第13話「恐るべきUFOの正体」(1974年12月30日)
何もない山の中をジープで通りがかった陽と愛、愛の弟・健一たちの姿を見掛け、車を止める。

陽「あそこにいるの健一君たちじゃないか」
愛「また紙芝居のお姉さんにくっついて……」
陽「へー、珍しいな、若い女性の紙芝居屋さんなんて」

女「ここは宇宙の果てのアンドロメダ星雲、アンドロメダに住んでいる宇宙人達はとっても優しい人たちで前々から地球の人たちと仲良くなりたいと思っていました……」
この紙芝居屋のお姉さん、なかなか色っぽくて綺麗なんだよね。モデルみたい。
演じているのは中原伊緒さん。

女「そしてとうとうその日が来ました。アンドロメダの宇宙人は遂に空飛ぶ円盤を完成して地球へやってくることになったのです」

およそ紙芝居らしくないストーリーを、飴を舐めながら熱心に聴いている健一たち。
もっとも、手前左側の女の子はどう見ても全く関心がなさそうだ。
遠くから聞いていた愛は「バカバカしい」と鼻で笑う。
陽「いいじゃないか、愛、俺たちだって子供の頃は信じてたんだ」
愛はその場に残り、陽はジープを発進させてKSSの基地へ戻る。

健一「円盤はいつ来るの?」
女「それならもう来てるの、お姉さん、ゆうべ、この目でちゃあんと見たんだから」

すっかり紙芝居屋の話を真に受けて興奮気味の健一を、愛が「いい加減にしなさい!」とたしなめる。
愛「円盤なんてきやしないわよ。紙芝居のお姉さんには悪いけど、空飛ぶ円盤なんて単なるお話よ」

女「そうでしょうか、お姉さんはKSS隊員だからそう考えられるのも無理ありませんけど、空飛ぶ円盤は決して嘘ではありませんわ」

女「その証拠には……あれを御覧なさい」
女が自信たっぷりに指差した方を見上げると、山の中から巨大な球形の飛行物体が確かに浮かび上がって来たではないか。
それにしても、ほんとこのお姉さん、綺麗だわ。話し方も、ちょっと舌足らずの感じで可愛い。

愛はその話をKSSに持って帰るが、岩井や譲司は口を開けて大笑いして嘘だと決め付ける。
ベタベタな反応やねえ……。

愛「嘘じゃないんです、あたしも確かにこの目で見たんです」

譲司(愛の胸を凝視してから)「バカバカしい、いくらUFOばやりだからって」
岩井(愛の胸を凝視してから)「おうおう、しっかりしろよ、愛はKSSの隊員だぞ」
愛「でも……」
ここで陽が割って入り、愛に味方する。
陽「ガンさん、そりゃ少し言い過ぎですよ。愛や健一君たちだけじゃない、日本のあちこちで円盤を見たって人は大勢いるんです。
現に北海道では宇宙人とお茶を飲んだって言う人さえいるんです」
当時、そんな嘘つきがいたんだろうなぁ。
さて、健一はそのままお姉さんのそばに残り、再び円盤がやってくるのを待っていた。

健一「本当に円盤はこっちへ来る?」
女「もっちろんよ、アンドロメダの宇宙人は子供たちとの約束は必ず守るんだから」
などと言ってると、本当に円盤が再び飛んできて、健一たちの眼下の河原に着地する。
陽たちも、基地からその映像を見て驚いていた。
陽「やっぱり、空飛ぶ円盤ってのは本当にあったんだな」
村野「待てよ、その結論はまだ早いぞ」
岩井「と、仰いますと?」
譲司「博士はあれをロボット帝国の?」
村野「いや、そうだと断定する訳ではない。しかし我々はあの飛行物体の正体を確認する義務がある」
村野は、岩井たちにKSSバードで出撃を命じる。

お姉さんに宇宙人に会ってみないかと誘われた健一は、手をつないで円盤に近付いて行く。
お姉さんの衣装も、ルパシカっぽいスーツに黒いブーツと、実に決まっているのだ。
是非、ロボット帝国の幹部としてレギュラー出演して欲しかった。
円盤は、KSSバードが接近すると、空中に浮かび上がっていきなりマシンガンで攻撃してくる。KSSバードが慌てて回避している隙に、円盤は健一とお姉さんの上に覆い被さるように着陸し、二人の体を飲み込んでしまう。
陽は何も考えずにマッハバロンで出撃したいと申し出て、村野も何も考えずにそれを許可する。
マッハバロンが現れると、陸軍参謀タンツが「たわけめ、さあ、ヤクートパンテルUFOよ、今こそお前の正体を見せてやるのだ!」と叫ぶ。
すると、丸っこい機体から、手足と頭が出てきて、たちまちロボット帝国の新型ロボットに変身する。
陽も応戦しようとするが、「ダメだ、あの中には健一君たちがいるんだ」と今更気付いていた。仕方なく、一時徹底するのだった。
その後、色々あり、愛は研究室から持ち出した強力なKS時限爆弾を提げて、ひとりで円盤に向かう。
健一のことで責任を感じた愛は、その爆弾で円盤もろとも自爆するつもりなのだ。

愛が近付くと、ハッチが開いてお姉さんが出てくるが、

頭を振って黒い髪をバサバサ揺らすと、

あっさりその正体を現わす。彼女はロボット帝国のサイボーグだったのだ。
……
少年の、いや中年の夢を奪うなぁーーーっ!!(管理人の久しぶりの魂の叫び)

彼らは愛を追加の人質として、喜んで受け入れ、健一の軟禁されている部屋へ連れて行く。
しっかり抱き合った後、
愛「ねえ健一、お姉ちゃんの話を良く聞くのよ」
健一「話ってなんなの?」
愛「健一、お姉ちゃんと一緒に死ねる?」 健一「死ぬの?」
ビジュアル的にはポップで明るいのに、時として、いきなり超ハードな展開になるのが「マッハバロン」の醍醐味である。

愛「この円盤に爆弾を仕掛け、爆発させるのよ!」
健一「お姉ちゃん!」
愛「ねえ健一、分かったでしょ? いいわね」
健一が頷くのを見てから、愛は持参のケースを開いて、時限装置のスイッチを入れる。
健一「マッハバロンも地球もこれで助かるんだね?」
愛「健一!」
健一「ボク、ちっとも怖くなんかないさ!」
村野は、マッハバロンの出撃を許可するが、

村野「この戦いには勝とうと思うな。二人を助けたいなら徹底的に負けることだ」
と、破天荒な訓示を与える。
つまり、マッハバロンが負けそうになれば、愛もマッハバロンを助けようとして、自爆をとりやめるのではないかという苦肉の策である。
マッハバロンはロボットの体にピッタリ張り付いて、一切攻撃をせず、ひたすら防戦に務める。
陽からの無線でそのことを知った愛は、このまま爆発させればマッハバロンも巻き込んでしまうことになると躊躇する。

陽は、ロボットを空中に持ち上げてから、二人にハッチから飛び降りさせ、それをKSSバードのネットで拾い上げると言う一か八かの作戦を決行する。
愛と健一は無事救出されたが、空中でKS爆弾が爆発し、マッハバロンの安否が気遣われる。
が、超合金バロニウム製のマッハバロンは、無事にその雄姿を愛たちの前に現わすのだった。
終わりです。