第44話「地獄から来た流れ星!」(1975年2月7日)
いつものように、地球に単身赴任中のブラック指令が水晶玉をかざし、ブラックスターから円盤生物を呼び寄せる。5番目の円盤生物は、ガマガエルをイメージしたブラックガロン。
火花を散らしながら、ガメラのように空を飛んで地球へ向かう。

ま、それは良いのだが、宇宙空間で、火花が「下」に落ちるのはどうかと思う。

さて、その地球では、トオルが珍しく派手な喧嘩をしていた。それも、金持ちの坊ちゃん風の同級生・中森健二を執拗に追いかけて、一方的にぶん殴っている。
だが、その最中、健二のはめていた高級腕時計が岩に当たって壊れてしまう。

二人に付いて来たあゆみも思わずハッとする。
杉田かおるさん、めっちゃ可愛いね。

健二「どうするんだよー」
あゆみ「高いんでしょう、その時計」
健二「うん、パパがヨーロッパから買ってきてくれたんだ」
あゆみ「どうするの、トオル君?」
返答に詰まるトオル、ヤケクソ気味に健二の体を突き飛ばして走り去ってしまう。

その日の夜、ゲンがスポーツセンターから(?)美山家に帰ってくると、家の前に見知らぬ車がとめてある。
ゲン「凄い車だなぁ」

ゲンが中に入ると、上がり口に健二少年と、その父親・中森大介(佐原健二)が立っていた。
中森「君かね、オオトリ君と言うのは?」
ゲン「はぁ」
中森「君がトオル君の保護者だそうだね?」
ゲン「ええ、それが何か?」

中森「トオル君がうちの子の腕時計を壊してしまったんだ。誕生日の祝いに私がヨーロッパから買ってきた高級時計だ。まったくもってけしからん、弁解の余地があるとでも言うのかね」
ゲン「どうもすいませんでした」
レオとタケナカ参謀(ウルトラセブン)の夢のツーショットであったが、あまり心楽しい出会いとは言えなかった。
中森「人のものをやっかみ半分で壊すなどと言う行為は断じて許すべきことではないが、ま、今回は目をつぶりましょう。二度とこんなことがないよう、トオル君を厳重に戒めて下さい!」
言いたいことだけ言って中森親子は帰って行く。
無言で頭を下げていた咲子も、「こちらの理由はまるで聞こうともしないで、言いたいことだけ言うお父さんね」と、やや呆れ顔だった。

ゲン「トオルがやっかみだけで時計を壊すなんて……」
あゆみ「そうよ、トオル君が怒ったのわねえ……」
ゲンの納得行かないつぶやきに、あゆみがすぐ応じて説明する。

昼間、健二が問題の時計を見せびらかしている回想シーン。
最初はトオルも他意なく感嘆の声を漏らしていたが、
健二の「そうか、君たち二人ともお父さんいなかったのか」「じゃあ、無理だよね!」「君たちに新しいお父さんでも来るって言うのかい?」などと言う、父親のいないトオルたちへの配慮のない発言に、徐々に反感を募らせていき、
とどめは、この笑顔! 関係のない第三者が見ても即座にぷん殴りたくなるドヤ顔であり、これはもう何をされても「弁解の余地」はない。

肝心のトオルは、ゲンの入れ違いに家を飛び出し、夜の公園でブランコに乗って星を見上げていた。
トオル「お父さん……」
トオル、序盤で星人に無残に殺された(温水洋一みたいな顔の)父親のことを思い出していた。
考えたら、トオル、母親を幼い頃に亡くし、父親が星人に殺され、さらに妹のカオルと母親代わりの百子さんまで円盤生物に殺されている訳で、ドラマとしても相当に不幸な星の元に生まれた少年であった。
おまけに、大人になってからは
山田邦子と結婚するハメになる(番組が違います)。
その星空を、青い流れ星がよぎり、トオルも一瞬笑顔を取り戻す。
だが、それこそ、ブラック指令に呼び寄せられたブラックガロンの禍々しい軌跡であった。

公園の近くに落ちたブラックガロン、人間タイプに変形して暴れ回る。
トオルを探していたゲンもすぐ駆けつけ、トオルを逃がしてからレオに変身し、戦う。
ブラックガロン、両腕が筒状になっていて、そこから火花を噴き出すと言う、なかなか魅力的なデザインである。ブラックガロン、優勢に戦いを進めていたが、ブラック指令の指示で自ら退却する。
円盤生物、このパターンが多いが、恐らく、地球に辿り着くまでにかなりのエネルギーを消耗しているので、一度戦っただけで戦闘不能になるのだろう。

その後、美山家のリビングで、手当てを受けているトオルとゲン。
トオルが、「大丈夫だ、ほーらっ」と、ジャンプしてあえて平気なことをアピールするのが、とても可愛い。
いずみ「トオル君っ、いいからこっちいらっしゃい!」
トオル「いいよー」
いずみ「ダメよっ

」
トオルとしては、痛い消毒液を付けられるのがイヤと言うのもあったのだろうが、いずみお姉さんに手当てされるのが恥ずかしかったのだろう。

ゲンの方は、
残念ながら看護婦でもある咲子に手当てされている。
咲子「今夜火傷の傷が痛むかもしれないけど、痛み止めでも飲んでおく?」
ゲン「いいえ、いいんです。少しくらい痛い方がいいんです。痛みを忘れて円盤生物をやっつけるファイトまで忘れたくないんです」
ゲンの「ファイトまで」が「ファイトマネー」に聞こえる(だから?)

