第23話「ウェディング・マーチは闇の調べ 三代目の結婚!?」(1987年5月14日)
22話は一応キャプしたのだが、レビューを書く前に
全然面白くないと言うことに気付いたので、スルーした。
さて、23話である。
人気のない林の中の小さな教会で二人だけの結婚式を挙げているカップルがいた。

新郎は、加藤浩一と言うワイルドな感じの青年で、演じるのは高杉亘さん。

新婦は、宇佐那木(うさなぎ)泰子と言う、変な苗字の女性で、演じるのは白島靖代さん。
ところで、今でも勘違いしてる人がいるかも知れないので、念の為、記しておくと、
白鳥(しらとり)ではなく、
白島(しらしま)である。
神父「指輪の交換を……」

式そのものは無事終わり、二人は結婚指輪を交換してから教会の外へ出る。
浩一「ごめん、二人だけの式なんて」
泰子「ううん、私たちにはふさわしいわ」
浩一「ようし!」
泰子「キャッ」
浩一「泰子を絶対に幸せにしてみせるぞーっ!」
泰子「浩一さん

」
いきなり泰子の体を抱き上げ、高らかに宣言する浩一青年。
だが、いつの間にか目の前の地面にたくさんの紅白の薔薇が散らばっていた。
二人が怪訝に思って見ていると、薔薇が花吹雪となって押し寄せてくる。
そして、空中から、数人の忍者が湧いて出てくる。
日本ではよくあることですね(ねえよ)。

彼らは泰子を無理矢理連れて行こうとする。当然、浩一は泰子を取り戻そうとするが、見掛けの割りによわっちい浩一は一方的に忍者にボコボコにされて地に転がる。
それにしても、ウェディングドレスに包まれているお尻が素敵ですね。
その後、唯は般若に呼び出され、二人の写真を見せられる。
この段階では、般若にも浩一が泰子の失踪とどういう関係があるのか分からなかった。

般若「宇佐那木家は戦前より続く名家、政財界にも繋がりが強い。世が世なら、一国の姫君」
唯「うわーっ、わちゃ、そんげな奴に憧れるわい」
般若「宇佐那木家の名を利用して、政財界で力を持とうとする勢力は多い」
唯「やっぱり影か」
般若「泰子を手中に入れ、一気に国家の中枢に近付く目論見かと……」
唯に与えられた使命はまず浩一に接触してその素性や事情を聞き出すことであった。
般若から情報を得ているのか、唯が歩道を歩いていると、警察署の前でちょうど浩一が警官と激しく言い争っているところだった。

浩一「待ってください、何故調べてくんないんです?」
警官「しつこいな君も、事件が起きてもいないものを調べようがないだろう」
浩一「馬鹿な、目の前で誘拐されたんだ、泰子は……」
だが、警官はそもそも浩一の言う泰子なる女性は存在しないのだときっぱり告げると、浩一を置いてさっさと行ってしまう。

唯「待ちない、泰子さんのことを聞きたいんじゃけど」
浩一「泰子? 泰子のことを知ってるのか?」
唯「そりゃこっちが聞きたいことじゃわ、わちも泰子さんを探しとるんじゃ」
浩一「お前、誰だ」
唯「あんたこそ泰子さんとどういう関係なんじゃ?」
浩一「泰子は、泰子は俺の花嫁だ」
浩一、唯の相手などしている暇はないと言った感じで、泰子の手掛かりを求めて奔走する。
唯もその後をつけて彼の探索の様子を見守るが、泰子が住んでいたというアパートの部屋には見知らぬ中年女性がいて、「自分は5年前からこの部屋に住んでいる、そんな女性のことなど知らない」とけんもほろろに浩一を追い返す。

婚姻届を出した役所にも行って確かめるが、係りの人間は婚姻届など出されていないと言う。
どうやら、影の力で……と言うか、宇佐那木家に入り込んでいる影が宇佐那木家の財力と権力を利用して、浩一と泰子との関係をなかったことにしてしまっているらしいのだ。

最後に、浩一は式を挙げた教会にも行ってみるが、応対に出た神父(大木正司)も、彼らが結婚式を挙げた事実はないと告げる。
浩一「お前じゃ分からない、あの時の人を出してくれ」
神父「ええっ?」
浩一「あの時、俺たちの結婚に立ち会ってくれた人さ」
神父「ここにいるのは私だけでございますが……」
浩一「違う!」
神父「この季節になると良くいらっしゃるんです、こういう方が……」 浩一を持て余した神父は、聖職者にあるまじき暴言を一緒にいる唯に飛ばす。
行く先々で自分の話が否定される……ま、サスペンス映画ではよくある筋ですな。

