劇場版「スケバン刑事」（1987年）DVD その3

[Blu-ray] スケバン刑事 THE MOVIE 80’s Blu-ray 価格：7,991円（税込、送料別）

　
　イギリス留学の為、空港へ向かっていた雪乃の車の前に、ずぶ濡れのお京が現れる。

　
　雪乃も、少し見ない間にとても大人っぽくなった気がする。テレビ版の最初の頃は、顔パンパンだったからなぁ。

　
　在りし日の雪乃……。

　
　お京「サキに助けが要るんだよ。手ぇ貸してくれよ」
　雪乃「……」

　
　無言でお京を見詰めていた雪乃、ドアを開けてお京を乗せながら、
　雪乃「宮本、留学は取りやめます」
　宮本「お嬢様！」

　仕方なく運転席に戻る宮本。
　サキたちを陰ながら支えてきた宮本さん（鎌田功）、これがほんとに最後の出番となる。ご苦労様でした。

　で、矢島家の財力にモノを言わせ、

　
　次のシーンでは、早くも地獄島を臨む海岸の別荘風の建物で、合宿生活を営んでいるサキたち5人の女子高生。

　手作りのカレーを食べながら、唯が三晃学園の見取り図を使って説明している。

　
　唯「……グラウンドは5メートルの金網で囲まれちょって、ここには1万ボルト以上の電流が流されちょります」

　
　唯「そしてここの見張り塔には重火器が据えられちょります。つまりここは、完全な要塞島になっちょるということです」

　
　雪乃「次は、私の立てた攻略作戦です。闇に紛れてゴムボートで島へ接近、島の裏側の崖の割れ目から侵入します。そしてサキさんとめぐみさんは生徒たちを解放、お京さんと唯さんは見張り塔を攻略して安全を確保して下さい。私は本土からの電源ケーブルを切断します。そして生徒たちに金網を越えさせ、ゴムボートで脱出します」
　サキ「島に予備電源はないがかね？」
　雪乃「問題はそこなんです」

　雪乃の予想では、たったの1分で、電源が復旧する為、その1分の間に生徒たちを逃がさなければならないというミッションインポッシブルな状況が予想されるのだった。

　
　食事の後、テラスから美しい夕陽を見ながら話すサキと雪乃。

　雪乃は、信楽老との戦いが終わってから、留学に備えた研修でずっと学校を休んでおり、二人が会うのも数ヶ月ぶりなのだった。

　サキ「また、雪乃さんに甘えてしまうことになったのう」
　雪乃「嬉しゅうございます。ずっと想像してましたの、いつか、サキさんとお京さんが私を迎えに来て一緒に戦おう、そう言ってくださる日のことを……」

　お京もふらっと姿を見せる。

　
　お京「あたいだってそうさ、退屈だけはゴメンだよ、そうだろう？」
　サキ「こがいな平和な時代にうちらムキになって……おかしいのう」
　お京「おかしかねえよ、今の時代、あたいらみたいな馬鹿が少な過ぎんのさ」
　雪乃「お京さんの仰るとおり、今が平和な時代とは本当は、見せ掛けだけなのかもしれませんことよ」

　何気に深い会話が交わされていたことに驚く管理人であった。

　その夜、潮騒に混じって車が別荘に近付いてくる音がする。

　
　お下げのサキがひょいと裏口から顔を出すと、意外にも西脇だった。
　西脇「道に迷っちゃった……」

　
　西脇は、持参したケースを開いて、サキに見せる。中には、ヨーヨーと装備一式が収まっていた。

　
　西脇「究極のヨーヨーだ。このヨーヨーは新超密度合金製だ。これまでの4倍の重量と16倍の破壊力を持つ。携行時はセーラー服の襟の陰に装着しておく。この特殊パッドが、受け止めた時の肩への衝撃を60パーセント吸収してくれる。だから、やたらに投げてはいかん。投げ過ぎると、腕と肩の筋肉が破壊され、骨が砕けて、再起不能になってしまう」
　サキ「西脇さん……」
　西脇「これが、俺にしてやれる全てだ」

　
　西脇「生きて帰れよ」

　西脇、サキの肩に手を置いて、「愛弟子」の無事を祈る。

　サキと別れた西脇は、暗闇指令のオフィスへ戻る。

　西脇「娘たちだけを、死地に赴かせる自分が、やりきれません」
　暗闇指令「……ある地下組織の整形外科医から入手した北時宗に関する整形手術のカルテだ。新しい顔がその写真だ！」
　西脇「三晃学園校長、服部！　娘たちを止めなければ……」

　服部の正体がやはりあの北時宗だと知った西脇は、急いでサキたちのところへ行こうとするが、
　暗闇指令「むわてぃっ！」

　
　西脇「あの恐ろしい男の元へやれません！」
　暗闇指令「他に手はないんだ。俺たちは動けん。娘たちに託すしか、手はないんだ」

　力なくつぶやいてソファに沈み込む暗闇指令と、凝然と立ち尽くす西脇。

　素朴な疑問なんですが……、なんで？

　まぁ、そう言う映画だからねえ。

　しかし、テレビ版では「長い間、日本を陰から支配してきたフィクサー」すらほぼひとりで撃滅しているサキだから、彼らがそんなに北時宗のことを憚り、サキたちのことを気遣うのは奇異に聞こえる。

　一応、北時宗の背後に、ある大物政治家が控えていると言う言い訳は可能だが。

　
　それはそれとして、深夜、5人はゴムボートで海を渡り、実に簡単に地獄城の聳える島へ上陸する。

　お揃いの色気のないウェットスーツを着ている5人娘。
　このシーンの撮影は12月で、なかなか厳しい撮影だったと思われる。南野さん、時折、マジで冷たそうな顔をしている。

　ウェットスーツをバッと脱ぐと、全員セーラー姿になる。

　これからクーデターをたくらむテロリスト集団の本拠地へ侵入しようとしているとは到底思えぬいでたちだったが、予告編で「5人のセーラー戦士」と言っちゃってるのでしょうがないのである。

　
　サキ「時間を合わせよう」
　お京「サキ、この時計動くのか？」
　サキ「当たり前じゃ！」
　雪乃「今7時ちょうどです。10分後にフェンスの電源を切断します。よろしいですわね」

　各自、時計をセットしていると、唯の持っていた目覚まし時計がジリリリリと鳴り出す。

　
　お京、落ち着いてベルを止めると、「3代目ぇ」と、唯の頭をはたく。

　その後、5人は手を重ね合わせると、サキ「みんな、生きて帰ろう」と、誓い合う。

　その4へ続く。