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「ウルトラセブン」傑作選 第36話「必殺の0.1秒」 後編

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 第36話「必殺の0.1秒」(1968年6月9日)
 の続きです。

 夜、ヒロタは失神したソガを車に乗せ、山の中へ入ると、待ち受けていた円盤の中に車ごと回収される。

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 ソガ、目を覚ますと、奇妙な装置の中に拘束されている自分の姿を発見する。

 部屋にはヒロタの他に、ターコイズブルーとコバルトブルーの混じり合ったようなカラフルな体毛を持つ宇宙人が立っていた。

 ペガ「ようこそ、ソガ隊員」
 ソガ「貴様、何者だ」
 ペガ「アルファケンタウリ第13惑星に住む、ペガ星人だ」

 ペガ星人は、人工太陽計画を阻止する為に地球人を手先に使って次々と要人を暗殺したとソガに教える。

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 ペガ「このヒロタ君もそのひとりだ。彼は特殊催眠術により、我々の命令どおりに働くのだ」
 ソガ「何故、地球人を利用するんだ?」

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 ペガ「残念ながら我々は地球の気圧に耐えられない」
 ソガ「えっ」
 ペガ「君が今何を考えているか分かっている。しかし私はこの円盤の中から外へは出ない」

 自分からベラベラ弱点を話しておいて、「円盤の外へは出ない」もクソもないと思うのだが……。

 でも、地球人が他の惑星に行く場合、必ず宇宙服を着るものだが、
 なんで侵略してくる宇宙人は、常に全裸なのだろう?

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 ペガ「君も私の命令どおり動く人間になってもらう」
 ソガ「俺は絶対そんな催眠術にはかからん! かかってたまるかっ! ううーっ! なんで足ばっかり~?

 ペガ星人はヒロタを優勝させて信用させ、円盤までおびき寄せてから、この機械で完全に自分の意のままに動くロボットにしてしまったのだろう。

 でも、催眠術に掛けられる前と後で、ヒロタの性格が全く変わってないように見えるのだが……。

 要するに、ヒロタは元々陰険な性格の持ち主だったのだろう。

 さて、「かかってたまるか!」と、絶叫していたソガ隊員であったが、次の日、

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 ダン「どうかしたんですか、今日のソガ隊員はまるで別人みたいですよ」

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 ソガ「……」
 アマギ「おい、ソガ」
 ソガ「うるさいな、少し黙っててくれ」
 アマギ「……」

 はい、見事にかかってました!

 さすがソガ、視聴者の期待を裏切らない。

 言い忘れていたが、リヒター博士の乗った普通の車にはヒロタとフルハシがいて、前を行くポインターには、この三人が乗っている訳なのである。

 車が峡谷にかかった鉄橋を抜け、山がすぐ目の前に迫る細い道に入ったところで、博士を乗せた車が急にスピードを上げてポインターを追い抜いていく。

 フルハシ「おい、ヒロタ、どうしたんだ?」
 ヒロタ「へっへっへっへっへへ……(バン!)」
 フルハシ「うっ! ぐわーっ!」

 ハンドルを握るヒロタ、振り向いてフルハシを撃って黙らせてから、

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 煙幕を張りながら、トンネルの中に入っていく。

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 後続のポインターもトンネルの中に入るが、外へ出たところで忽然とヒロタの車が消えてしまう。

 アマギ「トンネルの中にはいなかった」
 ダン「ええ、奴ら、シークレットロードを作っていたんですね。戻りましょう」

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 ソガ「よせ!」

 ダンが引き返そうとすると、ソガが不気味な声で止める。

 ダン「え」
 ソガ「手を離すんだ」
 ダン「なんですって」
 ソガ「人工太陽はペガ星人の円盤が地球に侵入するコースを塞いでしまう。ペガ星人の為に人工太陽計画を潰してしまうのだ」
 アマギ「それじゃお前は?」
 ソガ「そうだ、俺はペガ星人の為に……」

 そんなことを説明する必要はないと思うが、ソガの口からペガ星人が何故この計画を邪魔しようとしているのかが明らかになる。

 ソガ、いきなり、ダンの左腕にむしゃぶりついて、ビデオシーバーを奪い取ろうと(?)する。

 その圧力にすら耐えられないというのに、何で遠路はるばる地球を侵略しようとしているのか、ペガ星人の考えていることも訳が分からないが、肝心なときに得意の銃の腕を活かそうとしないソガ星人の行動も謎であった。

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 ソガ「ぐわっ」

 で、アマギに後ろからぶん殴られてあえなく気絶。

 ペガ星人の「お前にはがっかりだよ!」と言う声が聞こえてきそうな情けない光景であった。

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 二人は急いでトンネル内に引き返し、超音波探知機であっさりシークレットロードへの入り口を発見する。

 トンネルの一部が、車を載せたまま「どんでん」すると、その向こうに秘密の通路が伸びている。

 その壁にわざわざ「SECRETROAD」と書いてあるのも意味不明だが、ペガ星人が地球人を操って、こんな大規模な道路工事まで行わせていたと言うのは、さすがにちょっと無理があるような……。

 ここは、単に地球防衛軍のシークレットロードを借用した……と言うことにすべきだったのでは?

