第25話「ドッキリ海蛇の穴」(1981年8月1日)
今回も、サブタイトルとストーリーが合ってないような……、むしろ、21話「潮風がはこぶ愛」の方がふさわしいのではないだろうか。

のっけから、数人の黒いトンガリ頭巾(クソ暑そうだ)に抱え上げられた可憐な少女が、何処かへ連れて行かれようとしているのを、いかにもフィッシャーマンなおやじが助けようと追いすがっている緊迫のシーン。

可憐な少女……と思いきや、よく見たら結構バタ臭い、日サロでこんがり焼いて来た帰りですぅ、と言うような女性であった。
ちくしょう。
それはともかく、おやじの叫びと娘の悲鳴が森の中に響く中、

木立の陰からスッと出てきたのは、誰あろう、今回の主役、飛羽高之こと二代目バルイーグルであった。
この立ちポーズからして、ファッションモデルみたいで可笑しいのだが、

もっと可笑しいのは、木立の後ろにいた時から、危急を知らせる二人の声が届いていたであろうに、飛羽は木立から姿を見せてからも、しばらく「おや、なにやってるかなー?」と言うような落ち着いた表情で、その一団を眺めている点である。
耳が遠いのか、飛羽は娘が拉致されそうになっていることに目を凝らしてやっと気付くと、彼らの中へ飛び込んで、トンガリ頭巾たちを叩きのめす。

飛羽「なんの真似だ?」
男「生贄だ。海蛇様の怒りを鎮める……」
飛羽「海蛇?」
頭巾の下には、普通の人間の男の顔があった。

どうでもいいことだが、飛羽の「海蛇?」と言う台詞に続いて、画面に登場する男が、むしろ「海坊主」と呼ぶにふさわしいヘアスタイルをしているので、一瞬「?」となってしまうのは管理人だけであろうか。
海坊主「海蛇岬には大蛇がいる。生贄を出さねば恐ろしいことになる!」
彼らはそう捨て台詞を残すと、飛羽の前から去って行く。
娘「もういや、こんな恐ろしいところ、出て行きましょう!」
おやじ「うんうん、そうしよう」
助けられた娘はおやじに抱き付いて、叫ぶように訴える。
飛羽は、たまたまその海辺の村に来ていた訳ではなく、彼らの言う「海蛇様」を調べに来ていたのだった。

だが、飛羽が海に面した岩場を歩いていると、いきなり銃撃されたかと思うと、アマゾンキラー、ゼロガールズ、マシンマン、そして、ウミヘビモンガーが現れ、飛羽を岩場の端に追い詰める。
このワンシーンを見ても、相手の不意を衝いて殺傷力の高い武器で攻撃したり、戦場に投入できる戦力を惜しみなく投入したりするあたり、ブラックマグマは、歴代の「悪の組織」の中でも、かなり有能な集団ではないかと思われる。
とにかく、飛羽はバルイーグルに変身する余裕も与えられず、崖から海へ突き落とされて、それっきり消息を絶ってしまう。
嵐山は、直ちにシャークとパンサーを、海蛇岬へ派遣する。
※逆に、太陽戦隊は、たった三人しかいないのに、メンバーが単独行動する場面が多い気がする。そう言う意味では、他の「正義の組織」と比べて油断していると言えるのではないだろうか?

ウミヘビモンガー「今年の夏はうんと真っ黒になるぞぉ!」
二人が村に到着するや否や、海岸でこれ見よがしにウミヘビモンガーがサンオイルを塗って、海水浴を楽しんでいた。
ウミヘビモンガーの声は渡部猛さんだが、喋り方は「ウルトラマンタロウ」の39話に出て来た怪獣モチロンに近い。

