第21話「エバー・オンワード」(1984年9月4日)
「不良少女とよばれて」も、残り4話。「不良~」最後の1ヶ月は、一応、少年院を出た笙子の厳しい舞楽の稽古の模様や、モナリザとその家族の確執も描かれるが、メインストリームは結局、トラブルメイカー恭子さんの「ロス疑惑」的なエピソードとなる。
原作者の原笙子さんは不満だったろうが、舞楽をテーマにして真面目にドラマにすると、とても退屈になってしまうことに薄々スタッフも視聴者も気付いてしまったので、致し方のない面もある。
前回、漸く少年院を出た笙子が真っ先に向かったのは、横浜の港であった。

少年院を午前中に出て、今は夕方と言うことなのかなぁ? 早朝っぽくもあるが。
誰憚ることなく抱き合う二人。
哲也「今日から君の新しい人生が始まるんだ」
笙子「ええ、ええ」

哲也「笙子さん、君は明日から舞楽を始めるんだ」
笙子「舞楽を?」
哲也「ああ、総務府の楽人を辞めた時から、ずっと考えていたんだが(今までそんなこと一言も口にしてなかったけど)、僕は君と一緒に民間舞楽を始めたいんだ」
抜け目のない哲也は、既に笙子のこれからのことまで決めていた。
しかし、笙子としてはせめて一週間くらいのんびり骨休みがしたかったんじゃないかなぁ?

哲也「奈良時代に仏教と共に中国から伝えられた舞楽は元々庶民のものだったんだ。人々は晴れた空の下で行われる舞楽を見ることにより、喜びや悲しみを昇華させ、たおやかな舞に人間としてのあるべき形や心を求めていたと
思うんだ」
って、あんたの想像かい!(註・管理人の突っ込みエンジンの試運転)
哲也「舞楽を通じて奈良時代の人々のたおやかな心を今の人たちに伝えたい同好の士を集めて民間舞楽を始めるんだ。それが
僕たちの使命だと思ってね。もう既に稽古場も決まっているし、会の名前も決めてあるんだよ! 君に相談なしに勝手に決めてしまったんだが……」
さすがにそんなことまで勝手に決められたら、いくら恋人と言っても笙子もちょっと気を悪くする……なんてことは勿論なく、「哲也さんが気に入ってるんなら私も大賛成ですぅ」と、ひたすら従順な笙子であった。
哲也「会の名前はね、『笙の会』って言うんだよ。笙子さんの笙は舞楽の笙、この名前以外考えられない。もう決めたんだからね、反対は許さない」
笙子「哲也さん」
哲也「僕と一緒に民間舞楽をやってくれるね?」
笙子「はい!」
笙子、自立している女のようで、こういうところは男に言われるがまま、と言う感じなんだよね。
哲也に「今すぐ海へ飛び込むんだ!」と言われたら、迷わず飛び込みそうだ。
結局「大映ドラマ」って、男の発想で作られてるドラマなのだ。

もう一度しっかり抱き合った後、互いの瞳を至近距離で見詰め合う二人。
ひょっとして、この雰囲気は……、

そう、ここで初めて二人がくちづけを交わすのだった。きゃーっ

……ただ、確かに口はつけてるけど、接触部分を隠すように撮ってるので、あまり情熱的なキスには見えないのが残念。
で、悲しいことにこれが二人にとって最初で最後のキスになるのか……な?

