第34話「クビライの秘密」(1984年11月16日)
34話と35話は、17話と18話に続き、ムー帝国の謎やクビライの過去、伝説の戦士シャイダーにまつわる連続エピソードとなっている。
朝の小村家の風景。

良一「姉ちゃん、早く早く! 遅刻しちゃうよ」
陽子「待っててなんて頼まないわよ」
良一「ちぇっ、馬鹿みたい」
その場でピョンピョン飛びながら姉の作る朝ごはんを待っていた良一だが、痺れを切らして学校へ出掛けてしまう。それと入れ替わりに大ちゃんがダイニングへ入ってくる。

大「今日テストなんだろう? 早く行った方が良いよ」
陽子「いいの、いいの、沢村さんのためならたとえ火の中、水の中……0点になっても私、幸せ!」
フライパンで目玉焼きを作りながら、うっとりと宙を見上げながらつぶやく陽子。

大「えっ」
陽子「うふっ」
陽子、大ちゃんのことが好きで好きでしょうがないのだ。

が、朴念仁の大ちゃんは、そんな乙女心にまるで気付かず、陽子の不気味な笑みを見て、背筋に悪寒が走るのを感じるだけだった。

小次郎「大ちゃん、事件だ、事件! ……なんだ陽子、お前、おじさんが炊事当番のときは顔も見せないくせになんだ、お前は」
陽子「悪かったわね!」
続いて、新聞を手に小次郎さんがけたたましく飛び込んでくる。
あれ……、と言うことは、ここは小村家じゃなくて、小次郎さんのペットショップの2階の自宅だったらしい。つまり、陽子は良一と一緒に家を出たが、途中で小次郎さんの家に立ち寄り、炊事当番の大ちゃんの代わりに料理を作っていたと言うことか。
しかし、何の関係もない良一まで家に上がって待っているというのは変だよね。小次郎さんの家まで来たら、「私、用事があるからひとりで学校へ行きなさい」と、良一に言うのが自然だろう。
あと、小次郎さんの台詞では、まるで小次郎さんと陽子が親戚関係にあるようにも聞こえる。ただのペットショップのオーナーとバイトと言う関係の筈なのに。

大「小次郎さん、何か事件?」
小次郎「おっと、これこれ、世界最古のピラミッドか、三神山に学術調査のメス! 一万年も前の地層から金属板が発見されたんだって」
大「うん、何か書いてあるな」
小次郎「凄いですねー、一万年も昔にこんな金属板があったなんてねえ」
陽子「異星人が持ち込んだ、とでも言いたいんでしょ?」
小次郎「そう、そのとおりだ。一万年も以上も昔の金属板ですよー、こりゃもう、異星人以外に考えられません!」
重度のUFOマニアの小次郎さんは、そういうオーパーツは即座に「ゴルゴム、いや、宇宙人の仕業だ!」と決め付けてしまう癖を持っていた。
もっとも、今回の件に限って言えば、小次郎さんの憶測は事実を言い当てていたのだが……。
小次郎「と、すればだ、ムー帝国の存在も現実味を帯びてきますねえ」(なんで?)
小次郎さん、朝っぱらからテンションを上げまくっていた。

一方、フーマのクビライはテンションどころか、口から煙を吐きながら、呻き声とも叫び声ともつかぬ奇声を上げ続けていた。
目の前に神官ポーが、発掘されたナスカの地上絵のような形の黄金の金属板の写真を掲げて跪いている。
初めて見るクビライの異常事態に、ヘスラーもギャルたちも茫然とその様子を見守っていた。

クビライ「これ以上発掘させてはならん、これより、三神山に赴き、ピラミッドを破壊せよ……
あと、誰か換気扇回して!」
クビライは不思議獣カゲカゲを誕生させると、直ちにヘスラーたちを三神山へ派遣する。
三神山では、本島教授をリーダーとする発掘調査団が、石造りの入り組んだ通路の奥深くに入り込んで、さらなる調査を行っていた。
ヘスラーたちは入り口の前に張ってあるキャンプを急襲すると、ギャルたちにピラミッド内部に爆発物を仕掛けてくるよう命じる。

