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「ウルトラマンタロウ」 第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」+特番感想


 第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」(1973年8月10日)

 3部構成の最終話である。

 18話で、タロウに続き、ゾフィーまで火山怪鳥バードンによって殺されてしまった。

 それから三日間、ZATは全力を挙げてバードンの行方を追っていたが、バードンの桁外れの飛行速度と行動半径を前に、手も足も出ない状況で、遂には市民から苦情電話がジャンジャンかかってくる始末。

 そんなZATの苦悩を嘲笑うかのように、神出鬼没のバードンは各地の食肉倉庫、養魚場などを手当たり次第に襲っては、その食欲を満たしていた。

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 一方、大熊山の病院の前には、ゾフィーのむくろがそのまま雨ざらしになっていた。

 ウルトラ戦士の体は何故か腐らないようなので実害はないが、割と邪魔である。

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 タケシ「母さん、ゾフィーは雨に濡れてるの?」
 母親「そりゃ雨が降れば何でも濡れてしまうのは仕方ないわね」

 タケシ、見えない目で自分たちを守って死んだゾフィーのことを思いやる。

 タケシ「東さんがいなくなって、健一君はどうしてるだろうなぁ……」

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 その健一、土砂降りの中、傘を差してあてもなく光太郎の姿を捜し求めていた。

 ふと、視線を転じると、

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 傘も差さずにこちらに向かって走ってくる男の姿があった。

 健一「光太郎さーん!!」

 無論、それが光太郎である筈がないのだが、健一の目にはそれが光太郎だとはっきり映る。

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 健一、傘を放り投げて走り出すが、近くまで来てやっとそれが全然別人だったと分かる。

 男「なんだい、坊や?」
 健一「ううん……」

 その光太郎ことウルトラマンタロウ(の遺体)は、先にゾフィーの手でM78星雲のウルトラの国へ運ばれていた。

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 ウルトラの母の前で、透明なドームの中に安置されているタロウ。

 その台が小さくて、痔の診察でもされているかのように膝を立てているのがちょっと、ほんのちょっとだけ情けない。

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 ウルトラの母は、消えてしまったタロウのカラータイマーに赤いビームを注ぎ、再びその生命の火を宿す。

 母「タロウ、あなたには新しい力があるのですよ。タロウ、起きなさい」
 タロウ「ううん、あと5万年寝かせて……」

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 タロウ「お母さん、僕は……」
 母「あなたは危く命を失うところだったのです。でももう大丈夫、早く地球に戻りなさい……このブレスレットはあなたの新しい武器です」
 タロウ「ありがとう!」

 劇中ではその名称は出てこないが、これは「キングブレスレット」と言う、様々な機能を持ったウルトラの国における十徳ナイフのような便利アイテムなのである。

 今回、ペギー葉山さんの名前が堂々とクレジットされているが、実際はウルトラの母の声だけである。

 さて、ZATは、バードンによる被害を少しでも食い止めようと、全国に食肉の流通・販売を禁止すると言う、めちゃくちゃな命令を出す。それに業者や消費者が唯々諾々と従っているので、ZATがいかに国民から恐れられて信頼されていたかが分かる。

 健一はなおも諦め切れず、二代目ポチを使って光太郎の行方を探させようとするが、ポチは商店街の精肉店に行くばかりで、何の役にも立たない。もっとも、全ての肉屋・魚屋はシャッターが降りているのだが……

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 健一「お腹が空いちゃ、何もできないんだねえ」

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 団地の公園のベンチに座り、ポチにビスケットなどを与えている健一。

 ポチ、可愛過ぎ。

 健一「光太郎さん、何処行っちまったんだろうなぁ……」

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 健一がぼんやり空を眺めていると、他ならぬあのバードンが団地に向かって滑空してくるではないか。

 当然、公園はパニック状態に陥る。

 凄いのが、

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 逃げ遅れた人たちをバードンがついばんで食べてしまうシーンがはっきり描かれていることだ。

