「ザ・ハングマン2」セレクション 第21話
- 2016/07/22
- 21:42

第21話「やわ肌を復讐に賭ける女」(1982年10月29日)
珍しくオショウとデジコンが二人で喫茶店でお茶を飲んでいる。
その近くの路上で、吉田商事と言うオフィスに戻ってきた数人の男に、彼らを待ち伏せていたらしい若い男が「あのー吉田商事の社長さんですね」と、声をかける。
吉田(田口計)が「そうだが」と応じると、男はいきなり銃を取り出して吉田に発砲する。
が、狙いは外れ、男は吉田の部下に追いかけられる。
男は停めていた車に逃げ込んで走り出すが、騒ぎを聞きつけたデジコンが素早く発信機を車のボディに取り付けていた。

自分の車に積んだ追跡装置のモニターを見ているデジコン。
オショウ「なんだい、こりゃ」
デジコン「拳銃ぶっぱなした男の車に発信機を付けたんだよ」
オショウ「ほー、さすがデジコン、こりゃ北新宿の辺だな」
デジコン「神田上水公園の近くだな」
デジコンが警察に通報した為、その周辺をパトカーが走り回る。一方、吉田の部下も男の車を見付け、男の行方を執拗に捜していた。

そこは、男の妹みどりのアパートの近くで、男は妹を呼び出して公園に身を潜める。
みどり「吉田を狙ったの?」
男「ああ」
みどり「それで……失敗したの? 無理はしないでって言ったじゃない。まだ証拠がないのよ。吉田たちがお父さんやお母さんを殺したって言う」

男「あいつが殺したんだ。間違いないんだ!」
若い男を演じるのは「俺たちは天使だ!」「恐竜戦隊コセイドン」などに出ていた三景啓司さん。出演時は宮本裕司名義。

みどり「それは分かってるわ、分かってるから私あんな辛い思いして頑張ってるんじゃない!」
顔に落書きされた柴犬のように分かりやすい八の字眉毛のみどりを演じるのは黒木真由美さん。
二人は、吉田に殺したと思われる両親の仇を取ろうとしているらしい。
みどりは、吉田を殺してしまえばあなたも人殺しになるだけだと、兄を強く諌める。
みどり「逃げて、私が証拠を掴むまで……お兄ちゃん、無理しないで……お兄ちゃんと私、二人きりなのよ」
男「みどり……」
二人は声を詰まらせながら別れを告げるが、無情にもその直後、男は吉田の部下から逃げようとして車道に飛び出し、トラックに轢かれて即死する。
何故かこの事件のことが気になるデジコン、マイトから招集がかかっているにも関わらず、わざわざ男の乗り捨てた車のところまで行ってみる。
デジコン、近くの公園で、みどりが赤い花を供えている姿を目にする。
その後、デジコンは珍しくタミーの店でマイトと会う。

マイトがデジコンに見せたのは、他ならぬあの射撃事件の新聞記事だった。
マイトによると、吉田勇一社長は元総会屋で、現在は商事会社の社長に納まっているが、
「それは表向きでしかない。奴らがやってるのは乗っ取り屋」らしい。
経営に行き詰っている中小企業に融資して、あの手この手で担保となった不動産を乗っ取るのが彼らのやり口なのだと言う。

その吉田、腹心の片桐竜次とヒソヒソ話。
田口計って、なんか良いよね。竜次さんもこういう役をやらせたら日本一だね。
デジコン、あの若い男・宮下定春の両親が経営していた宮下冷蔵と言う会社の工場を訪ねる。今では吉田商事の物になっているのだが。

オショウも別の車でやってくる。
デジコン「宮下(の息子)は?」
オショウ「彼はずっとアメリカに行ってたんだけど、その間に会社は吉田に乗っ取られて両親は失踪だ。で、知らせを受けて4日前に帰国した」
デジコン「その挙句に事故死か」
オショウ「まずかったかなぁ、警察に知らせたのは……」
そこへタミーから正式に仕事の招集がかかる。

今度はいつものビルの一室へ集まるハングマンの面々。
今回は既にワルモノの正体はハッキリしている。
マイト「問題はどうやって尻尾を掴むかだ」
タミー「1年間に7社も乗っ取った奴よ。関係者の自殺と言ってもこの中には他殺もあるんじゃないの?」
オショウ「たとえ殺していたとしてもだ、自殺として処理されたものから新事実を掴むのは難しいな」
デジコン「宮下冷蔵の社長夫婦も表向きは失踪だ」
タミー「それも会社の名義が吉田の商事会社に書き換えられた日から姿を消しているわ」
オショウ「無理矢理サインさせられて殺されたって所かなぁ」
ハングマンは、偽の会社をでっち上げて吉田たちにわざと乗っ取らせるように仕向け、確かな証拠を掴むしかないと、作戦に取り掛かる。
デジコンは、新宿のクラブで働いている定春の妹みどりに会いに店に行く。

