第16回「コセイダー 恐獣戦車を倒せ」(1978年10月20日)
戦艦ガルムスのブリッジにて、ゴドメス軍の新たな戦士、ゴメル軍団長が着任し、ジェリコ司令官に挨拶している。

ジェリコ「ゴメル軍団長よ、貴様の
知恵と力と勇気でコセイドン隊を打ち砕くのだ!」
ゴメル「お任せ下さい司令官、恐獣戦車デモス号をもってすれば、必ずや勝利は我が物になるでありましょう」
ゴメル軍団長に対し、
アンパンマンの歌詞みたいな訓辞をおくるジェリコ司令官。
ちなみにゴメルの声は、「マッハバロン」のララーシュタインでお馴染み、伊海田弘さん。
さて、コセイドン号は、前回、時間航行中に恐獣ガリアスに襲われた為、白亜紀ではなく6300年前の石器時代に不時着したのだが、今回もまだその石器時代に留まっていると言う、多少の連続性のある設定となっている。
コセイドン号はやっとエンジンの故障を修理し、21世紀へ帰還しようとしていた。

テツ「エンジン周り、全て異常なし、隊長、いつでも飛び立てますよ」
バンノ「ようし」
モリィ「さあ、みなさん、直ちに出発と行きますか」

アルタシヤ「あら、東の方向から恐竜の鳴く声がするんです」
バンノ「ふぁふぁふぁふぁ、この時代に恐竜がいる訳ないでしょう?」
ゴウ「いや、隊長、俺には聞こえますよ」
その時、アルタシヤが急に恐竜の鳴き声が聞こえると言い出し、みんなも釣られて耳を澄ます。

バンノ「何にも聞こえんじゃないか」
ゴウ「いや、確かに聞こえます」
テツ「うん、聞こえる。……何か、助けを求めてるような鳴き声だ」
マリ「私には聞こえないわ」
珍しくヘルメットを脱いだスタイルになって耳を傾けるマリが可愛いのである!
その鳴き声は、聞いたと言う者と、聞こえないと言う者と、メンバーの中でも分かれるようなひどく曖昧な、頼りないものであった。

マリ「……あ、聞こえた、聞こえた」
バンノ「おい、いい加減にしてくれよ、お前らの頭、狂ってんじゃないのか? 俺には何にも聞こえんし、こんなところに恐竜がいる訳ないだろう? とにかくだな、
俺は早く基地へ帰ってひと風呂浴びたいんだよ」
休暇中ならともかく、勤務中にこんな人間臭いことを言う正義のチームリーダーって、他にはいないよね。
「コセイドン」が(作品として)成功した最大の要因は、バンノ役の草野大悟さんの存在だと信じたい。
だが、バンノ隊長の願いも空しく、モリィが「残念でした、音波探知機に反応が出てます」と指摘する。
ゴウ「耳が遠くなるなんて隊長も年ですなぁ」
バンノ「バカヤロウ! 分かった、勝手に行って調べて来い、ただし30分だけだぞ!」
ゴウはテツ、アルタシヤに声を掛けて走り出す。

マリも、ほっそりした太腿(矛盾)をチラチラさせながら、三人の後についていこうとするが、振り向いたテツに押し止められる。

テツ「ああ、マリ、君はいいんだ。君は留守番!」
マリ「ふんっ」
テツにヘルメットのひさしをぐっと下げられ、まるっきり子供扱いされるマリが可愛いのである!

ゴウたちはファイタス1号に搭乗して、砂丘の中を声のする方向指して突き進む。
しかし、いくら走ってもそれらしい恐竜の姿は一向に見当たらない。
ゴウ「これだけ探しても見付からないってことはやっぱり空耳だったのかなぁ。大体この時代に恐竜なんている訳ないんだよ」
テツ「いや、俺はそうは思わない。勘の良いアルタシヤもいることだし、とにかく時間一杯調べてみよう」
アルタシヤ「すみません」
テツ「何も君が謝ることないんだよ」
だが、その直後、アルタシヤが砂丘の上に転がっている一頭の恐竜の姿を認め、甲高い声を上げる。

