第28話「交換殺人!狙われた由真!!」(1987年7月9日)

冒頭、夜の公園、丸太を組み合わせたアスレチック風の遊具のところで、数人の男たちと戦っている唯。

中心の大きな丸太の上に上がり、ロープを掴んで移動して、夜目にも鮮やかな白い太腿をあらわにして敵を蹴りながら、飛び降りる。
何気ないアクションだが、高い身体能力を持つ浅香さんだから出来ることで、歴代スケバン刑事の斉藤さんや南野さんには逆立ちしてもやれないのである。
その後も、ほとんどスタント抜きで高度な殺陣を披露して、男たち、黒鍬(くろくわ)四人衆と言う、いかにも弱そうな名前の影の刺客たちを撃退する唯であった。
だが、今回は影との戦いは添え物に過ぎず、メインストーリーは別に用意されている。
公園を立ち去る唯を、物陰からじっと見ている若い男。
男「俺の探していた人間だ……」

OPタイトル後、いつものように風間家の平和な朝の風景が映し出される……筈だったが、
唯「こんげな洗濯したの、結花姉ちゃんね?」
結花「ううん、昨日の洗濯当番は……」
由真「……」
2階から降りてきた唯、笑ってしまうほど見事に縮んでしまったセーターを広げて、険しい目付きで姉たちを睨み付け、早くも雲行きが怪しい。
唯「由真姉ちゃあん? どんっげしてくれるとねーっ! 3ヶ月も小遣い貯めて買って、まだ一度も袖通しちょらんとに……こんげに小さくなってからにぃ」
由真「私としては一生懸命やったつもりなんだけどぉ」
唯と目をあわせないようにしつつ、ぼそぼそと言い訳する由真。

唯「嘘ばっかりぃ! 姉ちゃんのセーターは奇麗に洗えちょるがね!」
由真「失敗は成功の元って言うでしょ?」
結花「由真、唯のセーターで試し洗いやったの?」
由真「だって、洗剤新しかったんだもん……」
大して悪びれるでもなく、自分の所業を確信犯的に認める由真の態度に、唯は怒りを爆発させる。
唯「ひどかぁ、この野郎!」
そう叫ぶと、由真のセーターを思いっきり床に叩き付けて、足でぐりぐり踏み付ける。
無論、由真もそれを黙って見ている筈がなく、風間家恒例の熾烈な兄弟げんかに発展しかけるが、結花が一喝してやめさせる。

唯「んっとに、由真姉ちゃんなんか殺したいごつある」
由真「結構じゃねえかよ、返り討ちにしてやるよ」
唯「ほんとに殺ってやろうかぁ?」 由真「お前にそんな度胸、あんのかよ?」
学校に向かう途中も、唯と由真は物騒な台詞の応酬を続けていた。
結花、無理矢理二人の間に割って入ると、由真の手を引いて先に行く。

由真「あっかんべーだっ!」
唯「いつか殺してやる……」
唯が、瞬間的に殺意を漏らした瞬間、
声「その殺し、引き受けましょう。ただし、その見返りとしてこちらの殺人を請け負って欲しい……」
と、何処からか男の声が話し掛けてくる。
唯「……」
声「振り向かないで! お互い知らない方が良い。何の動機もない殺人なら警察も調べようがないでしょう」
唯「なんのこっちゃ?」
声「まず僕から君の憎んでいるあいつを殺す」
唯「お前、誰じゃ?」
唯、思わず振り返るが、後ろにも前にも何の変哲もない星流学園の生徒たちが行き来しているだけで、声の主と思われる人物の姿は見当たらない。
唯「悪戯か……」
無論、それは悪戯ではなく、ある人物が唯に本気で「交換殺人」を持ちかけていたのだ。
しかし、このシーン、ちょっと変である。後に判明するが、声の主は別に風魔でも影でもない、要するに一般人だったのだが、ここでは、周囲の生徒たちには聞こえない声で、唯と会話している。
一体どうやって?
それはともかく、その後、嬉しいことに由真のクラスの体育の授業シーンが出て来る。

細い脚と、黒いブルマからはみ出す尻肉の取り合わせが最高なのです!

