第5話「打ち破れ!魔のケン玉殺法」(11月27日)
夜の繁華街。
とあるビルの屋上で、中井哲夫と言う少年が、数人の不良学生たちにカツアゲされていた。
哲夫は意を決したようにポケットからある物を取り出す。
それは赤いケン玉であった。
当然、不良たちはそれを見てゲラゲラ笑うが、

哲夫「僕は死神小僧だ! ツバメ返し! 回転飛行機!」
哲夫は、華麗なケン玉さばきで、次々と妙技を披露する。

それを、呆気にとられて見詰める、いかにも人の良さそうな不良たち。
哲夫「お前らなんかもう怖くはない、天誅だ!」
哲夫はスケバン刑事のヨーヨーの如く、ケン玉を巧みに操り、屈強な不良たちをあっという間にぶちのめすのだった。
さて、こちらは新しい高校にすっかり馴染んでゴロウたちと楽しくじゃれている唯、その唯にスケバン刑事としての指令が投げ文で届けられる。

唯、指定された音楽室へ入ると、待っていたのは図書館の司書をしている女性だった。
唯「あんた、図書室のお姉さん?」
礼亜「暗闇指令代理、礼亜」
唯「そうか、あんたが……」
礼亜「指令を伝えます。死神小僧と名乗る少年に会いなさい……」

その死神小僧こと哲夫は、その後も街の不良たちに手当たり次第に制裁を加えていた。
良い人そうな不良ばっかりね。

神社の境内で暴れている死神小僧の前に早くも唯が姿を見せる。
唯「死神小僧、おぬし、忍びの術を使うげな。どこで習うた?」
哲夫「お前も忍び?」
唯「どうかの~」
唯、哲夫の投じたケン玉をヨーヨーで弾き返し、得意のポーズ。
小競り合いになるが、なにしろ街中である。すぐ警官が駆けつけ、二人は仲良く補導される。

すぐ、結花と由真が唯の身柄を引き取りに来る。
由真「呆れたねえ、ゴロ巻いてマッポに捕まるたぁ、てめえそれでもいっぱしのスケバンかよ!」
警官「おいおい、君ぃ」
結花「ご迷惑をお掛けしました」
警官が目の前にいるのに、マッポとか言っちゃう天然の由真さん。
三人の中では最も常識人の結花が礼儀正しく頭を下げる。

哲夫も警官に付き添われて廊下へ出てくる。
唯「中井哲夫って言うっちゃね、母ちゃんと二人きりなんか? もし寂しかったら遊びに来てええぞ」
哲夫の背中に親しげに言葉を掛ける唯。

無言で行こうとする哲夫を、結花が「待って」と呼び止め、手の横の傷にハンカチを巻いてやる。
これが後の伏線になっているのだが、ちょっと不自然な感じがする。
哲夫、結局何も言わずに行ってしまう。
由真「なんだあのヤロー、姉貴がせっかく……」
唯「照れちょるんじゃ、かわいいとこあるのう、あいつも」
顔を見合わせて微笑む三人。ちょっと前までの刺々しさが嘘のように仲が良い。
そんな三人に「風間さん!」と、小坂先生の声が鞭のように飛んでくる。

警察から連絡を受けてやってきた教師たちに改めて説教される唯たち。
教師「お前たちは我が校の恥だ。風間結花、今度の西関東の統一模試、やめたらどうだ。私はねえ、いくら成績が良くてもお前のような不良にはテストを受けて欲しくないんだ。空気が乱れる」
右端の男性教師を演じているのは、特撮モノの悪役の声などでお馴染み、渡部猛さん。他の回でも出ているのかどうかは分からない。
左端の女性教師が、準レギュラー(と言うほど出番はないが)の小坂先生で、演じているのは紀ノ川瞳(松岡ふたみ)さん。「スカイライダー」のミス・キレーダね。
唯「こんにゃろーっ!」 教師の暴言に、唯や由真が思わず声を荒げるが、言われた当の結花が二人を制する。
同行していた依田が、「唯君が起こした問題なんですから、僕が唯君にビシッと厳しい罰を与えます」と提案し、とりあえずその場を収める。

依田が与えた罰は、学校の裏庭の一画を花壇にする為に耕せ、と言うものだった。
ただし、

使うのはこんな小さな移植ごてのみ。
唯「こんなんでやっちょったら、一晩かかってしまおうがっ」
依田「そっ、かかりますね」

腹立たしそうに唇を噛んで依田を見る唯。
依田「あれー、始める前から降参ですか」
唯、仕方なく、しゃがんでスコップを動かし始める。

依田「なんですかー、そんな上っ面だけ掘り返してー、深く掘んなさい、深く」
唯「……」
依田「そう、手首を使うんですよ」
依田は笑いながらその場を立ち去る。
唯は気付いていないが、これは4話のバケツの罰と同様、忍びとしての鍛錬になっているのだ。
その頃、哲夫は自宅アパートの一室でベッドに寝転がって天井を見上げていた。
その脳裏に、道場のようなところで彼にケン玉の術を仕込んでいる謎の人物の姿が甦る。
天狗「恨め、全てをぶち壊せ、邪悪を友とせよ、死神小僧となり……」
「世界を滅ぼせっ!」 無理だと思いますが……。
その夜の風間家。
結花が模試に備えて勉強していると、ダンベルを手にした由真が顔を出す。

由真「唯の奴、遅いねえ」
結花「うん」
由真「センコーの言うことなんて気にすることねえよ、試験受けなよね、姉貴は成績だって星流ナンバー1なんだから」
結花「父さんが死んで、先生たちの態度変わったね。どうせ学費なんて払えないんだろうって目で見て……はっきりしてるねえ、世間は」
由真「大学行きなよね、由真、働くから」
結花「バカねえ、余計なこと考えるんじゃないの」
言いながら、結花は机から離れて部屋を出て行こうとする。

由真「何処行くの?」
結花「唯を捜しに!」

由真「よし、由真も行く!」
なんかめっちゃ純朴そうな田舎の女子中学生みたいな顔になってるぞ。
後編に続く。