第6話「鈴の音は地獄の使者か!?」(1986年12月4日)
冒頭、影の頭領「翔」に、進行中の作戦について報告に参上したシルエットだけの忍び「鈴の音」。
彼は、開平高校にて、何かどえらいことをやらかそうと画策しているらしい。
翔「わらわは、開平が滅びるのが見たい……」
こちらは唯の通う星流学園。

のっけから、依田に耳を引っ張られながら、図書館に連れて来られる唯。
唯「いたっいたっ、耳が千切れてしまう! なにすんじゃーっ」
依田「なんですか、その反抗的な目は? 君は掃除当番をさぼったんですよぉ。良心は痛まないんですか、痛むでしょう? だったら何も言わずにここの本を全部片付けましょう」
唯「なぁーんだ、そげんこつなら簡単じゃ」
唯、すぐに本を棚に戻し始めるが、その動きを見ていた依田は溜息をついて止めさせる。
依田「バツ、バツ、バツ、そう言うやり方はバツでしょう?」

依田「まず、棚にある本の配置を一瞬にして頭に叩き込む。しかる後……両手を素早く動かす」
依田、自ら手本を見せて、軽快なドラムをバックに、猛烈なスピードで本を棚に入れて行く。
唯「すごかー」
依田「これくらいのスピードでやらないと今日中にこの図書館にある本を全て並べ替えることは出来ません」
唯「今日中に、図書館の本全部ぅ?」
膨大な蔵書の山を前にして、途方に暮れる唯。
それでも、見よう見まねで依田のように素早く本を整理して行く。
言うまでもないが、これも、罰の形を借りた依田一流の忍びの技の鍛錬なのだ。
整理し終えて、床に座り込む唯。その前に、司書であり、暗闇指令の代理である礼亜が現れ、新たな任務のことを伝えるのだった。

その晩、夕食の席で、姉たちに任務のことを話している唯。
由真「開平っていやぁ、偏差値70以上の超エリート校だぜ。お前みたいな頭ドッカンな奴が授業聞いたって分かる訳ないだろう」
唯「わちはなぁ、勉強しにいくわけじゃなか」
結花「こないだ開平で、生徒の飛び降り自殺があったそうね。そのことで学校側と生徒会が揉めてるって新聞に出てたわ」
と言う訳で、今回の舞台は開平高校なのである。開成高校のもじりね。

唯「うっわぁーっ、結花姉ちゃん、新聞読むとー? すごかー」
変なところに心底から感心する唯。
由真「これだもんなぁ。お前ねえ、新聞くらい読まないとほんとに頭ドッカンになっちまうよ」
唯「ふーんだ。由真姉ちゃんなんか、テレビの番組欄しか見ちょらんじゃねえか」
由真「なんだとぉ、こいつー」
毎度お馴染みの兄弟喧嘩を始める唯と由真であった。

翌朝、唯は早速その開平高校に転校生として登校する。
門を入るなり、生徒会長の高岡がスピーカーで演説をぶっていた。
厳し過ぎる校則への抗議をした生徒会に対し、学園側は生徒会活動中止命令と言う、強圧的な態度を取った。そのことへの徹底抗戦を唱え、他の生徒たちにも一緒に戦おうと呼びかけているらしい。

高岡を演じるのは、「ちゅうかなぱいぱい」のレイモンド役の新井昌和さん。

なお、演説を聴いている生徒たちの中に、どう見ても
おっさん<にしか見えない生徒が混じっているのが、先生、大変気になります。

そこへ教頭やコワモテの体育教師などが現れ、「生徒会活動は禁止した筈だ」と、強引に演説を中止させようとする。
体育教師「無責任な校長? 教師による生徒の弾圧?」
教師「学校の批判は校則で禁じられてる筈だ! 貴様らぁ、退学になりたいのかっ」
と、怒鳴るこのヒラ教師、演じているのは大林隆介さん。「スケバン刑事」にも端役で出ていたが、「パトレイバー」の後藤隊長の声やってた人と言う方が分かりやすいだろう。
ちなみに同時期に放送されていた「セーラー服反逆同盟」第3話でも、これと似たようなシーンがあったなぁ。

さて、そんな騒動の後、転入生として元気に挨拶する唯。

が、生徒たちは揃って睡眠不足のように、呆けた顔を並べて何の反応も見せない。
空席も目立ち、とても「偏差値70以上の超エリート校」には見えなかった。
思わず唯が「喝」を入れるが、生徒たちは引き続き無反応。
担任「君ぃ」
唯「しゃからしか、生徒がこんげな態度で先生は怒らんとか?」
担任「なんだとぉ、君の態度、校長先生に報告するぞ!」
生徒が生徒なら教師も教師、と言う感じで、うんざりした顔になる唯であった。
その後、あの三人の教師が、朝、ビラを配っていた二人の生徒をタバコを吸ったと濡れ衣を着せ、どこかへ連れて行くところを目撃する。

唯、思わず飛び出そうとするが、ひとりの女子生徒に止められる。
康子「あなたも共犯にされて退学処分になるわよ」
彼女は新見康子と言い、生徒会に属しているひとりであった。
演じるのは田中弥生さんで、この後、劇場版「スケバン刑事」にも出ている。

