うっせえ、姉貴じゃねえったら姉貴じゃねえんだ! 姉貴のことはこの由真が一番良く知ってるんだ。物心付いた時から、何から何までな……てめえが姉貴を信用できないのなら勝手にすれば良いんだ。
元々(唯が本当の)兄弟がどうかだってわかりゃしねえんだ。だけど、姉貴と由真は、私たちは……」
唯「由真姉ちゃん……」
結花のことが心配で気が気でない由真、つい口を滑らせて、唯の身許について無神経な発言をする。
普段だったら唯も「なんじゃとぉーっ? うちはほんまの妹じゃっ!」などと突っかかってくるところだが、場合が場合だけに妙に大人しい。

などとやってると、2階の窓から依田、いや、般若が黒板消しを叩きながら顔を出す。
般若は、結花が現れる可能性のある二ヶ所の倉庫をそれぞれ見張って、その結花が本物かどうか確かめるのだと指示する。

一方、本物の結花はあの洞窟に監禁されていた。つまり、街に出没しているのは真っ赤なニセモノだったと言うわけだ。
二方髪「「風間結花、最早お前が無事、人の世に帰ったところで生きるべき場はないわ……見よ!」」
二方髪は、白い頭巾を同時に取る。その下の顔は、天知茂先生も真っ青の結花と瓜二つ(三つ)であった。
ニセ結花「鬼のように変わり果てたお前が今日も街で暴れる。人はお前をおそれ、憎み、逃げ出すのだ」

カメラが左側に立つニセ結花を映しながら、本物の結花(代役)の後頭部を軸に右にパンするが、その間にフィルムが切り替わり、右側にもう一人のニセ結花を映し出す。
ニセ結花「そればかりではない。今ではお前たち姉妹の絆もまた破れ、はじけ飛んだ。妹らもまたお前を憎み、呪うておるぞ」
二人のニセモノは縛られている結花に迫ってその体を壁に押さえつけ、彼らと同じようにどぎついメイクを施して行く。

その夜、由真の見張っていた倉庫に、結花がやってくる。
由真「影に操られてるんだろう? でなきゃ、こんなことある訳ない。憎いよ影が、憎くて憎くてたまんねーよ!」(棒読み)
結花「私は……自分から風魔を裏切ったのよ。私だけじゃない父さんもそうだった」
由真「オヤジがぁ?」
突然、意外なことを言い出す結花。
彼らの父・小太郎は、腐り切ったこの世界に絶望して「影」の仲間に入ろうとしていたが、その前に風魔によって殺されたのだと結花は主張する。
結花「父さんほどの知恵と技を持ちながら、あんな仕掛けが見抜けないと思う?」
由真「……」
由真、そう言われて彼らの目の前で爆死(笑)した小太郎の最期を思い返す。
結花「父さんは迷いを捨てきれないまま、自分から風魔の罠にはまったのよ。由真、一緒に出なおすのよ、風魔と戦う為に!」
由真「ほんと、姉貴?」
目に涙を溜めながら聞き返す由真に、結花は大きく頷いてみせる。
姉のことを盲目的に信じており、同時に、風魔や般若のことを全面的には信用していない由真、意外とあっさり結花の誘いに乗ってしまいそうな気振りを見せる。
が、その瞬間、由真は、相手が本物かどうか確かめる絶好の目印があることを思い出す。本物の姉なら、左腕に梵字がある筈だと……。
由真はリリアンでいきなり結花のセーラー服の袖を破り、梵字のあるべき肌を露出させる。
果たして、梵字はなかった。
由真「お前は姉貴じゃない!」
完璧な変装術を売りにする忍者デュオにしてはお粗末な失敗であった。
が、その結花の正体を見破ったと思ったら、すぐ別のところに結花が現れ、由真を混乱させる。
結花「私はもう風間結花じゃないわ。私もまた影のひとり……だから由真、そして唯、あなたたちに戦いを挑むわ。怨霊寺境内、そこであなたたちを待ってる」
由真、(何故かひとりで)そのお寺へ向かって走っていたが、途中、例によって般若おじさんに呼び止められる。
般若「敵はお前と唯のように甘くはないぞ。結花とお前たちは戦わねばならんと言うことだ。今お前たちの前に立ちはだかる影は恐ろしい手練れ、しかも結花を盾に戦意を奪い、風間三姉妹を倒さんとしている。戦わねばならん、たとえ結花が死ぬことになっても……」
由真「そんなー、私たちに姉貴を倒して生き残れって言うのかよー」(棒読み)
般若「そうだ、それが戦いだ! 情けこそが人をして戦いに敗れさせる。心に迷いが生じた時、お前たちは敗れる」 ……とのことです。
由真、般若のアドバイスを胸に、怨霊寺(なんちゅう名前だ)の境内へ。

結花が木に縛られていて、近付こうとすれば「来ちゃだめ」、後ろを見せればいきなり首を締めに来ると言う、極めて厄介な心理戦を延々と仕掛けられる由真。
由真としては、まさかニセモノが二人いるとは思わないので、どちらかは本物だろうと、つい先手を取られてしまうのだ。
そこへ遅ればせながら主役の唯が駆けつけ、由真を援護する。
今回、浅香唯さんの出番がとても少ないのは、スケジュールの都合らしい。

ニセモノふたりは、山門の下に本物の結花を立たせ、同時にあちこちに幻覚作用を起こす香炉をぶらさげる。
二方髪「「戦え、風間の娘らよ、互いに殺し合うのだ。本物の結花を倒さねば我らを倒せはせん」」
結花「奴らの言うとおりよ、由真、唯、戦うのよ」
ニセの結花たちは、本物の背後を猛スピードで反復横飛びしながら、苦無(くない)を飛ばしてくる。

今だったら、三人ともCGで結花の姿にするのは訳はないが、ここではニセモノふたりが、良く見たら全然別人だということが割れてしまっている。
もっとも、暗いし遠いし速いし、由真たちには見分けはつかなかっただろう。
結花「戦いなさい、私が邪魔なら私を倒して!」
唯「結花姉ちゃん……」
由真「姉貴」
結花「なにしてるの、私の喉を狙って!」
結花の言葉に頷く二人、タイミングを計ってリリアンとヨーヨーを投げ付ける。
本物の結花が咄嗟にその場にしゃがんだ為、背後に並んだニセモノが一瞬無防備になって、まともにリリアンとヨーヨーを喰らってしまう。
今回は、唯ではなく由真がリリアンと糸を巧みに操って、二方髪の二人を縛り上げる。

結花「唯、由真、ありがとう」
唯「やっと本物の結花姉ちゃんに会えたわい」
由真「姉貴ぃ」
苦難を乗り越え、再び揃った三姉妹の絆はますます固く結ばれるのだった。
……うん、結花を捕まえた時点で、さっさと殺しとけば良かったのでは?
いつものことだが、「悪の組織」は欲をかいては、結局虻蜂取らずと言う結果に終わることが多い。