第22話「追跡!フェニックスの謎」(1975年3月3日)
前回、マッハバロンすら破壊してしまう凄まじい威力を秘めたαレーザー、βレーザーを発明した南博士を保護する為、博士の研究所のある都井岬へ向かったKSSの面々。だが、博士はゲラーにαレーザー装置を奪われた上、無残に射殺されてしまい、さらに、βレーザーの隠し場所を知る博士の娘ななえがロボット帝国に攫われてしまう。
そして、奪ったばかりのαレーザーを備えたワルサーキルα号の前に、劣勢に立たされたマッハバロン……と言う緊迫の状況下で、22話が始まる。
マッハバロンは武器回路を壊された上、右腕をもぎとられ、下半身が地中に埋まり、文字通り手も足も出ない状態であった。そのまま攻め続ければ、確実にマッハバロンを地獄へ案内できただろうが、

村野博士の命令で陽が抵抗をやめたのを見て、さっさと飛び去ってしまう。
村野たちは(何故か陽を救出しようとせず)β光線と、ななえの行方を捜す。

宮崎県の観光名所巡りのついでに、ななえの囚われている敵アジトを探すガンさんや愛。

そのななえ、アジトでスーカンとゲラーに訊問されていた。
ゲラー「β装置は何処だ? 素直に言え。言うんだっ、父親のようになりたいのか? 地獄へ送り込んでやるぞ」

ななえ「お父様を殺したのね?」
ゲラー「我々にたてつくものは全てあの世行きだ」
ななえ「お父様!」
ゲラーの言葉を聞いて、初めて父親の死んだことを知るななえ。可愛いのう。

ななえの首を絞めたり、銃を突きつけたり、荒っぽいやり方を好むゲラーを制し、
「言ってしまいなさい、そうすれば君は自由だ。都井岬に戻り、馬と遊ぶことだって出来る」と、紳士的に持ちかけるスーカンだったが、無論、ななえがすぐ白状する筈もない。
結局、痺れを切らしたゲラーが電気ショックの拷問を掛け、ななえは絶叫する。

ススキ林の中を、「ななえさーん」と呼びながら歩いている愛と健一。
何故か、愛が私服に着替えているが、オーバーオールの胸当てから存在感のある巨乳がはみ出しているのがお分かり頂けるだろうか?
が、とても悔しいことに、アップで映してくれないのである。スタッフのバカ!

それはそれとして、二人の前に忽然とななえが現れる。
どうしても口を割らないななえをわざとKSSの手に戻し、彼らにβ装置を探し出させ、それを横取りしようと言うスーカンの作戦だった。
保護したななえを心配そうに見詰めているKSSと花倉刑事と健一。

村野「電気ショックで完全に記憶を無くしている……」
ななえの体には、いたるところに痛々しい痣が出来ていて、ロボット帝国の拷問のひどさを物語っていた。
譲司「しかし、どうしてななえさんを返したんでしょうか」
村野「拷問をして自白させるつもりが失敗した。それでもう一度泳がせることにしたんだと思う」

花倉「なんとかして記憶を戻してやる方法はないものかね。このままではかわいそう過ぎて……」
愛「ななえさんを何とか元通りに!」
村野「言われるまでもないことだ。しかし、いくら科学が進んでも記憶喪失に効く薬はないんだ」
村野は、ななえを日常生活に置いて、気長に記憶が甦るのを待つしかないと判断する。
ななえも哀れであったが、すっかり存在を忘れられている陽も負けず劣らず哀れであった。

都井岬に連れてこられ、大好きだった御崎馬たちの前に立つななえ。
海風に髪が乱れてセクシーだ。
野生馬を見詰めていたななえの脳裏に、いくつかのイメージが断片的に浮かび上がる。

