「スクール☆ウォーズ」 第1話「それは涙で始まった」 前編

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　第1話「それは涙で始まった」（1984年10月6日）

　「スクール☆ウォーズ～泣き虫先生の7年戦争～」（以下、単にスクールウォーズと表記する）は、1984年から1985年にかけてＴＢＳで放送された大映ドラマ。全26回。

　「不良少女とよばれて」と前後して、管理人がハマッた大映ドラマである。「不良少女」ほど熱中しなかったが、以前からレビューしたいとは思っていたのである。

　なお、このドラマは元ラグビー日本代表の山口良治氏をモデルにして書かれた馬場信浩氏の「落ちこぼれ軍団の奇跡」と言うフィクションが元になっている。当然、登場人物や高校などは、実在のそれをモデルにしているケースが多いのだが、管理人はラグビーと言うスポーツには何の興味ないし知識もないので、そういうところについては言及しないことにする。

　要するに、あくまで「不良少女」などと同じく、こてこての大映ドラマとして楽しみながらレビューしていきたいと言うことである。

　さて、第1話は、いわゆる「7年戦争」の集大成とも言うべき花園ラグビー場での高校ラグビー全国大会の決勝戦の模様から始まる。

　
　つまり、最初にいきなりクライマックスシーンを持ってくると言う、破格の構成なのである。

　で、この映像は、モデルとなった高校の実際の決勝戦の映像が使われているのだ。
　無論、テロップは後から付けられた架空の物だ。

　この試合の映像は、毎回のＯＰでも流れている。

　
　試合を見守るチームの関係者が、スタンドに映し出されるが、意外にも最初に出てくるのが、「不良少女」でもコンビを組んでいた山本理沙さんと、坂上亜樹さん演じる二人のマネージャーなのだった。

　ちなみに坂上二郎さんの実の娘である坂上亜樹さんは、この番組で親子共演を果たしている。
　（実際に絡むシーンはほとんどなかったと思うが）

　が、ここで二人が前マネージャーだった山崎加代（岩崎良美）の写真を取り出して見詰めるので、この段階で彼女が死んでいることが視聴者に分かってしまう。

　
　さらに、下田夕子（和田アキ子）が、夫・大三郎（梅宮辰夫）の遺影を持っているので、最低二人は物語を盛り上げる為に（番組に）殺されることが予想できる。

　
　そして、我らが西村朝男こと、大木大助（松村雄基）の凛々しい姿もあった。

　もっとも、大木が物語に本格的に絡み始めるのは少し先のことである。

　他にも主要キャラの姿が見えるのだが、ほとんど台詞はないのでパス。

　
　そして漸くカメラはグラウンドに立つ主人公・滝沢賢治監督（山下真司）の姿を映し出す。

　
　ついで、その妻の節子（岡田奈々）の美しい姿。

　ナレ「滝沢賢治は前夜一睡もしていなかった。『信長の野望』をやっていたからである……」

　……嘘です。

　で、滝沢がこれまでのつらく苦しい戦いの日々を回想すると言う形で、本編のドラマがスタートする訳である。

　1話では、決勝戦のホイッスルが鳴ってボールが高々と蹴られると同時に、主題歌「ヒーロー」のイントロが流れ出し、芥川隆行氏の重厚なナレーションが重なる。

　ナレ「この物語はある学園の荒廃に戦いを挑んだひとりの教師の記録である。高校ラクビー界において全く無名の弱体チームがこの教師を迎えた日から僅か7年にして全国優勝を成し遂げた奇跡を通じ、その原動力となった愛と信頼をあますところなく、これでもかといわんばかりにドラマ化したものである。私がそう言ってるのだから間違いないのである！」

　（註・今更ですが、管理人は嘘つきです）

　
　「愛は奇跡を信じる力よ～孤独な心閉じ込めても～♪」

　不良生徒たちによって叩き割られる校舎の窓ガラスをバックに、タイトルが表示される。

　ラグビー関連のシーンと、校内暴力シーンが交互に出てくる感じだが、確かに序盤に関しては内容とピッタリ合っているのだが、途中からほとんど校内暴力がなくなるので、若干の違和感を覚えるタイトルバックになっている。

　で、「スクールウォーズ」のタイトルバックと言えば、そう、あの伝説のシーンを忘れてはいけません。

　

　