確かにそれは、この時代にいる筈のないトリケラトプスであった。
……若干、小さい気もするが、ちゃんとトリケラトプスと言うテロップが出ているので誰がなんと言おうとトリケラトプスに間違いないのである!
ゴウは、負傷しているトリケラトプスに医療キットを持って近付く。
しかし、そのトリケラトプスは、いわばコセイドン隊をおびき寄せる為にゴメルが蒔いた餌であった。

ゴウがトリケラトプスに薬を塗ってやっていると、俄かに恐竜が騒ぎ出す。何事かと周囲を見れば、目の前の砂丘が陥没し、その中からウミサソリのような形をしたメカ、恐獣戦車デモスが出現する。

ゴメル「罠に掛かりよったな、コセイドン隊諸君、その恐竜は我々は白亜紀から囮として連れてきたものだ。これからゆっくりと君たちを料理してやろう」
……うむ、やはり、
スイカの皮にしか見えん。
ところで、ゴドメス軍ってタイムトラベル能力は持ってなかったんじゃなかったっけ?
デモス号が、普通に白亜紀から石器時代まで時空航行してるのは、物語の設定を根幹から覆してしまう見過ごしに出来ない矛盾点である。
前回のガリアスだけなら、その恐獣だけの特殊能力と言うことで説明できたのだが……。
しかしまぁ、石器時代に来ちゃったものは仕方ない。

ファイタス1号に戻ろうと、必死で砂地を走るゴウを、デモスが執拗に追撃する。
それにしても、このデモスのデザインと造型、素晴らしいの一語である。1話だけの登場が勿体無いほどだ。

追い詰められたゴウのそばに、さっきのトリケラトプスが近付いてきて、健気にも、ゴウの体を遠くへ投げ飛ばして、恩人をデモスの攻撃から助けようとする。

このシーンは、トリケラトプスの頭部だけの人形をスタッフが動かして役者の体に押し付けているのだが、うっかり、取っ手を持つ手が見えちゃってます。
ゴウは、デモスの砲撃のショックで気を失ってしまうが、助けに来たテツによってファイタス1号に収容される。しかし、あのトリケラトプスは怒り狂うゴメルによって虐殺されてしまう。
テツ「くそう、なんてことするんだ。ミサイル発射!」
テツはファイタス1号のミサイルを撃つが、デモスはコセイドン号クラスの機体で、ファイタス1号の武装では全く歯が立たない。
やむなくファイタス1号は反転して逃走するが、前方の地面が崩れてあり地獄のようになった窪みに吸い込まれて嵌まり込んでしまう。
そこへテツの救援要請を受けたコセイドン号が飛んでくるが、デモス号は戦車の癖に飛行能力も持っていて、即座に浮上して応戦する。

この映像を見ても分かるように、デモス号はコセイドン号とほぼ同じサイズなのだ。

バンノ「発射!」
マリ「発射!」 バンノの命令を復唱するマリ。
このマリの声、キャプでは分からないけど、どう聞いても川崎たか子さんの声じゃないんだよね。
なんとなく、ナレーターをやっていた村松克己さんっぽいのだが、アフレコで、マリの声が抜けていて、急遽別の人が吹き替えたのではないだろうか?
それとも俺の耳が悪くて、やっぱりこれは川崎さんの声なのかなぁ?

それはさておき、デモス号の機体が赤く染まり、空中でパッと消えてしまう。
マリ「あっ、消えたわ」
バンノ「なにぃ?」
驚くバンノたちの後方にデモス号が出現し、砲撃を加えてくる。

バノン「おにょれ~、テレポーション(ママ)など使いやがって! モリィ、右旋回だ。敵のテレポーションタイミングを読み取れ、それにあわせてこっちもテレポーションをシンクロさせる」
モリィ(良く分からんけど)「了解!」
バンノは、すぐにデモス号がテレポーテーション機能を有していることを悟り、こちらも瞬間移動で対応しようとする。
ま、どちらも時空航行能力を持っているのだから、そんな機能が付いていても不思議ではないよね。