それぞれ爆弾を抱え、ピラミッドの中へ入っていくギャルたち。
今回もコスプレはないので、ギャル5の足の細さが確認できるこんなキャプを貼るくらいしかない。

それと、狭い入り口を抜けようと体を屈めながら入る際、ギャルたちのレオタード風のパンツがチラッと見えるカットくらいかな。

ギャル5「5、よし」
ひとりひとり決められた場所に時限爆弾を設置していくギャルたち。
なんだかんだでギャル5は綺麗なのである。
と、ギャルが設置完了を報告していると、向こうから大ちゃんのジムニーが近付いてくのが見える。
ピラミッドが車で直接来れるようなところにあると言うのは、いささか秘境感を損なっているが……。
ヘスラーは、一石二鳥を狙って転がっている隊員たちの死体(?)を片付け、大ちゃんをピラミッドの中に誘い込もうとする。

大ちゃん、テントの中に誰もいないのを怪しむが、とりあえず中に足を踏み入れる。
しかし、途中で時限爆弾のタイマー音に気付き(スイープ運針にしとけ)、連鎖的にしょぼい爆発が起きる中を全力で疾走する。
これは別に演じているのがアクション苦手の大ちゃんだから控えめな爆発にしているのではなく、洞窟の中でそんな激しい爆発を起こせる筈がないからである。

走りながら焼結し、激しい爆風と共に入り口から飛び出すシャイダー。
その後、フーマの戦闘機と戦ってから、バトルシャイアンで地中を進み、ピラミッドの中に閉じ込められていた本島教授たちを救出する。

ヘスラー「申し訳ありません、またもやシャイダーめに邪魔をされてしまいました」
クビライ「金属板のほかに発掘したものは?」
ヘスラー「さあ、そこまでは」
クビライ「探るのだ。ピラミッドからの発掘品はすべて奪い取るのだ」
ヘスラー「ハーッ!」
考えたら、クビライって部下の失敗を責めることってまずないよね。あまたの「悪の組織」の首領の中でも、ここまで寛容なのは他に思い当たらない。無論、十面鬼ゴルゴスの
「とりあえず死刑ね」よりはマシだが、あまりに優し過ぎるのも物足りない気がする。

ヘスラー「ギャル軍団!」
ギャルたち「はっ!」
ヘスラーの号令に、一斉に立ち上がるギャルたち。
なんだかんだで、若い女の子たちの足は良い! 太かろうが細かろうが。
ヘスラーたちが出撃した後、ポーはその場に残ってクビライにものといたげな視線を向ける。

クビライ「何をじろじろ見ているのだ?」
ポー「何故そのように発掘品にこだわるのですか。金属板の写真をご覧になったときの大帝王様のうろたえぶり、私には解せません」
クビライ「う、ううーむ」
ポー「教えてください、大帝王クビライ様、何故ピラミッドの発掘品にそれほどまでに?」

クビライ「わしの恥が埋め込まれているからだ」
ポー「大帝王様の恥?
中二の時のポエムとか?」
クビライ「今まで黙っていた。話したくなかったからだ。でも、もう黙っているわけには行くまい。話すときが来たようだ」
クビライの言葉に、ポーは杖を床に置いて方膝を立て、拝聴する姿勢を取る。

クビライ「あのピラミッドは戦士シャイダーの墓、そんな気がする」
ポー「戦士シャイダー?」
クビライ「ムー帝国は戦士シャイダーに滅ぼされてしまったのだ。そもそもムー帝国とはフーマの一植民地だったのだ。今から1万2000年も昔のことだ。我がフーマの政治の狙い通り、ムー帝国は悪の花が咲き乱れ、日夜享楽に耽っていた。地球人どもも堕落の味を覚え、まるで虫けらのようであった。そこへきゃつがやってきた。戦士シャイダーが銀河の彼方から……」

クビライ「戦士シャイダーのためにお前の父や母は殺された。ワシは孫のお前を暗黒銀河へ脱出させた」
その時の様子が、例によってイラストで描かれる。

ポー「そのようなこと、初めて知りました。大帝王様が私のおじいさまであられたとは……」
クビライの突然のおじいちゃん宣言に、冷静沈着なポーも驚きを隠せない。
しかし、そんな大事なことを何で1万年以上もの間黙ってきたのか、謎である。もっとも、それまでのクビライのポーに対する態度には、確かに肉親のような温かさが感じられていた……。
クビライ「戦士シャイダーは堕落した地球人どもを解放し、世界各地に送り込んだ」
恐らく、ムー帝国の、すなわちフーマの高度な知識や科学技術を有した地球人たちが各地に散らばって、アステカやマヤ、イースター島などの太平洋を中心とした巨石文明を築いた……と言うことなのだろう。
クビライ「戦士シャイダーがワシに関する記録を残したとすれば一大事だ。ワシは一度きゃつに負けているのだ。弱点を握られておる」
ポー「その記録を宇宙刑事シャイダーが読むようなことにでもなれば……」
クビライ「良く聞け、ポー、今、人間社会は科学が限りなく発達し、物質は溢れ、人間どもは心をなくし、欲望の赴くまま、享楽に現を抜かしておる。我がフーマの思う壺だ」