当時は、ブルマのデザインもかなり洗練されていて、こうして見ると、まるでシャツに黒いパンティーを履いているだけのようにも見えるではないか。

で、由真の姿を、近くのビルの外階段から双眼鏡で覗いている男がいた。
いやぁ、それにしても、由真以外にもたくさんの半ケツがよりどりみどりで、なんか見てるだけでこう、「生きて行こう!」と言う気にさせられる映像ですね。
コツは、なるべく下半身だけ見て、顔は見ないことですね。
何事もなく一日の授業を終えた由真、あの男に尾行されているとも知らず帰路に着くが、

途中、ブティックに寄って、なにやらセーターを物色していた。
由真「こっちかなー、どっちがいいかなー?」
そう、口ではああ言ったものの、なんだかんだで本当は仲の良い姉妹なので、唯の為に新しいセーターを買ってやろうとしているのだ。

店員「はぁいーっ!」
由真「あいつ、チビだし、色黒いしなぁ、やっぱこっちだなー」
店員「はぁいーっ!」
ちなみにその店の何を聞かれても笑顔で「はぁいーっ!」としか答えない、考えたらちょっと不気味な店員を、中真千子さんが演じている。
買い物を済ませた後、やっと由真は尾行されていることに気付き、「影か?」と、資材置き場に相手を誘い込み、逆に取り押さえる。それはサングラスを掛けた若い男だった。

由真「お前は、影か?」
男「……」
だが、男は由真の足を払って投げ飛ばしたり、由真のユリアン攻撃をスタンガンで封じたり、タダモノではない戦闘能力を見せる。
男はスタンガンをかざして由真を追い詰めていくが、その火花が燃料の詰まったドラム缶に引火してしまい、

由真はその奥へ飛び、男はカメラに向かって慌てて走り出す。

男の後方で激しい爆発が起き、

ドラム缶周辺が一時、火の海に包まれる。
……しかし、この手のアクションシーンは普通、イイモンが演じるべきもので、(この時点では正体不明だが)悪役がやると言うのは、なんか変だよな。
まぁ、スタッフとしても由真に演じさせたかったのだろうが、女優本人にやらせる訳にもいかず、かといって昼間の撮影なのでスタントでは顔バレしてしまう恐れがあるので、仕方なく、男優にやらせたのだろう。
それと、一応、ここで由真が生死不明と言うことになるから、男側の視点で描く必要もあったのだろう。
しかし、こんなところで由真が死ぬ訳がないので、視聴者に対してはあまり意味がないのだが。
とにかく、由真のことをただのスケバンだと思っている男は、その爆発で由真が確実に死んだものと思い込む。
その夜、なかなか帰宅しない由真を心配して、唯が捜しに出掛ける。

唯が公園にいると、背後に人の気配がする。
唯「由真姉ちゃん?」
男「振り向くな!」
唯「……」
男「交換条件は果たした、次は君の番だ」
唯「なんのことじゃ?」
男「君には星流学園番格・山田熊之介を殺してもらう」
唯「お前、何言いよるとかっ?」
溜まらず振り向く唯だったが、男の姿は植え込みの陰にあって見えない。
男「交換殺人による完全犯罪、俺は約束どおり、お前の憎んでいる女を始末した」
唯「わちが憎んでいる女……? まさか、冗談はいい加減にしない!」
男は植え込みから立ち上がると、唯の足元に由真を殺した証拠として金属性のユリアン棒を投げて寄越す。
唯「こらぁ、待たんかい!」
そのまますたすた立ち去ろうとする男に向かってヨーヨーを投げる唯だったが、由真の時と同じように、スタンガンの先端にヨーヨーが巻き付き、

男がスイッチを入れるとスタンガンの電気が逆流し、

唯はその衝撃で吹っ飛ばされる。
この時、唯の白いスカートの中に黒い下着っぽいものが微かに見えるのだが、恐らくブルマであろう。
男「完全犯罪のパートナーにふさわしいと思ったんだが……」
男は唯を利用することを諦め、倒れ伏している唯に近付いてトドメを刺そうとするが、そこへ心配になって駆けつけた結花の折鶴が飛んできたので、男は慌てて逃走する。
唯は結花の腕の中で気を失うが、