ゴメル「コセイドンめーっ、テレポーション(ママ)をシンクロさせて攻撃するつもりだな。その手は食わんぞ、ストロボテレポーション攻撃!」
ゴメルも相手の意図を察知して、ボタンを連打する。
何をやっているのかさっぱり分からないが、出現と消滅を繰り返しながら接近する両機。
結局、デモス号の攻撃がコセイドン号に命中し、コセイドン号は不時着する。
ゴメルは、コセイドン号は放置して、ファイタス1号にトドメを指すべく地上に降下して走り出す。

そのファイタス1号は、なんとか窪みから脱出しようともがいていたが、無理であった。
テツ「駄目だ、これじゃアリ地獄に捕まったアリと同じだ!」
アルタシヤ「ここから、出られないのですか?」
テツ「ここから脱出するには応援が必要だ。その応援もさっきから何度も呼び出しても応答がないし!」
何も知らずにアルタシヤのふくよかな胸に抱かれて眠っているゴウが羨ましい……。
もっともゴウはそれからすぐに目を覚まし、状況を把握する。
そして、アルタシヤを連れて逃げろというテツと言い合いになり、結局、ファイタス1号の奥でテツと殴り合った末、アルタシヤと共に操縦席に戻ってくる。

ゴウ「アルタシヤ俺を人間大砲で打ち出してくれ」
アルタシヤ「そんな! その体ではとても無理です」
ゴウ「俺はどうなろうと構わない。頼むから打ち出してくれ」
アルタシヤ「でもぉ……」
ゴウ「アルタシヤ、俺がこんなに頼んでいるのに、分かってくれないのか?」
ゴウの真剣な眼差しを受け、アルタシヤはやがて静かに「分かりました」とつぶやく。

そうこうしているうちに、窪地の上端に、デモスの恐ろしげなシルエットがのしかかるように現れる。
うーん、このビジュアルがまた素晴らしい。

デモスの仮借ない砲撃を受けつつ、アルタシヤが「初めてのファイタスボンパー発射」にチャレンジする。
ゴウ「行くぞ!」
アルタシヤ「はいっ! ファイタスボンバー、ホップ! ファイタスボンバー、ステップ! ファイタスボンバー、ジャンプ!」 優しい声で、精一杯いかめしく、テツがいつもやってるコールを繰り返すアルタシヤがとろけそうなほど可愛いのである!

コセイダーは、デモスのドリルミサイルが撃った瞬間、「時間よー、止まれーっ!」と、必殺の時間停止能力を発動させる。
そして空中で静止しているドリルミサイルを脇に抱えると、

デモスのキャタピラの中に滑り込んでミサイルを置き、元の場所に戻ってから「時間よー、動けーっ!」と叫ぶ。
デモスは自ら撃ったドリルミサイルで戦闘不能になるが、ゴメルは諦めずに兵士たちを連れて外へ出て、コセイダーと直接戦おうとする。

ゴメルは戦士としても一流で、ロケットのような形の巨大な槍を振り回し、コセイダーを苦しめる。
なにしろ、スーツアクターは、ウルトラマンレオの二家本辰巳さんだもんね。

一方、アルタシヤは、コセイダーとテレパシーでつながって、目を見開いてびくんびくんしながら(コセイダー、しっかりぃ!)と、ひたすら声援を送るのだった。
はっきり言って、この設定、意味なくない?
頑張って演じている村野奈々美さんが気の毒になってしまう。

ゴメルの槍は、地中から炎の柱を作り出したり、毒ガスを噴射したり、内蔵する機能も多彩であった。
ゴメルって、「コセイドン」の中に出て来た敵の中では、最強なのではないだろうか?
少なくともゴドメス軍においては、比肩しうる者がないほどの強敵と言えるだろう。

が、最後は砂丘を転げ落ちたところを、コセイダーのレーザーサーベル(の念力?)を受けて派手にひっくり返り、

見事に爆死して果てるのだった。
その後、ファイタス1号もハクアス1号によって引き揚げられ、無事な顔がコセイドン号のブリッジに揃う。
バンノ「一時はどうなるものかとヒヤヒヤしたがな、はっはっはっ」
モリィ「隊長、やっとこれで風呂に入れますな」
バンノ「うーっふーっ、これからみんなで21世紀に帰還する!」
と言う訳で、ストーリーはあってないようなものだったが、特撮やアクションが充実の娯楽作であった。