第5話「親星子星一番星」(1973年5月4日)
4話と5話は連続エピソードだが、4話は特に見所がないので省略。
かいつまんで言うと、欲に目の眩んだ興行師たちが、離れ小島で平和に暮らしていたキングトータス、クイントータスと言うつがいの亀の怪獣を捕まえて日本に運ぼうとしたが、途中で逃げられ、しかも彼らが怪獣の卵を食ってしまったことから、その復讐の為、怪獣が日本に来襲したのである。
5話の冒頭で、興行師たちは全員怪獣に殺され、怪獣もおとなしくなる。

だが、怪獣は残った卵を持ってオロン島に帰ろうと苦戦し、なかなか日本から出て行ってくれない。
朝日奈「このままだと、孵化するまで居座るぞ。何かいい知恵はないもんかねえ」

そこへ愛しの森山いずみ隊員が、さおりからの差し入れだと言って、バスケットに入った食べ物を光太郎に届けに来る。
で、またしても隊員みんなでそれをご馳走になるという、実にアットホームな時間となる。
たまたまそのバスケットを見た朝日奈隊長が、怪獣を帰す妙案を思い付く。

そこへ、スミス長官と鮫島参謀が来て、直ちに怪獣を殺すべきだと主張する。
鮫島参謀、誰かと思ったらレッドバロンのボスこと大郷実(大下哲也)ではないか。
上司の顔色を窺うようなことはしない朝日奈はあくまで亀を穏便にオロン島へ帰してやるべきだと譲らず、二人は立腹して帰ってしまう。
ZATは、朝日奈の立案した作戦に基づいて行動を起こす。

それは、取っ手の付いた巨大なゲージを用意して、その中に卵を入れ、怪獣に持たせてやろうと言う単純なものだった。だが、怪獣は卵を危険に晒したくないのか、ZATの思惑通りには動いてくれない。
結局、光太郎たちがホエールでゲージをつまみあげ、怪獣を誘導しながらオロン島へ向かうことになる。

飛び去っていくホエールと二体の怪獣をホッとした様子で見守る朝日奈と森山いずみ隊員。
そうじゃ、貼りたいだけじゃ。
光太郎は、無事に怪獣をオロン島へ連れて行き、仲良くじゃれあっている怪獣を見て笑い声を上げる。
だが、

ふと視線を転じると、水平線の上に何隻もの軍艦の姿が浮かび上がる。
そう、結局スミス長官の命令でアメリカの第七艦隊あたりが亀を殺しに来たのだ。

怪獣は、猛烈な艦砲射撃を浴び、のたうちまわる。
そんな時でも、キングトータスが、クイントータスを庇って仁王立ちするあたりが泣ける。
光太郎が必死に攻撃をやめるよう要請するが、無論、そんなことでやめるような連中ではない。
怪獣は、たったひとつ残った卵を口にくわえると、抱き合ったままオロン島と共に海の底へ沈む。
オロン島は海底火山の爆発で隆起したごく小さい島なのだ。

光太郎「連れてくるんじゃなかった、連れてくるんじゃ……」
悔やんでも悔やみきれないと言うように唇を噛む光太郎。
東京の白鳥家に戻った傷心の光太郎を、さおりと健一が笑顔で出迎えてくれる。
彼らは無事に亀怪獣がオロン島へ戻ったのだと信じ、口々にZATや光太郎の優しさを讃える。光太郎、亀たちの悲惨な最期を彼らに話すことも出来ず、心苦しくそれを聞いている。
だが、クイントータスは生きていて、再び東京へ舞い戻る。
しかも、砲撃の影響か、以前とはうってかわって凶暴な怪獣となっていた。
光太郎「頭に傷を受けている。それで狂ってしまったんだ」

鮫島参謀が早く出撃して怪獣を殺せと喚くが、朝日奈は容易に腰を上げようとしない。
光太郎「(凶暴な)怪獣にしたのはスミス長官です。無抵抗な亀を攻撃して狂わせしてしまったんだ!」
鮫島「黙れっ! 亀をオロン島へ連れて行ったのは誰だ? その責任はZATが負うと言った筈だな」
朝日奈も、黙って怪獣が都市を破壊しているのを見ている訳にもいかず、出撃を命じる。
光太郎もすぐタロウに変身し、怪獣を攻撃する。

近くからそれを見物しているさおりと健一。
と、クイントータスがくわえていた卵が落ち、その中からミニトータスが顔を出す。

鮫島「そいつは怪獣の子供だ。今のうちに叩き潰せ」
だが、タロウが両手を広げて、攻撃するなとZAT戦闘機に訴える。

朝日奈はすかさずマイクを奪って「攻撃中止」と指示する。
鮫島「攻撃を続けろ、命令は俺が出す……貴様、長官に反抗するのか」
朝日奈「攻撃、中止!」

ぐったりした母親怪獣に、生まれたばかりのミニトータスが寄り添い、盛んに鳴き声を発する。

タロウ、てっきりクイントータスが死んだものと、冥福を祈るような仕草をする。
この手前の団地の部屋部屋の細かい作り、凄いよね。
立ち尽くすタロウの胸に「何故クイントータスを殺したんだーっ」と言う健一の叫びが突き刺さる。
と、今度はキングトータスがいきなり飛んできて、ミニトータスを背中に乗せてから、タロウに猛然と襲い掛かる。

一方で、キングトータスは特殊な光線をミニトータスに浴びせて、たちまちミニトータスを親と同じくらいの大きさにしてしまう。
この手前の、公園の作り込みとかも、呆れるほどに丁寧である。
普通、そこまでやるか?
今度は二体の怪獣に攻撃されるが、タロウは反撃しようとしない。
タロウ(この親子亀を攻撃することは出来ない。俺には出来ない! 一体どうすれば……)
ここでタロウは、死んだようにぐったりしているクイントータスの体を持ち上げ、真っ直ぐ上昇する。
キングトータスとミニトータスも追いかけようとするが、ミニトータスはまだひとりでは飛べず、しかもおっきくなっちゃったので、キングトータスが背中に乗せて運ぶのも難しい。

と、その時、全く何の前触れもなく、ウルトラセブンが飛んでくるのである。
いくらなんでも唐突過ぎだよなぁ。
セブンはミニトータスをおんぶすると、タロウを追って飛び立つ。
キングトータスもそれに続く。
荒垣「分かった、ウルトラ兄弟は亀の親子を何処かへ連れて行くつもりなんだ」
宇宙空間まで行くと、タロウは怪獣親子をセブンに引き渡す。
タロウ「お願いします」
セブン「分かった」
セブンは鎖で親子三人を結んで、彼らが安心して過ごせる場所へ引っ張って行く。
飛んでいる途中で、クイントータスもぱくぱくと口を動かしているので、結局まだ死んでいなかったらしい。

ラスト、土手の上からライトブルーの空を見上げるさおりと健一。
健一「亀の親子は何処に行ったんだろう」
さおり「さあ、何処へ行ったのかしらね」
うう、朝加真由美さんのあどけなさが堪らん。

ついでにそのミニスカから伸びる脚が堪らん。
光太郎「亀の親子は宇宙へ行ったんだ」
健一「光太郎さん、宇宙の何処へ行ったの?」

タロウ「恐らくウルトラの星へ……この地球上にあの亀の親子が安心して暮らせるところはない」
健一「そうかウルトラの星へ行ったのか」
さおり「平和に暮らせると良いわね」
健一「あっ、亀の親子が見える!」
宇宙空間で楽しく遊ぶ三体の亀怪獣の姿を映しつつ、終わりです。
- 関連記事
-
スポンサーサイト