翌朝、トオルとあゆみが学校へ向かっていると、子供たちが集まってワイワイ騒いでいる。
見れば、健二がフジツボのついたような岩の塊を持って「これは隕石に違いないっ」と叫んでいる。
過去の経験から、トオルにはそれが休眠中の円盤生物だと一発で分かる。
トオル「それは隕石じゃない。円盤生物だ」
健二「よせよ、君はなんでも僕の持ってるものにケチつけるだからぁ」
昨日の今日なので、当然、健二の態度は刺々しい。
健二はそれを父親のところへ持って行く。中森の父親は、奇しくも、中森鉱物研究所と言う財団法人の所長であった。

トオルから話を聞いたゲンは、すぐ中森のところへ押しかける。
ゲン「それは昨夜地球に落ちた円盤生物なんです。すぐ処理してください」
中森「これがぁ? 君、朝から冗談は困るね」
ゲン「あれは確かに円盤生物なんです。昨夜、僕はこの目ではっきり見ました」
中森はなまじ鉱物学者だけあって、それが隕石だと決め付けていた。
ゲン「僕を信じて下さい」
中森「……よろしい、君を信じましょう。じゃ生物がどうか、実験して見ましょう」
食い下がるゲンに、中森はそう譲歩する。
で、その実験と言うのが……、
ハンマーで思いっきり殴る!
ガスバーナーで焼く! ……などと言う実に荒っぽい方法で、コイツほんとに鉱物学者かと疑いたくなるのであった。
つまり、生物なら叩いたり焼いたりすれば、「いてー」とか「あちー」とか反応を示すだろうと言うことである。

ゲン「そんなバカな……」
中森「いかがですか、生物と言う物はこれほどの刺激を与えたならば痛いとか痒いとか反応するモンですよ」
ゲン「顔が熱いんですが……」 とにかく、外見的にどう見ても円盤生物なのだが、過去の事例と違い、何の反応も示さないブラックガロン。
ゲンは仕方なく引き下がる。

とぼとぼ歩道を歩いているゲンに気付いて、咲子がタクシーから降りて話しかける。
しかし、彼女、通勤するのに毎朝タクシーを使っているのだろうか?
ちなみにタクシーの初乗りが
280円の時代であった。

咲子「しっかりしなさいよ! ……私の死んだ主人は随分頑固な人だったの。主人は医者だったでしょう。いつだったか、どの先生も絶対治らないって言う患者さんをね、
4日も徹夜してとうとう治しちゃったの。その代わり本人も寝込んじゃったけどね。頑張り屋だったわ。男はそれでなくちゃ。くよくよ思い悩むなんて男らしくないわよ。頑張んなさいよ!」
咲子に励まされて、ゲンは夢から醒めたような顔になって慌てて研究所へ引き返す。
ゲンにとって咲子は、MAC時代のダンのような存在なのだ。
それにしても、
「4日も徹夜して」って……、医者が頑張れば治るってモンでもないと思うけどね。
で、ゲンが急いで駆けつけた頃には、案の定、ブラックガロンが目覚めて、宙を飛びながら中森や健二を脅かしていた。ゲンが部屋に飛び込み、中森たちを体を張って外へ逃がす。
建物が爆破すると共に、ブラックガロンの人間タイプと、レオが姿を現わし、バトルスタート。

レオが両腕からビームを発し、

ガロンの筒状の両腕にめりこませ、

その火花を逆流させて爆発を起こす……と言う特撮などが見事である。

レオ、ガロンの長い舌に巻きつかれ、凧揚げの凧のように空を舞う。
スーツの背中がワイヤーで引っ張られているのが見えるが、ウルトラシリーズでこういう演出は珍しい。
苦戦するが、最後はその舌を手刀で焼き切ると、ガロンはあっさり死亡する。

離れたところからその戦いを見守っていた中森親子、レオの勝利に安堵するが、
中森「パパは大変なことをしてしまった。オオトリ君を死なせてしまった……私がオオトリ君の言葉を信じなかったばかりにこんなことに……」
健二「オオトリさんは僕を助けてくれたんだ」
中森「そうなんだよ、私はあのひたむきさを誤解していたんだ。これは許されないことだ」
人が変わったように謙虚に反省する中森親子。

だが、やがて向こうからゲンが元気な姿を見せてやってくる。
中森「オオトリ君、ありがとう、君のお陰で我々は助かった」
ゲン「いやぁ、礼を言うならあゆみちゃんのお母さんに言って下さい。僕が何をすべきか教えてくれたのはあの人なんです」
最後に中森は「君はまるでウルトラマンレオのような男だ」とつぶやく。

ラスト、再び怪我をして咲子に治療をされているゲン。
ゲン「いてーっ」
咲子「男の子はこんなことくらいで大声立てないの」
大袈裟に痛がるゲンを見て、やっとトオルにも笑顔が戻る。
ゲン「みんなひどいよー、ほんとに痛いんだから」

ゲン「我慢、我慢……、ううーっ、
悔しいです!」
最後は、特撮ヒーロー番組の主役にあるまじき顔芸を披露するゲン。
なお、以前やっていたブログで、このゲンの顔をタイトル画像に使っていた記憶がある。
私は何を考えていたのだろうか?