第17話「デッド・ヒート」(1984年8月7日)
の続きです。
景子が去った愛育女子学園であったが、元気一杯の少女たちは相も変わらず白百合組と笙子組とに分かれて、日常茶飯事的に抗争を繰り広げていた。

くだらないことで、すぐ取っ組み合いの喧嘩をところかまわずおっぱじめる双方の下っ端たち。
なにもトイレでしなくても……
ちなみに、よほど暑かったのか、緊張していたのか、八千代のシャツが汗でびしょ濡れになっている。

弥生たちが駆けつけて、「先生が来るよ!」と叫ぶ。間を置かず瀬戸先生が入ってきた時には、

既に個室の前に整列しているふりをする、こういうところは妙に息の合った連中であった。
瀬戸「何かあったのかしら?」
……いや、絶対聞こえてただろ。
天然ボケ疑惑の深まる瀬戸先生は、景子からの手紙を持ってきたのだ。
早速、3号室のみんなで手紙を読む。
「社長も奥さんもとっても良い方で、私に優しくしてくれる……」と言う一節にあわせて、どう見ても二人をガミガミ叱り飛ばしている奥さんの姿を映し出すのが、なかなかの笑いどころとなっております。

弥生「……社長さんが私とヒロシの結婚式を出来るだけ早く挙げてくれるって約束してくれたのよ

」
音読しながら、隣のみどりの顔を覗き込む弥生の表情が可愛いのである。
みどり「結婚式だって!」
さと子「いいなー景子、羨ましいなー」
率直に羨望の溜息を漏らす二人だったが、
トキ子「ここを出たらみんなで景子のところへ乗り込んでやろうか」
麻里「やめときなよ、少年院出身の女ばかりがぞろぞろ集まったんじゃ、景子が世間からなんて言われるか分かったもんじゃないよ」
麻里のシビアな発言に、

たちまちシュンとなるのだった。
手紙の末尾には、結婚式を笙子の実家の神社でやりたいと言う景子のたっての希望が記してあった。
笙子はすぐ、その許否を確かめる為、父親へ手紙を書く。
ちなみに笙子、「みまくり神社」と言っているが、「水分(みくまり)神社」が正しいのではなかろうか。
(もっとも、この後、丸林もダメケイも「みまくり」と言ってるので、良いのかもしれない)
無論、両親は娘の親友の結婚式なら喜んで挙げさせてもらうと賛成する。
その後、急に涙ぐむ美也子。

聖一郎「いつになったら笙子が哲也さんと式を挙げられるか、そう思ってるんだね」
美也子「あなた、笙子は幸せになれるかしら?」
聖一郎「そんなこと知るか」 美也子「……」
間違えました。
正解は、
「なれるさ、なれるとも」でした。
景子の結婚式のことは、ダメケイから笙子たちに伝えられる。
無論、笙子たちは参加できないのだが、景子の為のウェディングドレスをみんなで作ろうと言うことになる。
ちょうどその時、裁縫の時間だったのだが、笙子は後ろに座っていたモナリザに、「あなたが一番年長なんだし、元3号室の室長として景子との付き合いは古いわ、あなたがデザインしてくれると嬉しいんだけど」と、普段の行きがかりは行きがかりとして、穏やかに提案する。
だが、

モナリザは即座に
「こんなのどう、喪服だよ」と急いで描いたイラスト(割とカワイイ)を披露し、笙子のみならずダメケイたちもドン引きさせるのだった。
それにしてもモナリザ、笙子がそう言う話を振ってくるだろうと予測して、大慌てで描いてたのね。
その後も、腹心のエリカとなにやらよからぬ相談をしているモナリザ。
てっきり、笙子たちが頑張って作ったウェディングドレスをめちゃくちゃにするのかと思ったら、さすがにそんなベタなことはせず、ドレスはあっさり仕上がって景子のところへ送られる。

