第42話「幻の母は怪獣使い!」(1974年1月18日)
の後編です。
パトカー炎上事件の翌日、タツオは事故現場で見掛けた母親そっくりの女性のことを父親に話す。

島田「なに、母さんの幽霊?」
光太郎「いや、島田はどうかしてたんですよ、酔って夢でも見たんだな」
タツオ「しかし、似てたなぁ。母さんの結婚式の写真に……」
彼らの話を聞いた島田の顔色が変わるのを、光太郎は見逃さなかった。
その夜、島田は再びあの廃屋へ足を運ぶが、その様子が気になって、光太郎たちも後をつけていた。
島田は入ったかと思うとすぐ慌てた様子で外へ出て来て、「聖子、何処に行ったんだ~」と叫びながら、その場を離れる。

二人は廃屋に忍び込んで、難なく秘密の地下室へ通じる階段を見付け出す。
光太郎「島田、分かったよ、君のお父さんはお母さんのロボットを作ってたんだ!」
タツオ「まさか」
光太郎「見ろよ、そうとしか思えない」
その設備を見、さらに、モデルとして使われたらしい聖子の結婚写真を見て、光太郎はそう結論付ける。

その聖子は、何かに導かれるようにとある墓の前にやってくる。墓石には、他ならぬ聖子自身の名前が刻まれていた。
聖子がバラの花束を空にかざすと、雷が落ちてきてその花束にエネルギーが集まる。
聖子は、花束からビームのように墓石にそのエネルギーを浴びせる。すると、本物の聖子と一緒に埋められたと言うオウムのエレジアもまた蘇る。

しかし、ただのオウムではなく、見上げるような巨大な怪獣となって!

聖子は、「エレジア、お聞き、私は車が憎い。お前の力で、日本中の車を一台残らず壊しておしまい!」と、日本中の自動車メーカーが大喜びしそうな命令を発する。

翌日、都内に現れたエレジアは、主に車や高速道路を狙って破壊の限りを尽くす。

直ちに出動した光太郎たちは、ビルの屋上に立って、ケタケタ笑いながら「おやり、もっとおやり!」とバラの花を振り回しながら叫んでいる聖子に気付く。
タツオ「母さんのロボットだ、あのロボットが怪鳥に命令してる」
光太郎「やもえん、まずはあれを破壊しよう」
光太郎、即座に聖子を撃ち殺そうとするが、タツオの父親が突然その腕にむしゃぶりついて邪魔をする。
気配に気付いた聖子は、パッと屋上の内側に引っ込む。
タツオ「父さん、何てことをするんだ」
島田「タツオ、実はこれには訳があるんだ」
タツオ「父さんの言いたいことは分かってる。だが、父さん、父さんの作ったロボットが何をしたか、父さんのその目で見たろう?」
島田「すまん、あのロボットには私の車を憎む気持ちが乗り移ってしまったんだ。しかしあれは私にとって」
タツオ「母さんだって言うのかい? 母さんが怪鳥に人殺しなんかさせるもんか、あれはただのロボットさ、父さん、目を覚ませよ!」

タツオは父親を叱責してから、ZATの銃を勝手に持ち出して、自ら屋上へ上がって母親の姿をしたアンドロイドを破壊しようとする。
タツオ「動くなロボット!」
聖子「……」
タツオ「かわいそうな目で見てもダメだ、お前を破壊する!」
スコープで狙いを定めるタツオだったが、聖子は逃げようとも抵抗しようともせず、目をつぶって、あの「ねんねんころりよ~」と言う、哀愁に満ちた子守唄を歌い始める。
タツオ「そんな歌やめろ、くたばれロボット!」

それでもなんとか引き金を引こうとするタツオだったが、やはり、母親を撃つことは出来ず、銃を下げ、その場に崩れ落ちる。
タツオ「母さん……」

聖子は主人が乗るのを待っているかのように上空を旋回しているエレジアを振り仰ぐと、

その場から飛び上がって、一回転してエレジアの背中に飛び乗る。
回転しているのは勿論、スタントだが、ちゃんと女性(だと思うのだが……)が飛んでいるのがちょっと嬉しい。
そこで、やっと光太郎が屋上へ駆けつける。
(民間人が勝手に武器を持ち出したと言うのに、来るの遅過ぎないか?)