クビライの台詞に合わせて、第二のムー帝国になりつつある、堕落し、腐敗しきった人間社会の様子がイラストで描かれる。
……
つーか、これって単にパンクやヘビメタの人たちが集会してるだけなのでは?
あと、レオタード着て元気に踊ってるお姉ちゃんも見えますが。
クビライ「もうすぐ第二のムー帝国が出現する。その時に……」
ポー「ここで宇宙刑事シャイダーに邪魔をされては……シャイダーめ、私がなんとしても!」
クビライの真意を聞かされ、いつになくポーが闘志を燃え上らせていた頃、

大ちゃんとアニーは、本島教授の自宅を訪ね、あの金属板を見せて貰っていた。
本島「戦士シャイダー、ここに眠る」
大「戦士シャイダー、そう書いてあるんですか?」
本島「うん、そう書いてあるからそう言ったんだよ。書いてないのに言い出したら、俺何言ってるのってことになるからね」 本島教授、和牛なみに屁理屈の多い人だった。嘘だけど。

本島教授を演じているのは、色んな特撮作品にゲスト出演してはひどい目に遭っている長沢大さん。
大ちゃんが、金属板をしばらく貸して欲しいと頼むと、本島教授はあっさりOKする。

だが、その時、教授の息子まさるの助けを求める声が響いたかと思うと、窓の一部に、カゲカゲに捕まったまさるの姿が映し出される。
本島「まさる!」
まさる「パパーっ!」
映像が消えると、今度はまさる本人が階段を駆け上がってくる。
無事だったのかとその体を抱き締める本島教授だったが、まさるはいきなりその体を突き飛ばすと、金属板の入ったケースに手を伸ばす。同時に、カゲカゲの姿に変わる。
それから、金属板をめぐるフーマとの戦いが延々描かれるが、特に見せ場(ギャル5の)がないのでカット。
色々あって、遂にポーは金属板を手に入れ、それに刻まれた文字を読み取る。だが、無論、そんな重要なことはヘスラーたちには告げず、自分の胸にしまっておく。
ポー(おじいさまが戦士シャイダーを恐れるわけが分かりました。でもこの恨みは私が必ず!)

色々あって、シャイダーはフーマのアジトのような場所で、鎖で手足を縛られた上、透明なケースの中に閉じ込められる。
ポー「ムー帝国は火炎に包まれて海に消えた。にくきシャイダーの為に……ふんっ! やがてお前の体は真空の中でばらばらになってしまうのです。お前は酸素の供給を絶たれて、不思議獣カゲカゲにとりつかれているのです」
ポーの杖から発射されるビームで、真空ボックスの中のシャイダーの酸素タンクがみるみる減っていく。
やがてシャイダーの視界もぼやけてきて、自分を見詰めるギャルたちの顔もピントが合ったり合わなくなったりする。

だが、最後に視界に入ったのが、見目麗しきギャル5のお顔だったので、
シャイダー「萌えーーーっ!!」 シャイダーはたちまち元気100倍、根性で真空ボックスを内側から破壊して復活する。
……嘘である。
本当は、
ナレ「エネルギーモニターのエネルギーを一気に集中放射しようと言うものであった」 と言う、これまた良く分からない方法でボックスを壊したのであった。

そのシャイダーに向かって身構えるギャル5が可愛いので貼ってと……、

戦いは不思議時空に移り、カゲカゲとの一騎打ちとなるが、

不思議獣、今回はポーの前座扱いなので、シャイダーブルーフラッシュも使わず、ビデオビームガンの直撃で爆死する。

ついで、必殺の念に燃えるポーとの戦いになる。

崖の上と下から、互いにビームを撃ち合ったりするが、どちらも致命傷を与えられず、そのうち不思議時空が消滅したため、勝負はお預けとなる。

ラスト、土管置き場に立っているシャイダーの元へ、アニーが駆けつける。
アニー「シャイダー!」
今回は、台詞も出番もほとんどなかったアニーであったが、やっぱりこの笑顔は最高です!
……と言う訳で、ムー帝国の謎の解明が大きく前進したものの、無駄にアクションシーンが多い、平凡なストーリーであった。
ムー帝国とかどうでも良いから(オイ)、ギャルにコスプレさせてくれ……。