第25話「切り札はパイルX」(1975年3月24日)
物語もいよいよ佳境である。
三男ゲラー、長男タンツを相次いで喪ったララーシュタイン、当然、激しい怒りと憎しみの炎を滾らせていた。
ララーシュタイン、残った次男スーカンに対し、「パイルX計画」の発動を命じる。
最後の作戦と言うこともあり、ロボット帝国の計画は極めて周到なものだった。
まず、ゼッターキング1世と言う海軍ロボットが真っ正面からKSS基地を攻撃する。
何の工夫もなく攻めてきた敵を、マッハバロン、KSSバードがあっさり撃破してしまう。

ゼッターキングは五体バラバラになるが、その際、オレンジ色のケースが転がり出てくる。
ケースには「村野博士へ」とちゃんと宛名まで書かれていた。

意外にも、その中に入っていたのは、これから彼らが行おうとしている「パイルX計画」の工程表だった。
村野「三人の秘密工作員がこの基地に侵入、パイルXを破壊する計画だ」

花倉「なんです、そのパイルXってのは」
村野「この基地には26基のパイル、つまり原子炉がセットしてあります。その中の25基のパイルはどんな事故が起きてもそのスペース内で始末できるシステムになっています。しかし残る1基、パイルXをやられると、この基地は海底に沈んでしまうんです……海底のバロニウム鉱脈も壊滅する」
譲司「三人の秘密工作隊員が潜入するとか」
村野「この三人だ」

ご丁寧にも、その三人の顔写真まで添付されていた。
花倉「どれどれ見せてご覧、ほーっ、エルザ少尉ってのは美人だね」
彼らの計画では、まず明日3月24日、原子物理学研究所のウラン貯蔵庫に侵入することになっていた。

翌日、花倉刑事は張り切って研究所の警備の指揮を執っている。
警官「来ますかね」
花倉「来たらふん捕まえてやるだけだ。手口のリハーサルだなんてふざけやがって」
劇中では明言されていないが、この最初の行動はパイルXを奪う為の予行演習らしい。
果たして、予告の時刻になると、スーカンたち三人は正面から車で乗りつけ、堂々とウラン貯蔵庫へ向かって歩き出す。
警官たちが銃で撃つが、彼らには全く通用せず、簡単に叩きのめされてしまう。

花倉たちは、物陰に隠れて様子を伺う。モーゼル中尉が取っ手を掴む。
花倉「気の毒だが、ここの鍵は電子ロックになっている。明日の朝まで開きやしないんだ」
自信満々の花倉だったが、モーゼルの手から凄まじいエネルギーが放出され、取っ手が飴のように溶けてしまう。

二人の仲間に振り向いて頷くモーゼル中尉……って、
誰かと思ったらアポロガイストじゃないの! 打田康比古さんね。
三人は扉を開け、悠々と内部に入り込む。
花倉がKSSに連絡し、村野たちがすぐ駆けつけるが、三人の姿は掻き消すようになくなっていた。

三人は既にアジトへ戻っていた。
スーカン「ストップシャワーを浴びるんだ」

スーカンがスイッチを押すと、天井から六角形の筒のようなものが降りてきて、三人の体をすっぽり包む。
スーカン「テストは上々だったな」
モーゼル(渋い声)「KSS基地への侵入も上手く行くと思われます」
スーカン「パイルX計画を実行しよう、中性子シャワーを浴びるんだ」
三人は再び「中性子人間」になる。
要するに、物質の間をすり抜けることが出来る特殊な体になるのである。
ただし、1時間以内にストップシャワーを浴びて元の体に戻らないと、たちまち死んでしまうと言う、死と隣り合わせのテクノロジーなのだ。

エルザ少尉を演じるのは桂木梨江さん。
ちょっといかついが、こういう役にはぴったりの顔立ちである。軍服が良く似合う。
三人は、KSS基地にも堂々と正面から乗り込む。

警備員が止めようとするが、モーゼル中尉の一撃を受けて昏倒する。
中性子シャワーを浴びているからではあるが、武器も持たずにこんな風に敵基地に侵入する様がとてもカッコイイのである。
kSSもすぐ出動し、三人を止めようとするが全く歯が立たない。

花倉は、目を付けていたエルザ少尉に手錠をかけるが、その手錠もあっという間に焼き切られてしまう。
花倉「バカな、バケモンだーっ」

エルザ「いやっ!」
花倉「はわぁっ……」
エルザ、花倉のみぞおちに鋭いエルボーを叩き込み、悠然と歩き出す。
いやー、その(どの?)筋の人にはたまらないシーンですね。

KSSと花倉をぶちのめして更に奥へ進む三人。
……ついでに息の根を止めておけば良いのに。
計画通り、基地の設計図の保管してある金庫へ到達した三人。
金庫の前には村野博士が立っていた。
村野「この金庫は私以外開けられる者はいない。だが私は絶対開けたりしない。たとえ殺されてもな」
スーカン「そのご心配には及ばない」

スーカンは村野を殴り倒すと、金庫の壁に張り付いてそのまま壁を透過してしまう。
モーゼル、エルザも続く。
三人は首尾よく目的の書類を手に入れると、一旦アジトへ引き揚げる。
ストップシャワーを浴び、三人は元の体に戻る。
その後、再び中性子人間となって改めて基地へ現れた三人。
KSSは、まだ彼らの秘密を知らないので、どうしても侵入を食い止められない。
なすすべもなく、村野たちはスーカンたちに捕まってしまう。

スーカンが司令室で村野たちを見張りながら、モーゼルとエルザがバロニウムセンサーを手に、26のパイルをひとつひとつチェックして行く。

エルザからの報告を受けると、司令室のスーカンがそのパイルに×印を付けて行く。

村野「パイルXをどうやって見付けるつもりだ」
スーカン「パイルXは超合金バロニウムで包まれていると聞く、バロニウム反応があればそれがパイルXだ」
チェックは迅速に行われ、残るパイルは25と26の二つだけとなる。

そしてスーカンは、パイルXを破壊する為に、ゼッターキング2世を起動させる。
一度マッハバロンに敗れてバラバラになった1世が再び合体し、復活する。
陽「昨日は、わざとバラバラになったのか」
スーカン「倒すなら今だぞ、嵐田陽」
スーカンは余裕なのか、それも作戦の一環なのか、陽がマッハバロンで、ガンさんたちがKSSバードで出撃するのを邪魔しようとしない。
ゼッターキング2世、見た目は1世と変わらないが……、
特に強くもなっておらず、マッハバロンに首と腕を粉砕される。

だが、何処からか新たなパーツが飛んで来て、本体と合体する。

大きな目が青白く光る。
これこそ、ゼッターキング2世の真の姿なのだ。
ゼッターキング2世、最後のロボットだけに凄まじく強く、マッハバロンを手玉に取る。

村野「陽、接近するな、離れて戦うんだ」
スーカン「マッハバロンの動きは全てゼッターキング1世のコンピューターが記録した。2世はそのデータを元に戦っている。離れようが接近しようが、マッハバロンに勝ち目はない!」
自信たっぷりに宣言するスーカン。
同じ頃、

モーゼル「超合金バロニウム、反応あり! パイルX発見!」
スーカン「おお、発見したか……ゼッターキング2世よ、早くそやつを始末しろ、パイルX爆破作業を開始するぞ」
左腕を切断されたマッハバロンの苦戦する姿を映しつつ、最終回へ続くのである!