第14回「デストラン 超武装闘士との戦い」(1978年10月6日)
以前にも書いたように、1話から続いたSFマインド溢れる連続ストーリーは11話辺りまでで一応打ち止めとなり、第2クール以降は、第13話で強引に誕生したタイム戦士コセイダーの活躍をメインに描く、ありきたりな特撮ヒーローモノにシフトしてしまう。要するに、より低年齢向けに路線変更が行われたのだ。
それでも、ストーリーの面白さや、個性的なメンバーのやりとりの楽しさなどが、すべて無くなってしまった訳ではないので、路線変更後も、一定の水準を保っているのが救いなのである。
しかし、アバンで、ナレーター(諸星あたる)が「総監ザジを倒せたのはぜんぶコセイダーのお陰」みたいなことを言ってるのは、ちょっと聞き捨てならないなぁ。確かに最後の戦いでザジを倒したのはコセイダーだったけど、それ以外の場面では、他のメンバーだってそれぞれ自分の能力に応じて勝利に貢献してると思うんだけどね。
それはさておき、悲しいことに、まずウララの正式な退場から語らねばならない。
前回の戦いで負傷したウララは、コセイドン号で一旦21世紀へ送還されることになったのだ。
まだ時間軌道が安定していないのか、コセイドン号はバンノひとりで操縦し、

他には、奥の医務室のウララにアルタシヤが付き添っているだけであった。

ウララ「……」
アルタシヤ「ウララさん、気がついたのね!」
ウララ「ここは、何処?」
アルタシヤ「亜空間よ、もうすぐ21世紀に着きます」
ウララ「……ハクアスは、ハクアスはどうなったの?」

アルタシヤ「テツが修理して、じいがウララさんの代わりに乗るんだって頑張ってます」
ウララ「……」
ウララ、自分の愛機のことを確認すると、安心したように再び目を閉じる。
あっけないけど、これでウララはドラマから永久にいなくなってしまう。そして15話以降、バンノたちがウララのことを口にすることもないのだった。
この扱いはちょっと冷たい気がするのだが、どうしてウララがパージされたのか、その正確な理由は分からない。14話から毎回コセイダーの戦闘シーンが描かれることになった為、その分、ドラマ部分が圧迫されることになり、それに伴ってレギュラーメンバーを減らす必要が生じ、そこで一番子供に受けが悪そうなウララに白羽の矢が立ったのではないだろうか。
確かに、口うるさい大人の女性ウララは、まるで子供たちの母親や担任教師のような感じもして、子供たちの人気はあまりなかっただろうとは思うが、年を取ってから見ると、ウララがいなくなって人間ドラマの濃度がかなり低下したように感じられて、いかにも惜しいと思うのである。
一方、白亜紀に残った面々はそれぞれ好きなことをして過ごしていた。
ウララに代わってハクアス1号の操縦者に抜擢されたビックラジィーは、ハクアス2号に乗るモリィの指導で、操縦訓練を行っていたが、あっちこっちにハクアス1号をぶつけてはモリィをハラハラさせる。

モリィ「お、おい、大丈夫かよ、じいさん」
ビックラジィー「心配ない、ワシの体は頑丈なんだよ」
モリィ「お前さんじゃないよ、ハクアス1号だよ、出来の悪い生徒を持つと、
先生はつらいね~」
蛾次郎さんならではの「くすぐり」である。
そして残りのゴウ、テツ、マリは、ゴドメスとの戦いもひと段落ついたと言う気安さから、川辺でのんびりと束の間を休息を取っていた。
12話で誕生したディメトロドンと相撲を取っているゴウを見ながら、テツは気持ち良さそうに大地に寝転がって、白亜紀の澄んだ空を見上げる。

テツ「静かだなぁ、静かだ……」

博士「これが本当の平和な地球だ。ゴドメスはいない、人類も生まれておらん」
マリ「ひどいわ先生、ゴドメスと人間を一緒にするなんて」
博士「人間によって滅亡寸前になった21世紀のバッファローやトキの気持ちになってごらん、ゴドメスと我々も変わりはない。だからこそワシはせめてこの7000万年前(ぜん)で罪滅ぼしをしたいのだよ」
他の動植物に多大な災厄をもたらすと言う点では、ゴドメスと人間も大差はないと断言するのは、12話に出て来た恐竜研究所のトドロキ博士である。
こういう、人間のことを客観的に評価した謙虚な台詞って好き。

