第48話「大怪鳥円盤 日本列島を襲う!」(1975年3月7日)
目下、対レオ8連敗中のブラック指令、いつものように空に水晶玉をかざしてひとりで絶叫している。
ブラック「ふふふ、予言する、ウルトラマンレオの死を! レオが命懸けで守り続けた日本列島と共に! 来い、円盤、サタンモア!」
9番目の円盤生物サタンモアがブラックスターから出撃し、地球に向けて飛んで行く。
その到達予定日は、放送日と同じ3月7日。
ナレ「刻々とその瞬間が迫っている。しかしまだ誰も知らない。勿論、ゲンも……」

そのゲン、地下鉄構内の雑踏の中で、宏と言う古い友人とばったり再会する。
ゲン「久しぶりだよな、お前がいなくなってから3年、随分心配したんだゾ」
並んで歩きながら、ゲンが往時を回想して、二人の関係がざっくり説明される。
宏もかつてスポーツセンターに勤めていて、ゲンとは切磋琢磨し合った親友であり、ライバルであった。
が、宏はだんだん自炊のことしか考えられない人間に、いや、自分のことしか考えられない人間になってしまい、将来を誓い合った厚子と言う女性も捨ててしまった。
ゲンは猛烈に怒り、いかにもゲンらしく宏とガチの殴り合いをする。
散々殴りあった末、宏はゲンの前から姿を消したのだった。
そんな別れ方をした二人だったが、さすがにもう大人なので、和気藹々と談笑する。

別れ際、宏は「俺の初めての写真展だ、暇だったら一度見に来てくれ」とパンフを渡す。
宏はカメラマンになると言う夢の為に、厚子を捨て、スポーツセンターも辞めたのだ。
ゲン「是非、見に行くよ」
宏「そこに書いてあるだろう、あそこのビルの12階だ」
宏は、彼らの真後ろに聳える高層ビルを指差すと、バイクで走り去る。
言い忘れたが、宏を演じるのは石太郎さん。と言っても、分からないが、「レッドバロン」の健を演じていた岡田洋介さんね。
ゲン、折角なので、その足で写真展の会場へ歩を向ける。

で、偶然にも程があるだろうと思うのだが、ゲンより少し遅れて、お抱え運転手つきの車でやってきたのが、その宏の昔の恋人・厚子さんだったのだ。
今では金持ちと結婚して幸せな生活を送っている模様。
厚子を演じるのは八代順子さん。

そう、「仮面ライダーX」第19話「ゆうれい館で死人がよぶ!!」でガイコツにされてたカップルの片割れですね(知るかっ)。

その写真展、何をテーマにしているのか良く分からないのだが、その中には、昔の厚子を写した作品も展示されていた。
その作品の前に立っていたゲンに、「オオトリさん」と声をかけたのは、無論、厚子だった。

喫茶コーナーに座り、昔話に花を咲かせる二人。
ゲン「厚子さん、幸せそうだなぁ」
厚子「幸せよ、とっても! でも、あの頃も楽しかったわぁ」
ゲン「うん、あ、さっき宏に会ったよ」
厚子「そう、私も会いたかったわ……」
3年と言う月日が、一見、三人の男女のわだかまりを全て洗い流したように見えたが……。
すっかり和やかな気持ちになったゲン、厚子と再会を約して会場をあとにする。

その頃、九州地区の防衛基地のレーダーが、接近中のサタンモアをとらえていた。
どう見ても「ウルトラセブン」の防衛軍基地のレーダーアンテナだけど。

さらに、九州地区のミサイル基地の映像も出てくるが……これも借り物だよな。
……うう、全部オイルショックが悪いのだ(註・本当です)。
サタンモアはミサイルなど物ともせず、東京へ向かって突き進む。
ところで、テレビかラジオのアナウンサーが「……東京へ直進しています。偵察の目的で飛来した物で、危険はありません」と断言しているのだが、なんでそんなことが分かるのだろう?
「危険はありません」と言われても、写真展の会場に残っていた厚子は赤ん坊を抱えていかにも不安そうな様子であった。
で、東京上空に到達したサタンモアに、東京の防衛基地から発射された最新の誘導ミサイルが命中するが、サタンモアは平気な顔でそのまま急降下する。
サタンモアは体から、小さなサタンモアを数羽出して、通行人たちを手当たり次第に襲わせる。

