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「ウルトラセブン」傑作選 第24話「北へ還れ!」 前編


 第24話「北へ還れ!」(1968年3月17日)

 市川森一脚本らしい、人間ドラマに重点を置かれて描かれたエピソードである。

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 北海道の雪景色をバックに、悠然と走る2両編成の列車。一幅の風景画のような美しさである。

 その中には私服を着たフルハシ隊員の姿があった。
 北海道に住む母親が病気だと言うことで、休暇を貰ってはるばる故郷へ戻ってきたのだ。

 駅に迎えに来てくれた妹マナ(山口奈々)と、雪に覆われた原野をジープで走るフルハシ。

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 だが、マナは母親の病気が、フルハシを呼び戻す為の嘘だったとあっさりばらしてしまう。
 マナ「母さん、どうしても兄さんに牧場継いで貰いたいのよ。あんなウルトラ警備隊なんか~」
 フルハシ「あんなー?」
 マナ「あんなウルトラ警備隊なんか辞めて早く帰ってきてくれると良いのにねえ~、って、でも兄さん、辞める気ないんでしょ?」

 フルハシは「あんな警備隊なんか、実を言うともう飽き飽きしてんだ」と心にもない言葉を並べ、妹を油断させる。さすがにマナは半信半疑の様子だったが……。

 果たして、フルハシは車の調子が悪いようだと言ってマナを車から降ろすと、

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 妹を置いてさっさと元来た道を引き返してしまう。

 マナ「待ってよ、兄さん、嘘つきーっ」
 フルハシ「おあいこだーっ」

 ……しかし、マナはそのジープで駅まで行ったんだろう? 帰りどうするの?

 その頃、北極上空を飛んでいた防衛軍のパトロール機が突然操縦不能になるという事件が発生していた。

 オーロラの中を突っ切っていくパトロール機の前方から、民間の旅客機が向かってくる。どちらもまるで誰かに誘導されているように。

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 結局どちらも回避行動を取ろうとせず、まともに衝突して大爆発を起こす。

 相変わらず見事な特撮である。

 防衛軍の飛行機と民間の旅客機が衝突すると言う前代未聞の事件について、マナベ参謀は「徹底的に調査しろ」とキリヤマに厳命する。

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 キリヤマ、北海道から戻ったばかりのフルハシにホーク3号で北極へ飛び、事件の真相を究明するよう命じる。
 キリヤマ「危険な任務だが頼むぞ」

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 その時、卓上の電話が鳴る。
 アンヌたちが、パッと電話に手を伸ばすが、ダンが逸早く受話器をゲットする。

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 ダン「へっへっ! この負け犬どもが!」(註・絶対、断じて、言ってません!)

 電話は、意外にもフルハシの母親ユキからだった。

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 フルハシ「母さん!」
 ユキ「どうしてもお前に還ってきて貰いたくて……今着いたんだよ」

 当時、毒蝮さんが「自分の母親とは思えないほど上品だ」と感嘆したユキ役を演じるのが、戦前のサイレント映画から活躍していたベテランの市川春代さん。

 特命を受けた直後のフルハシ、弱り果てて「またあとで」とあっさり電話を切ってしまう。さすがにそんな奴はいないだろう。最低限、何処のホテルに泊まるかぐらいは聞いておけよ。

 フルハシを母親に会わせてやろうと、ダン、アマギ、ソガが競うように「自分が行く」とフルハシの代わりに北極へ行こうとするが、

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 フルハシ「ちょいと待った、皆さん方の友情は大変嬉しいんですがねえ、仕事は仕事、俺の分を横取されちゃぁ困るんだなぁ。アンヌ、お袋の方頼んだよ」

 フルハシは三人を呼び止めると、ホーク3号で基地を飛び立つ。

 ユキは、ダンとアンヌが(駅に?)ポインターで迎えに行き、基地の近くのホテルへ連れて行く。

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 あっという間に北極圏へ到達したホーク3号、本部からの指示で自動操縦に切り替える。
 ある灯台のそばを通り抜けると、灯台が怪しい光を放ち、ホーク3号の自動操縦装置が異常を起こす。

