第36話「飛べ!レオ兄弟 宇宙基地を救え!」(1974年12月13日)
MACでは、その監視能力強化の為、MACウランと言う新しいエネルギー源が導入されることになった。

その燃料を(地球からMACステーションに?)運ぶパイロットに、ゲンが指名される。
高倉「君の任務は重大だ、慎重の上にも慎重を期してくれ」
久しぶりに登場の高倉長官(神田隆)も、ゲンに期待するところ大であった。
折も折、未確認非行物体接近の報が入る。直ちにマッキー各機で迎撃に出るが、相手は宇宙人ではなく明らかに地球の宇宙船であった。
宇宙船はエンジン部分が損傷しており、そのまま不時着……と言うより、地面に激突する。
中には宇宙服を着たパイロットがひとりいて、体に火が燃え移ってもがいていたが、ゲンたちによって救出される。

ビスが規則正しく並ぶ、スレート屋根を前景にして、病院の屋上で事件について話し合うゲンたち。
シンメトリックでなかなか美しい画面である。
ゲン「一体あの宇宙船の正体はなんなんでしょう?」
佐藤「現場からの報告では3年前にアトランタ星へ探検に向かったまま、行方不明になっていたもんだと言って来た」
ゲン(アトランタ星……あそこには卑劣な兇悪宇宙人が住んでると言われてるんだが)

そこへ久しぶりに台詞が貰えて嬉しい松木隊員が息を弾ませてやってくる。
松木「佐藤隊員、驚かないで下さいね、あの人、かすり傷ひとつないんですってよ」
基本的にいいところなしのMACだが、女性隊員の制服のデザインだけは○である。
と、彼らの眼下に高倉長官とその令嬢・あや子が連れ立って現れる。

入り口の横の「ちり紙」の自動販売機(?)が気になる。

二人はずんずん廊下を進み、ちょうど精密検査を終えて廊下へ出てきたパイロットと行き会う。
高倉「内田君じゃないか、やっぱり君は生きていたのか、良かった良かった」
驚喜して内田の肩を叩く高倉長官。
あや子も父親の肩に顔を伏せて嬉し泣きする。
奇跡の生還を果たした内田は、あや子の婚約者だったのだ。
高倉長官は、隊員たちを内田に紹介するが、ゲンは相手の顔を見た瞬間、それが人間ではなくアトランタ星人であることを察知する。
ゲン(貴様はアトランタ星人)
内田(ふっふっふ、ようこそレオ)

内田「よろしく、オオトリ君」
表面的には和やかに握手を求めながら、内田は(俺の正体を明かせば、お前の正体を明かす。いや、MACの隊長の正体もな!)と、テレパシーでゲンを牽制する。
無論、周りの人間には、二人がそんなやりとりをしているなどとは想像だに出来ない。
ゲンはすぐステーションのダンの所へ行き、内田のことを話す。
(画像は貼らないが、ゲンとダンが向かい合うシーンも左右対称を意識した絵作りがされている)
ダン「まずいな、たった今長官の推薦で明日からMACへ入隊すると決めたところだ」
翌日、早速地上からステーションへ、MACウランが運ばれることになる。

準備の合間に、ゲンは内田を、いや、アトランタ星人を問い詰める。
ゲン「貴様、何を考えてるんだ?」
内田「君と喧嘩をしに来たわけじゃないよ。君と同じように宇宙の平和を守りに来たのさ。仲良く頼むよ」
ゲン「貴様ぁっ」
内田に掴みかかろうとするゲンを、ダンが「ゲン、何をしてるんだ!」と制する。
無言で睨み合う三人の宇宙人。なかなかスリリングなシチュエーションである。

とにかく、万全の警戒態勢のもと、輸送作戦が開始される。
ゲンは内田とマッキー2号で発進し、途中でα機とβ機に分離する。ところが、β機の内田の超能力で、ゲンの乗るα機が操縦不能になってしまう。
内田はそうしておいて、自らβ機で失速するα機を受け止め、無事に着陸させる。
典型的なマッチポンプであったが、内田の評判は急上昇し、ゲンの評判はガタ落ち。
ゲンは必死に自分の責任ではないと主張するが、長官の怒りに火を注ぐだけであった。
高倉長官「言い訳はやめたまえ、調査の結果、機体には欠陥はないと出てるんだ。君は一ヶ月の謹慎だ!」
ダンも立場上、「内田君に礼を言いたまえ」とゲンに言わざるを得ない。

ゲン「ありがとう……」
内田「当然のことをしたまでですよ」 ゲン、この場でレオに変身してウルトラマントで内田の首を絞めてやろうかと思ったが、なんとか我慢する。
高倉長官「しかし、モロボシ君がMAC1の腕と折り紙をつけた君がこともあろうに操縦ミスとは……一体私は何を信じたら良いのだ?」 ゲン、この場でレオに変身してウルトラマントで長官の首を絞めてやろうかと思ったが、なんとか我慢する。
ここで内田が図々しく、自分がパイロットになると名乗り出る。長官は、飛びつくように未来の娘婿でもある内田に任せると言い出す。
ダンも初耳だったのだが、実は今日の作戦は囮作戦と言うか、予行演習だったのだ。本番は明日。

ダン「どうやら奴の目的はMACウランを使ってステーションを爆破することだ。最後の手段だ、奴を殺すんだ」
二人きりになってから、ダンはシビアな命令を下す。

その夜、高倉家では改めて内田があや子に婚約指輪を贈っていた。
高倉長官「それじゃ乾杯するかな、二人の幸多い将来を祝して……」
良い婿が出来たと、長官はご機嫌であった。
ゲンは悲愴な覚悟で高倉家の玄関先に現れるが、窓越しに三人の幸せそうな姿を見て、決心が鈍る。
ゲン(あや子さんはアトランタ星人を愛してるんだ……)

近くの公園のブランコに座り、ぼんやり考え込んでいると、自転車で百子さんが通り掛かり、ゲンのそばへやってくる。
百子「オオトリさん!」

ゲン「あっ、百子さん!」
百子さんの顔を見ると、たちまち明るさを取り戻すゲン。
後編に続く。