「仮面ライダーBLACK」 第50話「創世王の正体は？」 後編

仮面ライダーBLACK SONG & BGM COLLECTION [ 川村栄二 ] 価格：4167円（税込、送料無料) (2017/5/28時点)

　第50話「創世王の正体は？」（1988年10月2日）
　の続きです。

　創世王によって、別の場所に転送された二人の世紀王。

　
　そこは、それまでとはうってかわって、美しい花の咲き乱れる豊かな自然の真っ只中であった。

　それと同時に、ＥＤの物悲しげな旋律が流れはじめ、「緑成す大地～、四季折々の花～♪」と言う歌い出しの歌詞が見事にこのシーンにマッチする。

　名作の条件のひとつは、素晴らしい音楽にあるのだなぁとしみじみ実感させられる名場面と言えよう。

　
　BLACK「信彦、お前にはもう本当に人間の心がないのか？　この美しい地球を本気で滅ぼそうと言うのか？」
　シャドームーン「……」

　そんな自然をバックに、シャドームーンに、信彦に対し最後の問い掛けを試みる光太郎。

　
　BLACK「この地球は生きている。人も、動物も、虫も、平和を愛し生きている！　それがどうなってもいいと本当に思っているのか？」

　
　シャドームーン「はぁーっはっはっはっ！」

　喉の奥でくぐもった笑い声を発し、最後は顔をのけぞらせるようにして哄笑する。

　
　シャドームーン「甘いぞ、ブラックサン、見ろ！」

　シャドームーン、サタンサーベルを構えて叫ぶと、空高くジャンプし、

　

　
　空中で、キングストーンから二筋の光を放ち、BLACKの周囲で激しい爆発を起こす。

　シャドームーン「俺の体内には既に創世王の力が宿ったのだ。貴様など簡単に踏み潰し、全宇宙を手に入れてやる！　はっはっはっはっ……」

　改めて言っておこう、てらそままさきさんの声と演技、絶品である。

　新しいおもちゃを買って貰った子供のように、新たに手に入れたパワーで手当たり次第に美しい自然を破壊していくシャドームーン。

　山火事が起きて、二匹の野ウサギがピョンピョン逃げていく。

　
　BLACK「やめろぉーっ！」
　シャドームーン「ふっはっはっはっ……」
　BLACK「シャドームーン、貴様ぁ」
　シャドームーン「くっくっくっ」（註2）
　BLACK「俺はもうお前を信彦と思わない、この美しい地球を守る為、俺は貴様を倒す！」

　オンエア時は、素直に燃えることの出来た決め台詞であるが、今聞くと虚しい。

　「開発」の名のもとに人類が行ってきた、そして行っている大規模な自然破壊に比べれば、シャドームーンの行為など、児戯に過ぎないのだから。

　（註2……この笑い声が、いかにもワルモノと言う感じで素晴らしい）

　それはそれとして、いよいよBLACKとシャドームーンの最終決戦が始まる。ＢＧＭは引き続きＥＤ。

　……しかし、いちいちケチをつけるようで恐縮だが、両者の戦いは47話で一度完全に決着が付いているので、この二度目の戦い、いまひとつ盛り上がらないんだよね、自分としては。

　
　なお、今回も、トゲウオ怪人、マーラ、カーラが観客としてその場にいる。

　マーラ、カーラ、折角女優さんが演じているのだから、「ゴーグルファイブ」のベラ、ベスみたいに、最後は顔出しのキャラクターになって欲しかったなぁ。

　前にも書いたが、これじゃ、女優さんもやり甲斐がないよね。

　
　ライダーパンチを撃ってくるBLACKに対し、サタンサーベルを顔の正面に立て、

　
　それを野球のバットのように振って、

　
　赤い光の刃を放って、空中で、BLACKの胸板に命中させる。

　
　たまらず、その場に落下するBLACK。

　
　さらに、BLACKの目の前で跳躍し、

　
　BLACKの頭上から剣をふるい、その背中を切り裂くシャドームーン。

　
　そして着地。

　いやぁ、この辺はさすがに、惚れ惚れするようなアクションの連続である。

　
　シャドームーン「どうした、ブラックサン、生き返って強くなったのはその程度か？」

　中立であるべき創世王からパワーを貰っていることは棚に上げて、BLACKを挑発するシャドームーン。

　そもそも、自分だけサタンサーベル持ってる時点で不公平なんだけどね。

　
　シャドームーン「往生際の悪い奴だ、いいだろう、貴様にふさわしいやり方で決着をつけてやる。シャドーフラッシュ！　バトルホッパー！」

　シャドームーン、BLACKの「キングストーンフラッシュ」同様、自身のシャドーチャージャー（キングストーン）から光を発してから、バトルホッパーを呼ぶ。

　BLACK「なにっ」

　なんと、BLACKの愛車であるバトルホッパーがシャドームーンの声に応じて戦場にやってくる。

　
　シャドームーンはそれに飛び乗ると、悠々とそれを操って見せる。

　シャドームーン「はっはっはっ、忘れたのか、ブラックサン、バトルホッパーは次期創世王の為に作られたマシンだ。俺が操れて当然ではないか！」
　BLACK「俺の命令を聞け、バトルホッパー！」
　シャドームーン「無駄だ」

　バトルホッパーも、BLACKの声に反応して激しく首を振るが、再びシャドームーンの「シャドーフラッシュ」によって、シャドームーンに制御されてしまう。

　シャドームーン「ゆくぞ、貴様のマシンに撥ねられて、あの世に行くが良い！」
　BLACK（うう、やだなぁ……）

　確かに、仮面ライダーともあろうものが、バイク事故で死ぬのはまずいよね。

　
　過去の戦いでは、困った時のバトルホッパー（orロードセクター）で苦境を凌いできたBLACKが、こともあろうにそのバトルホッパーに追い詰められると言う皮肉な状況となる。

　もっとも、結果的にはバトルホッパーを呼んだことが、シャドームーンの敗北を招いてしまうのだが。

　ここで、もう一度、サンフランシスコの克美さん、杏子ちゃんの姿が映し出される。

　
　杏子（ライダー、光太郎さん、あなたは人類の希望よ、頑張って、頑張って！）

　杏子ちゃんの心の叫びの後、再びBLACKとシャドームーンのバトルシーンとなり、いよいよ最終回、51話へ続くのであった。

　なお、51話でも、回想シーンと言う形で杏子ちゃんたちはちょっとだけ出てくるが、ちゃんとした台詞は、上の杏子ちゃんのものがラストとなる。

　なので、事実上、お二人の出番はこれで終わったと言って良いだろう。

　改めて振り返ると、克美さんにしても、杏子ちゃんにしても、いまいちその美味しいポジション（悪の親玉の婚約者、悪の親玉の妹）が、物語の中で活かしきれないまま終わってしまったような気がする。

　全体的に出番、見せ場も少なかったし、この二人の扱いは、この作品の欠点のひとつだったと思う。東堂先輩も含めてね。