一方、朝男もしぶとく笙子強奪計画を諦めず、再び仲間を集めていた。
朝男「集まったのはこれだけか」
山崎「申し訳ねえ」
朝男「これだけいれば十分だ」
朝男は改まった様子で、笙子強奪の暁には東京流星会を解散し、自分は笙子と二人で外国へ行くのだと大真面目に告げる。

朝男「ここに500万ある、オヤジを脅かして口座に振り込ませた金だ。300万は俺が取る。山崎、残りの200万をみんなで分けてくれ」
山崎「会長、俺は1銭だっていらねえよ」
マコ「あたいだっていらねえよ」
不良は不良なりに、こういうポリシーを持っているのが清々しいんだよね。
まぁ、欲得ずくなら、とっくに朝男のことを見限っていただろう。
朝男「山崎、マコ(お、そう言う名前だったのか)、俺の好きにさせてくれ。みんなにも苦労かけた。最後まで付き合ってくれたことに感謝するぜ」
朝男、強引に札束を山崎に渡し、再び少年院に向かって進撃を開始する。
朝男「俺たちはまだ負けたわけじゃねえ、いつかきっと大人たちが真っ青になるような、どでかいことしてやろうじゃねえか!」 景子の結婚式の前日、ヒロシがスクーターに乗って、得意先の集金に出掛ける。その様子を、不良っぽい若者が物陰から怪しい目付きで見詰めていた……。
果たして、ヒロシは集金した50万もの金を、その若者を含めた昔の不良仲間に奪われてしまう。
実はこれも、少年院からモナリザが指示してやらせたことなのだった(よね?)
ヒロシがなかなか店に戻らず、心配する景子。
普段から二人のことを色眼鏡で見ている奥さんは、すぐヒロシが売掛金をネコババしてトンズラしたのだと決め付け、速攻で警察にテルしようとする。
景子は街中で途方に暮れているヒロシを見付け、一緒に店に戻ってきてありのままを打ち明ける。

奥さん「荷物まとめて出てってよ」
ヒロシ「社長、お金は俺が働いて返しますから」
景子「私も今まで以上に働きます」
奥さん「そんなボテ腹でどうやって働くって言うの」
景子「子供は、子供は堕ろします!」 景子、遂にそんなことまで言って、店において貰おうとするが、

奥さん「ふん、何処まで本気なのか信用できないね。今日限りで出てってもらってよ!」
丸林「……」
突然の事態に、景子はぽろぽろ涙をこぼすのだった。

景子の身にそんなことが巻き起こっているとも知らず、修学旅行の夜のような雰囲気で、お喋りしている笙子たち。少なくとも、このシーンだけ見たら、少年院って毎日修学旅行に来ているような気分を味わえて悪くないかもと思ってしまう。

麻里「今度は笙子の番だね。笙子には哲也さんと幸せになって貰わなくちゃ」
笙子「麻里、バカ言ってるよ」
トキ子「照れることないさ。景子の結婚式には出られないけど、笙子の結婚式には私も出たいよ。招待してくれるよね」
さと子「私も」
弥生「私も」
みどり「俺も!」
笙子「勿論、その時が来たらみんなを招待しちゃうから!」
飛び切りのスマイルで請け負う笙子だったが……、「その時」が遂に来なかったことを思うと、目頭が熱くなる管理人であった。

そんなことを言われたせいか、床に付いた笙子は、哲也との結婚式のことを想像して悶々とするのだった(註・してません)。
これも、現実にはかなえられなかった夢だと思うと、泣けてくる。
どうでもいいが、この二人、なんで走ってるんだろう?
だが、ちょうどその頃、朝男たちが少年院に到着していたのだ。
だから、バイクの騒音で教師も気付けよ。
と、その前に、管理人も忘れがちな恭子さんの身の上にも、とんでもない不幸が起ころうとしていた。
このことが、終盤の盛り上がりにつながり、悲劇的な結末の原因にもなるのだが、正直、このエピソードは要らなかったと思う。