 小さくて分かりにくいが、白いワイシャツに黒のズボンを履いた男性のフィギュアがバードンの嘴に挟まっているのが見えると思う。

 また、

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 滑り台の下にしゃがんで隠れていた健一が、ふと周囲が静かになったので振り向くと、

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 公園には既に誰もいなくて、自分ひとりが取り残されていることが分かるシーンの怖さも格別である。

 幸い(と言うのもアレだが)、バードンは健一には気付かず、

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 代わりにアパートの部屋部屋に嘴を突き入れ、中にいた住人を次々と食い殺していくのであった。ヒーッ。

 健一は、駆けつけたZATに保護されるが、ZATの武器ではバードンには通用しない。

 逆にバードンの反撃を受けて、周囲が火の海になってしまう。

 そのピンチに颯爽と現れたのが、復活したタロウであった。

 タロウ、敢然とバードンに立ち向かって行く。

 今度は、バードンの嘴にやられないよう注意しつつ、キングブレスレットでアウトレンジ攻撃を仕掛け、優位に戦いを進める。だが、ZATの車の中にいる健一が炎に包まれて助けを求める叫びに気を取られている隙にバードンに逃げられてしまう。

 タロウ、冷却ガスを噴射して、瞬く間に鎮火する。

 その後、今度こそ本物の光太郎が走ってくる。

 健一、思わず駆け出して感動的な再会を果たす。

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 健一「光太郎さん! バカバカ、光太郎さんのバカッ! みんな心配してたんだぜ」
 光太郎「ごめんごめん、心配かけたなぁ」

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 ZATの隊員も光太郎の無事を喜ぶ。

 荒垣「おい東、お前……」
 光太郎「ウルトラの母に助けられたんですよ」
 北島「ウルトラの母ぁ?」

 光太郎、自分の正体を自ら明かすような際どい告白をする。

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 帰還した光太郎、何はともあれ、タケシたちの見舞いに病院を訪れる。

 タケシやその父親は快く光太郎を迎え入れてくれたが、母親は、依然、光太郎に激しい敵意を向ける。

 母親「帰って下さい、二度とここへは来ないで……あなたが来ると必ず怪獣が現れるわ」
 父親「お母さん、なんて言うことを……東さんはそんな人じゃない」
 母親「あなたの怪我も元はと言えばこの人がくれたスイカが原因で……」
 父親「違う、私の怪我はあの鳥のせいだ」

 光太郎、彼らの病室で飼われている小鳥の行動から、バードンがこの大熊山の近くに潜んでいるのではないかと思い当たり、ZATに連絡する。

 で、割と簡単にバードンの住処が見付かり、最後の戦いとなる。

 ただ、さすがに3話連続となるとスタッフも飽きたのか、クライマックスはやや淡白。

 光太郎がタロウに変身し、キングブレスレットをバードンの嘴に嵌めてみたりするが、何故かストリウム光線は使わない。空へ飛び上がり、キングブレスレットの力で二体に分離して、デコイの方でバードンを大熊山の噴火口に誘い込み、そのマグマの噴火によってバードンを殺す。

 しかし、噴火口の中で長い間眠り続けていたバードンにしては、ちょっと呆気ない最期のようでもある。

 戦いの後、タロウは冷たくなったゾフィーの体に近付く。その前に、ウルトラの母も現れる。

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 ウルトラの母、ゾフィーの体を抱き起こし、その豊満な胸でしっかりと抱き締める。

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 父親「お母さん、我々家族は恵まれてるな、ウルトラの兄弟やZATに助けられたんだからね。ウルトラの母は死んだ子供を連れに来たんだ」
 タケシ「ウルトラの母が、ゾフィーを?」

 タケシ、自ら包帯を取り、その様子を自分の目で確かめようとする。

 最初は見えなかったが、やがて視力が甦る。

 これでやっと頑なだった母親の心も解け、笑顔が戻るのだった。

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 タロウとウルトラの母、ひきこもりの長男を無理矢理部屋から引っ張り出そうとするかのように、両側から腕を取って、空へ飛び上がる。