パンサー「機械生命体の癖に甲羅干ししてやがる!」
シャーク「ああ……」
シャーク、ぼんやりと頷きながら、内心、
「海蛇が甲羅干しってのもナンだな……」とつぶやいていた。
ウミヘビモンガー「わー、サンバルカンだ、逃げろー!」
二人が見ているのに気付いて、わざとらしく慌てふためいて逃げ出すウミヘビモンガーが可愛いのである!
二人はそれが罠に誘い込む為の芝居だと見抜けず、ウミヘビモンガーを追って海岸洞窟の中に入り込む。ウミヘビモンガーは、自らの体を蛇のように細長く変形させて穴から外へ出ると、リモコンスイッチで洞窟に仕掛けておいた爆弾を起爆させ、岩盤を崩して、二人を洞窟の中に閉じ込めることに成功する。
……うーん、はっきり言って、サンバルカン、弱くない? 完全にブラックマグマに手玉に取られていると言う感じだ。
もっとも、ブラックマグマはブラックマグマで詰めが甘く、サンバルカンにトドメを刺すことより、今回の目的であるマグマエネルギー採取計画の実施を優先させた為、サンバルカンを倒す絶好の機会をみすみす逃してしまうこととなる。
彼らは、海蛇岬から10キロ離れた荒崎村で、地下のマグマエネルギーの採取を行っていた。ウミヘビモンガーたちの活動は、荒崎村から海蛇岬へ、サンバルカンの目を逸らす為の陽動であったらしい。
ここで一旦、舞台は東京のサファリへ飛ぶ。

座布団を運ぶ為にこの世に生を受けた助八が、次郎たちレギュラー子役5人とメンコをして遊んでいる。
こうして見ると、まりちゃんの脚が結構長いことに気付く。
女子高生になったまりちゃん、見たかったな、と。
途中、助八や子供たちが嵐山親子を誘うが、いつになく二人は暗い顔で塞ぎ込んでいて、返事もしない。
無論、連絡の取れなくなったズッコケ三人組のことが心配なのだ。

嵐山や飛羽の正体を知らない助八は、暢気に「たーららららららー」と、白鳥の湖のポーズを取る。
嵐山「……」
美佐「……」
この後、助八がどのような悲惨な運命を辿ったか、言うまでもない。
それにしても、ゼロワンがいなくなって、代わりに助八が加入とは、正気の沙汰とは思えんな。

健太「姉ちゃん、俺、この村、出て行きてえや」
忍「そうねえ、友達もみんないなくなっちゃったもんねえ」
一方、問題の荒崎村の海岸沿いを、姉・忍と、弟・健太の松原姉弟が歩いていると、浜辺に見知らぬ若い男性が打ち上げられているのに気付く。
男性は、全身傷だらけで、意識を失っていた。

忍「あっ、生きてるわ! お父さんに診て貰いましょう!」
男性のそばにしゃがみこんで様子を見ていた忍、まだ息があることに気付いて、パッと顔を明るくさせる。
無論、それは、海に突き落とされて、この海岸に漂着した飛羽高之であった。
ブラックマグマ、ちゃんと飛羽の行方を捜索していれば、確実に飛羽を仕留めることが出来たであろうに。
そして、このいかにも善良なおぼこ娘と言う感じの女の子を演じるのは、子役として色んな作品で活躍していた柿崎澄子さんである。このブログでは、「宇宙刑事シャリバン」のみゆき役でお馴染みである。
幸い、彼らの父親は村で診療所を開いている医者だったので、二人は飛羽を父親のところへ運び込む。

飛羽の怪我はかなりの重傷で、手当てを受けても昏々と眠り続けていた。
なお、松原医師を演じているのが怪人の声などもやっている西尾徳さんで、奥さんは、これまたこのブログでは常連の中真千子さんと言う、なかなか豪華なカップルであった。
その後、忍たちがつきっきりで看病したお陰か、漸く飛羽は目を覚ます。

健太「お姉ちゃん、気が付いたよ!」
良いなぁ、この、デフォルトで赤いほっぺの柿崎さん!
飛羽「き、君たちは?」
忍「松原忍です」
健太「おいらは健太ってんだ。お兄ちゃんの名前は?」
飛羽「飛羽高之……」
飛羽が松原医師とあれこれ話していると、血相変えて松原夫人が夫を呼びに来る。
診療所の前には、最初に出て来たあのトンガリ頭巾たちがいて、なにやら踊りを踊りながら、「祟りじゃ、海蛇様の祟りじゃーっ! 娘を生贄に出せぇっ!」などと、喚き立てている。

