第17回「ギブラ 恐怖の毒蛇恐獣」(1978年10月27日)
OP前、ジェリコ司令官が、タイムGメンたちを皆殺しにすべく用意した双頭の毒蛇、ギブラをスタンバイさせている。
OP後、そのギブラがレッドスネークカモンみたいな動きで、トリケラトプス(小)に噛み付き、泡を吹いて悶絶死させる。無論、21世紀にいるタイムGメンをおびき出す為である。

コセイドン隊は、恐竜変死事件の知らせを受けると、直ちにコセイドン号で白亜紀へ。
バンノ「こりゃひどいな」
テツ「死体の状態から見て、毒にやられたようですね」
ゴウ「隊長、ここに噛まれた跡が……」
この世界においては、恐竜がやけにちっちゃいなぁと思っても、それを口に出してはいけないのである。

バンノ「これは蛇の牙に噛まれた跡だ」
ゴウ「蛇?」
バンノは傷口を見て即座に判定するが、テツは「地球上に毒蛇が現れたのは白亜紀のずっと後の新中生代の筈だ」と、疑義を呈する。
バンノ「うん、まず血液を採取してコンピューター分析器に掛けてみよう」
だが、コセイドン号のコンピューターで検査した結果も、それが毒蛇によるものだと言うことを示す。

バンノ「やっぱり毒蛇か」
モリィ「それも銀河第四惑星に住む、ギブラと言う頭が二つある毒蛇です」
マリ「どうしてその毒蛇が白亜紀に現れたのかしら?」
ゴウ「決まってんだろう、ゴドメスの仕業だよ」

バンノ「とにかくそんな恐ろしい奴に暴れられたら大変なことになる。一刻も早く見付け出して殺すんだ」
ビックラジィー「でも、私、蛇は大の苦手でして」
マリ「私もよ、見てるだけでゾーッとしちゃう!」
部下が気弱な発言を連発するのを聞いて、

バンノ「なぁんだぁ、だらしがない、あんなもの、ただの縄かベルトと思えば……」
その臆病を叱り飛ばす頼もしいバンノ隊長であったが、

ふと下を見ると、座席の上にそのギブラが二つの鎌首をもたげてこちらを睨んでいるではないか!
バンノ「うわぁーっ! 出たーっ!」 瞬間、バンノは恥も外聞もなく素っ頓狂な悲鳴を迸らせ、座席から飛びのく。

バンノの悲鳴に驚いて、「キャッ!」と駆け出すアルタシヤが可愛いのである!
……
(編集室にて)
ルリ子(管理人の脳内美人アシスタント)「怒らないんですか?」
管理人「え、なにが?」
ルリ子「いや、だって、いつもこういうパニックシーンでエキストラが笑いながら逃げたり走ったりしているのを小姑のようにほじくり返しては、笑いながら走るな! とか、でかい文字で叫んでるじゃないですか。今回は見逃すんですか?」
管理人「だって、可愛いから……」
ルリ子「え?」
管理人「だって可愛いんだもん!」 ルリ子「……死ね」
……と言う訳で、エア助手の冷たい視線に晒されながらも、管理人は、今回の件については敢えて追及しないことにしました。
まぁ、それだけ、アルタシヤの村野さんが楽しく撮影に参加されていたと言う証左なのでもあろうし。
マリやアルタシヤは思わず飛びのいたが、さすがに男性メンバーは落ち着き払って、座席の上を確認する。

ゴウ「あー、もう、隊長はぁ、これこそただのベルトでしょうが!」
ゴウ、隊長の見たギブラの正体をあっさり突き止め、呆れたように声を上げる。

バンノ「んっ?」
ゴウ「ほらぁ、ったくもう、怖がり!」
アルタシヤ「うっふふっ、隊長さんたらぁ」
バンノ「笑ってる場合じゃない!」 一瞬で地に堕ちた隊長の権威を取り戻そうと、威儀を改めて怒鳴るバンノ。
アルタシヤ「ふふっ」
バンノ「しゅっぱぁーつ!」(少し裏返っている)
アルタシヤ「ふふふふ」
村野さん、ほんと楽しそうで、見てるだけで癒されるわぁ。
それにしても、このベルトのくだり、ストーリー上はなくても構わないシーンなのだが、こういうのがあるかないかで、結局、ドラマの面白さと言うのは決まってしまうような気がする。
とにかく、ゴウたちは白亜紀の森や原野に出て、ギブラの捜索を開始する。
しかし、何の探知機も持たず、広大な手付かずの自然の中をそんな少人数で探し回ったところで、毒蛇のような小さな目標が発見できる筈もない。

その一方で、アルタシヤとビックラジィーは、コセイドン号の近くで果物を採取していた。
ビックラジィー「姫、そろそろ日が暮れますぞ」
アルタシヤ「もうすぐよ。あたしに出来ることと言ったら、皆さんに美味しいものをこさえてあげるぐらいですもの」

ビックラジィー「へへへっ、ゴウさんにでしょう?」
アルタシヤ「ええっ?」
ビックラジィー「いえ、こっちの話でして……」
雑談を交わしつつ、仲良く作業をしていた主従であったが、二人が気付かないうちに、そのギブラが二匹も果物を入れたカゴの中に潜り込んでしまう。