ついで、サタンモアは、厚子のいるビルの周辺を何度も旋回する。
ゲンは人々の避難を誘導していたが、宏がバイクで少年に接触し、そのまま逃げようとするのを見て、3年前と同じように宏に殴りかかる。
ゲン「宏、あのビルにはな……」

ゲン、厚子のことを宏に伝え、二人でビルに向かって疾走する。

やがて、サタンモアは巨大な嘴で、ビルの外壁を突付き始める。
ビルの中は当然逃げ惑う人々でパニック状態になる。
逃げる途中、厚子はモノに押し潰され、動けなくなる。
厚子は赤ん坊を見知らぬ男性に託す。
ゲンと宏はビルの前まで来るが、再び殴り合いを始める。

宏「親友同士の俺たちがどうして殴り合うんだ?」
ゲン「3年前もだ、俺はお前を許せなかった。女を殴ったり、子供を撥ね飛ばして平気でいられるお前に良い写真が撮れるかっ! ……宏、人間の一番大切なものを取り戻してくれ」

ゲン「この小さな命を救うことが、お前に一番必要なんだ」
ゲンは、ビルを出たところに置かれていた厚子の子供を見付けて拾い上げ、宏に任せる。
ビルはサタンモアの度重なる攻撃で壁が崩れ、今にも真っ二つに折れそうになっていた。

人目を気にしている余裕はない。
ゲンは宏が見ているのも構わず、「レオーッ!」と叫んで、レオに変身する。
宏「そうだったのか、奴がレオだったのか……」
ゲンが、自分の正体を人間に知られるのはこれが初めてだったと思うが……?

レオは、倒壊しかかったビルを支える。
その背後から、サタンモアが容赦なく鋭い嘴を突き立てる。

宏の方も、ミニサタンモアに襲われ、体じゅう血だらけになる。
宏は赤ん坊を抱いてよろよろと歩き出し、安全なところまで逃げてから、がっくりと倒れる。

レオはタイミングを見計らってビルから離れる。

サタンモアはそのままビルに激突し、遂にビルは真っ二つに折れる。
てっきりレオ、落下するビルの下に滑り込んで支えるのかと思ったが、ビルはそのまま地面に落下してしまう。
その前のナレーションで「ビルが倒壊すると地下街にいる人が死んじゃう……」などと述べていたが、レオが時間を稼いでいる間にビルと地下街にいた人全員が無事に逃げおおせたということなのだろうが、はっきり言って分かりにくい。
だいたい、全員逃げたと言うことがどうしてレオに分かったのだろう?
とにかく、フリーになったレオはサタンモアをほとんど一瞬で撃破する。

ナレ「レオのお陰で何万人もの人の命が救われた、ありがとう、ウルトラマンレオ」
なんとなく恩着せがましいナレーション。
一方、宏も命懸けで厚子の子供を守り通し、ゲンに見守られながら命を終えようとしていた。
ゲン「宏、この子はな……」
宏「ゲン、ありがとう……」
ゲン「宏! 宏!」
宏は、人として大切なことを取り戻し、息絶える。自分が助けた赤ん坊が厚子の子供だと知らないまま。

直後、ビルから何とか逃げ延びた厚子も駆けつける。
ゲン「厚子さん、マサオちゃんは無事だ……厚子さん」
厚子「……宏さん!」
ゲン「こいつがこの子の命を……命懸けで……」
泣きじゃくる厚子。
ゲンはまだ温かな宏の体に手をやり、「ありがとう」とつぶやく。

ブラック指令「ブラックスターよ、次だ、レオよりも強く、地球を粉々に出来るほど強い奴を送り出せぇっ」
ブラック指令、つい今しがた倒壊した筈のビルをバックに高らかに叫ぶのであった。