力尽くで忍を連れて行こうとするトンガリ頭巾たちの前に颯爽と現れたのは、無論、手負いの飛羽高之であった。飛羽は、木の棒を刀の代わりに振り回して、トンガリ頭巾たちをぶちのめし、追い払う。
それでもさすがに、苦しそうにその場に膝を付く飛羽であった。
忍「飛羽さん!」
飛羽「大丈夫だ」

飛羽「連中は一体何者なんですか?」
松原「分かりません、岬に海蛇が出るとあいつらが言いふらすものだから、村の人たちは海蛇の祟りを恐れてみんな村から出て行きおった。ふっ、今じゃのこっとるのはわしらだけじゃ」
松原夫人「この人が頑としてここを動かないのだから、毎日のように私たちを脅かしに来るんです」
飛羽が彼らから事情を聞いていると、突然、地面が激しく揺れ動く。
海蛇騒動のみならず、最近、頻繁に地震が起きたり、魚が取れなくなっているらしい。

忍「怖いわ、飛羽さん、ここにいて、お願い!」
健太「そうだよ、飛羽さんがいてくれれば勇気百倍だぁ!」
飛羽「分かった、分かった」
忍「わあっ! ずっとずっといてね!」
飛羽「うん!」
先程の活躍を見てすっかり飛羽の虜になってしまった忍、飛羽の言葉に文字通り躍り上がって喜ぶ様子が初々しくて可愛いのである!
その後、飛羽の連絡を受けた嵐山は、洞窟から抜け出したシャークとパンサーを荒崎村へ行かせると共に、娘の美佐を飛羽の下へ派遣する。
美佐「パルシャークが海水の温度を調べたの。魚が取れなくなったのは水温が異常に高くなってる為よ。パンサーは地震の震源地を探ったの。そして二人の調査をあわせると……」
飛羽「なるほど、水温の異常にしろ、震源地にしろ、同じこの獅子岩あたりから始まってると言うことだ」
美佐「地底からマグマが吹き上げる時、同じ現象が起きると言うわ」
飛羽「ひょっとしたら、マグマエネルギーを掘り出そうとしているのかもしれないぞ」
病室のベッドを抜け出し、近くの林で美佐と会い、シャークたちの調査結果を聞いた飛羽は、ブラックマグマの意図を正確に見抜いていた。
それは良かったのだが、飛羽を探しにきた忍と健太に、遠くからその様子を目撃されてしまう。

健太「飛羽さんがデートしてる。姉ちゃんの方が奇麗なのにな……姉ちゃん、あんな奴に負けんなよー」
飛羽と美佐が真面目な話をしているなどと分かる筈もなく、二人はてっきり、飛羽がデートしているものとばかり思い込む。
健太は姉を励ますが、忍は唇を噛みながら、飛羽たちと反対方向へ走り去る。

飛羽「おーい、健太、ごめんごめん遅くなって……じゃ行こうか」
健太「飛羽さん! 姉ちゃんは飛羽さんを一晩中寝ないで看病したのに、それなのに、それなのに……」
彼らは一緒に釣りに行く約束をしていたらしい。飛羽は健太の持っていた釣り竿を掴むが、健太はその手を振り払うと、感極まった様子で飛羽の「不実」をなじる。
飛羽「健太、お前、なんか勘違いしてんじゃないか?」
健太「嘘つき!」

一方、忍は、傷付きやすい乙女心を抱いて、ひとり海に面した岩場に立っていた。
と、その足元を巨大な海蛇が這ったかと思うと、たちまちウミヘビモンガーの姿になって忍に向かってくる。
忍「キャーッ!!」 大口開けて悲鳴を上げる忍が可愛いのである!
忍は、アマゾンキラーたちが進めているマグマエネルギー採取施設の一隅の牢獄へ押し込められる。