もっとも、メンバーでも最年少のマリには、まだ博士の言葉を理解し、素直に受け入れるのが難しいのも、また事実であった。
博士「傷付いた恐竜を看護し、彼らの子孫を守る。それはまた君たちコセイドン隊の本来の任務でもある」
博士の台詞に合わせて、早速怪我をしたティラノサウルスを保護するという初めての任務を行っているビックラジィーのハクアス1号の姿が映し出される。
ビックラジィーはまず、ネット銃を発射してティラノサウルスを動けなくすると、ハクアス1号後部の蛇腹状の檻を伸ばし、そのまま恐竜に近付いてその中へ収容する。
ハクアス1号は元来、こうやって恐竜を回収することを主任務としたメカなのだ。
ところが、檻の中で暴れていたティラノサウルスが突然爆発すると言う異常現象が起き、その音は川辺にいるゴウたちの耳にも届く。
ゴウとテツは休暇を切り上げて、直ちにファイタス1号を発進させる。
ゴウ「おい、一体何が爆発したんだ」
ビックラジィー「恐竜じゃ」
ゴウ「恐竜? そんなもんが破裂するかよ」
ビックラジィー「嘘じゃない!」
と、彼らが通信している間にも、次々と周囲で爆発音が起きる。
見れば、確かに手当たり次第と言う感じで、恐竜が内部から爆発して死んでいくではないか。

ファイタス1号がさらに進むと、黒焦げになった恐竜の死体が、死屍累々と埋もれている砂漠へ出る。
そして、すぐそばの砂丘の斜面には、巨大な紋章のようなものが描かれていた。
ゴウ「あれは、あのマークはなんだ?」
その後、21世紀にウララを送り届けたバンノとアルタシヤが、コセイドン号で戻ってくる。

バンノ「え~、ウララ隊員は幸い命に別状なし、入院一ヶ月程度と分かった。丈夫なもんだよ。はっはっははっはっ、ザジの始末についてはな、長官もたいそう喜ばれてね……なんだ、おい、お通夜みたいな顔して、さ、21世紀からのお土産だ、食べろ、食べろ」
バンノは地球から持ち帰ったフルーツをテーブルに並べて、うららかな顔でみんなに報告するが、ゴウたちは押し黙ったまま相槌を打とうともしない。
みんな、バンノのことが嫌いだからである。 ……間違えました。
みんな、恐竜爆発事件のことで頭が一杯だからである。 よって、劇中でウララに関する最後の言及となる「入院一ヶ月程度」と言う台詞にも、誰も反応を示さない。この台詞だと、しばらくしたらウララが復帰するようにも受け取れるんだけどね。
ちなみに、カイドウ長官も、ウララと同じようなタイミングでパタッとドラマから姿を消してしまう。
これはやっぱり、観世栄夫のギャラの問題だろうか? まぁ、あの強面キャラが、子供たちに受けが悪かったであろうことは容易に推測できる。
テツは、あのマークを写し取った紙をバンノに見せる。
バンノからそれを見せられたアルタシヤ、不意に顔色を変える。
アルタシヤ「あっ、これは!」
ゴウ「知ってるのか?」
アルタシヤ「この近くに何かの死骸がありまして?」
ゴウ「ああ、あったどころか、恐竜が何頭か殺されていた。このマークを描いたものの仕業だな。ゴドメスか?」
アルタシヤ(かぶりを振って)「ゴドメスよりも恐ろしい」
ゴウ「なにぃ」
アルタシヤ「ゴドメスが統治する惑星のひとつ、戦いと破壊の為に生きるアルタイル族の闘士デストラン!」
アルタシヤの言葉に、ゴウたちは一様に表情を引き締める。
アルタシヤによれば、あのマークはデストランの挑戦状らしい。恐竜たちはその生贄にされたのだ。
と、彼らが話している最中、いきなりコセイドン号が砲撃される。
ただし、それはガルムスに乗るデストランが、コセイダーを誘い出す為の威嚇攻撃だった。
ガルムス、既に何度も撃墜されていると思われるが、14話以降も次々と変わる司令官の旗艦となるケースが多い。デストランが乗っているのがザジが乗っていたものを修理したものなのか、新たにゴドメス軍が派遣したものなのかどうかは分からない。