高岡「田川と山本もやられたか」
唯「一体、この学校はどうなっちょうとですか?」
高岡「3ヶ月まえ、松山たかしと言う生徒が、校舎の屋上から飛び降り自殺をしたことがきっかけなんだ。僕たちは連鎖反応が起きるのを防ぐ為に、自殺防止のキャンペーンを張ろうとした、それを学校側が無理矢理押さえ込もうとした」
唯「なんでじゃ?」
高岡「校長は、一流校としての体面を考えて松山君の死を事故として片付けようとしていたんだ」
学校側は、白井教頭を中心として反発する生徒たちを弾圧し、何人もの生徒が退学させられたのだと高岡は言う。
唯「きたなかー」
高岡「これが開平高校の現状なんだ」
高岡の話を聞いていた康子、何故か涙を流し、生徒会室を飛び出して屋上へ上がる。

唯「康子さん、どんげしたと?」
唯、追いかけて優しく尋ねる。
康子「たかしは、ここから飛び降りたの……いいえ、飛び降りたんじゃないわ、たかしは殺されたのよ!」
康子の意外な言葉に鈴のような目を見張る唯。

実は、康子はたかしと付き合っていて、二人で待ち合わせて帰ろうとしていた時、急にたかしが「鈴の音が聞こえる」と言い出し、他の者には見えない鈴をどこまでも追いかけて、最後は空中に浮かぶ鈴を掴もうとして屋上から落ちてしまったのだと言う。
たかしを演じるのは、「キカイダー」や「大鉄人17」に子役として出ていた神谷政浩さん。後番組の「少女コマンドーいづみ」にも一応出ている。
しかし、康子もたかしもシャーク系(?)の顔だよね。

康子「たかしは、これを握って死んでいたわ……私、調べたわ、鈴のことを……昔の忍びの術に鈴懸けの術って言うのがあるんですって……術を掛けられた者は鈴の音を追って何処までも走らされるんですって。そしてやっと本物の鈴を掴んだ時には……」

その後、ちょっとしたことから、術を掛けた忍びが他ならぬ高岡であることを康子は知ってしまう。
そう、高岡こそ、影の一味「鈴の音」だったのだ。
正体を見破られた高岡は咄嗟に鈴を使って、康子に催眠術を掛ける。

さらに、白井教頭も高岡と結び付いていて、生徒の自殺を利用して現在の校長を追い落とし、自分が校長の椅子に座ろうとしていたことが明らかになる。
高岡「そんなに校長になりたいのかね」
白井「当たり前だ、開平の校長と言えば、教育者の頂点に上り詰めたと同じことなんだ」
高岡「その為に、人ひとり殺してもか?」
白井「……」
開平を破滅させようとしている高岡だったが、出世のことしか頭にない白井に軽蔑の眼差しを向ける。

唯、康子が術に陥っているとも知らず、姉ふたりにその日のことを話している。
唯「あげな校長なら、おらんほうがマシじゃが」
由真「センコーなんてみんなそんなもんさ」
結花「鈴懸けの術……唯、ちょっと」
黙って二人の会話を聞いていた結花、大きな鈴を取り出して唯に渡す。
結花「何かの役に立つかもしれないわ」
唯「結花姉ちゃん……」
由真「負けんじゃねーぞ」
唯「うん! わち頑張る!」
姉二人に励まされて、明るい笑顔を見せる唯。

だが、翌日、唯が学校に来てみると、術をかけられた康子が屋上に立っていた。唯が止める暇もないまま、康子は唯の目の前に飛び降りてしまう。
唯「康子さん!」
康子「高岡が……みんなをこれで……」
銀色の小さな鈴を唯に託し、康子は息を引き取る。
その頃、高岡は、任務の最後の仕上げに取り掛かろうとしていた。
あらかじめ術をかけておいた数人の生徒を集め、手に手に火のついた松明を持たせ、
「いいな、生徒たちを扇動して暴動を起こすのだ。そして校舎に火を放て」

唯、プロテクターを身に付け、スケバン刑事として高岡のところへ乗り込む。

唯「星流学園1年B組風間唯、またの名を三代目スケバン刑事、麻宮サキ!」
高岡「桜の代紋?」
唯「忍びの術で人をまやかし、
日本を滅ぼそうなどと……このわちが許さん!」
高岡「いや、何もそこまで考えてないけど……」 高岡は、鈴を付けた両手を絶えず動かしながら唯を幻惑する。
その隙に、鈴を投げ付けてダメージを与えるのだ。
学園には、いつの間にか結花と由真も来ており、松明を持って火を付けようとする生徒たちを倒し、未然に火災を防ぐ。

唯、高岡の手の動きを見ているうちに、

依田が冒頭で見せた、本を棚に並べる動きを思い出す。
唯(あの動きは……まさか……けんど、やってみよう)

唯、結花から渡された大きな鈴を取り出し、依田の手の動きを再現するように左右に振って鳴らす。
一応、依田の特訓が役に立ったと言うことなんだろうけど、はっきり言ってわかりにくい。
別にあの動きでやらなくても、大きな鈴を鳴らして高岡の鈴の音を消せば勝てたと思うんだよね。
とにかく、唯は高岡の術を破る。

が、今回も敵は唯たちに捕まる前に煙幕を張って姿を消してしまい、不完全燃焼の結末となる。
唯、友達になれたと思った康子も救えず、その顔には勝利の喜びは微塵も浮かんでいなかった。

翔「開平高校の代わりに、そちが滅んで見せてくれりょ」
だが、高岡の方も、翔の前に戻ってきたところを翔の命を受けたオトヒとミヨズによって処刑される。
しかし、「忍びの掟」か何か知らないが、一度失敗したくらいでどんどん部下を処刑していくゲドン方式では、天下は取れないと思うよ、翔ちゃん。