簡単に言うと、保育園で恭子が世話をしていた子供が、突然死してしまったのである。

病院でおろおろしている恭子のところに、いつも暇な男谷弁護士も駆けつける。
悪いことに、子供の両親と言うのが、これまた絵に描いたような極道モノで……、ほんともう勘弁して下さいと言う感じに話は転がっていくのであったが、詳しいことは18話以降で。
ところで、この父親、何処かで見たことあるなぁと思っていたら、「恐竜戦隊コセイドン」で、ゴウの厳格な先輩を演じていた人だった(知るか)。

朝男たちは易々と少年院の中へ忍び込み、眠っている笙子にナイフを突き付け、密かに連れ出そうとする。

麻里がそれに気付いて止めようとする。
麻里「朝男、笙子はあんたに渡さないよ!」
以前は「笙子、朝男はあんたに渡さないよ」みたいなことを言っていたのに、変われば変わるものである。
今の麻里にとっては、朝男より親友の笙子の方が大事なのだった。

朝男「麻里ぃ」
麻里「笙子は哲也さんと幸せになるんだ。あんたなんかに渡したたまるかーっ」
朝男「邪魔するな、ぶっ殺すぞ」
麻里「殺すなら殺せ、笙子を渡してたまるか!」 必死の形相で朝男にしがみつく麻里だったが、朝男は竹刀で麻里を打ちのめす。
が、その騒ぎで八千代たちも廊下へ出てきて、またまた大乱闘になる。
元気が良いね。

朝男、笙子を連れて庭へ出る。
八千代たちが追いかけてくるが、朝男はひとりひとり竹刀で殴り倒す。
八千代の山本理沙さん、後の「スクールウォーズ」では、朝男の松村雄基さんに惚れ込む役だったけどね。
朝男の野望が達成されるのも間近だったが、そこに立ちはだかったのが、意外にも園長だった。

朝男「誰だ、貴様」
園長「東京流星会の西村君か、当学園の園長、丹波だ。こうして君たちと一緒にいると楽しいねえ。へっはっはっはっ」
朝男(やべえ……)
園長の狂気を帯びた(註・帯びてません)高笑いに、さすがの朝男も足がすくむ。
園長「昔を思い出すよ、ワシは昔、ゴリラと呼ばれて恐れられていた、ゴリラなんだよ!」 朝男(じゃあ、ただのゴリラじゃねえか)
……間違えました。
園長「ゴリラと呼ばれて恐れられていた不良なんだよ!」
このドラマに出てくる人、ほとんど不良関係者である。
朝男の部下が襲い掛かるが、柔道の心得のある園長はめちゃくちゃ強く、次々と彼らを投げ飛ばして行く。

朝男も、あっさりその腕を取られてしまう。
園長「西村君、年貢の納め時だ。これからは君の持つその恐るべきエネルギーを何か他のことに使うことを考えるべきだな!」
このまま何事もなければ、朝男はこの場で警察に引き渡されて、不良ゴッコも終わりになるところだったが、ここでも、モナリザの指図を受けた白百合組が余計なちょっかいを出してくる。
闇の中から、石灰のような目潰しが飛んできて、園長を狼狽させる。
その隙に、朝男は笙子に当身を食らわせ、彼女を担いで去って行く。
しかし、彼女の体を抱えたまま、塀を乗り越えるのは無理だったと思うけどね。
ただし、山崎以下、朝男の部下は全員捕まる。

江田「曽我笙子は、もう戻らないかもしれませんよ」
園長「いや、そんなことはない。笙子君は必ず戻る! 自らの意志で必ずここへ戻ってくる。それは私の確信だ」
ラスト、結局子供が助からず、両親に土下座して謝る恭子さんの、笙子拉致事件とは
全く関係のないシーンを映しつつ、18話へ続く。