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「ウルトラセブン」傑作選 第13話「V3から来た男」

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 第13話「V3から来た男」(1967年12月24日)

 クリスマスイブに放送されているが、シリーズ中でも屈指の男臭いストーリーである。

 出てくるのは男、男、男、宇宙船、戦闘機、セブン、宇宙人だけである。

 愛しのアンヌは登場すらしない(ひし見ゆり子さんによると、当時「干されていた」らしい)

 さて、宇宙からの侵略者に対する前線基地である宇宙ステーションV3は、接近する謎の円盤に対し、ステーションホークを出撃させる。

 が、クラタ隊長以下、出撃したステーションホークは一機も戻ってこなかった。
 本部のキリヤマは、マナベ参謀からそのことを告げられる。キリヤマは隊長のクラタとは士官学校以来の親友だった。

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 開始早々、悲愴なBGMが流れ、キリヤマはひとり、クラタの無事を祈るのだった。

 もっとも、次のシーンでは地球の空をのほほんと飛行しているクラタのステーションホークが映し出されるので、若干の肩透かし感がある。

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 すぐ、ホーク1号がスクランブルをかけるが、相手が味方だと分かり、フルハシとアマギは並んで飛びながらクラタと敬礼を交わす。

 二機はそのまま防衛軍基地へ向かうつもりだったが、燃料を切らして着陸していた宇宙船から奇襲攻撃を受ける。

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 結局、ステーションホークは撃墜され、クラタはパラシュートで脱出するが、部下は操縦席に座ったまま死んでしまう。

 映るのは一瞬だが、この特撮シーンがまた素晴らしい。

 そして、ホーク1号もやられて不時着する。フルハシとアマギがどうなったかは分からない。

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 ひとりヘルメットを肩に掛けて基地に辿り着いたクラタの前に、マナベが立つ。
 しばらく、無言で見詰めあう二人。

 マナベ「無事だったか」
 クラタ「またひとりで戻りました。今度は月へでも放り出しますか?」

 この短いやりとりだけで、マナベとクラタの微妙な関係が視聴者に分かる。見事な演出と演技である。
 そこへダンがやってくる。

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 ダン「ウルトラ警備隊のモロボシです。そこ通りたいんで、どいて下さい
 クラタ「……」

 じゃなくて、「お迎えに来ました」でした。

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 クラタが作戦室に入るなり、キリヤマ「この悪党!」クラタ「おお、モグラめ!」と、感情を丸出しにして再会を喜び、手を握る二人だった。

 クラタが「モグラ」と呼ぶのは、キリヤマがいつも地下の秘密基地に勤務しているからだろう。

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 一方、フルハシとアマギは生きていたが、宇宙船の中に捕らえられており、アイロス星人は彼らのコピーを作り出し、基地へ潜入させようとする。

 ニセモノの二人に、燃料を盗み出させようと言う実利的な作戦であった。

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 で、ニセモノが基地へ戻ってきて、どう見ても普通じゃないのに、

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 キリヤマ「よく戻った、怪我はないようだな」

 キリヤマたちは全く気付かないと言う、「セブン」ではちょくちょく見られる光景が展開される。

 前にも書いたけど、このパターン、多いよね。

 類似のパターンも含めれば、「緑の秘密」「マックス号応答せよ」「消された時間」「サイボーグ作戦」などが挙げられる。

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 その後、クラタに親しく話しかけられてギョッとするコピー人間であったが、それでもキリヤマは怪しまない。

 クラタ「まさかこの顔忘れた訳じゃないだろう」
 アマギ「……覚えてます」
 キリヤマ「二人とも疲れてるようだから、下がって休め」

 もっとも、クラタにしても「もしかして……記憶喪失にかかったんじゃないのか?」と、視聴者の期待を豪快に裏切る発言をかましてるんだけどね。

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 で、例によってダンだけが(あの目は人間の目ではない)と真実を見破る。

 ニセモノはその足で燃料室へ入り込み、燃料を盗もうとするが、つけてきたダンによって射殺される。
 キリヤマが血相変えて飛んで来て、「何故殺した?」とダンに詰め寄り、「消された時間」と同じような展開になるかと思われたが、ニセモノの死体がすぐ消し炭のようになったので、ダンは逮捕されずに済む。

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 そこへ、クラタがふらっと入ってきて「モロボシ・ダン、やるな」と、ダンの腕前を賞賛する。

 クラタも、二人の様子がおかしいのでそれとなく見張っていたらしい。さっきは「記憶喪失じゃねーの?」とか言ってたけど。

 さて、アイロス星人、今度はフルハシとアマギの身柄と引き換えに、燃料を要求してくる。
 アイロス星人、そもそも何を考えて地球に来たのだろうか?