次のシーンでは、何故かとっぷりと日が暮れて、笙子の実家の神社は闇に包まれている。
午前中に少年院を出て、なんで家に帰るのが夜になるのか、納得の行く説明をして頂きたい。
とにかく、「お父さん、お母さん、笙子、ただいま帰りました!」と、復員した日本兵みたいにかしこまって両親に挨拶をする笙子。
両親のみならず、弟や妹たちも、心から笙子の帰還を歓迎してくれる。

聖一郎「笙子、良く辛抱してくれたね、お父さんもお母さんもどんなに嬉しいか……」
美也子「笙子、許してね、私があんな無情なことを言った為に……」
笙子「私は愛育学園で、どんな
抗争にもつらいことにも負けない心を学んできました。二度と非行には走りません!」
他人の家族の愁嘆場のご相伴に預り、ひっじょーっに迷惑なそうな哲也さん。
CM後、笙子はモナリザのことを話題にする。哲也は、依然としてモナリザが両親に会ってくれないのだと心苦しげに話す。

少年刑務所で、ミシンを踏んでいるモナリザの姿が映し出される。
刑務所だから、これは授業ではなく作業としてやらされてるんだろう。
モナリザの出番は今回はこれだけ。
美也子「笙子、皆さんがお待ち兼ねよ、ケンジ……」

母親に指示されたケンジたちが隣の広間のフスマを開くと、

ででーんと、笙子の友人たちが勢揃いしてお出迎え!
(ハイ皆さん御一緒に)
どいつもこいつも暇っ! 笙子、たちまち笑み崩れ、ひとりひとり仲間と再会を喜ぶ。

笙子「景子~、ヒロシさんも、ヨシオさんも……」
ヒロシとヨシ坊、似たようなボーダーで、なんかペアルックみたいだね

衣装さん、よほど忙しかったのだろうか?
笙子「剛ぃ、由美子、ナオミ、マサコーっ」
こういうシーンでありがたいのは、今までその名前もさだかでなかった友人たちの名前が一気に判明することだ。
↓マサコ ↓ナオミ ↓由美子

笙子「おハル、なにやってるの?」
晴子「竜一と組んでね、色んなところでライブやってるんだぁ」
由美子「おハルはさ、人気があって、何処でやっても満員だよ」
ナオミ「今度、ソノシートを出すんだよ、笙ちゃん!」
笙子「そう、気の毒に……」
じゃなくて、
ナオコ「今度LP出すんだよ、笙ちゃん!」
笙子「凄いじゃない、おハル!」
でした。
しかし、まだ、LPの時代だったんだね。……と言っても、ちょうどこの年からCDプレーヤーが本格的に普及し始めたんだけどね。
あと、ナオミが「笙ちゃん」と呼ぶと、反射的に「オバケのQ太郎」を思い出してしまう管理人であった。
なお、勢揃いと書いたが、おアキの顔が見えなかった。
ヨシ坊は、急用があっておアキが来られないので、自分が代わりに来たと説明する。

だが、実際は急用などではなく、おアキ自身の意志で出席しなかったことが視聴者に示される。
おアキ、笙子のことは大好きだが、それ以上に、深い恩義のあるモナリザのことを慮って、あえて出席しなかったのだ。……と言うようなことを、
ひとりごとで分かりやすく説明しながらひとりで笙子の為に乾杯するおアキ。

と、その背後から、これも歓迎会にいなかった玉子がゾンビのように静かに入ってくる。
気だるそうで、いかにもラリってると言う感じ。
しばらく見ない間に、彼女だけカムバック(再び不良になること)したのだろうか?
彼女が呼びかけると、似たようなのがぞろぞろと入ってくる。呼ばれるまで外で待ってる不良と言うのも、行儀が良くてやだなぁ。
玉子「悪いんだけどさ、私のツケでみんなに飲ませてやってよ」
おアキ「おタマ、笙子ちゃんが退院したの知らないのかい? みんな笙子ちゃんのうちに……」
玉子「かんけーねーよ、笙子が退院したからって私の人生が変わる訳じゃないんだ」
玉子、なんと、相模悪竜会を再び立ち上げようとしているらしい……。
おいおい、この期に及んでまた不良の話かい? と
嬉しく心配になる管理人であったが、後述のように玉子は瞬間湯沸かし器のように更生してしまうので、このエピソードはほんの刺身のツマのようなものであった。
その2へ続く。