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 キリヤマ「ソガ、調査地点までの距離と時間は?」
 ソガ「5760キロ、マッハ2.8で120分で着きます」
 キリヤマ(フルハシに)「普通操縦に切り替えて調査を続けろ」

 この速度と時間は、だいたい正確な数字のようである。

 一方、ダンはホテルのヨーデル喫茶店(ヨーレイヒー~♪と絶え間なく歌声が聞こえ、白樺をイメージしたような柱が使われている……)で、やや気まずそうにユキとお茶を飲んでいた。

 ユキが、フルハシにウルトラ警備隊を辞めさせ、北海道へ連れ戻しに来たと聞かされ、「そ、そんなぁ」と露骨に気色ばむ。
 ちなみにフルハシ隊員の名前がシゲルだと言うことが、この会話で判明する。
 (ファンタスティックテレビコレクションでは、何故かフルハシ圭太となっていたが)

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 そこへ深刻な顔でアンヌがやってきて、「ダン、すぐ基地へ帰って、フルハシ隊員が大変なの!」と、ダンに告げる。

 ダンはユキをアンヌに任せると、ポインターで基地へ戻る。

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 フルハシ、命令どおり自動操縦から手動操縦に切り替えようとするが、それが出来ないことに気付き、焦る。

 フルハシ「操縦桿が動きません……何かに誘導されてるようなんです」
 アマギ「これはただの事故じゃありませんね!」

 そこへダンが戻ってくる。キリヤマはホーク1号でフルハシの救援に向かうようダンに命じる。

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 あの怪しい灯台が七色の光を発し、ホーク3号のゆくてに人工的なオーロラをたなびかせる。

 そして、ホーク3号の反対側から、300人の乗客を乗せた旅客機が接近しつつあった。無論、その旅客機も灯台によって誘導されているのだ。

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 ソガ「隊長、北極地方に旅客機が飛んでます!」
 キリヤマ「なんだと、各地区に飛行中止を要請した筈じゃないか」
 ソガ「はぁ、その筈だったんですが……」

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 同じ頃、旅客機のパイロットもパニくっていた。
 機長「空路から外れてるぞっ!」

 機長役の外国人俳優の吹き替えは、マスオさん(増岡弘)だね。

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 ここで、騒ぎ立てる国際色豊かな乗客たちと、それを静めようとする日本人スチュワーデスの姿を映し出すのが芸が細かい。

 この1カットの為だけに、色んなエキストラを集めたのだ。

 キリヤマ「このまま行けばホーク3号と旅客機は正面衝突する」
 ソガ「旅客機には300名の観光団が乗ってるそうです」
 アマギ「コンピューターの計算では20分後に接触します!」

 キリヤマはフルハシを脱出させた後、時限装置でホーク3号を自爆させようとする。
 キリヤマ「時限装置を360秒前にセットしてすぐ脱出するんだ」

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 フルハシ、淡々と自爆装置のタイマーを360秒に合わせ、スイッチを入れる。

 そして、ベルトを締めて、脱出装置を作動させようとするが……反応しない!

 フルハシ「隊長、脱出装置が故障です!」
 キリヤマ「なにっ脱出できない?」

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 ソガ「隊長、フルハシ隊員の命が!」
 フルハシ「分かってる。自爆を中止したところで、いずれ正面衝突するんだ! ……だが、ホーク3号が自爆すれば旅客機は助かる。自分の命を犠牲にしても300人の命を助ける。それがウルトラ警備隊の使命なんだ!」

 キリヤマ、苦渋の決断を下す。

 まぁ、下すも何も、今の彼らにはどうしようもないんだけどね。

 キリヤマはアンヌに連絡し、ユキを基地に連れてくるよう命じる。

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 さて、あの灯台の中には案の定、悪い宇宙人がいて、近辺を通る航空機を特殊な電波と光線で操っていたのだ。
 
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 カナン星人「また1機、地球防衛軍のパトロール機が近付いている」
 カナン星人「北極は今や、われらカナン星人のものだということを思い知らせてやる」

 カナン星人、声はどちらも女性のもの。
 それにしても、北極を占領して何が楽しいのだろう? ホッキョクグマを独り占めしたいのだろうか?

