第18回「密航兄弟と人喰い恐竜」(1978年11月3日)
アバンタイトル。
白亜紀の森の中で、指揮官クラスのゴドメス兵が、ジェリコ司令官に作戦のプレゼンを行っている。
彼は、ティラノサウルスとディメトロンの頭部に脳波コントロール装置を取り付け、リモコンで操れる「殺人恐竜」に仕立てて、時間移住者たちを食い殺させようと画策していた。
ジェリコも最初は半信半疑だったが、実際に指揮官が恐竜を操って見せると納得する。
OP後、彼らは早速、その恐竜に時間移住者を襲わせ、無差別殺人を繰り広げる。
ゴドメスの目論見どおり、知らせを受けたタイムGメンは、直ちに白亜紀へコセイドン号で向かう。
だがその途中、時間軌道の中で、タイムマザーからの緊急連絡が入る。コセイドン号の中にメンバー以外の人間が、すなわち密航者が紛れていると言うのだ。
捜索すると、探険家の格好をした二人の子供が見付かる。一郎と二郎と言う兄弟であった。

バンノ「こらぁ、お前たちはここをどこだと心得とるんだ? 本当ならぶっ飛ばして、四つに畳んで、八つ裂きにして叩き出してしまうところなんだぞ」
アルタシヤ「隊長さん、もうそれくらいで許してあげたら?」
バンノ「いや、許さん! こういう時は徹底的に言っといてやらんとな」
いささか大人気ないと思えるほど、バンノは声を荒げてその小さな密航者たちを怒鳴りまくる。
だが、兄弟はまるで反省の色を見せず、バンノにガミガミ叱られても不貞腐れた顔をするだけ。

一郎「ちぇっ」
バンノ「おおーっ? なんだその態度は? まーったく、お前たちをこんな風に育てた親のツラが見てやりたいもんだ! おい、二人とも自分の名前を言ってみー!」
一郎「カイドウ一郎」
二郎「僕、二郎」

バンノ「カイドウ? とーどっかで聞いたような名前だな」
ゴウ「あ、長官ですよ」
バンノ「お、そうか、はん、同じ名前でもこうも違うもんとはねー」
一郎「でも、それはうちのパパだよ」
バンノ「なにぃ? それじゃお前たちは長官の?」
二郎「お兄ちゃん、ここの隊長さんが僕たちのことをいじめたって、パパに言ってやろ」
カイドウと聞いてもまだ平気な顔をしていたバンノだが、二人がまさしくその息子だと知ると、急に態度を軟化させる。

バンノ「う、うー、ま、待ってくれ! うん、そうじゃない、知らなかったんだよ。いやはぁ、歓迎、歓迎! 長官もお人が悪い、一言言ってくだされば良いのになぁ」
大人の駄目さ加減と、宮仕えのつらさを的確に表現した草野さんの演技が素晴らしい。

ゴウ「まったく、上には弱いんだから」
バンノ「なんだお前?」
ゴウ「なんでもありません」
中心にこういう上手い俳優がいると、レギュラー同士の掛け合いも実に楽しくなるのである。
ほどなく、コセイドン号は兄弟を乗せたまま白亜紀へ到着する。
バンノは直ちに総員を出撃させ、殺人恐竜に襲われているコロニーの救援に向かわせる。

バンノ「マザー、長官の息子さんたちはこのバンノが責任を持って預かったと伝えてくれんか?」
マザー「それは変ですね。長官の子供たちは全部女ばかりですよ」

バンノ「お、おい、女ー? ええい、あいつら、この非常時に!」
タイムマザーに報告したバンノは、兄弟がカイドウ長官とは何の関係もない子供だったことを知り、激怒するが、嘘が発覚するのを察知した兄弟は、その前にさっさとコセイドン号から逃げてしまっていた。
カイドウ長官、14話以降、(回想シーンは別にして)登場することはないのだが、その名前が口に上るのも、今回が最後だと思う。

一方、ゴウたちはコロニーにやってくると、人々を襲っている二体の殺人恐竜に空から火炎弾を撃ち込み、その隙に人々を避難させる。

と、逃げ遅れたビックラジィーが恐竜に捕まる。
テツ「マリ、モリィ、ロボジィーを助けてやってくれ」

モリィ「よし、マリ、アベック作戦と行こうぜ」
マリ「はいはい、モリィちゃん!」
美少女のマリが、何故かむさくるしい中年男モリィのことを好きで好きでたまらないが、女嫌いのモリィはいつも逃げ回っている……と言う、実に美味しい初期設定も、かなり早い段階で「なかったこと」にされてしまったのだが、このマリの台詞はその名残りである。
マリとモリィがもう一度空から威嚇攻撃すると、やっと恐竜はビックラジィーの体を離して逃げていく。
騒動の後、負傷したコロニーの人たちの手当てが行われている。

