「宇宙刑事シャリバン」 第50話「海坊主」 後編

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　第50話「海坊主」（1984年2月17日）
　の続きです。

　魔王サイコを撃破したレイダー、簡単にマドー乗っ取りに成功したかに見えたが……

　
　レイダー「エネルギー発生装置を完成させ、万年王国を築き上げるのだ」
　ポルター「はい……」

　電がガマゴンと戦っている間に、ポルターたちはレイダーの術によって操り人形と化していた。
　二人が虚ろな目で下がろうとするが、その時、

　「待てぇーっい！」と鋭い声が響き渡る。

　

　
　レイダーが振り向くと、白い大きな風船が降りて来て、その中から見たことのないスキンヘッドの男が現れる。

　海坊主である。

　
　さすがのレイダーも、彼の存在には全く気付いていなかったようで、激しく動揺する。
　レイダー「何者だ？」
　海坊主「魔王、サイコ！」

　
　海坊主は意外な言葉を返すと、宙を滑るように魔王サイコの遺骸の前に移動し、その巨大な体の中に入り込む。

　
　すると、雷光が煌めき、死んだ筈の魔王サイコが完全復活を遂げる。

　さらに、再び海坊主が現れて、その横に立つ。

　サイコ「ワシは不死身だ、レイダー。命を二分して持っておる。レイダー、宇宙の王者、魔王サイコを甘く見るでない！」

　つまり、海坊主は魔王サイコの分身だったのだ。そして、万一サイコがやられた時のスペアでもあったのだ。

　最初見た時は、全く予想外の展開に、ドキドキしたものだが、今見ても、実に秀逸なアイディアだ。

　しかもその伏線として、第1話から海坊主を画面の端に登場させていた周到さに舌を巻いてしまう。

　
　（第1話「幻夢」より）

　
　さらに、海坊主は魔王サイコからエネルギーを受けて、その本来の姿になる。

　サイコの化身「サイコラー」である。言ってみれば、魔王サイコのビースト形態とでも言うべきか。

　
　レイダーのビーム攻撃を、二つの剣を交差させて逆流させるサイコラー。

　サイコラー、レイダーが怯んだところへ剣を飛ばしてその首を刎ねる。
　しかし、かつてガイラー将軍がやった時のように、首を飛ばされてもレイダーは死なない。

　
　目からエクトプラズムを放ち、反撃する。

　だが、既に魔王サイコとの戦いでかなりのエネルギーを消耗していたせいもあり、割とあっけなく滅ぼされる。マドー乗っ取りを画策した、一世の梟雄の儚い最期であった。……まぁ、元々死霊界から来た人なので、最初から死んでいたとも言えるのだが。

　企画の段階では、レイダーがこのまま勝って、マドーを乗っ取り、最後にシャリバンと決戦すると言う展開も考えられたらしい。

　
　サイコラーは姿を消し、魔王サイコは以前と変わらぬ威厳を取り戻して鎮座している。

　レイダーの死と共に、ポルターとミスアクマ1も正気に返る。

　
　ポルター「魔王様、ご無事で！」
　サイコ「マドーは不滅だ」
　ポルター「夢のようでございます！」

　だから、仮にも「悪の組織」の大幹部が、そんな一点の曇りのない笑顔になっちゃダメだってば！

　まぁ、この時のポルターたちの喜びは察するに余りあるから、無理もないところではあるが。

　
　ミスアクマ1も、安堵の表情になる。

　気が付けば、マドーもレギュラーはこの二人だけになっちゃったね。まさかミスアクマ1が最終回まで生き残るとは思わなかった。

　サイコ「全ては思い通り叶った。残るはシャリバン！」

　いや、それはもう諦めた方が良いんじゃないかと……

　それに、どう足掻いても電は幻夢城には来れないのだから、ゆっくり時間をかけてエネルギー発生装置を完成させ、魔王サイコをより強くさせる方が先だろう。

　ともあれ、強敵レイダーを倒した直後で気分が高揚していたのか、装置の完成を待たずにサイコはシャリバン抹殺に動き出す。

　
　採石場でボーっとしていた電の前に海坊主が現れ、問答無用で襲い掛かる。

　戦いながら、電はシャリバンに、海坊主はサイコラーに変身する。

　
　サイコラー「イガクリスタルは我が幻夢城にあり！　お前さえ片付けば、我がマドーは万年王国として悪の華を咲かせ続けるであろう！」
　電「マドーは俺が倒す！　イガクリスタルは奪い返して見せる」
　サイコラー「来ぉい、若造ーっ」

　電とサイコラーの死闘が繰り広げられる。その様子を、グランドバースでリリィとミミーも心配そうに見守っている。

　電はシャリバンクラッシュで簡単にサイコラーを両断する。

　だが、

　
　空中にサイコの影が出現し、サイコラーの死体にエネルギーを注ぎ込む。

　サイコラーはあっという間に復活してしまう。

　
　電「魔王サイコ！」
　サイコ「我らは命を二つに分けて持つ。どちらかが倒れても命を注ぐことが出来るのだ」

　
　連戦が続く電には、さすがに疲れの色が隠せない。

　そこへ、リリィが銃を手に応援に飛んでくる。

　ミミーは来ないの？

　叶和貴子さんがこんなところへ来る筈がなかろう。

　サイコラーも、ファイトロー、ミスアクマ1を呼び寄せ、お互い総力戦になる。

　しかし、今度は思い掛けない援軍がシャリバンに加勢する。

　
　以前登場した、オルガナイザーのひとり、リタ（シェリー）と、

　
　同じくキース（高橋利道）と言う、宇宙戦士であった。

　彼らはマドーに抵抗する各惑星の戦士たちと連絡を取り合い、電とも交友がある。

　そう言えば、シェリーさんは、元祖「名探偵キャサリン」やってたんだよねえ。

　乱戦となって、結局勝負は決着がつかないまま終わる。

　
　リリィ「良く来て下さいましたわ、助かりました」
　電「しかし、どうしてまた地球へ？」
　リタ「他の惑星へ行く途中だったの。ちょっと様子を見に寄ったの」
　キース「イガ星へ行きたがって、うずうずしてる連中がいるんだよ」
　電「イガ星の末裔が？」
　キース「そうだ、まだかまだかとせっつかれてな」
　電「申し訳ない、イガクリスタルまで奪われてしまって……」
　リタ「挫けないで頑張ってねシャリバン、勝利を信じて」

　二人は留まって手を貸そうとはせず、さっさと別の惑星へ旅立ってしまう。

　ラスト、電、打ち寄せる波を前に、「導きたまえ！　聖なる者よ、私をマドーの幻夢城へ！　導きたまえーっ！　後生だから導いてーっ！」と、またしても「聖なる者」に全力で助力を求めるのだった。

　いよいよ次回、最終回である！