ななえ「フェニックス!」
愛「フェニックス?」
ななえ「フェニックス、ラクダ、太陽、馬……」
村野「そこにβ装置があると言うことか?」

花倉「フェニックスは伝説の鳥、不死鳥だな、ラクダはアラビアの砂漠、太陽もギラギラしてる。
つまりβ装置はアラビアの砂漠にありって意味じゃ?」
岩井「なんでアラビアの砂漠に隠さなきゃいけないんだ?」 花倉刑事の超ド級のボケに対し、岩井が淡々とツッコミを入れるのがかなりの破壊力である。
一方、ララーシュタインはゲラーにマッハバロンを高性能地雷で地中深く埋めるよう命じ、同時にαレーザー装置を渡し、「成功すれば、お前を私の後継者にする」と、いつになく大きな期待を示し、いやが上にもゲラーを奮い立たせる。
4つの言葉の意味するところを解こうと四苦八苦している村野たち。

花倉「……やっぱり、アラビアの砂漠だ」
譲司「いや、俺は違うと思う」
ここも、譲司が言う必要もない否定意見を淡々と述べるのが可笑しい。
だいたい、仮にアラビアの砂漠にあるとしたって、探しようがあるまい。
が、花倉はあくまで「アラビアの砂漠」に固執して、ひとりで何処かへ出掛けてしまう。
一方、ゲラーは部下を引き連れマッハバロンのところへ行き、地雷を仕掛ける。

操縦席からそれを見ていた陽、慌ててSOS信号を仲間に送る。
陽「いやだ、ここで死にたくない!」 さすがに負けん気の強い陽も、青褪める。
が、間一髪で村野たちが駆けつけ、地雷の全面的な爆発を阻止する。ただし、一部の地雷が作動し、残った左腕も吹き飛ばしてしまう。

その後、偶然のことから、ななえの手の甲にあの言葉に符合する4つの絵が、特殊なインクで記されていることが分かる。

その絵を見た村野、「フェニックス」が、不死鳥ではなくヤシ科のカナリーヤシ(宮城県の県木)のことだったと解説する。
譲司「宮崎はフェニックスで一杯だ!」(観光協会の回し者的な台詞)
健一「『こどものくに』にはラクダもいるよ!」(同上)
「こどものくに」は、宮崎に今もある遊園地のことである。

奇しくも、そこには花倉も来ていた。
花倉「アラビアはやっぱり遠かったかな……」
時間もあまりないので、村野たちはすぐ暗号を解いて地中に埋められていたβレーザー装置を発見する。

が、抜け目なく彼らの動きをマークしていたゲラーたちに横取されてしまう。
ゲラー「ようし、皆殺しにしろ!」

ゲラーの大勝利目前であったが、ななえが凄い目付きをしてゲラーの持っていたβレーザー装置にむしゃぶりつく。
ゲラー、慌ててαレーザーをななえの手に放射する。
バロニウム超合金すら穴が開いてしまうαレーザーを受けて、特に怪我もないと言うのは変だけど、とにかくそのショックでななえは記憶を取り戻す。
その隙にKSSが反撃に出て、一旦奪われたβレーザー装置を取り戻す。
βレーザー装置を村野から受け取った陽は両腕のないマッハバロンに搭乗し、再びワルサーキルα号と対決する。と言っても、マッハバロンは一切の武器が使えず、防戦一方となる。

ゲラー「ようし、α光線を浴びせろ! ロボット帝国は俺のもんだ!」
勝利を確信し、ロボット帝国の頂点に立つ自分の姿を思い描くゲラーであったが……、
ワルサーキルの放ったα光線に対し、マッハバロンに取り付けたβ光線が発射され、二つの光線が化合することによって、ワルサーキルが消滅してしまう。

ゲラー「俺は負けんぞーっ、俺は新しい総統になるんだーっ」
自暴自棄になってαレーザー装置を手にマッハバロンに突っ込むゲラー。
陽は、ゲラーに対しても唯一の攻撃手段であるβレーザーを撃ち返し、あわれ、ゲラーはこの世から消滅してしまうのだった。
ラスト、すっかり元気になったななえが村野たちに語りかける。
ななえ「私はこれから先ずっと馬と一緒にいます。もし都井岬に来た人と何処かで出会ったら、必ず聞いて下さい。馬と女の子は元気でしたかって……」 一同「めんどくせ……」