立ち上がれ平和の使者たちよ「大戦隊ゴーグルファイブ」第45話 前編

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　第45話「二人のブラック！」（1982年12月18日）

　気がつけば、「ゴーグルファイブ」もこれが最後の単発エピソードとなってしまいました。

　冒頭、ＲＸ-7でパトロール中のブルーこと青山、道端に倒れている女性（JACの志村忍）を見付けて助けようとするが、それはタヌキモズーが化けていたもので、逆に、ナイフを振り回して襲い掛かってくる。

　青山、女を追ってたぬきの石像が並ぶお寺へ踏み込むが、そこでタヌキモズーとその配下の忍者戦闘員が待ち受けており、青山もゴーグルブルーに変身して激しい戦いとなる。

　だが、彼らの狙いは青山を倒すことではなく、変身した姿を写真に撮ることらしかった。

　
　マズルカ「ゴーグルブルー、お前が最後、これでゴーグルブルーは全員、私のアクションカメラで収めさせて貰ったよ、タヌキモズー、退けーっ」

　アクションカメラって……

　本部に戻ってそのことを報告する青山だったが、他のメンバーも似たようなことを経験していたことが分かる。
　黒田「奴らの今度の狙いはなんだ？」
　赤間「そいつが問題だな」

　
　デスダークのアジトでは、マズルカのアクションカメラが撮ったメンバー5人の写真のスライド鑑賞が行われていた。
　マズルカ「これがリーダーの赤間健一、ゴーグルレッドに変身、得意の武器はレッドロープ……」

　過去44連敗しながら、今更そんな基本的な情報を再確認しているのかと、デスダークの将来が心配になるが、これは変身能力に長けたタヌキモズーに、5人のデータを教えているところなのだ。

　一通り写真を見せた後、
　マズルカ「どう？　誰に化けやすい？」

　
　タヌキ「誰でも同じです。タヌキ忍法、ドロドンパ！」

　タヌキモズー、忍者のように印を結んで叫ぶと、白煙の中から赤間そっくりになって登場する。

　
　その本人としか思えない……ま、本人なんだけど……精悍な眼差しに、思わずたじろぐマズルカたち。

　
　ここで急に表情を緩め、「へへー、どんだもんだい！」と、タヌキモズーの声で叫ぶ。

　
　タヌキ「ゴーグルレッドだぁっ」

　こういうシーン、役者さんはやってて楽しいだろうな。

　できれば、タヌキバージョンのミキが見たかった。さぞや可愛かっただろう。

　
　ニセの赤間は、そのままゴーグルレッドに変身し、これまた本物なら絶対しないコマネチ！的な動きを披露する。

　スーツアクターさんも楽しかろう。

　
　タヌキ「どうだ、次は誰に化けて見せようか、うん？」
　マズルカ「ほら、声がまだよ」
　タヌキ「おっおう」

　マズルカに指摘され、思わず口に手をやるタヌキ。

　
　タヌキ「待った待った、急ぐな！」

　この画像だけ見たら、ヒーローが悪の人たちに「まーまー、押さえて押さえて！」とかなんとか言ってるみたいで、相当情けない。

　当たり前のことだが、スーパーヒーローはその動きひとつで印象がガラッと変わってしまうものだと、感心させられるシーンである。

　デスマルク元帥の作戦は、タヌキをゴーグルファイブのひとりに化けさせ、そのまま秘密基地へ潜り込んで基地を破壊しようと言うものだった。

　タヌキは、ターゲットをブラックに絞り、その細かい仕草や、声紋データを集め、入念にブラックになりすます準備を整える。
　ちなみに、タヌキが黒田の声を真似て喋るところは、春田さんが「ジャスピオン」のマッドギャランっぽく喋ってる感じになる。

　で、いよいよ作戦が実行に移される。
　……しかし、そんなに上手く変身できるのなら、ブラックの姿でめちゃくちゃ悪いことをして、ゴーグルファイブの社会的評判を落とす方が効果的だと思うけどね。

　とにかく、タヌキたちは5人を採石場へ引っ張り込む為、適当な女の子二人を攫う。
　すぐそれに気付いた5人が追いかけてきて、女の子を助け出し、忍者戦闘員たちと戦う。

　
　その最中、ブラックが4人から離れた隙に、タヌキがブラックに変身し、

　
　レッド「おう、ブラック、どうだった？」
　偽ブラック「ああ、もう一足のところだった」

　何食わぬ顔をして合流する。
　声も喋り方もそっくりなので、レッドたちも全く怪しまない。
　
　レッド「罠のようなニオイもする。ここは一旦引き揚げるか」

　
　が、帰りかけた5人の後ろから本物のブラックが現れ声をかける。

　ブラック「わりぃ、わりぃ、わっ、なんだお前？」
　ブルー「一体どうなってるんだ」
　ブラック「俺にだって分からんよ」

　この場合、本物の黒田はデスギラーたちが罠に掛けて、仲間のところへ戻れない状況を作っておかないと、身代わり作戦は成功しない訳で、デスダークのトンチキぶりが際立つシーンである。

　
　この後、本物とニセモノが互いに相手をニセモノ呼ばわりする定番シーンとなる。

　ピンク「全くそっくり、見分けがつかないわっ」

　
　確かにそっくりですね……ただ一点を除けば……

　まぁ、春田さんと同じ背丈のスーツアクターなんて、そう簡単にいるものではない。

　こうなったら実力で真贋を明らかにすべしと、二人のブラックが超人的な体術を駆使して一対一のバトルを繰り広げる。

　イエロー「腕も互角だなぁ」
　レッド「仕方ない、こうなったら、スーツを脱いで黒田に戻って貰う」

　

　

　
　二人のブラックは同時にバク宙をして黒田の姿に変わる。

　無論、真ん中の支柱を使って合成しているのだ。

　
　今度は、人間の姿で殴り合いを始める二人。

　ここは、細かくフィルムをつなぎながら、黒田とスタントが演じている。
　ターゲットが黒田でならなかった訳は、他の4人ではこういうシーンが撮れないからであった。

　後編に続く。