第2話「哀しみの超電子星サクラ」 巨獣を求めて銀河を旅するジャスピオンたちの目の前に、幽霊船のようなスペースバスが現れる。ジャスピオン、アンリ、ミーヤ(珍獣)の三人はその船に乗り込んで調べるが、乗組員の死体があるだけで、特に変わった様子はない。

あれこれ喋りながら母艦に戻ってくる三人。
アンリ「気味の悪い船だったよなぁ」
ジャスピオン「単なる漂流船だよ」
アンリ「だけどさぁ、
おいら思うんだけどさぁ、あれ絶対幽霊船だよな!」
ジャスピオン「シッ、エンジン音が聞こえないか?」
アンリ「宇宙空間で聞こえるわけないだろ」 アンリ(塚田きよみ)さんの一人称は「おいら」なのです。くー、萌えるわぁ。
それはさておき、例のスペースバスが動き出した。ジャスピオンは追跡するが、ある座標まで来ると、スペースバスは忽然と消えてしまう。同時に物凄い引力で引っ張られ、その近くの星に不時着する。その星はピース星と言い、一面雪と氷に覆われた極寒の星であった。

着陸のショックで伸びている三人。
アンリ「ぷるるるうっ」 この、アンリが顔を左右に振って可愛い声を上げる仕草、要チェックです。

三人は防寒対策をして地上に下り、調査を続ける。
アンドロイドのアンリは必要ないだろと突っ込みたくなるが、このシーンでは実際に雪山でロケをしているので、これはアンリではなく塚田さんにとって必要なのだ。
彼らは例のスペースパスを見付けるが、再び蜃気楼のように消えてしまう。
そこへ、機械とも人間ともつかない奇怪な連中が現れ、ジャスピオンたちに襲い掛かる。応戦するが、アンリとミーヤが連れ去られてしまう。
その後、巨獣テッゴスが出現し、ジャスピオンは戦闘スーツをまとってしばし戦う。

ここの爆破ショットはかなり綺麗である。
ジャスピオンは惑星の地下に通じるトンネルを発見し、地下の居住区へ侵入する。
先ほどの不気味な戦士たちから逃げるうち、音楽ホールのようなところへ出る。

そこには音楽室に飾ってある肖像画のような(なんと言う貧困な発想だろう)おじさんがピアノの前に座っていた。彼がピアノを演奏すると、怪物たちは大人しくなり姿を消す。
このおじさんを演じるのは汐路章さん。
おじさん「案ずることはない。あなたと夢を、希望を共にする朋友です」
ジャスピオン「この星の住人か?」
おじさん「我が一族はここに居住区を定め、平和で楽しく暮らしていた。ところがある日悪夢が起きた。やつらがやってきて住み慣れた緑の大地(たいち)を死の大地(たいち)に変えてしまった。ワシの命ももう尽きてしまうだろう……」
ジャスピオン「やつらは?」
おじさん「恐らくサタンゴースが作り出したものであろう。サタンゴースが巨獣を甦らせ、難破船に命を与えた。あの船には……」
だが、最後まで言い終わる前に、再び化け物どもが彼らを襲撃し、ピアニストはジャスピオンを庇って刃を受ける。

ジャスピオン「しっかりしろ!」
おじさん「若者よ、星は……星は永遠に不滅、だ!」 あっさり死ぬおじさん。よく今まで無事だったな。
ジャスピオン(何を言うとるんだこのおっさんは) いろいろあって、ジャスピオンは星の更に奥深くに迷い込む。

彼の前に、「惑星探査船サクラ」とわざわざ日本語のプレートがつけられた機械が登場する。

と、その機械に鬼面のようなものを被った踊り手がオーバーラップし、ジャスピオンに語りかける。
「私はサクラ、人間に作られ、宇宙の果てに追いやられた。私はこの惑星にたどり着き、サタンゴースが命を吹き込んでくれた……機械帝国を築き、人類に復讐するのだ!」 ジャスピオンの背後に拘束されたミーヤと、機能が停止しているアンリがいた。しかしアンリはサクラに操られ、ジャスピオンに襲い掛かる。
ジャスピオンは戦闘スーツを装着し、アンリとミーヤを連れて脱出する。

地表に出たジャスピオンの前に、今度はサタンゴースが立ちはだかる。

先ほどの巨獣に凶暴化光線を放った後、さっさと帰るサタンゴース。お疲れ様です。
後は、ジャスピオンが戦闘ロボ・ダイレオンに乗って巨獣を倒すのみ。特に面白くないので割愛します。

最後、まだ完全に回復していないアンリ。
アンリ「おいら何故ここに?」
ジャスピオン「冗談じゃないよ。この俺を殺そうとしたんだぞ」
アンリ「そんなバカな」
ジャスピオン「しっかりしないと、スクラップにしちまうぞ!」
そう言いながらピース星で拾ってきたタコのような生物の死骸を突きつけておどろかす。

怒ったアンリ、タコを投げ返して、
「おいコラ、待て! チッ、言葉遣いに気を付けろよぉ、このタコッ!」 と、実に切れのいいタンカを飛ばす。
これはいささか乱暴すぎるけど、こういうところがアンリの最大の魅力なんだよね。ただ、当時の視聴者には理解されなかったのか、あるいは子供の父兄からクレームが来たのか、第2クールから普通の女性の言葉遣いになってしまうのは、前回書いた通りである。

サクラ「人類に警告する、人類に警告する……」
最後、メッセージを繰り返していたサクラが爆発し、それと一緒にピース星まで消滅してしまう。
それを見ながら、ジャスピオン、
「『星は永遠に不滅だ』とか言ってなかったっけ?」 と、言いません。
上原正三らしい、機械文明への警告を描こうとしたシナリオだったが、あまりうまく行かなかったと言う感じだ。劇中では説明されていないが、あのスペースバスは近くを通る宇宙船をおびき寄せるための餌だったのだろう。
つづく。