浩一は問わず語りに1年前、偶然泰子と出会い、互いのアパートを訪ね合うようになって、やっと結婚に至ったのだと唯に話す。
唯、般若から預かった泰子の写真を見せて、
唯「ほんとに泰子さんはこん人か?」
浩一「ああ、自分の花嫁を間違える奴がいるか」
唯「じゃけん、こん人は大金持ちの一人娘やとよー」
浩一「そんな馬鹿な、みんな俺の思い込みだって言うのか? 泰子は俺の幻だって言うのか?」
唯「……」
この段階では、唯も浩一の話をそのまま受け取るのは出来ない相談であった。
だが、ここで、浩一は唯一の物的証拠である結婚指輪のことを思い出す。忍者に泰子が連れ去られた際、泰子の指から指輪が抜け落ちたことを思い出したのだ。
浩一は唯と一緒にもう一度あの教会の庭先へ行く。
そこで浩一は「暴漢に襲われた時……」と、やや事実をぼかして話しているが、もし「忍者に襲われた時……」などと言ったら、今度こそキチガイ扱いされるのではないかと危惧したのだろう。
で、影たちもそこまでは見落としていたのか、指輪はそのまま現場に残っていた。しかも、ちゃんとリングの内側には泰子の名前が彫ってある。
その時、再び薔薇の花吹雪が襲ってきて、さっきの神父がナイフを手に浩一に切りかかってくる。
唯は、すかさずヨーヨーを投げてその動きを牽制する。

唯「お前、影か」
神父「ふっふっふっ、よくぞここまで辿り着いたな」
唯「泰子さんを誘拐したのはやっぱり影じゃな。泰子さんを何処にやった?」
だが、ニセ神父は花吹雪を発生させると、神父の制服だけ残して煙のように消えてしまう。

さて、その泰子は宇佐那木家の屋敷の一室に軟禁されていた。
ニセ神父がその部屋に入ってくる。

泰子「柘植、あなたが仕組んだのね。こんなことをしても一介の秘書に過ぎないお前に宇佐那木家の財産が渡ることはありません」
柘植「心外ですな、お嬢様、私は父上の遺言を忠実に守ろうとしているだけ」
泰子「私はもう大人です。自分の将来は自分で決めます」
柘植「そう言う訳には参りません。私が草として宇佐那木家に入り込んで十数年、この時を待ち続けていたんです。我ら草は日本中のあらゆる階層に入り込んでおります。そう遠くない将来、日本の支配階級全てに影の力が及ぶでしょう」
泰子「柘植、あなたは……」
柘植は薔薇の術を使い、一瞬で泰子を催眠状態に陥れる。
彼らの目的は、影の一味である男性と泰子とを結婚させることにあったのだ。

柘植「既に結婚式の準備は万端整っておりますよ」
泰子「……」
柘植の言葉に、心を操られている泰子は無言で頷き返すのだった。

一方、唯は浩一を一旦自宅へ連れて戻り、浩一を励ますと共に姉たちに事情を話して協力を要請する。
唯「力を落としたらいかんよ、最終的には泰子さんの気持ち次第じゃ」
浩一「しかし、今の俺にはそれを確かめることも出来ないんだ」
と、2階に上がっていた由真が、週刊誌を持って降りてくる。
由真「ね、これそうじゃない? 資産数百音円の宇佐那木家に無名の青年実業家婿入り……それって泰子さんのことでしょう」

浩一、由真の手からひったくるように雑誌を取って見ると、確かにそんな記事が掲載されていた。
唯「家柄ではなく誠実な人間性に惚れ込んでの結婚、と泰子さん」
浩一「……」
唯「きっとなんかの間違いじゃ、そんげなこつなか」
由真「でもさぁ、明日結婚ってなってるぜ。女心となんとかって……」
結花「由真!」
浩一は即座に家を飛び出し、宇佐那木家へ向かう。
そして、ちょうど車から降りて屋敷に入ろうとしていた泰子に必死に話しかけるが、催眠状態にある泰子は浩一を無視してさっさと屋敷に消えてしまう。
浩一は、柘植の部下にボコボコにされて道端にひっくり返る。

唯「加藤さん!」
結花「だいぶやられてる、すぐ家へ」
三人は浩一の体を抱えて家に引き揚げる。
しかし、こういう役には高杉さんはミスキャストかもしれないなぁ。
さて、浩一は泰子に無視されたことですっかり弱気になっていた。

浩一「やっぱり俺が見てたのは幻だったんだ。泰子は俺の心の中だけで生きてる幻だったんだよ」
唯「……」
浩一「あっつつっ」
唯、無言で消毒スプレーを浩一の傷に吹き付ける。
唯「ぐだぐだ言う男は好かん! ちぃと邪魔されたくらいで諦めるなんてたいした愛じゃなかったんじゃね」
由真「んなこと言ったってさ、花嫁はしっかりガードされてるじゃん」