 参謀本部所属のヒロタしか知らないシークレットロードだったので、ダンたちは気付かなかった、とかね。

 第一、ペガ星人はリヒター博士の能力や知識を欲している訳ではないのだから、車に乗っている間に、さっさとヒロタがリヒター博士を射殺すれば済む話だったのではないか?

 あれやこれや考え合わせると、いかにも知性的な物腰のペガ星人、「実はただのアホだった」説が有力視されてくる。

 ついでに、もうかなり距離が離れていると思うのに、ポインターがシークレットロードで別のトンネルの入り口から出たら、すぐ目の前をヒロタの車が走っていると言うのも変だよね。

 その後、ポインターが山肌に激突した為、ダンとアマギが失神し、代わりにソガが目を覚まし、同時に催眠術が切れて正気に戻る。

 ソガはポインターの飛行能力を駆使して、ヒロタの車を先回りして、

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 無駄にカッコイイポーズでヒロタの車のタイヤを撃って停止させる。

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 ソガ「ヒロタ!」
 ヒロタ「動くな、ソガ、博士の命はないぞ!」
 ソガ「お前はペガ星人の催眠術にかかってるんだ、目を覚ませ!」
 ヒロタ「ふん、騙されるもんか」
 ソガ「騙されてるのはお前の方だ!」

 ヒロタ、リヒター博士のこめかみをぶち抜くチャンスだと言うのに、引き金を引くどころか、ソガに対する人質にしようとする。

 さっきも書いたけど、ヒロタの行動が不可解である。ペガ星人に、リヒター博士を生きたまま連れてくるよう命じられている訳でもあるまいに。

 ヒロタ「どうしても博士を助けるつもりなら、俺と勝負しろ。今から5つ数える。数え終わったら撃つ、いいな? ひとつ……」
 ソガ「ヒロタ!」

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 委細構わずカウントを開始して、ソガとの勝負を求めるヒロタ。

 ヒロタ「……ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ!」

 広漠とした荒れ地に二つの銃声が響き、

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 数瞬の静寂の後、ヒロタの体がぐにゃりとその場に倒れる。

 あるいは、催眠状態にあっても、ヒロタの心の中にはソガに対する対抗意識が根強く残っていて、それがこんな(ペガ星人の奴隷としては)非合理的な行為に走らせたのかも知れない。

 ソガ「ヒロタ!」

 ソガ、ヒロタに駆け寄って手首を掴むが、既にヒロタは絶命していた。

 と、そこへペガ星人の円盤が現われ、地面すれすれにの低空飛行でソガと博士に向かって突っ込んでくる。

 円盤の放つビームをかわしながら、ごつごつした岩場を博士の手を取って走るソガ。

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 その音で漸く目を覚ましたダン、車から降りて、片膝立ちで「デュワッ!」する。

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 円盤もすぐ気付いて攻撃目標をセブンに切り替え、激しい砲火を加える。

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 セブン、それをかわしつつ、両手を合わせて、手裏剣のような小さなビームを連射する。

 だが、どちらの攻撃も決定打にならず、最後はセブンが空へ飛び上がり、人間サイズになって円盤の中へもぐりこむ。

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 ペガ「なんとかせねば……」
 セブン「ペガ星人、お前の星へ帰れ」
 ペガ「地球は我々の太陽系侵略基地になるのだ」
 セブン「太陽系を侵略して何が楽しいねん?」

 ペガ星人の頓珍漢な返答に、思わず関西弁で突っ込みを入れるセブンであった(嘘)。

 ほんと、何が楽しいのだろう?

 それにしても、セブンって、あれだけのことをしでかしたペガ星人に対しても大人しく退去するのなら見逃してやると言うあたり、少なくとも地球人よりよっぽど理性的である。

 ペガ「帰ることは出来ない」
 セブン「もう一度言う、お前の星へ帰れ」
 ペガ「うるさいっ」

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 ペガ星人、いかにも頭でっかちの宇宙人らしく、喧嘩の際も、何かの装置を操作して相手にビームを浴びせて攻撃している。

 が、最後はエメリウム光線を受けて悶絶し、床に倒れる。

 倒れたペガ星人の体が膨らんでいるのだが、これはその衝撃で外壁に裂け目が生じ、気圧が上がったと言うことなのだろうか?

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 その死体を見詰めているセブンの横顔。

 改めて見ると、セブンのマスクって実に素晴らしいデザインとテクスチャーだよね。

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 地上に降りたセブンは再び巨大化すると、ワイドショットで円盤を撃墜する。

 こうしてペガ星人による地球侵略計画、と言うよりは、人工太陽計画妨害作戦は水泡に帰す。

 どうでもいいけど、そもそも人工太陽計画と言うのが、どんなプロジェクトだったのか、それも最後まで良く分からないのであった。

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 ラスト、ヒロタの遺体の上に、ヒロタの拳銃、そして自分の拳銃を置いてやるソガ。

 これはヒロタへの手向けと同時に、ソガがもう射撃の腕などで人と争うことをやめた、と言うことを表しているのだろうか?