その夜、探索が空振りに終わって帰ってきたゴウたちがブリッジで作戦会議を開いていた。
バンノ「ようし、晩飯を食ってからもう一度対策を考えるか……」
モリィ「それにしてもメシが遅いなぁ」
その時、奥の厨房室で食事の支度をしていたアルタシヤが、いつの間にか背後に双頭の蛇がいて、自分を狙っているのに気付き、「アアーッ!」と悲鳴を上げる。

ゴウたちが慌てて駆けつけると、アルタシヤはまさに「蛇に睨まれたカエル」状態で、壁を背にして立ち竦んでいた。
ゴウが銃を撃ち、一方の頭を粉砕するが、残った頭の牙が、逃げようとしたアルタシヤの白いふくらはぎにざっくりと突き刺さる。

ゴウ「アルタシヤ!」
マリ「アルタシヤ!」
バンノ「マリ、解毒剤を持ってくるんだ!」
ショックで倒れたアルタシヤを囲んで、バンノたちの怒号が緊迫した怒号が行き交う。
それにしても、薄い布地を通して太腿が透けて見えて、なかなか良い眺めですね。
どうせなら
ミニスカを履いていて欲しかったな、と……。
いや、いっそのこと、
全裸で演じて欲しかったな、と……(こいつアホや)

バンノ「ゴウ、傷口から毒を吸い出せ!」
ゴウ「はい、
喜んで!」
アルタシヤ「う、うう……」
ゴウは急いで傷口から血を吸って吐き捨てるが、アルタシヤの体からは多量の脂汗が流れ出してくる。その一方で、テツはギブラを毛布に来るんで何度も激しく床に叩き付けて殺すと、外へ捨てに行く。
バンノ「モリィ、他にも毒蛇が忍び込んでいる可能性がある。徹底的に探すんだ!」
モリィ「了解!」
しばらく後、意識不明となったアルタシヤの体が、医務室のベッドに横たえられていた。

バンノ「マリ、もう一本、解毒剤を打つんだ」
マリ「はい」
ビックラジィー「うう、ワシがいけないんじゃ、あのカゴの中をちゃんと調べておけば……」
慣れた手付きで、注射針をアルタシヤの腕に刺すマリ。ある程度、医療の心得があるのだろう。
アルタシヤの看病と並行して、ゴウたちがいるかいないか分からない毒蛇を探して船内を捜索すると言う、ちょっと「エイリアン」っぽいシーンとなる。
やがて、ゴウとテツがアルタシヤのそばへ戻ってくる。
バンノ「おっ、どうだ、見付かったか?」
テツ「いえ、毒蛇はあの一匹だけかも知れません」
バンノ「いや、まだ安心はできん、もう一度徹底的に調べてくれ」
ゴウ「ゴドメスめ、あの毒蛇を使って俺たちを皆殺しにするつもりだったのか」

マリ「隊長、いくら解毒剤を注射してもまるで効き目がありません」
アルタシヤの脈を取っていたマリが、振り返って訴える。
バンノ「こうなったら血清を打つしかないな」
テツ「何処にあるんですか、その血清は?」
バンノ「いや、俺には分からん」 マリ「分からんのかいっ!」 その夜、バンノの無責任な返答に、コセイドン号を揺るがすようなマリの絶叫が白亜紀の広漠な空に響いたと……言いません。
で、彼らはタイムマザーに助言を求めると、ギブラ毒の血清は存在しないが、21世紀の時空管理局内の血清保存室にある、いくつかの血清を混ぜ合わせれば、「似たような血清」を作ることが出来るかも知れないと言うテキトーな答えが返ってくる。
いや、さすがに血清を混ぜたって、調味料じゃないんだから無理だと思うんですが……。

カワウラ「血清保存室のカワウラです、コンピューターを弾けば、ギブラの血清を作ることが出来ると思います」
タイムマザーに代わって画面に出たカワウラと言う係員が、バンノたちに説明する。
しかし、「コンピューターを弾く」って、なかなか斬新な表現だよね。言いたいことは分かるけど。

