第7話「野獣バッターと涙」(1981年3月21日)
冒頭、ブラックマグマ本部で、ゼロガールズたちによる作戦会議が行われている。

ゼロワン「人間どもを片っ端から捕まえてサイボーグ手術を施しては……」
ゼロツー(食い気味に)「私は動物と人間を合体して動物人間を作り……」

ゼロスリー(食い気味に)「人間狩りをしたい。追い回し、撃ちまくりたい!!」
ゼロフォー「私は月や火星に人間を移住させて宝石類を掘り起こすべきだと思う」
……作戦会議と言うより、「文化祭の出し物」についての女子高のクラス会議のようであった。
なお、管理人、2枚目の画像をキャプした時、不覚にも大笑いしてしまった。
この場を借りて非礼をお詫びしておく。
メンゴ。
ちなみにこういう下っ端にも自由に発言の場が与えられているところなどは、「宇宙刑事シャイダー」でしばしば催されるギャル軍団を含めた戦略会議に通じる物がある。

もっとも、彼女たちのアイディアは、ヘドリアン女王のガハハ笑いに一蹴されてしまう。
ゼロワン「人のことを笑うからには何か良い考えがおありでしょうね?」
ヘドリアン「勿論、人間と言うものは肉体的に痛めつけるよりも、精神的なダメージを与える方が、こたえるものなのじゃ。人間どもはスーパースターを敬愛し、精神の拠り所にしているところがある。その偶像を破壊してやるのじゃ!!」
70~80年代の特撮番組にありがちな作戦であった。
ヘドリアン女王の提案には基本的に逆らわないヘルサターンも、「ゲッヘッヘッ」と下品な笑いを発すると、その為のモンガーとダークQを作り出すのであった。

で、彼らが目をつけたのが大江高校の野球部員、高瀬秀一と言う高校生であった。
彼には相思相愛の千恵子と言うガールフレンドがいた。
秀一を演じるのはこの後に「ゴーグルファイブ」「ダイナマン」に出演することになる春田純一さんで、千恵子は同じく「ギャバン」に出演することになる立花愛子(当時は増田めぐみ名義)さんと言う、なかなか豪華な組み合わせであった。

練習後、秀一の父親でもある高瀬監督に、突然謎の女が話しかけてくる。ゼロワンの変装である。
ゼロワン「秀一君はこの夏の甲子園で3本のホームランを打つでしょう。そして秋のドラフトの目玉になることも間違いありません。でも問題はその後です。今の秀一君のスイングではプロのピッチャーの球は打てません。まあ、せいぜいホームラン5本、打率2割程度でしょう」
高瀬「いい加減なことを言うな」
ゼロワン「秀一君の実力を一番良くご存じなのが監督でもあり、父でもあるあなたです」
高瀬「誰だ、誰なんだ君は?」

ゼロワン「野性能力開発研究所・牧令子」
この名刺の持ち方を見るだけでいかにも「大人の女性」と言う感じがするなぁ。

さて、秀一はサファリで、朝夫と競争するように名物のカレーをどか食いしていた。
さすがに春田さん、詰襟の学生服が恐ろしいほど似合ってない。

秀一「もう食えません」
朝夫「まだまだ修業が足りんっちゅーことだよ」
美佐「豹さん、今日の7杯分、つけておくわよ」
朝夫「しまった、食い過ぎた!!」

秀一はなかなかの有名人で、店に来た子供たちにサインをねだられる。
子供たち「サインお願いしまーす」
秀一「ああ、いいよ」
ちなみに管理人、この鼻の形が特徴的な、小川まり(山口由美)ちゃんがお気に入りである。
龍介「凄い人気だね」
欣也「なにしろスーパースター候補生だからな」
嵐山「秀一君はうちのカレーで育ったようなもんだ」
龍介(それは違うと思う……) その夜、自宅の庭で一心不乱に素振りをしている秀一を、複雑な面持ちで見詰めている高瀬監督。
口では否定したものの、昼間、あの女の言ったことは確かに一面の真実を衝いていたのだ。
結局、高瀬監督は秀一を連れて野性能力開発研究所にやってくる。
秀一「だいじょぶかなぁ」
高瀬「聞いてみるだけでも良いじゃないか」
秀一はいかにも不安そうな様子だった。

博士「火事場の馬鹿力と言うのをご存じかな? つまり人間には誰にもスーパーパワーが秘められておるんですよ。ただ、それを引き出す術を知らんだけです」
高瀬「具体的にどういうことを?」
博士「簡単です。
家に火をつけるんです」
高瀬(まずい、バカだ……) 途中から嘘だが、博士(その正体はダークQ)はもっともらしい御託を並べると、別室に用意された機械でビーストシャワーなるものを浴びれば、即座に野性の潜在能力を引き出せますと言う。
高瀬「秀一、試してみろ」
秀一(ええ~っ?) あっさりそう言うオヤジを、信じられないような顔で見返す秀一。
このオヤジ、息子をモルモットか何か程度にしか考えてなかったのではないだろうか?
で、数分後、ビーストシャワーにさらされた秀一は、
こうなるのでした。 
高瀬「秀一!!」
博士「いや、心配要りません。潜在しておった原人の能力があらわれただけです」
さすがに高瀬は血相変えるが、博士に説明されて、あっさり引き下がる。
確かに、すぐに秀一は元の姿に戻るのだが……

