第49話「死を呼ぶ赤い暗殺者!」(1975年3月14日)
10番目の円盤生物ノーバが、地球に飛来する。
赤いタコのような姿をしたノーバ、赤い流星となって美山家の近くに落ちる。

それをたまたま目にしたあゆみは、本物の流れ星だと思って目を輝かせる。
あゆみ「流れ星が消えないうちに願いごとをするときっと叶うのよ」
いずみ「明日は父兄の授業参観でしょう。図画の宿題やっとかないと……」
あゆみが「明日一番綺麗な着物着て来てね」と、母・咲子に甘えるようにねだっているのを見て、傷付きやすいトオルが過敏に反応して暗い顔になる。
トオルには父も母もいないのだ。

ブスッとした顔で自分の部屋に戻り、頬杖を突いているトオル。
あゆみ「トオルくん、早く書かないと間に合わないわよ」
トオル「間に合わなくてもいいよ、僕には授業参観に来てくれるお父さんもお母さんもいないんだからね!」
要するに、拗ねているトオルであった。
関係ないけど、手前に映っている「昆虫の図鑑」、小学生の頃、尾中君に病気見舞いで貰ったなぁ。

トオル、やがて画用紙に向かって何かを描き始める。
何か感応するところがあったのだろうか、それはノーバの姿と瓜二つだった。

いずみが、様子を見にやってくる。
いずみ「なに、これ?」
トオル「自画像、僕の顔だよ」

いずみ「トオルちゃん、やめなさい!」
トオル「ほっといてよ!」
いずみ「トオルちゃんってば、やめなさい!」
いずみ、その絵に病的なものを感じ、激しい口調でトオルから取り上げようとして、ちょっとした修羅場になる。

トオル、そのまま部屋から飛び出す。
ゲン「トオルーっ!」
いずみ「叱るつもりじゃなかったんだけど……」
ゲン「……」
絵を見せられて、ゲンも一瞬言葉を失う。

トオル、外へ出ると、夜空を横切る流れ星を見付けて願いごとを言う。
トオル「お父さんを返せ、お母さんを返して、カオルを返してーっ!」

拳を握り締め、身を震わせて叫ぶトオルの目からは涙が流れていた。
しかし、父親は星人に殺され、カオルは円盤生物に殺されているのだが、母親は普通の病死だった筈なので、この要求はちょっと厚かましいかも知れない。家族を失ったトオルにしてみれば、みんな同じように理不尽なことだろうが。
トオル「光が消えないうちに願いごとをすれば叶うんだろう? 願いごとを叶えてくれっ!」
トオルの渾身の訴えにも、冷たく冴え渡る夜空は何も答えてくれない。

トオル、ふと、さっきの自画像と似た、テルテル坊主を見付ける。
それを公園の木にぶら下げながら、「授業参観が中止になるくらいの大雨にしろ」と、無茶な要求をする。
もっとも、トオル、迎えに来たゲンに授業参観に行って上げると言われ、たちまち元気を取り戻し、そんな願い事をしたことも忘れてしまう。

その後、テルテル坊主は、通りがかった酔っ払いにサンドバック代わりに殴られているうちに真っ赤に染まり、口から赤い毒ガスを噴射する。
ガスを浴びた酔っ払いは狂ったように暴れ出し、コンクリートのベンチに空手チョップを叩き込むのだった。
そう、そのテルテル坊主こそ、ノーバの仮の姿だったのだ。
翌朝は快晴となる。テレビのニュースでは「首に赤い鎖を巻いた数十名の男女が突然凶暴になった」と言う事件を伝えていた。それを深刻な顔で見ていたゲン、事件を調べる為、授業参観に行くというトオルとの約束を反故にする。
当然、トオルは落ち込む。一度明るさを取り戻した後だけに、今度の落ち込みはひどかった。
ランドセルを背負って家を出たものの、昨日の公園のブランコに座ったまま、「遅刻しちゃうわよ」と言うあゆみの言葉にも耳を貸さず、頑として動こうとしない。あゆみはやむなくひとりで学校へ行く。