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 ホーク1号でその近くにやってきたダン、本部と連絡しようとして特殊な電波に気付き、横に並んだスイッチを猛烈なスピードで弾いて、ホーク1号を急旋回させる。

 なんとなく好きなカットである。

 後編に続く。


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コメント

カナン星人って仮面ライダーに似ている気がします。
目が大き過ぎますが・・・

Re[1]:「ウルトラセブン」傑作選 第24話「北へ還れ!」 前編(03/23)  

影の王子様
>カナン星人って仮面ライダーに似ている気がします。
>目が大き過ぎますが・・・

そう言えばそうですね。

防衛軍偵察機空中衝突事故  

どうもご無沙汰しています。

>「防衛軍の飛行機と民間の旅客機が衝突する」と言う前代未聞の事件について、マナベ参謀は「徹底的に調査しろ」

>「地球防衛軍のパトロール機がこともあろうに民間の旅客機と事故を起こすなんて…こんな事は初めてだ!」とタケナカ参謀が怒るシーンの事でしょうか?。

「民間人を守る防衛軍のジェット機と旅客機の事故」と言えば「北へ還れ!」の放映から3年後に起きた全日空機雫石衝突事故と言う事件がありましたが、事故が発生した関係で「帰ってきたウルトラマン」の放送が1週延期になった出来事があったそうです。

>ダン「へっへっ!この負け犬どもが!」とダンが逸早く受話器をゲットする

電話の早取りシーンですが、ダンが皆よりいち早く受話器を取る場面は「オレ、先約」と言う雰囲気がありますが、管理人さんのブログを読むと「この負け犬どもが」と言っているような印象を感じますね。

その一方で「ホーク3号の異変→旅客機会社に飛行中止命令の指示が出ているのに北極地方を飛ぶ1機の旅客機が…」のシーンに流れる機長と副操縦士のやりとり(「空路から外れているぞ…!?」と言う機長→「一体どういう訳なのか、訳がわかりません。突然、操縦不能になったのです!」と答える副操縦士)やパニックになる乗客たちのシーンも見ているだけで空中衝突しそうな緊迫感が伝わってきました。

ウルトラセブンにおける市川森一脚本といえば、「北へ還れ!」や「ひとりぼっちの地球人」「盗まれたウルトラアイ」以外に宇宙ステーションV3のクラタ隊長が初登場する「V3から来た男」がありますが、こちらの回のレビューを読むのが今から楽しみです。

Re:防衛軍偵察機空中衝突事故(03/23)  

マシンX2000様
>どうもご無沙汰しています。

お久しぶりのコメント嬉しゅうございます。

>「民間人を守る防衛軍のジェット機と旅客機の事故」と言えば「北へ還れ!」の放映から3年後に起きた全日空機雫石衝突事故と言う事件がありましたが、事故が発生した関係で「帰ってきたウルトラマン」の放送が1週延期になった出来事があったそうです。

そんなことがあったんですか。
飛行機の事故は怖いです。

>電話の早取りシーンですが、ダンが皆よりいち早く受話器を取る場面は「オレ、先約」と言う雰囲気がありますが、管理人さんのブログを読むと「この負け犬どもが」と言っているような印象を感じますね。

争って電話に出たがるというのがなんか子供みたいで可愛いです。

>ウルトラセブンにおける市川森一脚本といえば、「北へ還れ!」や「ひとりぼっちの地球人」「盗まれたウルトラアイ」以外に宇宙ステーションV3のクラタ隊長が初登場する「V3から来た男」がありますが、こちらの回のレビューを読むのが今から楽しみです。

頑張ります。

凝った演出

わざわざワンカットの為に外国人のパイロットや乗客をエキストラに入れているのは割合贅沢なシーンですね😅凝った演出ですね

Re: 凝った演出

良心的ですよね。

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