第13話「悪魔の椅子」(1989年4月9日)
気がつけば、1ヶ月以上間が空いてしまった「ぱいぱい」の時間です。
冒頭、アキラたち三バカ兄弟の通う小学校に呼び出され、校長直々にバツだらけの答案用紙を見せられているぱいぱい。

ぱいぱい「まぐれで1点くらい取れそうなもんだけど……」
校長「もし小学校に落第制度があったら落第させたいほどです!」

ぱいぱいが学校に来ているのを知って、その三バカが窓から嬉しそうに覗き込む。
シンゴ「ぱいぱい、いらっしゃい」
アキラ「俺たち落第してもいいんだよ」
トオル「ずぅーっと小学生でいたいもん」

校長「そんなところでなんだっ」
三バカ「逃げろ~」
小沢さん、よほど疲れているのか眠たそう……と言うのは嘘で、単に瞬きしてるだけである。

校長「学校としては匙を投げました、あなた、家ではあの子たちに少しは勉強させてるんですか?」
ぱいぱい「母親って子供たちに勉強させなきゃいけないものなんですか?」
校長「カーッ、こりゃ驚いた、勉強しろって言わない母親が今時、日本にひとりでも生息してますかっ、そんなことでよく母親代わりが務まりますねっ」
自分まで叱られて、ペロッと舌を出すぱいぱい。

素直なぱいぱいは、家に帰って子供部屋に入りなり「勉強しなさいっ」と、ガミガミ言い立て、無理矢理三人を椅子に座らせようとするが、全く効果はなかった。
勉強以前に、ただの1分も椅子に座っていられないと、三人の救いがたいことを父親の行男に訴えるぱいぱい。
で、珍しく行男が父親としての責務を果たそうと、三人を説得すべく、子供部屋のドアを開く。

開くなり、ターザンゴッコをして遊んでいたトオルの蹴りが、行男にヒットする。

行男「ま、いい、今日は大事な話がある。お前たち人生とはいったいなんだと思う? 人生とは椅子である!」
アキラ「人生とは椅子?」
行男「いいか、10年後、20年後には……」

行男の声「お前たちは多分サラリーマンとなる」
三人が、子供のままでスーツ姿のサラリーマンになっている想像図。
特にシンゴが、谷啓をそのまま小さくしたようでめっちゃ可愛い。

行男の声「その一生はどんな椅子に座るかで決まる。ヒラの椅子には肘掛がない、ところが、えらいさんの椅子には肘掛が付いている!」
想像のオフィスには、三人の他にもスーツを着た子供たちがめいめいの椅子に座って仕事をしている。

シンゴの声「どうしてヒラの椅子には肘掛がなくて、えらいさんのにはあるの?」
ぱいぱいの声「そうでないと、ヒラとえらいさんの区別が付かないからよ」
想像図の中で、タバコなど吸っているシンゴ。
今だったら、NGかなぁ?
行男の声「ひとは、えらいさんの椅子を求めて争う」

行男の台詞と共に、子供サラリーマンが一斉に重役の椅子に飛び掛かり、激しい争奪戦を繰り広げる。
行男の言葉からアキラたちが想像するシーンとしては実にピッタリしている。
その中でさえ、三バカは負け、最後は秋元康みたいな子供が重役の椅子をゲットする。

だから、えらいさんの椅子に座りたかったら、今から少しは勉強しておけと結論する行男。
三バカに輪をかけてちゃらんぽらんの行男にしては割とまともな説教だったが、
アキラ「だけどさぁ、えらいさんになったって、ヒラとの違いは椅子に肘掛があるかないかだけじゃ、勉強したってつまんないよ、なぁ?」
トオル「だったら俺、気楽なヒラヒラ~の方が良いよ」
と、反論され、
行男「それもそうだな」 あっさり納得してしまう。

ぱいぱい「だめじゃないですかっ」
行男「いや、まあね……あ、ぱいぱい、子供たちの勉強よろしくお願いします」
行男、例によって探検に出かけてくると、さっさとその場から逃げ出す。

その直後、トラックの荷台に乗って仮面をつけた怪人が町内に現れる。
一度聴いたら耳について離れない独特のBGMをバックに笑っているのは、2年前の「おもいっきり探偵団 覇悪怒組」の悪役、魔天郎であった。
まぁ、管理人は見たことないんだけどね(凄く見たい)。

近所の主婦たちと「魔天郎だわ」「懐かしい顔」と言葉を交わしながらそれを見遣るぱいぱい。
実際、この女優さんたちもその番組に出ていたと言うことも十分考えられる。

と言っても、それは本物の魔天郎ではなく、スーパーの宣伝に来たチンドン屋に過ぎなかった。
現在、福袋の無料配布キャンペーンを行っていると言う男の言葉に、群がった主婦が悲鳴のような歓声を上げる。
ただし、残ったのは1つだけで、主婦による壮絶な争奪戦が繰り広げられる。

身も心もすっかり主婦になりつつあるぱいぱいも、中身が何か知らないまま、そのバトルに加わるが、本物の主婦パワーに押されて、争いの輪から弾き出される。
トオル「ぱいぱい、どうしたの」
ぱいぱい「うるさいな、その福袋私の!」
たまたま通り掛かった三人も、何が入っているのかしらないまま、それを横合いから見事ゲットする。
その後、男から「子供たちが勉強したくなるもの」が入っていたと知らされ、激しく悔しがる主婦たち。

ぱいぱいたちが部屋に戻って袋を開けると、中から三つの椅子が出てきた。
この時点で中華魔界が関与していることに気付くべきだが、ぱいぱいは特に不審を抱かない。
ぱいぱい「奇跡の勉強椅子……この椅子に座るとあまりの座り心地の良さに勉強せずにはいられなくなります……?」
シンゴ「はは、嘘ばっかり」
アキラ「俺たちが勉強する気になったら、お天道様が西から昇るぜ」
トオル「試してみよ」
全く信じていない三人がその椅子に座ってみると、自動的にベルトが出てきて三人の体を固定し、
「勉強シロ、勉強シロ」と、ロボ的な声が繰り返される。

さらに左右からボクシンググローブのついたアームが伸びて、座っているものをボコボコに殴る。
そう言えば、こんなドラえもんのひみつ道具があったな……。
ぱいぱい「これひょっとして、勉強したら殴られない仕掛けになってるんじゃないのー? ねえ、あんたたち勉強してみたら?」
ぱいぱいの提案に、とりあえず机に向かって勉強を始める三人。果たして、グローブが殴るのをやめる。

数分後、
ぱいぱい「えらい、えらい、あんたたち生まれて初めて
5分勉強したじゃない、おやつにしよう!」
三人が喜び勇んで立ち上がろうとするが、ベルトは外れたものの、椅子が尻から剥がれなくなってしまう。

ぱいぱいが力ずくで取ろうとするが、どうしても取れない。
アキラ「もしかして、この椅子、一生取れないんじゃないのー?」
その夜、椅子をくっつけたまま、不自由な姿勢で眠っている三人。

ぱいぱいが現れ、その場で中華魔女に変身し、魔法の力で椅子を外そうとする。
が、驚いたことに、ぱいぱいの魔法を以てしても外れないのだ。
ぱいぱい「ダメだわ、この椅子には魔法がかかってる!」
ぱいぱい、反射的に昼間の魔天郎のことを思い出す。
「あの男の仕業だわ、あいつを探し出さなくっちゃ!」
後編に続く。