 地上でのゾフィーはぐったりしていたが、何故か空を飛んで行く時には真っ直ぐ体を伸ばしている。

 タケシ「ゾフィー、ゾフィー!!」

 タケシは、空に向かってゾフィーの名前だけを延々連呼するのだった。

 ゾフィーは後に、ピンピンした様子で再登場するので、タロウと同じようにウルトラの国へ運ばれ、新たな命を与えられたのだろう。


 おまけ


 先週の土曜日の夜9時から3時間生放送で行われたNHKBSプレミアムのウルトラシリーズ特集を(録画して)見たのだが、予想していたように、いかにも最近のNHKらしい総花的で内容の薄い、ピントの外れた番組だった。

 最初の、昭和シリーズの全作品を当時の世相と絡めつつ短くまとめて紹介するVTRなんかは良かったんだが、それ以外の企画はどれもこれもマニア向けとも一般向けとも、どっちつかずで中途半端なものだった。

 事前に投票を募った名作ベスト10は、あれだけ膨大なエピソードの中からトップ10だけ紹介すると言う暴挙に近いことをやってるうえに、各作品に込められた重いテーマについての考察はほとんどなかった。
 (1位が「史上最大の侵略」って、定番過ぎて面白くも何ともない)

 人気怪獣をトーナメント形式で、芸能人やマニア(痛い……)にプレゼンさせては視聴者からの投票で勝ち負けを決めるコーナーにいたってはもはや意味不明のすっとこどっこいタイム。

 そのプレゼンターに蝶野やライガーが出てきた日には、一体何の番組を見させられているのだろうかと本気で悩んでしまった。

 そんなの要らないから、アンヌを呼んでこい。

 終盤、スペシウム光線の光学作画があんな風に作られているとは全然知らなかったので、それが見られたのは収穫だったし、お元気な古谷さんの姿を見れたのも嬉しかったが、折角のスペシャルゲスト(黒部さん、森次さん、団さん)を冒頭からずーっとスタジオに招きながら、彼らからとびきりの逸話をほとんどと言っていいほど引き出せていないのが遺憾の極み。

 司会の無能ぶりもあっただろうが、やっぱり生放送の3時間番組にお年寄りを呼んではいけないと、最後の方はとても眠たそうな感じだった森次さんを見ると、強く思ってしまった。

 ちなみに、ファミリー劇場で今年の1月に20時間生放送企画と言うのがあって、その中に、黒部進さんと桜井浩子さんを招いて「ウルトラマン」の第1話を一緒に見たり、お二人から貴重なお話を聞いたりと言うコーナーがあったけど、そこに出ていた中沢健のほうが、今回の番組のMCをやった爆笑問題なんかよりよっぽど的確な質問をしていたぞ。
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コメント

それ思いました  

爆笑の二人が出て来たとたんにつまんなくなってきたような気がします。
科学特捜隊とウルトラ警備隊コスのアシスタントさんが可愛かったのが唯一の救いか。
あっそういえば、名作トップ10紹介で管理人さん推しの松木隊員チラッ映ってましたね!

Re:「ウルトラマンタロウ」 第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」+特番感想(07/12)  

バードンは何でもありですね〜最初から何でその作戦を思いつかなかったのでしょうか?被害が最小限で済んだと思うのですがね〜😅

Re[1]:「ウルトラマンタロウ」 第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」+特番感想(07/12)  

影の王子様
>「レオ」2話とか第2期ウルトラシリーズの前後篇の後篇では前篇の鬱憤を晴らすかの如く
>クライマックスで激烈に敵を倒しているのに、この回はなんとも地味な倒し方ですよね。

タロウの復活もさらっと描かれてますしね。

>PS:「レスキューポリス」は「ジバン」の後の「特警ウィンスペクター」「特救指令ソルブレイン」
>「特捜エクシードラフト」の総称というか略称です。説明不足でした。