と言っても、半ば個人的に会いに行っただけで、酒を飲むだけで事件に関する突っ込んだ話はしない。
デジコン、珍しくこの女の子に惚れたらしい。

一方、マイトは早くも辻村総業と言うダミー会社の専務・日下部と言う男に成り済まし、吉田商事のオフィスを訪れる。
資金の融資を申し出て、片桐竜次を自分の会社のオフィスに連れて行く。と言っても、タミーとヨガが見付けて来た仮のオフィスなのだが。
片桐「以前はかなりの収益を上げていたようですな」
マイト「はい、石油製品の販売が大部分でしたから、この円安で打撃を受けましてね」
片桐「ところで不動産はお持ちですか」
マイト「はい、倉庫が三つに、埼玉に600坪ほど……」
マイトは、彼らが飛びつきそうな美味しそうな餌を並べ立てる。
しかし、片桐たちも抜け目なく、帳簿に書かれていることが事実かどうか、取引銀行に連絡して確認したいと言い出す。

マイト、社員に成り済ましたヨガに命じ、銀行に電話させる。
が、それはデジコンの店につながっていて、受付嬢に成り済ましたタミーが応対に出る。
デジコン「はい、支店長の児玉ですが」
マイト「辻村総業の日下部でございます。畏れ入りますが、私どもの会社のですね収支証明をお願いしたいんでございますが」
デジコン「はい、分かりました。至急テレックスでお送りします」

デジコン、あらかじめ用意していたフロッピーをパソコンに差し込み、でっち上げた書類をマイトのオフィスに電送する。
テレックスと言うのは、要するにファックスみたいなものである。
それをチェックした片桐たちはあっさり信用する。
デジコンは再びみどりのいる店へ行き、「吉田商事」とか「宮下冷蔵」とか、彼女が気になりそうな固有名詞を口にして、彼女の反応を見る。
みどりは、デジコンから吉田商事についての情報を得られるかも知れないと踏んだのか、まだ2回しか店に来ていないデジコンを自分の部屋に誘う。

みどり「こっちに来ない?」
デジコン「?」
彼女のアパートでデジコンが酒を飲んでいると、後ろから声が掛かる。
デジコンが振り向くと、

みどりが、パンツ一丁になって立っていた。
マイトなら、たちまち相好を崩してホイホイ彼女とベッドインするところだが、真面目でカタブツのデジコンは腰を浮かそうともせず、

デジコン「どういうつもりだ?」
ニコリともしないで問い掛けるのであった。
女性としては、こんな風に大胆に誘ったのに相手に真顔で返されると非常に気まずい思いになる。
みどり「なんとなく抱かれたいんだよ、あんたに」
デジコン「……」
デジコン、おっぱいを抱いているみどりに背を向けて、ひたすら酒を呷る。
みどり「焦らさないでよ」
デジコン「自分で自分を粗末にするような真似はやめろ」

「こりゃダメだ」と言う感じに、どさっとベッドに倒れるみどり。
デジコン「友達なんだよ、君の兄貴と……こんなことをして宮下が喜ぶとでも思っているのか? 宮下は俺に言ってたよ、両親は吉田に殺されたんだってな」
デジコン、裸のみどりの上にバスローブをかけてやる。

みどり「兄貴は思い込みが激しいのよ~勝手にそう思い込んで、挙句に吉田殺し損ねて自分で死んでりゃ世話ないわ」
デジコン「本気で言ってるのか?」
みどり「本気よ」
心にもないことを言い、みどりはデジコンを部屋から追い出すが、

ひとりになると家族4人の写った写真を見詰めて、「何故死んじゃったの? 私、ひとりだけ残して……なんでみんな死んじゃったの?」と嗚咽を漏らすのだった。
さて、辻村社長に成り済ましたオショウ、NYから帰って来たと言う触れ込みで、吉田社長と会っている。
土地の権利書を見て、吉田は辻村への融資を認める。

