第28話「助八は敵か味方か」(1981年8月22日)
サブタイトルから分かるように、中盤から登場した助八(山田隆夫)に焦点を当てたエピソード。
ま、「助八は敵か味方か?」と言う設問に対しては、ほとんどの人が「どうでもいい」と答えると思うが……
冒頭、平和守備隊の司令本部にクリスタルモンガーと言う怪人が潜入、資料室の中に入り込み、

見事、「関東ミサイル基地配置図」とマジックで書いてある「関東ミサイル基地配置図」をゲットする。
うむ、小学生が書いたみたいで実に分かりやすい。
ブラックマグマはその地図を元に、平和守備隊のミサイル基地を次々と襲撃していく。
例によってサンバルカンが現れ、指揮を執るアマゾンキラーたちを撃退する。
一旦北極の機械帝国に引き揚げたアマゾンキラーに対し、ヘルサターン総統は太陽戦隊の新しい秘密基地の場所を突き止めろと命じる。
その手掛かりを妖術で探るヘドリアン女王の水晶玉に映し出されたのは、他ならぬ助八のにやけた笑顔であった。

次郎「太陽戦隊のメンバーなの、助八さんは?」
助八「その通り!」
エミ「まさかぁ」
まり「見えないわ、サンバルカンには」
その助八、サファリで仕事の合間に、レギュラーの子供たちに自分もサンバルカンの一員なのだと大嘘を付いて自慢していた。

助八「えーーーーー、これを見ろ!」
助八、待ってましたとばかり、わざわざ用意していた偽のIDを誇らしげに取り出して見せる。

正男「太陽戦隊のマーク入りだ!」
次郎「すげー!」
助八「なははぁー」
子供たちの賞賛の声を聞いて、至福の表情を浮かべる助八。
助八がそんな迷妄から覚めて、自分が「座布団を運ぶ為に生まれてきた男」だと自覚するのは、この数年後のことである。

エミ「でも、随分大きいのね、助八さん」
嵐山「御一同、何を騒いでいるのかな?」
まり「助八さん、太陽戦隊のメンバーなんだって!」
次郎「ほら、身分証明書だよ」
助八「こらこら、駄目だよ、みんなに言い触らしちゃ……」
助八、急に子供たちを店から追い払う。

朝夫「おい、助八、どういうつもりだ、こんなまがいもん作りやがって」
助八「これニセモノなの? じゃ、本物くれ」
朝夫「イーーーッ?」
助八「俺の目は誤魔化されないよ、みんな知ってんだから」
欣也「何を知ってるんだ?」
助八「あんたたち、サンバルカンだろう?」
朝夫「うわーーー」
助八「前からサンバルカンっぽいと思ってたんだよ」
図星を指され、飛羽たちも咄嗟に言葉が出ない。
助八、自分もサンバルカンのメンバーに加えてくれと単刀直入に頭を下げて頼み込む。

助八「お願いします、この通りです」
嵐山「……人間の思い込みってのは恐ろしいもんだ、憧れてるうちに俺たちがサンバルカンに見えてきたってワケだ」
飛羽「おい、助八、実は俺もサンバルカンに憧れてんだけどさぁ」
欣也「もしそう言うルートがあるんだったら俺たちも紹介してくれよ」
嵐山たち、ここは知らぬ存ぜぬの一点張りだと、空々しい文句を並べて切り抜けようとする。
みんなの白々しい言葉を聞いて、助八は大魔神のような怒りの形相になる。
助八「どうしてもシラを切るつもりだなぁ」
嵐山「助八、コラ、勝手な御託を並べてないで、出前でも行って来い!」
嵐山、とりあえず職場の上下関係を利用して、助八を追い払う。
……ま、サンバルカンの秘密を守る一番良い方法は、さっさと助八をクビにすることだと思うんだけどね。そうすればララァも喜ぶ。

ヤケになった助八、出前もせずに公園のベンチに寝転がってブツブツ言っていると、日傘を持ったスラッとしたドレス姿の女性が声を掛けて来る。
女「御一緒に来ていただけませんか、矢沢隊員」
これが22話以前だったら、ゼロワンの端正な艶姿が拝めるところなのだが、

