「ケータイ刑事」シリーズ第2弾、
銭形舞のお時間です。放送は2003年。今度は「愛」の妹「舞」がヒロインとなる。演じるのはブレイク前の堀北真希さんです。
ヒロインが変わった以外では、設定的にはあまり変化はない。鑑識の柴田の出番が増えた程度か。あ、「泪」以降、中盤のシリーズを支えた佐藤二朗さんがゲストとして出演している。水野晴郎の「シベリア超特急」とのコラボもこのシリーズが最初だったか。
13話と、比較的本数は短いが、シナリオの出来は総じて高い。特に最終13話はシリーズを通しての傑作である。
第1話「舞姫登場!~トップアイドル殺人事件~」 内容的には特筆すべきものではないが、初回と言うことで紹介しておく。

イントロの際にイメージ的に映るショット。薄暗いステージで、制服姿の舞と、婦警たちによる新体操(的なダンス)が、まず目を惹く。

タイトル後、屋上での切れの良いダンス。ここも、舞を中心に婦警たちと一緒に踊ると言うのが素晴らしい。
……動きがあまり揃ってないけど。
今回のOPは、明確な歌詞のない「テーマソング」と言う扱いである。歌っているのは「CHINO」と言う人。

振り付けは1話のゲストでもあるパパイヤ鈴木。
この辺の手の動きとか、何回見てもかっこいいのだ。
ナレ「銭形舞、16歳、警視総監を祖父に持ち、現役女子高生にしてデカ、事件が起きればいかなる時でも現場に走り(以下略)」
この台詞はどのシリーズでも同じである。
ちなみにOPでちらっと映る身分証によると、青葉台学園高等部2年(だろう)で、2003年の7月に警部、10月に警視と言うふざけた昇進の仕方をしている。既に
警視総監賞21回だそうです。IQは、180。
さて本編。

「舞」と言うこともあってか、冒頭からダンス教室のシーン。
鏡に向かって練習している舞。
そこを経営しているダンサーのパエリヤ田中(パパイヤ鈴木)がやってきてべた褒めする。

と、シリーズを通しての相棒の一人、五代潤(山下真司)が入ってくる。
五代「違うな新人、ヒップホップの命は腰だ」
舞「腰?」
五代「胸騒ぎの腰つき、どいてろ」
舞を押しのけ、しょうもないダンスを披露する五代巡査。この時点では、二人とも相手が刑事であることは知らない。
舞(パエリヤに)「あれほんとにダンスなんですか?」
パエリヤ「いいのいいの、あれで警視庁の刑事さんなんだから。私の先輩」
舞「って、パエリヤ先生も刑事だったんですかぁ?」
パエリヤ「元ね、元。でもダンスが好きで……」
と、ダンス教室の生徒・青山樹理がやってきて五代に話があると別の場所へ移動する。
彼女は「お前が見たことは警察には喋るな。さもないとゴマミのようになるぞ」と言う内容の、脅迫状のようなものを受け取ったと五代に相談するが、舞がやってきて話に加わる。

舞「だけど一体何を見ちゃったんですか」
樹理「それが何のことだかさっぱり分からなくて」
五代「この、ゴマミってのは?」
舞&樹理「ええーっ?」
五代の無知に、目を丸くして驚くふたり。
舞「
朝っぱら娘の後藤マミちゃんじゃないですかぁー」
樹理「通称ゴマミ」
この臆面もないパロディ精神は、シリーズの特徴のひとつである。そういや、どっちも「真希」だな。
などと話していると、舞の警視総監から授けられた特別なケータイに、「ゴマミが自宅マンションで絞殺死体で発見された」と言う連絡が入る。
勝手に現場に入ろうとする舞を五代が咎めると、警察手帳を出し、

舞「警視銭形舞、以後、お見知りおきを!」
しかし、五代は黙って手錠を出し、手首にはめる。
五代「公文書偽造で逮捕する。
お見知りおきをな、お仕置きに変えてやる」
この「お見知り~」は、シリーズごとに、相棒とヒロインが初めて顔を合わしたときに大抵交わされる台詞である。確か。
が、銭形と言う苗字に気付いた五代、相手が警視総監の孫で、「愛」の妹だと知り、青褪める。
早速捜査を開始する舞だが、樹理の脅迫状のことを思い出し、彼女のアパートへ急行するが、既に彼女も絞殺されていた。彼女は警察(五代)と接触したため、口封じされたのだろうか?
部屋の壁に、それを匂わせる犯人からのメッセージも貼られてあった。
その後、ゴマミ殺害の容疑者として、彼女のストーカー的なファンの男が捕まる。彼はゴマミ殺しは認めたが、樹理については知らないと否定する。
五代は、ゴマミの死体が発見される前に、樹理にあの脅迫状を出せるのは、ゴマミを殺したその男しかいないと言うのだが……。

屋外で五代と話している舞。
この作品で初めて彼女を見たとき、「犬みたいな顔だなぁ」と思ったことを覚えている。
以下ネタバレあり。 ネタバレと言っても、ケータイ刑事、大抵、犯人になりそうなのは決まっているので、ネタバレもへったくれもないんだけどね。
舞はパエリヤが怪しいと睨む。
で、彼女はパエリヤに聞こえるようにわざと、ゴマミの部屋にストーカーの仕掛けた盗聴器があり、犯人はそれを傍受してゴマミが殺されたのを知ったのだと話す。
その夜、証拠になる盗聴器を処分しようとパエリヤがゴマミのマンションへやってくるが、無論それは舞の仕掛けた罠であった。

闇の中に浮かび上がる舞の姿。新体操のリボンで、相手をぐるぐる巻きにしてから、
舞「この世にはびこる悪の舞、上手に踊ったつもりでも、あんたのステップずれてるよ。その名も人呼んでケータイ刑事銭形舞、正義の舞様ステップ、受けてみな!」(棒読み)
パエリヤは、舞が推理したように音声でゴマミの殺害を知り、兼ねてから殺意を抱いていた樹理に、あたかも彼女がゴマミ殺しに関する何かを目撃したかのような脅迫状を出し、その上で樹理を殺したのだった。つまり、動機のカモフラージュである。
パエリヤ田中は警察時代、通信課にいたそうです。
舞が彼を犯人だと確信したのは、パエリヤがふとゴマミの部屋が荒らされていたと漏らしたからだった。犯人と警察以外、ゴマミの部屋が荒らされているとは誰も知らないのだ。
こうして舞と五代の初めての事件は無事に解決を見た。
今回、ライトミステリーとしても平均以下のシナリオであるが、「ケータイ刑事」の中ではまともな方だろう。
終わりです。