唯「相手が奪い取ったんなら、こっちも奪い返せばよか!」
結花「略奪結婚ね」
由真「ふーん、面白そうじゃん」
唯「わちは愛とか結婚とかようわからん。じゃけん、ふたりの心がほんとに結ばれちょれば、どんげな力よりも強い筈じゃ。影も邪魔できん!」
浩一「唯さん……」
唯に励まされ、浩一の目にも生気が蘇る。
浩一「唯さんの目を見ていたら勇気が出てきたぜ、二人の気持ちに偽りは無かった」
と言う訳で、結婚式当日、唯たちは会場である豪華なホテルへの潜入を図る。
……ところで、今回のエピソード、自分にはストーリーの端々に
「ルパン三世 カリオストロの城」との類似点がうかがえるんだけどね。
花嫁が結婚式を控えて催眠状態にあると言うのも同じだし、指輪が重要なアイテムになってると言う点でも。

とにかく、どうやって調達したのか、浩一と唯はそれぞれ盛装して、偽のカップルに成り済ましてホテルに入り込む。
浅香唯さんとしては、多分、初めてのウェディングドレスだったと思うが、変装の意味もあるので常にベールで顔を隠したままと言うのがちょっと残念である。
結花と由真は、ホテルの従業員に扮して二人の後に続く。

唯「嬉しか~」
由真「私だってウェディングドレス着たかったのに」
結花「由真、シッ!」
さて、宇佐那木家と神津家の結婚披露宴は既に始まっていて、早くもお色直しの時間となる。

ちなみに披露宴の司会者も、

花嫁の手を取って連れ出す親戚(?)のおばさんも、それぞれどこかで見た顔である。
司会者はちょっと名前が分からないが、おばさんは八百原寿子さんね。
ついでに、最初に出て来た神父は名取幸政さん。警官の五野上力さんと言い、今回はやたら見覚えのある大部屋俳優さんたちが出てくる。
で、まぁ、お色直しの時間を利用して、唯たちは簡単に泰子を浩一に引き合わせることに成功する。

浩一「泰子、しっかりしてくれ、どうしちゃったんだよ」
結花「焦点が定まってない。やはり術を掛けられてるわ」
結花は、簡単に泰子の催眠状態を解く。
まったく、カンタンだ。 
浩一「泰子」
泰子「浩一、浩一さん! ごめんなさい、私今まで浩一さんを騙してました。でも、それは宇佐那木家ではなく、私自身を愛してくれる人を探す為に……」
浩一「分かった、何も言わなくていい。僕は君を奪いに来たんだ。君だけを」
泰子「浩一さん」
ひしと抱き合うを二人を見届けた三人は、最後の仕上げ、悪人退治に出陣する。
まず、泰子に化けた唯がそのまま会場に戻る。そしてその隙に、結花が二人を建物から脱出させる。
会場では、一体何の意味があるのか意味不明と誰もが思うキャンドルサービスが始まるが、

新郎「違う!」
その途中で、やっと新郎が花嫁が入れ替わっていることに気付く。
いや、背の高さが全然違うから、会場に現れた時点で気付くだろう、普通……。

唯「愛は人にとって一番強い力なんじゃ、本気で愛しあっとる二人を引き離そうじゃなんていくら影でも出来んわい!」
唯、花嫁姿のまま、満場の出席者を前にタンカを切る。
ついで、いつもの制服姿になって、桜の代紋を見せ、スケバン刑事としての名乗りを上げる。

続いて、隣の巨大なケーキが内側からバリッと割れて、

いつの間に入り込んだのか、由真が颯爽と登場する。
しかし、さすがにこの仕掛けは、唯たちだけでは不可能なのではないだろうか?
そもそもケーキの中に入る必要はないんだけどね。
その後はいつものバトルになり、唯たちが勝利を収める。もっとも、親玉である柘植は「影は負けない!」と捨て台詞を残して退散する。
二人は結花たちに合流し、影とは関係のない人たちの追跡も封じ、無事に二人を建物の外へ連れ出す。

浩一「泰子」
泰子「浩一さん」
浩一、改めて泰子の指に結婚指輪を嵌める。三人も、思わず拍手して祝福する。
二人はそのままバスに乗って、新婚旅行に……新たな人生に向かって旅立つ。
しかし、泰子がトンズラしてしまったら宇佐那木家は一体どうなるのだろう? その辺はちょっと無責任過ぎる気もするが。

結花「行く先のない新婚旅行ね」
唯「いいなぁ、ロマンチックじゃわ。わちもいつか素敵な旦那様と……」
由真「なんてことは一生ないだろうねぇ」
唯「ある!」
由真「だって誰が貰ってくれる?」
唯「誰かおると」
由真「いるわけない」
唯「おる」
結花「もー、やめなさい!」
いつものように喧嘩を始める二人を結花がたしなめたところで終わりです。