吉田「これを担保にお貸ししましょう。……倉庫の土地・建物、寮の跡地、すべて辻村社長の個人名義になっておりますね」
オショウ「はぁ、その件に関しましてはひとつ社員には内密に願いたいんですが……一年ほど前に会社名義のものを私個人に書き換えました」
吉田「まっ、当然ですとも。もし万が一のことが会社にあっても時価数億円の土地はあなたの手に残る……じゃあ、年1割5分の利息で7000万ご用立てしましょ」
何気なく確認する吉田だったが、不動産が社長個人の名義になっているのは、彼らにとって願ったり叶ったりだった。
オショウはその場で不動産を担保に7000万の融資を受ける契約書に署名捺印する。

オショウ、見事に吉田たちを騙したと、仲間たちの前で大ハシャギ。
オショウ「はははははっ、うまくいった、うまくいった、ふはははは、引っ掛かりやがったよ」

マイト「がーっへっへっへへーっ! オショウ、笑ってる場合か、ったく……」
それ以上の大声を上げてから、オショウをたしなめるマイト。
吉田たちがオショウの命を狙ってくることは分かり切っているのだ。

デジコン「これ以上危険なことはしないほうが良い、吉田たちのことは警察に任せろ」
デジコン、またみどりに会いに行き、事件から手を引くよう忠告していた。

みどり「あんた、誰なの? 兄貴の友達じゃないってことは分かってたけど……刑事?」
デジコン「そうじゃない」
みどり「じゃあなんなの?」
デジコン「それは言えない……君は手を引くんだ、そして今の店もすぐ辞めろ。君に夜の仕事は似合わない」
みどり「兄も同じことを言ったわ……」
デジコン、みどりに惚れたと言うより、ほんとの妹のように思っていたのかも知れない。
デジコンは口を酸っぱくして事件から手を引くよう説くが、みどりは容易に従おうとしない。
さて、辻村に扮したオショウは、靴のかかとに小型カセットテープを仕込んだ上で、オフィスにやってくる片桐たちを待つ。片桐たちはすぐ本性を現わして、オショウに銃を突きつけてオショウを無理矢理何処かへ連れて行く。無論、ヨガがバイクでその車を追跡していた。
オショウが連れて行かれたのは意外にも宮下冷蔵の倉庫だった。

みどりは、店の常連で、吉田の腹心のひとり小林と言う男とねんごろになり、体を任せるほどの間柄になっていた。自らの体を投げ出して、彼らの悪事の証拠を掴もうという健気な娘であった。
んで、みどりが会話を録音しているとも知らず、寝物語に小林は自分たちが宮下夫妻を殺したことをべらべら喋ってしまう。
小林はふとしたことでテープの存在に気付いてみどりを絞め殺そうとするが、みどりをそれとなく見守っていたデジコンが飛び込んできて、小林をボッコボコにする。
吉田たちは、オショウを製氷室へ連れて行き、氷を詰めた木箱に入れて凍死させようとする。そして、宮下夫妻もそうやって殺され、死体はそのまま冷凍保存されていた。
吉田はオショウが7000万を受け取ってそのままトンズラしたと言うストーリーを仕立てて、担保となった不動産をそっくり頂戴する腹なのだ。

オショウ、実際に箱に詰められて凍死寸前まで行くが、なんとかヨガに助け出される。
ヨガ「大丈夫か」
オショウ「大丈夫な訳、ないだろう……畜生、ハンギング、決定!」
吉田たちが自分の会社に戻ってくると、マイトたちが待ち構えていた。

片桐「専務!」
マイト「俺は専務じゃねえよ。俺か? 名乗るほどじゃねえが、やっつけマンだ!」
マイトたちは吉田たちを全員ぶちのめす。

吉田にチョップを叩き込むタミーがカッコイイので貼りました。
ハングマンは、目には目を、と言うことで吉田たちをあの製氷室へ運び込む。
オショウや宮下夫妻にしたことをそっくりそのまま彼らにお返しするのだ。

タミー「ここは零下20度よ

イヤーマッフルを付けたタミーが可愛いので貼りました。

もっとも、今回はオショウとみどりがそれぞれ決め手となる録音テープを手に入れているので、改めて彼らを脅かして悪事を白状させる必要はなく、実際に彼らを氷漬けにした上、録音テープをスピーカーで流しつつ、半分凍った彼らを建物の外へ運び出して晒し者にして、ハンギング終了。

群衆の中には、デジコンから案内状を受け取ったみどりの姿もあった。
ついでに、いつも見掛けるエキストラのおじさんの姿もあった。

その後ろ姿を見詰めつつ、黙ってその場を離れるデジコン。
このストイックさが、ハングマンの素敵なところだよね。

そして、歩いている彼女を車で追い抜き、その姿がサイドミラーに小さくなっていく……と言うのもシャレた演出だ。
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