次に目覚めた時には、既に自宅の部屋の布団に寝かされていて、そばには結花だけでなく、由真もピンピンした姿で座っていた。
唯、目を覚ますとすぐに布団の上に起き上がるが、由真の存在には気付かず、

唯「由真姉ちゃんを殺した犯人が、わちが由真姉ちゃんを殺したかちゅったばかりに、わちが、わちが殺したようなもんじゃ……」
結花「唯?」
唯「わちが、わちが殺したようなもんじゃ……」
唯、てっきり由真が本当に殺されたものだと決め付け、自分の軽率な発言を大いに悔やむのだった。
などと言ってるそばから、由真が「おほん! うほん!」と咳払いして、自分の健在をアピールする。

唯「……なんまんだぶ、なんまんだぶ!」
唯、由真の姿を認めるが、今度は化けて出て来たのかと手を合わせてお経を唱えるのだった。

由真「ったくぅ、縁起でもねえ。リリアンの由真様は不死身なんだよ!」
結花「そうそう、殺したって死なないもんね」
唯「ほんとじゃあ……じゃけん、あの男は確かに由真姉ちゃんを殺したって……」
由真「うん。マンホールの中に飛び込まなきゃ今頃バーベキューだったよ、影もえぐいことやるぜ」
当然、由真は自分を襲ってきたのが影の刺客だと考えていたが、唯はどうやら今回の件は影とは無関係のようだと「交換殺人」のことを説明する。
しかし、由真、マンホールに飛び込んだって軽く言ってるけど、マンホールの蓋はそんな咄嗟に開けられるようなものではないだろう。
だいたい、資材置き場の真ん中にマンホール?

翌日、三人は、男が口にした山田熊之介、すなわちクマを問い詰める。
結花「クマぁ、最近何か恨みを買うことしたんじゃないの?」
クマ「え?」
クマは「暴力はふるっても不正はせず」と、きっぱり身に覚えがないと否定する。

唯の描いた似顔絵を見せられるが、それがあまりにヘタクソだったので、効果なし。
関係ないが、この唯の笑顔が妙に心に訴えかけてくる可愛さなので、思わず貼ってしまいました。
だが、由真が漏らした「柔道の心得があるらしい」と言う言葉に、わかりやすく顔色を変えるクマであった。
明らかに何か思い当たることがあるらしいクマだったが、結花たちに対しては、結局最後まで何も知らぬ存ぜぬで押し通す。

同じ頃、あのスタンガン男は、自宅マンションの一室に篭もって黒いカーテンを引き、かつて自分が全国柔道大会で優勝した時のテレビ中継のビデオを暗い眼差しで見詰めていた。
そのビデオの内容から、男がかつて青雲学園の柔道部キャプテンだった早乙女淳と言う生徒だと分かる。
早乙女「俺の未来は栄光に輝いていた。あいつさえ邪魔しなければ……」
その後、いろいろあって、クマは、早乙女に廃墟となった工場に呼び出され、屋上におびき寄せられたところで仕掛けられていた罠に足を噛まれる。
クマ「貴様ぁ、やっぱりあんときの柔道野郎!」
ここで、殺人事件にまで至った出来事が回想される。

オリンピックへの出場も期待されていた早乙女が、繁華街の路上で、ファンの女の子たちに取り囲まれてサインなどしていると、そこへクマたちが通り掛かる。
クマ「なんだあいつ」
ゴロウ「青雲の早乙女っす、高校柔道界期待の星、未来の金メダリスト」
ヒデ「別名、ナンパの星とも呼ばれてるけどなー」
女の子「あんたたち、失礼でしょー、謝んなさいよ」
早乙女をからかったゴロウたちと女の子が言い合いになり、その勢いで三人と早乙女との喧嘩になってしまう。

