第25話「爆走する武装メカ」(1988年4月3日)
BLACKのサブマシン、ロードセクターの活躍するエピソード。
ロードセクターの能力の限界を確かめる為、路上でテスト走行をしているBLACKの姿があった。

ナレ「ロードセクターの光電子レーダーライトやオプティカルレーダーアイは路面の状態や遠くの障害物を正確にキャッチすることが出来る。そのデータはヘッドアップディスプレーに画像表示される!」

ヘッドアップディスプレーに映し出される、3DのCG画面。
……なんか役に立つの、これ? まだナビの方が。
続いて、上部をすっぽり覆うアタックシールドを展開した上で、必殺の体当たり攻撃「スパークリングアタック」で路上の巨大な岩を光の塊となって突き破り、粉砕する。

改めてその性能に感心するBLACK。
BLACK「素晴らしいスーパーバイクだ」
ロードセクター「

」
BLACK「よし、今すぐバイク王に行こう」 ロードセクター「………………え?」
折しも、ゴルゴムの三神官も、ロードセクターに対抗すべく、スーパーマシンの試作機を完成させていた。

ICチップなどが埋め込まれたテストドライバー用アンドロイドのヘルメットの中。

漆黒のボディ、異形の怪物の顔を削り出したカウル、

ロードセクター同様、ハイテクのコントロールパネルも付いている。ナビは付いてない。
三神官は、ロードセクターを開発した大門博士の記憶センサーをもとにこのマシンを作成したのだ。

三神官の指示を受け、テストロイドが試作マシンにまたがる。
エンジンを掛けると、目の位置にあるヘッドライトが赤く光る。
うーん、凝ってるなぁ。
滑り出しは順調だったが、

ロードセクターのスパークリングアタック並みの高速に達すると、ボディに亀裂が走り、あっという間に大爆発を起こして四散してしまう。
勿論、テストロイドもマシンと一緒にバラバラになる。
三神官、全力で歯軋りする。

ビル「ふっははははは、どうやら三神官様の手でお作りになられた超マシンとやらは失敗のようですなぁ」
そんな三神官の失敗が嬉しくて嬉しくてしょうがないビルゲニアさん(団体職員)。
ダロム「お前ならば成功すると言うのか?」
ビル「ただし、記憶センサーはお貸し頂きたい」
ダロム、無言でセンサーを手渡す。
バラオム「お前に超マシンなど作れるものか」
ビル「ほお、失敗したお方が、そんな大口を叩いて良いのですか?」
バラオム「良いんです!」(慈英風に)
いつになく……いつもか……自信たっぷりのビルには、何か確固とした成算があるらしい。

その夜、江上工業所と言う小さな工場に、ビルゲニアがカマキリ怪人を引き連れて侵入する。
相変わらず、素晴らしい怪人の造型。

夜中、ひとりで仕事してて、いきなりこんなのが襲い掛かってきたら、そりゃ怖いですよね。
実は、江上(小野進也)は、大門博士の教え子だったのだ。ビルは、彼を脅してロードセクターを上回る超マシンを作らせるつもりなのだ。
江上は怪人の手に落ちるが、妻と娘の幸子はなんとか工場から出て、近くの公園まで逃げてくるが、その前に今度はビルが立ちはだかる。
ビルは、二人を人質にして、江上に言うことを聞かせようと考えているのだ。
で、例によって
たまたま近くを走行中の光太郎が悲鳴を聞きつけ、バイクで突っ込んでくる。
二人を守りつつ、ビルゲニアと戦う光太郎。

ビルが、公園の蛇口をビルセイバーで切断すると、

ちゃんと水道管から水が噴出するというように、相変わらず芸が細かい。
剣を振り回すビルには、生身のままでは勝ち目はない。

拳を握り締め、精悍な眼差しでBLACKに変身する光太郎。
が、変身してもビルゲニアはやはり強敵である。

ビル、「プレッシャーウェーブ!」と叫んでから、円月殺法のようにビルセイバーを回転させ、

飛び込んできたBLACKを光の盾で跳ね返し、

更に渦巻状の光でBLACKの体を押し返し、そのまま地中に沈めようとする。
BLACK「このままではやられてしまう。ロードセクター!」
BLACK、ロードセクターを呼んで窮地を脱する。
ビル「仮面ライダー、これで諦めたと思うなよ、ロードセクターは必ず俺の手で葬ってやるわ」
今夜はBLACKを倒しに来た訳ではないので、ビルはあっさり退却する。
江上の妻は腕を負傷しており、そのまま病院へ担ぎ込まれる。