ゴウ「なんだって恐竜が人間襲ったりするんだ?」
モリィ「この辺は格別エサが少ないように見えんけどなぁ」
ビックラジィー「決まっておる。あれはゴドメスの仕業じゃ」
テツ「かも知れん」
ゴウたちは休む間もなく、今度は何処かへ行ってしまった一郎と二郎の密航兄弟の行方を捜索する。
しかし、彼らの心配をよそに、二人は白亜紀で恐竜見物に興じていた。彼らは元々その為に密航までして白亜紀に来たかったらしい。
その後、色々あって、漸くゴウたちは兄弟を発見するが、ちょうどそこへ、殺人恐竜ディメトロンが襲ってくる。ゴウたちがやむなく頭部を撃つと、恐竜はひっくり返って動かなくなる。

モリィ「そうか、恐竜の頭にメカ埋め込んで、人喰い恐竜として操作してるんだよ」
マリ「何て恐ろしいことを……」
だが、抜け目のない兄弟は、その隙にまた遁走してしまう。
そのまま恐竜に食われて死んでしまえ! と思ったのは管理人だけではない筈だ。

バンノ「あいつら今年に入ってからだけでも、古代エジプト時代、日本の平安時代、マヤ文明、それに今回の白亜紀、計4回も家出して密航しとる」
ゴウたちが一旦コセイドン号に戻ると、バンノは21世紀から取り寄せた資料を見せながら、あの兄弟が密航の常習犯だったと呆れたように話す。

ちなみにそこに出てくる資料のファイル、いくらなんでも手作り感あり過ぎ。
ま、まだワープロも普及してない頃だからね(当時のワープロのお値段は630万!)

モリィ「はー、大したモンですな」
バンノ「バカモン! つまらんことに感心する奴があるか!」
モリィ「はぁ……」
マリ「かと言って、ほっとく訳にも行かないしね」
モリィ、冗談ではなく本気で兄弟のバイタリティに感心したのかも知れない。
夜になっても、兄弟は暢気に恐竜ウォッチにいそしんでいた。
しかし、ろくに装備も持たない子供二人だけで白亜紀に長時間滞在して、恐竜や肉食獣、えげつない害虫などの被害を一切受けないというのはさすがに嘘っぽい。
もっとも、朝になる前に、彼らはゴドメス兵によって捕らえられてしまうのだが。

ジェリコは、ガルムスのブリッジに二人を連れて来させ、二郎の命と引き換えに、一郎にタイムGメンたちをここまで呼んで来るよう命じる。
弟を人質に取られてはさすがの一郎も従うしかなく、夜明け頃、コセイドン号に帰ってきて一部始終を告げる。
マリとモリィが空から一郎の案内でその場所へ先行し、ゴウとテツはファイタス1号で陸路を行く。
だが、一郎の案内した場所にガルムスの姿はなく、代わりに二郎が鎖でぐるぐる巻きにされて柱に縛り付けられていた。

モリィ「マリ、油断するな」
マリ「うん」
しかし、二人は待ち伏せしていたゴドメス兵にあっさり捕獲されてしまう。

背中に合わせに縛られたマリとモリィ、押されて尻餅をつく。
……是非、ここは、マリの正面から撮影して欲しかったところだ。他意はないが。

そこへもう一頭の殺人恐竜ティラノサウルスが現れ、モリィに迫る。
モリィ「図られたぞ! 人喰い恐竜だ。兄弟が危ない!」
モリィの必死の叫びがインカム越しにファイタス1号に伝わると、テツは迷わずその場からファイタスボンバーでゴウを射出する。

それにしても、ゴドメスの皆さん、わざわざモリィたちを恐竜に殺させずとも、自分たちの持っている銃でサクッと撃ち殺せば良いんじゃないの?
そう言う、ショッカーみたいな頓珍漢なことをやってると、案の定、コセイダーが飛んできて全てパー。

コセイダー、殺人恐竜となったティラノサウルス相手に苦戦するが、頭部に取り付けられたコントロール装置をキックで破壊すると、ティラノサウルスは正常な状態に戻る。
……と言っても、そもそも肉食恐竜なんだから、デフォルトで人間を食い殺しそうな気がするんだけど。

今回はジェリコ司令官も前線に出て来て、コセイダーと激しく剣で切り結ぶ。
司令官だけあって、ジェリコは剣技に優れ、身のこなしも軽やかであった。
一進一退の攻防の果て、コセイダーが必殺の卑怯技「時間よ止まれ!」攻撃を仕掛ける。

そして「プラズマキィィィック!」と言う、とりあえず言ってみただけと言う感じのライダーキックを放つ。
ジェリコ司令官、着任から間もないのにもう倒されてしまうのかと誰もが思ったその時、

コセイダー以外動けない筈なのに、キックが当たる直前、ジェリコの体がパッと消えてしまう。
コセイダーの時間停止攻撃が空振りした、劇中唯一のシーンである。
ま、ジェリコは初登場時も、亜空間に侵入できる恐獣ガリアスを出撃させているから、そういう能力に長けているのだろう。

ジェリコの声「ははははは、コセイダー、お前ごときにワシは討てん。Gメンともども覚えておくが良い。次は必ず息の根を止めて見せるぞ!」
コセイダー「くそう!」
ワルモノのお決まりの捨て台詞を残して去っていくジェリコであったが、残念なことに、次の19話であっさり倒されてしまう運命なのである。合掌。
密航兄弟を乗せて、21世紀へコセイドン号が帰還するところで終わり。