ちなみに、早乙女に投げられたクマが、後ろを歩いていた通行人の女性にぶつかって、その女性がかなり良い感じにコケるシーンがあって、その必要以上に跳ね上がった両足が気になるのであった。
ついでに、その女性(スタント?)の動きに注視しながら見ると、なかなか面白い。
目の前で高校生たちが乱闘しているというのに、そのまま歩き続けていて、まるっきりクマにぶつかりに行く為に動いているようにしか見えないからである。

一対一の戦いなら早乙女の相手ではなかったが、ゴロウとヒデに足を掴まれて身動きできなくなったところでクマにボコボコにされ、惨めに地面に這いつくばる。
それだけならただの屈辱に過ぎなかったが、その一件が柔道連盟に知られた為、早乙女はオリンピック強化選手から外されてしまったのだ。

早乙女「貴様の為に、俺の夢は砕け散った!」
クマ「分かった、お前の怒りももっともだ。煮るなり焼くなり好きなようにしやがれ!」
快男児であるクマは、そこまで聞かされると素直に自分の非を認め、そんなタンカを吐いて、目をつぶってその場に胡坐をかく。
早乙女はゆっくり近付いて無抵抗のクマの顔にスタンガンを押し付けようとするが、そこへ唯が現れる。

唯「待てい! 話は聞いた。あんたの気持ちも分かる。じゃけん、恨みからは何も生まれやせん!」
早乙女「貴様になんか何が分かるーっ!」
早乙女、今度は唯に襲い掛かろうとするが、クマがそれを止めようと足にむしゃぶりつく。早乙女はスタンガンを首筋に当てて、クマを気絶させる。
これで、唯は心置きなくスケバン刑事として戦うことが出来るようになる。
と言っても、戦いは一瞬で決まり、早乙女はヨーヨーのチェーンで縛り上げられて一丁上がり。
が、そのタイミングで、冒頭に出て来た黒鍬だったか、クワガタだったか、四人組の忍びが出て来て、唯に再戦を挑んでくる。

早乙女「な、なんだ、こいつら」
唯「ようし、見ときぃ、こん人らは、あんたの未来の姿じゃ!」
早乙女「なにぃ」
忍びたちは早乙女など無視して、次々と唯に鎖鎌を飛ばしてくる。

唯「人は誰でも心の中に邪悪なものを持つことがあるじゃろぉ! じゃけん、みなその邪悪と戦っちょるんじゃ!」
アイドルとは思えない本格的なアクションをこなしつつ、茫然と突っ立っている早乙女に説教する忙しい浅香唯さん。

唯「人は邪悪に身を委ねてしもうてはいかんのじゃ!」
唯「人が邪悪に身を委ねた時、人の皮を被った悪魔になる。それが影じゃ!」

吼えるように叫んでから、高所から飛び掛かり、空中で最後の一人と交錯する唯。
下にいる早乙女が、唯のスカートの中をガン見しているように見えるが、さすがにこれは浅香さんではなく、男性スタントが演じているので安心です。
唯、説教の片手間に四人の刺客を片付けてから、
唯「お前、今ならまだ人に戻れるとよ。それともまだ邪悪に身を委ねるつもりかっ」
早乙女「……」
唯が仕上げにヨーヨーの蓋をカパッと開けて「桜の代紋」を見せ付けると、早乙女は手にしたスタンガンを落とし、そのまま崩れるように腰を落としてしまう。
一応、これで早乙女もダークサイドから助け出されたと言うことなのだろう。
全てが片付いた後で、漸く結花や由真、ゴロウたちが駆けつける。

由真「殺し屋はどうなったんだよ」
唯「ふふーん、あいつならわちの顔を見て逃げていったわい」
由真「てめえのおっそろしい顔見りゃ、大抵の奴は逃げるよなぁ」
唯「やっぱり、殺しちょけばよかったぁ……」
由真の憎まれ口に、ぷくっと頬を膨らませる唯が可愛いのである!
……
ところで、セーターの件はどうなったの?
ここは、やっぱり由真が新しいセーターを唯にプレゼントするシーンで締めないとね。
以上、メインストーリーとは関係のない単発エピソードしてはなかなか面白かったのです。