 燃料もないのに侵略しに来たのだとしたら、「セブン」に出てくる宇宙人の中でも屈指のアホである。

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 クラタ「攻撃しよう!」
 キリヤマ「……交換に応じよう。部下の命には換えられん」
 クラタ「俺の復讐はどうなる? 部下を皆殺しにされたんだぞ」
 キリヤマ「立場が逆ならどうする? 部下を見殺しにするか?」
 クラタ「燃料を与えてみろ、犠牲者は二人では済まなくなるぞ」
 キリヤマ「侵略はしないと言っている」
 クラタ「約束など守る相手じゃない!」

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 キリヤマ「攻撃するだけが指揮官の務めでもあるまい!」

 キリヤマ隊長の凄く素敵な台詞であったが、第42話「ノンマルトの使者」で、ノンマルトの海底都市を発見した時には、

 「我々人間より先に地球人がいたなんて……いや、そんなバカな、やっぱり攻撃だ!

 などと言って、ガンガン魚雷撃って先住民族かもしれないノンマルト人を皆殺しにしてました。てへっ。

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 キリヤマがひとりでホーク3号に乗って出撃した後、イライラとタバコをくわえて歩き回るクラタに、
 ソガ「クラタさん、なんにしても我慢するのは体に悪いそうですよ」
 クラタ「うん、それもそうだな、よし、ちょっと行って来るか」

 ソガがクラタの心中を察して、出撃を唆すシーンも好きだが、

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 エレベーターで乗り合わせたマナベが、「隊長、慌ててどちらへ? ホークの発進場には鍵がないと入れない」と言ってから、スッとその鍵をクラタに渡すシーンも、いかにも男と男の友情を感じさせて好きである。

 また、それに続く、

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 クラタ「あ……」
 マナベ「どうした?」
 クラタ「生命線が切れている……」

 と言うやりとりも好きであるが、これは管理人がいま考えた嘘である。

 ……あっ、やめて、石を投げないで下さい!

 正解は、

 マナベ「キリヤマを守ってやって貰いたい、奴は良い友人を持って幸せだ」
 クラタ「ありがとうございます!」

 でした。

 で、結局クラタも、ダンとソガも、キリヤマの指示を待たずに出撃する。規律わやくちゃでんがな。

 キリヤマのホーク3号は、先に燃料を渡すが、果たしてアイロス星人は約束を違えて、攻撃を仕掛けてくる。
 そこへクラタのホーク1号が到着し、キリヤマを援護する。

 クラタ「キリヤマ、久しぶりに組んでやるか」
 キリヤマ「よし、良かろう」

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 こうして、ウルトラ警備隊、最強のコンビによる連繋攻撃が宇宙船に叩き込まれる。

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 宇宙船も、上部が分離して、キリヤマたちと激しい空中戦を演じる。

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 一方、ダンとソガはポインターで地上から宇宙船に近付く。

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 戦いの最中、宇宙船から伸びたマジックハンドが、何か得体の知れないアイテムを地面に置く。

 その後、色々あって、フルハシとアマギは、人間サイズのセブンに変身したダンによって救出される。
 
 また、円盤から発せられた光線がさっきのアイテムに命中すると爆発が起き、両手が巨大な翼になった怪獣が出現する。それがアイロス星人と言うことらしいが、この感じでは、アイロス星人は精神体のような存在で宇宙船を動かしていて、こちらの怪獣はセブンのカプセル怪獣と同じく、彼らが使役している別個の生物ではないのかと言う気もする。

 それはともかく、セブンも巨大化して怪獣と戦う。

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 セブン、倒れ込みながらビームを放つが、

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 アイロス星人は翼をぴったり重ねて、それを受け止める。

 セブンは必殺アイスラッガーを投じるが、アイロス星人は体を高速回転させてそれも弾き返してしまう。

 他にも、セブンに抱き付いて高圧電流を流したり、口からビームを連射したりと、多彩な攻撃方法も持つアイロス星人、かなりの強敵であった。

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 セブン、ワイドショットの構えを取る。

 しかし、なかなかビームを発射しない。

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 痺れを切らしたアイロス星人がビームを吐いた瞬間、

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 セブンのワイドショットが、無防備なアイロス星人に命中し、爆発が起きる。

 セブンの見事な「後の先」戦法であった。

 アイロス星人の宇宙船も、ホーク1号と3号を相手に容易に落とされず、その頑丈さは特筆すべきであったが、

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 最後は頭上から1号と3号の集中砲火を浴び、遂に破壊される。

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 キリヤマ「クラタ、なかなか良い腕だ、まだまだ捨てたもんじゃないな」

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 クラタ「ああ、お前こそ」

 クラタ、部下の仇討ちを果たすと、ホーク2号でV3へ帰還する。

 しかし、そのホーク2号は誰が持って帰るのだろう?