こちらこそ基本的なことを知らずに失礼しました。
このシリーズ、一通り見てる筈なんですが、内容は全く覚えてません。

Re:それ思いました(07/12)  

タカハシ・マサト様
>爆笑の二人が出て来たとたんにつまんなくなってきたような気がします。
>科学特捜隊とウルトラ警備隊コスのアシスタントさんが可愛かったのが唯一の救いか。

100パーセント同意です。私が書き漏らしたことを補足して頂いてありがとうございます。

>あっそういえば、名作トップ10紹介で管理人さん推しの松木隊員チラッ映ってましたね!

そうですね。キャストの名前が全然表示されなかったのが残念でした。

Re[1]:「ウルトラマンタロウ」 第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」+特番感想(07/12)  

ふて猫様
コメントありがとうございます。

バードンってめっちゃ強い割に最後がパッとしませんでしたね。

Re:「ウルトラマンタロウ」 第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」+特番感想(07/12)  

あの特番、最後まで観たんですが、爆笑問題(特に太田)がベラベラ喋ったり、ワケわからんプレゼンのせいで飽きてしまいました。「ダラダラやってねぇで早く人気エピソードやれよ」って思いました。Twitterによるとひし美ゆり子さんは途中でチャンネル変えたそうです。最後までグダグダだったし。

Re[1]:「ウルトラマンタロウ」 第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」+特番感想(07/12)  

ウルトラファンレオ様
>あの特番、最後まで観たんですが、爆笑問題(特に太田)がベラベラ喋ったり、ワケわからんプレゼンのせいで飽きてしまいました。「ダラダラやってねぇで早く人気エピソードやれよ」って思いました。Twitterによるとひし美ゆり子さんは途中でチャンネル変えたそうです。最後までグダグダだったし。

ほんと、期待はずれでしたね。
まぁ、爆笑問題が司会と言う時点で嫌な予感はしてましたが。

私も、プレゼンとか要らないから、名作エピソードをもっとたくさん紹介しろとか思いました。
こういうのは生でやったらダメね。

Re:「ウルトラマンタロウ」 第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」+特番感想(07/12)  

ゾフィーの扱いが余りにも軽いように見えるのは、私だけではないでしょう。おまけに死体遺棄ですか?ゾフィーのテンション大丈夫ですかね〜😅

Re[1]:「ウルトラマンタロウ」 第19話「ウルトラの母 愛の奇跡!」+特番感想(07/12)  

ふて猫様
>ゾフィーの扱いが余りにも軽いように見えるのは、私だけではないでしょう。おまけに死体遺棄ですか?

そう言えば、ゾフィーは誰も回収に来てくれませんでしたね。

バードン編について・その2

連続失礼します。
妙な音のするスイカを興味本位に選んだタケシくんにも非はありますが、光太郎が研究所で気付いた時ちゃんと調べていれば、少なくとも他人に迷惑を掛ける事にはならずに済んだかもしれません。そう思うからこそ、タケシくんのお母さんは光太郎に対して怒りを覚えるんだと思います。配慮の念の有る無しで、相手に対する感情も大分違いますからね。

でもお母さんの、怪獣を倒せないZATを無能と責める被害者意識丸出しの態度には、ちょっと腹が立ちました。この態度は、防衛チームの苦労を理解しないそんじょそこらの一般市民と同じですから。そんな彼女も最終的には、ゾフィーを囲んで悲しみに暮れるウルトラの母とタロウの姿を見て自己中心的だった自分を反省してくれたので良かったと思います。
(でも、奇跡の力でタケシくんの目を治してしまったのには、超オドロキですね:笑)

Re: バードン編について・その2

> でもお母さんの、怪獣を倒せないZATを無能と責める被害者意識丸出しの態度には、ちょっと腹が立ちました。この態度は、防衛チームの苦労を理解しないそんじょそこらの一般市民と同じですから。

まあ、文句言いたくなる気持ちは分かりますけどね。

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70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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