光太郎「島田、どうした?」
タツオ「東さん、すいません、僕は、僕には出来なかった!」
光太郎「島田、誰だっておふくろの姿を撃てやしないよ! 恐らく、僕にだって出来なかったさ」
光太郎、落ち込む島田をむしろそれが人間として当然なのだと慰める。

さて、エレジアは上空を我が物顔に飛び回り、街は逃げ惑う人々で溢れ、パニック状態に陥っていた。
さおり「君たち、早く乗りなさい!」
さおりさん、ちょうど近くを走っていたトモユキたち小学生を呼び止め、自分の車に乗せてやる。
しかし、さおりさんは知らなかったが、車をひどく憎んでいるエレジアを、逆に自分たちに引き寄せる結果となってしまう。

逃げる車と、空を飛んで追いかけるエレジア。

ここでは、さおりさんの華麗なドライビングテクニックと言う、思い掛けないものが見られる。
しかし、結局逃げ切れず、車ごとエレジアに持ち上げられてしまう。

操車場のようなところからそれを見上げていた島田は、高く聳える鉄塔の上に花嫁姿の聖子が立っているのに気付く。

聖子「はははははははっ」
カメラはそのままズームして、女優さん本人が立っていることを示す。
島田「聖子! あの車にはトモユキが、お前が生んだ子が乗ってるんだーっ!」
いや、アンドロイド聖子は生んでないと思うんですが……。

今度はその足場からの映像。
その場所が具体的にどうなっているのか不明だが、なかなか度胸のある女優さんだよね。

やがて、光太郎たちもやってくるが、タツオは聖子の姿を認めると、「母さん!」と叫んであっさり引き金を引き、聖子は爆発を起こして落下する。
さっき、「母親は撃てない」とか言ってたのに……。
ここは、父親が代わりに撃つとか、タツオがトモユキが危険に晒されているのを見て葛藤するシーンを入れるべきだったろう。
とにかく、聖子が死んだ途端、エレジアは車に対する憎悪が消えたのか、手にした車を放り捨てる。光太郎はタロウに変身して、車を空中でキャッチして地面に下ろす。

タロウ、空中でエレジアの炎をまともに喰らって、ヒーローが頭から地面に激突すると言う珍しいシーンとなる。

トモユキ「タロウーっ! 頑張れーっ!」
今回、さおりさんのアップがないので、これくらいしか貼る画像がない。
タロウ、最後はストリウム光線でエレジアを木っ端微塵に打ち砕く。
しかし、後の展開を考えると、エレジアも普通のオウムの姿に戻してやった方が良かったかな、と。

戦いの後、再び物言わぬ人形になったアンドロイド聖子の体を見下ろしているタツオたち。
タツオ「父さん、これで良いんだ、これは悪魔の魂を持ったロボットだったんだよ」
島田「しかし、かわいそうなことをしたな」

ここで、タロウ、まさかと思ったが、いきなり「リライブ光線!」を出してしまうのだ。

聖子の体が神秘の光に包まれ、

聖子は手にバラを持って、またまた蘇ってしまう。

島田「聖子ぉ」
タツオ「母さん!」
蘇らせてどうすんだ? と思ったが、聖子は二人に微笑みかけると、そのまま宇宙へ飛んで行く。
ナレ「リライブ光線によって蘇った聖子は、静かに昇天した。中天の星となった聖子は、進路に迷ったロケットに優しく微笑み、美しい道しるべになったのだ!」 正直、意味が良く分からないのだが、竜隊長に「なったのだ!」と、力強く断言されたら、こちらも「はい、そうですか」と応じるしかないではないか。
全国84億6千万の森山いずみファンにとって嬉しいことに、エピローグにも森山隊員が登場あそばされる。

森山「島田君、今頃、インド洋ね」
光太郎「ああ、海の上には車がないから清々するって言ってたよ」
などと話していると、不意にオウムが「ハラヘッタ! ハラヘッタ!」と素っ頓狂な声を上げる。

荒垣「おい、何か喋ったぞ」
南原「誰だい、変な言葉を教えたのは?」
森山「どうせ東さんよね」
みんなの疑惑の目を受けて、光太郎は素知らぬ顔で自分じゃないと否定するが、続いてオウムが「タロウダヨ!」と鳴いたので、すぐバレてしまう。
終わりです。