忍「助けて下さい、ここで見たことは何も言いません!」
忍、ぽろぽろ涙をこぼしながら、アマゾンキラーにお願いするが、

アマゾンキラー「ふ、そうはいかん、いよいよマグマエネルギーの取出しが始まる。お前はいざと言う時の大切な人質だ」
忍「人質?」
アマゾンキラー「飛羽を助けたのが身の不運と諦めるのね。全く余計なことをしおって! 恨むなら飛羽を恨め!
はっはっはっはっはっ、うはっはっはっはっ!」
ゼロワンの北川さんと比べると、大幅にトキメキ度数の低いアマゾンキラーの賀川さんだが、さすがにこの弾けるような笑い方などは、悪役女優としての面目躍如たるものがある。
さて、忍がさらわれたことを知ったサンバルカンと美佐は、一計を案じて実行に移す。
具体的には……、

まず、美佐が悩殺ビキニスタイルとなって、惜しげもなくその豊満なボディを太陽の下に披露する。

バックには、なんとなくお色気BGM風の音楽が流れる。
すぐに、ウミヘビモンガーが海中から出て来て、(美しい……この村にまだこんな美しい娘がいたのか)と、心の中で溜息を付く。

美佐は、その気配を感じると、ニコッと微笑んでから、かなり露骨にケツ(失礼)を左右にピクンピクン動かしながら、ウミヘビモンガーを誘うように歩き出す。
……
尻フェチやってて良かったぁ! と心から思えるシーンである。

それにしても、ほんと、美佐って美味しそうな体してるよね……
「ジャッカー電撃隊」のカレンと言い、「バトルフィーバーJ」のマリアと言い、「電子戦隊デンジマン」のあきらと言い、この美佐と言い、初期の戦隊シリーズのヒロインは、基本的にグラマラスな女性が主流であったのだが、次の「ゴーグルファイブ」の桃園ミキから、スレンダーなモデル体型に取って代わられるようになる。
無論、スレンダーも素敵なのだが、そう言う人たちが水着姿になってもあまり嬉しくないんだよね。
ウミヘビモンガーがふらふらと美佐のお尻についていくところを、物陰に隠れていた飛羽が、いきなりモリを投げ付ける。

飛羽「罠に掛かったな、ウミヘビモンガー!」
マシンマンたちが出て来て、岩場でのバトルとなる。
どうせなら、美佐にも引き続きその格好でぶるんぶるん戦って欲しかったところだが、美佐はさっさと画面外へ逃げてしまう。
飛羽とウミヘビモンガーがくんずほぐれつ戦っていると、今度は、アマゾンキラーたちが忍を連れて現れる。
飛羽「忍ちゃん!」
アマゾンキラー「無駄な抵抗はよせ、さもないと……」
忍の喉に短剣を突きつけられ、無抵抗で殴られる飛羽であったが、ニヤッと笑って「勝ったぞ!」と高らかに宣言する。
それと同時に、隠れていたシャークとパンサーがアマゾンキラーたちに飛び掛かり、飛羽もイーグルに変身して忍を助け出す。
そう、全ては、忍を地底のアジトから連れて来させる為の作戦だったのだ。

イーグル「忍ちゃんを頼むぞ!」
美佐「オッケイ、さ、早く!」
ポーズを取る三人の後ろで、しゃがんでいる美佐と忍。
是非真下から撮って欲しかった……
その後は、いつもの長い長い戦闘シーンを経て、サンバルカンの勝利となる。

全てが終わった後、飛羽たちが松原一家に別れを告げている。
勿論、さっきの誤解も解けて、忍と健太もニコニコ機嫌を直している。
忍「今度はゆっくりと皆さんで遊びに来て下さい」
飛羽「きっと来るよ」
健太「飛羽さん、早く来ないと姉ちゃんお嫁に行っちゃうぞぉ!」
健太のませた言い草に、みんなどっと笑う。

そして、赤くなった忍が健太をぶつ真似をするのが堪らなく可愛いのである!
……と言う訳で、純朴な少女の淡い恋心を描いた初夏のそよ風のような爽やかなエピソードであった。
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