あいにくそれは、美女と言うより猛女と呼ぶにふさわしいアマゾンキラーの変装なのだった。ぽてちん。
助八「矢沢隊員?」
アマゾンキラー「太陽戦隊の矢沢助八隊員」
助八「ああ、いやいや、大事なものを落としちゃって、これはどうも」
助八、バカバカしくなって投げ捨てた偽造IDカードを差し出されると、何の疑問も持たずにでれでれと笑み崩れながら受け取る。
おだてられてすっかり上機嫌の助八、アマゾンキラーの運転する車で、人気のない工場の空き地に連れて行かれる。

車から降りた途端、三人の迷彩服を着た女性が高所から飛び降りてきて、それぞれ得意な武器を構えて助八に攻撃を仕掛けてくる。
無論、ゼロガールズの変装だが、ちゃんと太陽戦隊のマークが胸に入っている。

助八は何がなんだか分からないままに、なんとかファイティングポーズを取って応戦する。
単なるコックに過ぎない助八がゼロガールズとまともに戦える筈はないのだが、三人は巧みな動きで助八に負けるふりを演じる。

ところで、このシーンの中で、何の取り柄もないと思われていたゼロスリーの宇田川由紀さんが、スタントなしで、勢いよく地面に背中を打ちつけるアクションを披露されていて、ちょっとびっくりさせられた。
何度コマ送りしても、フィルムのつなぎ目はないので、どう考えても本人だろう。
しかし、他の場面を見ると、動きものたのたしてとてもそんな芸当ができるように見えないのだが……

アマゾンキラー「さすが矢沢隊員、太陽戦隊で鍛えただけあって無敵でいらっしゃる」
助八「俺、そんな強いワケないんだけど……」
アマゾンキラー「実は私たち、太陽戦隊女性部隊なんです」
助八「そんなのあったっけ?」
アマゾンキラー「正式にはありません、でも近い将来、太陽戦隊を援護すべく、こうやって鍛錬しているのです」
アマゾンキラーはひたすら助八をおだて上げた上で、自分たちのコーチになって欲しいと言い、そのしるしとして、大きな半球状のブローチを助八の胸に付ける。
すべてはそのブローチを怪しまれずに助八に付ける為の芝居だったのだ。
すっかりその気になってサファリに戻った助八は、さっきとは別人のように自信たっぷりの態度を見せ、嵐山たちを唖然とさせる。

で、さっきのブローチは隠しカメラになっていて、サファリ内部の様子がアマゾンキラーのアジトのモニターに鮮明に映し出されることとなる。
アマゾンキラーは飛羽たちの顔を知っているので、それがサンバルカンだとすぐ分かるが、それを聞いたクリスタルモンガーは、アマゾンキラーの命令も待たずに部下を引き連れてサファリに向かってしまう。
……しかし、ブラックマグマはとっくの昔にサファリがサンバルカンの溜まり場だと知ってる筈なので、わざわざこんな手の込んだことをしてまで助八をスパイに仕立て上げる必要があったのだろうか? しかも、助八はただのコックなのだから、秘密基地への通路など知っている筈もないのだし。
あるいは、偽造IDを見たアマゾンキラーが、助八を本物の隊員だと勘違いしたということなのだろうか。

美佐「おかしいわ、このFM、もっとクリアな筈だけど……」
しかも、隠しカメラの飛ばしている電波のせいでラジオに雑音が混じり、すぐに飛羽たちに気付かれてしまう。飛羽、ブローチを毟り取り、すぐ壊す。
CM後、助八がサファリにひとりでいるところに、クリスタルモンガーたちが闖入してくる。

彼らは助八を捕まえた上で、店の奥に入り込んで秘密基地への通路を探す。
と、いかにも怪しげなドアを戦闘員が強引に開けるが、

その奥は何故かプールになっていて、戦闘員は勢い余って次々と水の中へ飛び込む。

戦闘員「ボクちゃんもー!」
最後に、ドアを開けた戦闘員も自ら身を躍らせる。

しかし、その後、クリスタルモンガーが助八を捕まえて「貴様、イーグルか、シャークか、パンサーか?」と、真顔で詰問しているのはどうかと思う。
アマゾンキラーたちは、クリスタルモンガーにサンバルカンの素顔を教えていなかったのだろうか?
怪人「サンバルカンになって私と勝負しろ」
助八「無理言わないでよ、私はこの店のコック見習いです」
怪人「ううむ、このアホを連れて行け」
こうして無事、「このアホ」はブラックマグマに連行される。