妻「色々とありがとうございました」
光太郎「奥さん、江上さんが襲われたことに何か心当たりは」
妻「江上は10年前にサクラ自動車の新型オートバイの開発をやめて以来、コツコツと今の仕事一筋に打ち込んできた人です。人様から恨みを買うようなことは……」
江上夫人は、心当たりはないと言いながら、かなり分かりやすく重要な手掛かりを光太郎に提供する。
サクラ自動車は、ロードセクターを開発した大門博士が所属していた会社なのだ。
光太郎は、ビルゲニアの去り際の言葉と思い合わせ、慌てて病室を出て、ロードセクターのところへ向かおうとする。
が、光太郎が病院から出発しないうちに、カマキリ怪人が窓ガラスを突き破って病室へ飛び込んでくる。カマキリ怪人は首尾よく江上夫人と幸子を連れ去る。

ビルは、秘密の製作工場に江上を連れて行き、記憶センサーの中にあったロードセクターの設計図を見せる。
江上「こんなマシンを作る能力は私にはない」
ビル「お前は大門の弟子として超マシンの製作ノウハウを学んだ。しかしゴルゴムに協力することを拒み、身を隠した。図星であろう?」
江上「イヤだ、私は死んでもイヤだ」
……しかし、ロードセクターの設計図があるんなら、ロードセクター2号機も簡単に作れそうなものだけどね。
まぁ、三神官もビルも、ロードセクター以上の性能を持つマシンを作りたいのだろう。

ビルは江上の拒絶を予期していて、既に捕まえてある江上夫人と幸子を、江上に見せてやる。
江上「佳世! 幸子!」
江上、カマキリ怪人にビビリながら牢獄の中の二人に駆け寄り、声を掛ける。
そして、咄嗟に、妻のペンダントロケットを毟り取って、自分のポケットにしまう。
ビル「もうそれくらいで、親子の対面はよかろう。断ればどうなるか」
江上「……」
ビル「お前の作るマシンは武装マシンだ。失敗は許さん」
ビル、江上がマシンを完成した暁には、親子三人を解放しようと約束する。
しかし、こんな変態白塗り甲冑男の約束が信用できるだろうか?
光太郎、敵のアジトの手掛かりもないので、とりあえず車庫として(持ち主に無断で)使っている倉庫に座り、ロードセクターの番をしていた。

と、ロードセクターのコンピューターから雑音が聞こえ出す。光太郎がスイッチを入れると、ディスプレーにこんな文字が打ち出される。
光太郎「何者かがロードセクターと同じ物を作っていると言うのか?」

江上は、超一流の技術者のようで、変態白塗り甲冑男とカマキリのお化けに見張られながら、早くも新型マシンを完成させていた。三神官の試作機とは全く異なるデザインで、ボディの側面にはゴルゴムのロゴマークが大きく象嵌されている。
これも、いくらなんでも作るの早過ぎだろ。
江上はビルの目を盗んで、基盤が剥き出しになった小さな発信機を妻のロケットの中に隠す。
仕事を終えた江上は妻と娘のいる牢獄へぶち込まれる。
妻「ゴルゴムが私たちを逃がす筈がありません。きっとあなたがマシンを完成させたら、その時は命を奪うに決まっています」
江上「分かってる。でも、最後まで希望を捨てるんじゃない……発信機をセットした。発信音はロードセクターのRSコンピューターに反応する。ロードセクターを運転できる人ならきっとこのSOS信号をキャッチしてくれる筈だ」
その信号は、直ちに光太郎のロードセクターに受信される。
光太郎は(変身して)ロードセクターに乗り、その信号を頼りに山道をぶっ飛ばす。
後編に続く。