デストラン「コセイダーはまだか」
兵士「はっ、それらしい姿は見当たりません」
デストラン「腰抜けめ、これだ脅しても出て来ないようでは、他の手を打つほかあるまい」
デストランは明らかに植物型宇宙人であるゴドメス兵たちとは異なる姿をしている。
強大無比のゴドメス軍は宇宙に広大な領域を築いていて、その中には彼らのようにゴドメスに服従している種族もいるらしい。
で、コセイダーを引っ張り出す為の囮に選ばれたのが、不運にもあの恐竜研究所の博士だったのである。デストランはいきなり研究所に現れると、腹部の超音波兵器でトドロキ博士を撃つ。
博士は重傷を負うが命は取り留める。ただし、それを境にドラマからいなくなってしまう。
知らせを受けると、バンノは即座に4機のメカを出撃させる。
だが、谷間の道を走っていたファイタス1号が、戦闘機に左右の山肌を攻撃されて山崩れを起こされ、その岩石によって埋没してしまう。その結果、ゴウがコセイダーに変身するのに必要なファイタスボンバーが使えなくなってしまう。

ゴウ「ハクアス1号、ハクアス1号、来てくれ」
アルタシヤ「ゴウが、どうかしたんだわ」
ゴウ「じいさん、聞いてるのか、ファイタスボンバーが使用不能だ、頼む、急いでくれ」
ゴウは、ハクアス1号の巨大なアームで岩をどかして貰おうと、1号に救援を要請する。

デストラン「コセイダーめ、これだけ仲間を痛めつけてもまだ尻尾を見せぬつもりか」
ゴドメス軍のせんだみつおの異名を持つ(註・持ってません)デストラン、ガルムスから降りて地上部隊を指揮していたが、ちょうど真下を走っていたハクアス1号を見て、腹から超音波を放って走行不能にする。
その後、ハクアスを捨てて外を歩いていたアルタシヤとビックラジィーがゴドメス兵に襲われ、それをゴウが助けに来る。しかし、ゴウはデストランの超音波攻撃で山の上から吹っ飛ばされてしまう。
アルタシヤたちはあえなくゴドメスの手に落ちる。

デストラン「ははははははは、これはこれは、タイムGメンが乗ってると思いきや、アルタシヤ殿であったとは」
アルタシヤ「私ならどうしようと言うのです」
デストラン「丁重に、テレサの星へお迎えするよう命じられている。タイム戦士の正体も尋ねておくようにとな」
アルタシヤはゴウの名を叫びながら、ゴドメス兵に引き立てられる。
……しかし、以前、ザジはアルタシヤを捕まえたら即座に殺そうとしてたのに、いつの間にかゴドメスの方針が変更になっているようだ。
歩かされているうちに靴が脱げて、裸足で荒野を歩いている痛々しい姿のアルタシヤ、(ゴウ、お別れだわ)と心の中でゴウに別れを告げる。
だが、その時、復活したファイタスボンバーでゴウがコセイダーとなって飛んでくる。

コセイダー「タイム戦士、コセイダー参上!」
前回も書いたが、タイム戦士に生まれ変わってからは、変身後の声が二又一成さんに変わってしまう。
声だけじゃなく、人格そのものがゴウとは別のコセイダーと言うスーパーヒーローにスイッチする。
特にこういう等身大ヒーローものでは、変身後に声が変わるというのは甚だしく興を削ぐ演出であると言うことが、この作品を見れば良く分かる。
「変身忍者 嵐」でも、終盤になると変身後の声が俳優(南城竜也)から声優(池水通洋)に変わっていたが、あれも興醒めだった。
閑話休題、コセイダーがビームアタックで雑魚を片付けると、強敵にまみえて歓喜するデストランとの一騎打ちになる。

デストランの超音波攻撃をかいくぐりながら、突進するコセイダー。
デストランは超音波兵器のもならず、体のいたるところに銃や火炎放射器、ビーム砲などを備え、しかもその肉体はコセイダーのレーザーサーベルも通用しないと言う強敵であった。
だから、てっきり、コセイダー、必殺の「時間よ止まれ!」で倒すのかと思ったが、デストランは腹部の超音波発射装置を蹴られるとあっさり爆死してしまうのだった。
うーん、ちょっとこのポテチンな死に方は残念だったなぁ。