その様子を、嵐山たちは太陽戦隊の司令室のモニターで眺めていた。
美佐「助けなきゃ!」
嵐山「敵は助八をスパイとして利用しようとしている。だから殺されることはない」
美佐が叫ぶが、嵐山は、敵の考えが読めているかのようにキッパリ断言する。
しかし、次の日に、東京湾に助八の惨殺死体が浮かんでいたらどう責任を取るつもりだったのだろう?
さて、アジトに連れて行かれた助八は、手術台に乗せられて改造人間にされそうになる。
立場的には「仮面ライダー」第1話の本郷猛と同じだが、キャラクター的には月とすっぽん皇帝ほども違う。
そのまま行けば、助八が改造人間となってサンバルカンと共闘すると言う(悪)夢のような展開になっていたかも知れないが、アホの上にヘタレの助八、あっさり降参して彼らに協力することとなる。
もっとも、サンバルカンの枢機には全く関与していない助八が提供できるのは、「秘密通路の入り口がサファリのトイレにあるかも知れない」と言う程度の情報に過ぎなかった。
クリスタルモンガーは再度助八を連れてサファリへ。

確かに、トイレの中に秘密のエレベーターがあったが、クリスタルモンガーが乗ってボタンを押すと、一気に上昇してロケットのように空中へ射出されてしまう。
秘密基地への侵入を防ぐ防御装置が働いたというより、エレベーター自体、カモフラージュの為の設備なのだろう。
そこでクリスタルモンガーは、体をミニサイズに縮める能力を使って、水道管を伝って秘密基地への侵入を試みる。
……しかし、水道管を伝うにしても、まず秘密基地の所在地が分からないと無理なのではないだろうか?
また、それに対して、嵐山があらかじめ基地に通じる水道管のバルブを閉じていた……と言うのも、なんで嵐山がクリスタルモンガーの能力を知っていたのか、と言う疑問が湧く。
で、嵐山は、水道管のバルブを操作して、クリスタルモンガーを特定の場所におびき出す作戦を取る。
管理人、正直、途中から退屈のあまり眠くなっていたのだが、
美佐「行くわよー、そぉれっ!」 何の前置きもなく、プールサイドに立ってビーチボールを打つビキニ姿の美佐……と言う映像が出て来て、たちまち目が醒める。おはようございます。

海水パンツを履いた欣也や朝夫と、楽しく遊ぶ美佐。
どうやら、飛羽がバルブを操作して、クリスタルモンガーをこのプールに誘導するつもりらしい。
だが、美佐は作戦そっちのけで水遊びに興じ、
「400メートル泳ぎましょう」などと水泳部のコーチみたいなことを言い出す始末。
やがてバルブが開かれるが、美佐はプールに潜ったまま出て来ない。欣也と朝夫、そして飛羽が色めき立って美佐の名を呼ぶと、

通常の大きさに戻ったクリスタルモンガーが、美佐の肢体を抱えて水中から飛び出してくる。
無論、これはクリスタルモンガーが美佐を抱いたまま飛び込んでいるのを逆回ししているのだが、クリスタルモンガーに抱かれた美佐の体がちょっとエッチである。(キャプはこれくらいが精一杯である)

ぐったりした美佐の肉体を抱いたまま、「アマゾンの半魚人」よろしくプールサイドに立つクリスタルモンガー。
後は特に書くこともないが、長い、それはそれは長い戦闘ルーティンを経て、クリスタルモンガーを倒し、事件は解決する。
ラスト、助八が太陽戦隊だと信じた子供たちがサインをねだって群がるが、今度の一件で懲り懲りした助八は逆に「おいら、もう、太陽戦隊やめたんだよ」と言って逃げ出すのだった。
ところで、21話や24話、25話などと同じく、今回のストーリーも、サブタイトルと内容が合ってないような気がした。
「敵か味方か」とくれば、助八が何か不審な行動を見せ、太陽戦隊の身辺を探るようなことをして、それに対して嵐山たちが疑惑を感じる……と言うことになると思うのだが、実際には、アマゾンキラーに利用されて隠しカメラを知らずに持ち込んだり、脅迫されて多少情報を漏らしたりした程度だから、
「助八はスパイ?」くらいが妥当だったのではないだろうか?
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