ゴウ「隊長、すぐに出発しましょう」
バンノ「いや、待て、アルタシヤの容態から見てとてもタイムトリップには耐えられん、途中で死んでしまうぞ」
ゴウ「じゃあ俺が血清を取ってきます」
テツ「俺も行きます」
バンノ「……よし、頼む、俺たちはコロニーでアルタシヤを看病する。90分以内、だから5時15分までに血清を打たんと手遅れになるぞ」
バンノはそう注意して二人を送り出す。つまり、ゴウとテツがコセイドン号で21世紀へ向かい、バンノたちはアルタシヤをファイタス2号で近くの時間移住者のコロニーに運ぶのだ。
それにしても、なんでバンノには「90分以内」と、きっちりリミットを告げることが出来たのだろう?
それと、恐竜すら一撃で悶絶していた猛毒を受けても、そんなに長い間、か弱いアルタシヤが持つものだろうか? ま、アルタシヤは地球人ではないから体質は異なるし、ゴウがある程度毒を吸い取ったし、マリが解毒剤を何本も打ってるから、それだけ時間的余裕が生まれたと言うことなのだろう。
ついでに言うと、ゴウたちはタイムトリップするんだから、仮に血清を持ち帰るのに90分以上掛かっても、現地時間のもっと早くに戻ってくれば済む話じゃないかと思うんだけどね!
とにかく、ゴウとテツは21世紀の時空管理局に帰還すると、すぐに血清保存室へ。
ところが、さっきのカワウラの姿がない。あちこち探していると、なんと、既にカワウラは毒蛇に噛まれて事切れていた。コセイドン号に隠れていたもう一匹のギブラが、彼らの先手を打ってカワウラを殺してしまったらしいのだ。
うーん、ギブラはかなり知能が高いようなのだが、それにしても手足のない蛇が、ゴウたちの先回りをして職員を殺すと言うのは、さすがに無理なような……。
ちなみに、このカワウラという名前、脚本を書いている山浦弘靖氏の苗字から来てるんだろうな。
仕方なく、ゴウとテツは慣れない機器を操作して、カワウラの代わりに血清を作り出そうとする。
そのコンピューターのモニターが表示されるのが「PUROGURAMU」(プログラム)などという風に、全部ローマ字表記なのが、ちょっと悲しい。
で、血清は無事に完成するが、ゴウがひとりでエレベーターに入ったところ、天井からギブラが降ってくる。

ゴウ、ギブラの牙をかわしながら、ホルスターの銃を抜こうとするが、こんな時に限ってホルスターに引っ掛かって銃が抜けない、と言うのが、なかなかサスペンスフルな演出である。
だが、人間大砲の唯一の適格者だけあって、ゴウは常人離れした反射神経の持ち主だった。飛び掛かってきたギブラの二つの鎌首を両手でキャッチすると、エレベーターから出て、何度も床に叩きつける。
ちょうどそこへギブラを捜索していたテツが駆けつけ、

ギブラの頭を、タワー型の灰皿の底で、
プチッと潰す。
この血の吹き出し方が、妙にリアルで好き。
だが、ギブラには通信装置の役目もあり、ゴウたちの動きは全てジェリコ司令官に筒抜けだった。そこでジェリコは、ガルムスのブリッジで何やら呪文を唱え、最初にアルタシヤを噛んだギブラの死体を、

恐獣ギブラスとして蘇らせてしまう。
そんな怪物が待ち構えているとも知らず、ゴウとテツは再び白亜紀へタイムトリップしてくる。

テツ「こちら、テツ、隊長、血清を持ってきました」
バンノ「そうか、急いでコロニーの病室へ来てくれ」
マリ「アルタシヤ、もうすぐ血清が届くわ」
ゴウとテツはファイタス1号に乗ってコロニーに急行する。
……なんで、コセイドン号でそのまま飛んで行かないのだろう?(答え・ギブラスの出番がなくなるから)
で、色々あって、いつものようにコセイダーとギブラスの一騎打ちとなる。

ギブラスが、両手からミサイルを撃つところや、

その爆発でコセイダーが吹っ飛ばされるアクションなど、なかなか見応えがある。
同じ頃、人事不省でありながら、アルタシヤの意識とコセイダーに変身したゴウの意識は、いつものようにリンクしていた。

アルタシヤ(ゴウ、ごめんなさい、私の為に……でも今の私にはテレパシーを送ることは出来ないわ!)
心の中でゴウに詫びるアルタシヤ。
それに対し、ゴウも心の中で
(いや、別に前から要らなかったんで……)と答えたと……言いません。
ま、実際、(ガンバレ! ガンバレ!)と応援するだけのテレパシーだから、意味ないんだけどね。
でも、コセイダーに変身した後のゴウを、アルタシヤが「ゴウ」と呼んでいるのは珍しいケースである。
コセイダーは苦戦するものの、最後は必殺「時間よ止まれ!」を発動させ(最初から使えよ……)、

ジャンプしながら、二本の剣で、

ギブラの毒蛇状の両手首を切り飛ばし、

さらに、後方から飛び掛かり、その首を刎ねる!
傷口からドバッと鮮血が噴き出して、かなりの残酷描写となっている。
ギブラスは、意味もなく爆発して果てる。

無論、血清はテツによってコロニーへ届けられ、タイムリミットぎりぎりで、アルタシヤは危機を脱する。
マリ「アルタシヤ!」
テツ「アルタシヤ!」
バンノ「間に合ったぞ!」
意識を回復したアルタシヤもほっとしたような笑顔を見せる。彼女にだけは、今まさにコセイダーがギブラスを倒したことが分かっていたのである。

事件解決後、すっかり元気を取り戻したアルタシヤが、ゴウと二人で水辺を駆け回っている。
やっぱり、アルタシヤは、この露出度の高い最初の衣装が一番良いよね。
後半からは、もっと活動的なタイムGメンの制服に衣替えしてしまうのがちと残念だ。

水の掛け合いをしてはしゃいでいる二人の若者の姿を映しつつ、終わりです。