 ラスト、ホーク2号との交信で、クラタとの別れを惜しむキリヤマ。
 仲間と作戦室に入ってきたダンが、両手を広げて彼らを制し、キリヤマの邪魔をしないようにする心遣いを見せる。

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 キリヤマ「こちらキリヤマだ」
 クラタ「キリヤマか、もう会えそうもないな」
 キリヤマ「クラタ、気をつけてな、命を粗末にするなよ」
 クラタ「おう、お前もな」

 と言う訳で、男の友情が麗しい一本でした。

 いよいよ次回は……


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コメント

Re:「ウルトラセブン」傑作選 第13話「V3から来た男」(09/23)  

市川森一さんのシナリオはハートフルというか、心の機敏がうまく描かれてますよね。
クラタ隊長役の南廣さんがゲストで同じ市川脚本の「帰ってきたウルトラマン」18話
「ウルトセブン参上!」では友の敵を討とうとする加藤隊長がアツいです。
市川さんは「ホームドラマ」「子役のレギュラー」を嫌悪し自作では登場させませんでした。

しかし、「セブン」の地球防衛軍は人間関係良い職場ですよね。
この後は(除くZAT)どうして・・・(以下略)

Re[1]:「ウルトラセブン」傑作選 第13話「V3から来た男」(09/23)  

ふて猫様
>アイロス星人は何が目的で地球侵略を企んだのでしょうか?燃料の確保は、最低限に行うことだと思うんですけどね〜折角の能力の高さがあるのに残念ですね。

コピー人間を作る能力もありますしね。
総合的に見てかなりの強敵でしょう。

Re[1]:「ウルトラセブン」傑作選 第13話「V3から来た男」(09/23)  

影の王子様
>市川森一さんのシナリオはハートフルというか、心の機敏がうまく描かれてますよね。
>クラタ隊長役の南廣さんがゲストで同じ市川脚本の「帰ってきたウルトラマン」18話
>「ウルトセブン参上!」では友の敵を討とうとする加藤隊長がアツいです。

そうでしたっけ。
新マン、シリーズの中では一番記憶がさだかじゃありません。

Re:「ウルトラセブン」傑作選 第13話「V3から来た男」(09/23)  

シナリオではラストが「報復に来るアイロス星の艦隊を迎え撃つためにクラタが出撃する」
となっていたそうですが、やはり「画」的に難しいから差し替えられたと思われます。
しかし、その話にするとキリヤマが「俺も出撃だ!!」と言い出しそう・・・

Re[1]:「ウルトラセブン」傑作選 第13話「V3から来た男」(09/23)  

影の王子様
>シナリオではラストが「報復に来るアイロス星の艦隊を迎え撃つためにクラタが出撃する」
>となっていたそうですが、やはり「画」的に難しいから差し替えられたと思われます。

なるほど、そうだったんですか。

>しかし、その話にするとキリヤマが「俺も出撃だ!!」と言い出しそう・・・

やりそうですね。

第35話「月世界の戦慄」  

冒頭ウルトラ警備隊6人が全員揃っているのに、キリヤマがダンと自ら調査に赴くのが不自然。
「戦闘」ならまだしも「調査」を部下に任せずに隊長が行くはずがない
(これじゃ、部下の仕事を自らやるダメ管理職)。

ザンパ星人が「キリヤマとクラタが再び組む機会を待っていた」のなら
星人が地球でテロかなにか事件を起こして、警備隊4人は「出払っていて」
「仕方なく」キリヤマとダンが行くしかない・・・としないと。

Re:第35話「月世界の戦慄」(09/23)  

影の王子様
>冒頭ウルトラ警備隊6人が全員揃っているのに、キリヤマがダンと自ら調査に赴くのが不自然。
「戦闘」ならまだしも「調査」を部下に任せずに隊長が行くはずがない

いかにも強引ですよね。

ベムスター

冒頭のBGMは他の方も触れられている帰ってきたウルトラマン冒頭のベムスター出現シーンに流用されています。

Re: ベムスター

ご教示ありがとうございます。

No title

昭和42年10月に放送開始された「ウルトラセブン」は、あと6日後で放送祝55周年に突入します。

Re: No title

55周年ですか……

No title

昭和42年10月に放送開始された「ウルトラセブン」は、いよいよあと3日で放送開始祝55周年に突入です。でも新型コロナウィルスがまた来年終息しない限り、困ったねぇ。

Re: No title

いつになったら終わることやら。

No title

もうすぐ放送開始祝55周年記念に突入です。でも気になる新型コロナウィルスの終息は果たして‥‥。

Re: No title

あと数時間ですね。

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