　
　そう、この大変生々しいスカートめくりである。

　映像ではほんとの一瞬だが、こうやってコマ送りすると、尻の割れ目とか、パンツからはみ出る尻肉とか、実に鮮明に描かれていることが分かる。

　
　さらに、めくられたあとで女の子が振り向いており、パンツの前側や女の子の顔などもかなりはっきり見えることが、今回の調査で確認されたことを報告しておく。

　なお、最初は6.9パーセントと極めて低かった視聴率が徐々に持ち直したのも、このスカートめくりシーンが大きな要因だったと識者の意見は一致している。

　さて、ＯＰ後、

　ナレ「滝沢賢治のラグビー人生は栄光に満ちていた……」

　と、滝沢賢治のラグビー人生について逐一説明が行われる。

　かいつまんで書くと、

　・東都体育大学（レギュラー）
　・日本代表チームの一員として7年間活躍

　
　そして、彼の競技人生のクライマックスは、1971年9月28日、秩父宮ラグビー場のイングランド戦での40メートルのペナルティキックを見事に決めた瞬間であった。

　
　その様子を、滝沢の妻で既に一女を設けていた節子もテレビで見ていて、嬉しさのあまり涙ぐむ。

　が、滝沢の肉体も限界を迎えつつあり、2年後、現役を退く。

　引退後、滝沢は川浜市教育委員会に勤務し、その傍ら、少年たちのラクビー指導をしていた。

　
　その見事な指導ぶりと、いまだ衰えぬ集中力を楽しそうに見ていた初老の男性がいた。

　川浜高校の校長・山城（下川辰平）である。

　山城「ふーっ、こいつは本物だ」

　下川辰平さんは、言うまでもなく「太陽にほえろ！」では山下真司さんと共演した間柄。

　ついでに言うと、山下真司さんが出演している2002年の「ケータイ刑事銭形愛」第1話にも、下川さんは山下真司（役名は五代潤！）を励ます警官役としてゲスト出演しているのだ。

　その校長、川浜高校へ戻ってくるが、校門周辺にはいかにも素行の悪そうな生徒たちがたむろしていて、タバコを吸ったりしている。

　一見しただけで荒廃の極にあるような三流高校であったが、山城がその職を去らないのは、

　
　こういうのをロハで堂々と見物できるからではないかと、管理人は睨んでいる。

　しかし、校長は別にブルマに包まれた尻を鑑賞しにグラウンドに来た訳ではなく、ラグビー部の練習風景を見に来たのだ。

　
　一見、部員たちはハードなトレーニングをしているようであったが、実際は上級生が気に食わない下級生をしごく為にやっているような、めちゃくちゃな練習内容なのだった。

　山城「情けない……」

　山城は反射的に、さっき見た、滝沢の合理的で情熱的なコーチぶりを思い出す。

　校長は何かを決心したように頷くと、校長室へ行き、教育委員会に電話する。

　山城「今日少年たちにラグビーを教えていた、背の高い方はどなたですか？」

　……え、滝沢のこと知らなかったんですか？

　ラグビーに興味があるだろうに、元日本代表選手の顔を知らないと言うのは、いささか不自然である。

　その晩、滝沢が市営アパートの我が家に戻ってくると、とある企業の重役が滝沢を訪ねて来ていた。その企業のラグビー部の監督として、彼をスカウトしたいと言うのだ。

　総務部の課長待遇に、一軒家も提供してくれると、条件はかなり良く、滝沢もまんざらでもない顔になる。ふすま越しに聞いている節子は、あまり嬉しそうな顔ではなかったが……。

　
　客が帰った後、節子は、「私はあなたの行くところについていくだけ」と、反対はしなかったが、「あなた、ほんとは先生になりたかったんじゃないの？」と問い掛ける。

　その言葉に、滝沢は中学時代の野球部の恩師・藤山監督のことを思い出す。

　
　ある日、滝沢は藤山監督に呼び出される。
　失策するチームメイトを容赦なく罵倒する滝沢の態度に、藤山が監督を苦言を呈する。

　藤山「誰もエラーをしようと思ってやる奴はおらん、みんな一生懸命なんや、その気持ちを分からんで自分ひとりが偉そうな顔して、それで済むと思うてんのか？　人の心を思いやると言うこと、それが愛と言うもんや、相手を信じ、待ち、許してやること……分かったか、賢治？」

　滝沢が東都体育大学に進み、卒業後、教育委員会に勤めているのもその藤山監督の影響が大であったのだ。

　
　その滝沢のところに、山城校長が訪れる。
　教育長「君、現場に出て見る気はあるかい？　実はね、山城さんは是非君を欲しいと言っておられるんだ」
　滝沢「欲しいって、あの川浜高校？　あ、すいません」
　山城「いや、何も謝ることはない。そう、あの川浜高校だ。オートバイの事故率県下ナンバー1、警察補導率ナンバー1、その他、悪いことなら何にでも顔を出す。かの悪名高き川浜高校だよ。どうかね滝沢君？」

　さすがの滝沢も「はぁ……」と言葉を濁すしかなかった。

　山城はそれから何度も滝沢の職場などを訪ね、執拗に川浜高校への赴任を要請する。
　そのしつこさに、滝沢は辟易気味であった。

　後編に続く。