ビーストシャワーを浴びた秀一、次の日から見違えるように鋭い当たりを連発するようになる。
嵐山「おおっ、こりゃ凄い、プロそこのけの打球の速さじゃないか」
監督「サファリのカレーのお陰だよ」
嵐山「はははははっ」
千恵子「30本中25本がホームランです」

バッティング練習後、千恵子がかいがいしくタオルを持って行くが、それまでの秀一とは別人のように荒々しくタオルを使うと、無言で千恵子に叩き返す。さらに、獲物を前にした野獣のように、不気味な眼光で千恵子の体を嘗め回すように見詰める。

恋人の千恵子はすぐにその変化に気付き、戸惑いを覚える。

千恵子、浮かない顔でサファリにやってくる。
ちなみに、窓の向こうに見えるのはカキワリの柵や電線である。

美佐「秀一君は?」
千恵子「カレーなんて嫌いだって」
美佐「えっ、だって毎日のように」
千恵子「変わってしまったわ、秀一君」
嵐山「どんな風に?」
千恵子「急にホームランが多くなりました。性格も荒々しくなって、なんか怖いみたいです」
嵐山は、千恵子から秀一が例の研究所に連れて行かれてから様子がおかしくなった聞かされ、龍介に高瀬親子の尾行を命じる。
龍介は、バルカンアイで研究所の内部を透視し、そこがブラックマグマの巣窟だということを見抜き、いきなり殴り込みをかける。
サンバルカンの活躍で、秀一は救出され、研究所も破壊されたのだが、ビーストシャワーの反動か、秀一は以前より調子がガタ落ちしてしまう。
親バカ……と言うより、ただのバカと言った方が当たっている高瀬監督は、ゼロワンから電話を受けると、すぐに「もう一度ビーストシャワーを浴びせて欲しい」と自分から頼む始末。
ゼロワンは、トラックにビーストシャワー照射装置を積んで出張サービスに来てくれるという。
ゼロワンにはもっと別のことで出張サービスに来て欲しかったって、管理人の知り合いが言ってました。

その前に、ゼロスリーとゼロフォーが秀一を見張っていたバルイーグルに攻撃を仕掛ける。
それぞれ固有の武器を使うのはこれが初めてだと思うが、スリーはサイ、フォーは何とヨーヨーを使うことが判明する。
その混乱に紛れ、トラックが高校の敷地内に入り込む。
高瀬監督と秀一は、止めようとする千恵子を振り切って自分からトラックの荷台に上がり込み、ビーストシャワーを浴びる。

今度は、完全な原人になってしまった秀一が、荷台から飛び出してバルイーグルに襲い掛かる。

その様子を小気味良さそうに見ているゼロワン。
でも、最初にヘドリアン女王の唱えていた作戦とはだいぶ趣旨が違ってるような気がする。
春田さん、ここでも見事なアクションを披露している。

まず一番奥の車の上に飛び乗り、

手前の車との間に置いてあるトランポリンを使って一回転し(しかもバットを握ったまま)、

今度はそのまま手前の車の上に着地する。
野獣化した秀一は、車を素手で持ち上げて投げ飛ばすなど、凄まじいパワーを見せ付ける。

千恵子「秀一君!!」
秀一の暴れる姿を見ながら、何故か高瀬監督の胸に飛び込む千恵子。

千恵子「やめて……お願いよ、やめて」
秀一「うがー」
金属バットを振り上げる野獣化した秀一の前に立ち、涙を流しながら訴える千恵子。
この涙が、いかにも目薬差しましたと言う感じなのがトホホだが、立花愛子さん、少なくともこの後の「ギャバン」の時より演技が上手いような気がする。

その涙を見ているうちに、秀一の脳裏に、千恵子と過ごした日々が鮮やかに甦る。
秀一「うがー」
いつの間にか、秀一はバットを降ろし、大人しくなっていた。
ゼロワンたちは作戦が失敗したと判断するや、ヤキュウモンガーに攻撃を命じる。
後はいつものルーティン戦闘が延々と続く。
無論、最後はサンバルカンが勝利を収め、ヘドリアン女王の計画は頓挫する。
ラスト、すっかり元通りの好青年になった秀一が、また朝夫とカレーの大食い競争をやっている。

千恵子「さ、トレーニングの時間よ」
秀一「もう一杯だけ」
千恵子「ダメダメ、時間厳守」
欣也「野獣化した時にはどうなるかと思いましたよ」
嵐山「千恵子さんの愛の涙が秀一君の心を呼び戻した。涙を流す動物はたくさんいるが、愛の涙を流せるのは人間だけだ!!」
今回も、嵐山長官の素敵な台詞で締めて終わりです。
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