 以上、「ウルトラセブン」というより「MJ」みたいな硬質なドラマが展開するエピソードであったが、子供の受けはやはり悪かったのか、視聴率は「セブン」の中でも一、二を争う低さ(それでも16.8)である。

 レビュアーとしては、突っ込みどころが豊富で、且つ、ソガ隊員の魅力が堪能できる、なかなか楽しい作品だった。


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コメント

Re:「ウルトラセブン」傑作選 第36話「必殺の0.1秒」 後編(10/29)  

基本的にセブンってむやみやたらに侵略宇宙人を殺しませんよね。
30話でプラチク星人が「ごめんなさい」しただけで帰ろうとするし・・・

>改めて見ると、セブンのマスクって実に素晴らしいデザインとテクスチャーだよね。
「息子」のウルトラマンゼロが歴代ウルトラマンで底辺のカッコ悪さなので
円谷の大株主になって「息子じゃなかった」ことにしたいです!(無理)

>ラスト、ヒロタの遺体の上に、ヒロタの拳銃、そして自分の拳銃を置いてやるソガ。
こうした「粋」な演出が「セブン」ならではですね。

しかし、ペガ星人は「セブン」の中でもかなりの「身の程知らず」でしたね。
まぁ「全宇宙の征服者」(ビラ星人)とか「宇宙の帝王」(バド星人)ほどではないですが。

Re[1]:「ウルトラセブン」傑作選 第36話「必殺の0.1秒」 後編(10/29)  

ふて猫様
>ヒロタ役の俳優さんがアンジャッシュの渡部篤郎に似ているのは、気のせいでしょうか?

に、似てるかなぁ? むしろtake2の片方に似てるような。

Re[1]:「ウルトラセブン」傑作選 第36話「必殺の0.1秒」 後編(10/29)  

影の王子様
>「息子」のウルトラマンゼロが歴代ウルトラマンで底辺のカッコ悪さなので
円谷の大株主になって「息子じゃなかった」ことにしたいです!(無理)

平成ウルトラは、はっきり言って名前と顔が全く一致しません。ま、ほとんど見てないから当たり前だけど。

>しかし、ペガ星人は「セブン」の中でもかなりの「身の程知らず」でしたね。

でも、星人と言ってもたったひとりで侵略に来てるみたいで、ある意味凄い度胸ですよね。

Re[3]:「ウルトラセブン」傑作選 第36話「必殺の0.1秒」 後編(10/29)  

zura1980さんへ
たぶんtake2の深沢でしょうね。失礼しました😅

Re:「ウルトラセブン」傑作選 第36話「必殺の0.1秒」 後編(10/29)  

>なんで侵略してくる宇宙人は、常に全裸なのだろう?
そうですね。確かに全裸としか思えない奴ばっかり。
セブンでは,服を着てるとはっきりわかるのは,ゴース星人,シャプレー星人,シャドー星人,それにマイナーですが,ザンパ星人ぐらいしかいないでしょうか。
ピット星人は,あれは服を着てると言えるのかどうか? 着てるのだったら,人間態が双子のカワイ子ちゃんだっただけに,脱いだらどうなるんだ,とよからぬ妄想をしてしまいます。

Re[4]:「ウルトラセブン」傑作選 第36話「必殺の0.1秒」 後編(10/29)  

ふて猫様
>たぶんtake2の深沢でしょうね。

最近あまり見てないので記憶がさだかじゃないですが。

Re[1]:「ウルトラセブン」傑作選 第36話「必殺の0.1秒」 後編(10/29)  

くりやまいちろう様
>セブンでは,服を着てるとはっきりわかるのは,ゴース星人,シャプレー星人,シャドー星人,それにマイナーですが,ザンパ星人ぐらいしかいないでしょうか。

補足情報ありがとうございます。宇宙人は、全裸派と着用派にわかれるみたいですね。

しかし、よりによって地球の気圧に耐えられないペガ星人が全裸と言うのはさすがにどうかと思います。

侵略の理由

>ペガ「地球は我々の太陽系侵略基地になるのだ」
太平洋進出のために某超大国が南沙諸島を軍事基地にしたり尖閣諸島を狙う
「地政学的に重要な拠点」としても地球が捉えられているのでしょうかね?

昭和のウルトラ戦士

>それにしても、セブンって、あれだけのことをしでかしたペガ星人に対しても大人しく退去するのなら見逃してやると言うあたり、少なくとも地球人よりよっぽど理性的である。
むやみやたらに殺害しない、殺伐としていないところがウルトラ戦士には必要ですね!

Re: 侵略の理由

領土争いなどしてる場合じゃないと思いますけどね。

Re: 昭和のウルトラ戦士

最近レビューのために久しぶりに何本か見ましたが、やっぱりセブンは別格だなぁと言う感じがしますね。

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