トオル、昨夜のテルテル坊主が赤くなっているのを目にして近寄る。
トオル「お前何故赤くなったんだ? 雨降らしてくれって頼んだじゃないか? 頼みを聞いてくれることが出来ずに恥ずかしくて赤くなったのかー? 首をちょん切るぞ、頼みを聞いてくれなかったんだからな」
トオル、相当心が荒んでいるらしく、ランドセルからハサミを取り出して、ほんとにテルテル坊主の首をちょん切ろうとする。

が、テルテル坊主はそのハサミを命あるもののようにかわすと、目を光らせて毒ガスを噴き出す。
そしてトオルの首に触手を伸ばし、マフラーのように絡みつき、その肩に乗る。
毒ガスの作用で正気を失っているトオル、「ほんとかい? ほんとにお父さんやお母さんに会わせてくれるのかい?」と、自分にしか聞こえないノーバの声と会話を交わしながら、そのまま歩き出す。
肩の上に巨大な赤いテルテル坊主を乗せた異様な姿で、街を歩くトオル。
老人とぶつかってこかしたトオルを、警官が呼び止めるが、ノーバが毒ガスを吐いて発狂させる。

毒ガスで脳をやられ、ピストルを振り回して、「天才バカボン」に出てくるおまわりさんのように一般市民に襲い掛かる警官。

トオル、赤い毒ガスを振りまきながら、橋を渡っていく。
街は、凶暴化した男女が溢れる世紀末的様相を呈する。

ノーバに操られ……と言うより、憑依されているトオルの目にはやがて「お父さんだ、お母さんだ、カオルもいる……テルテル坊主、ありがとう」と、死んだ家族の姿が映るのだった。

線路上を歩いているトオル。
毒ガスの元凶として、警官隊がその前方に壁を作ってトオルに銃口を向ける。

ゲンが飛んで来て、必死に止めようとする。
ゲン「待って下さい、相手は子供じゃないですか」
警官「そんなこと言ってるうちに、被害が広がるばかりだぞ!」
そこへ、咲子といずみもやってくる。
咲子「その子は私の子供です」
いずみ「私の弟です!」
咲子たちが初めてトオルを本当の家族だと公言した瞬間であった。
二人は、ゲンが警官隊と揉み合っているうちに前に出て、トオルに近付く。
ノーバは、当然、その二人にも毒ガスを吹きかける。

咲子「そんな気味悪い物と一緒にいちゃダメよ! すぐ離れなさい。トオル君、お母さんの言うことが聞けないの?」
咲子、ガスを避けながら、懸命にトオルの心に呼び掛ける。

トオル「お母さん?」
咲子「そうよ、私はね、トオル君のお母さんのつもりよ」

恐れる色もなく両手を差し伸べる咲子の姿を見て、トオルは自分を取り戻す。
そして俄かにノーバを首から振りほどこうと、もがき始める。
トオル「おばさーん、苦しいよー」
ノーバはガスを吹き散らして、容易に咲子たちを近付けさせなかったが、ゲンがトオルの頭上を飛び越えて、背後に着地し、遂にノーバを引き剥がす。

ノーバは、そのまま巨大化し、両手に鎌と鞭を持つ、暗殺者としての姿に変貌する。
今回のバトルシーンはなかなか盛りだくさんで、

久しぶりに防衛軍の戦車が出動して砲撃したり、

同じく防衛軍の戦闘機がノーバを攻撃したりする。
ま、漏れなくぶっ壊されちゃうのだが。

他にも、ノーバが鞭をふるって、ビルを破壊するシーンとかね。
そのビルの残骸の中から、レオが登場してバトルとなる。

ノーバは、大量の毒ガスを噴霧して、赤い雨を降らせる。
真っ赤に塗られた異様な空間の中で、レオとノーバが死闘が展開される。
ノーバ、それなりに健闘するが、最後はレオに撃破される。

戦いの後、一時気を失っていたトオルが目を覚ます。
トオル「おばさん、僕、どうしたの?」
咲子「この子はもう、心配ばっかりかけて」
トオル「おばさん、ごめんなさい!」
トオル、本当の母親にするように、咲子に抱き付いて思う存分泣くのだった。
なかなか感動的なシーンであるが、似たようなストーリーと結末の45話「まぼろしの少女」から1ヶ月しか経ってないので、デジャヴュを拭えない管理人であった。