fc2ブログ

記事一覧

横溝正史シリーズ2 「夜歩く」その1

[DVD] 夜歩く(リマスター版)

[DVD] 夜歩く(リマスター版)
価格:2,993円(税込、送料別)



 横溝正史シリーズ2の第5作「夜歩く」のお時間です。原作の「夜歩く」は正史のもっとも脂の乗っている時期に執筆された力作長篇(今だったら中篇か)で、独特の世界で展開する幻想的なストーリーもさることながら、犯人の意外性に関わる大トリックが使われている点で注目の作品です。

 この原作を忠実に映像化することはほとんど不可能なのだが、このドラマではその辺は割とうまくアレンジして、シリーズ屈指の名作になっている、と自分は思う。

 ちなみに脚本は稲葉明子さんで、管理人の「横溝正史シリーズで、脚本家が女性の場合、面白い確率が高い」説を裏付けてくれる。

 なお、原作は途中まで金田一耕助が登場しないのだが、例によってドラマでは冒頭からガンガン顔を見せている。

 PDVD_000.JPG

 太平洋戦争の激戦の様子から始まる。
 劣勢の中、金田一耕助と戦友の屋代寅太(谷隼人)が砲弾を潜り抜けて逃げ惑う。

 金田一「俺はもう助からない。お前にはお静さんて人が待ってるんだ。お前だけでも……」
 屋代「バカ、命を粗末にするな。生きて日本に帰るんだ!」

 屋代に励まされ、金田一は無事に復員する。

 ここでタイトル。

 PDVD_001.JPG

 ネグリジェを着た女性の下半身が闇に浮かんでいる。幻想的な音楽に、不気味な女性コーラスが和す。はっきり言って、めちゃくちゃ怖い。

 さて舞台は昭和23年の東京、帰国以来、音信普通だった屋代の所在地を、ごみごみしたバラックの屋台で日和警部から聞かされる金田一。

 早速、小金井の古神と言う旧家へ親友に会いに行く金田一。

 無論、この屋代と金田一の関係はドラマだけのオリジナルで、原作では金田一は事件関係者とは個人的なかかわりは全くない。原作ではこの屋代が主人公と言うか、語り手で話が進む。

 PDVD_003.JPG

 屋敷に入ろうとした金田一だが、いきなり中から「人殺しーっ」などと物騒な悲鳴が聞こえる。入ってみると、仙石鉄之進(伊藤雄之助)と言う老人が、蜂屋小市(岸田森)と言う画家を日本刀で斬り殺そうとしている。屋代と二人で、老人を制止しようとする金田一。そこへ老人の息子の直記(村井国夫)がやってきて、父親を宥める。

 画家が、老人を小馬鹿にしてそういう騒動になったらしい。

 PDVD_005.JPG

 鉄之進は、古神家の家老格で、先代当主・織部(故人)の後妻・お柳(南風洋子)と、夫婦同然の関係だった。他に、先代の異母弟、四方太(菅貫太郎)と言う変人がいる。

 四方太は、原作では知恵遅れみたいな感じだが、ドラマではむしろトリックスターのように食えないキャラとして設定されている。

 PDVD_009.JPG

 ともあれ、再会を喜ぶ金田一と屋代。以前、この屋敷に泥棒が入ったことがあり、屋代の名前で被害届けを出していた。それによって、金田一が捜索を依頼していた日和警部のアンテナに引っ掛かったのだ。

 しかし、屋代の恋人・お静が空襲で死んだと聞かされ、暗然とする金田一。屋代は「また昔の仕事に戻ったのか? 確か、私立探偵だったな」などと話す。

 屋代はこの屋敷について説明する。

 屋代「刀を振り回したのが僕の伯父なんだ。学費を出して貰ったから頭が上がらなくてね。……ここは伯父の家じゃない。伯父はこの家の執事だ。伯父とイトコの直記がここの財産を管理しているが、まぁ、手伝いだよ俺は……この古神家は岡山の旧領地に膨大な山林を持ってるんだ」

 金田一「伯父さんは息子の直記さんと八千代さんとを一緒にさせようとしていたところ、あの蜂屋が割り込んできた、それでさっきみたいなことになったんだな?」

 八千代と言うのは、先代織部とお柳の間の娘で、演じるのは范文雀さん。

 金田一「お家乗っ取りって訳か」
 屋代「いや、八千代さんには腹違いの兄、守衛って人がいるんだ」

 などと話していると、居間の方で大きな物音がする。何事かと行って見る二人。

 PDVD_010.JPG

 こちらがその守衛さん。別に古神家のガードマンじゃなくて、「もりえ」と読むのである。

 彼は、なんと妹の八千代に恋をしている困ったちゃん。演じるのは清水紘治氏。
 その八千代が最近、得体の知れない新進の画家・蜂屋を引っ張り込んでいちゃいちゃしているのが、不愉快でならないのだ。

 遂に、水の入った花瓶を蜂屋に投げつけようとして、びしょ濡れになる。

 PDVD_012.JPG

 それをかわして、へらへらと笑う蜂屋。岸田森のテンションの高い演技が光る。

 金田一たちがやってくると、この一つの画面に、古谷一行、谷隼人、村井国夫、清水紘治、岸田森、范文雀が映ると言う、凄いことになる。当時としても、この実力派俳優の共演は、稀有なことではないだろうか?

 ただ、岸田森も、清水紘治も二回目以降はほとんど出ないんだけどね。

 蜂屋「参った参った、お前の親爺はお前と八千代を結婚させようとして俺を斬り殺そうとしやがるし、これじゃあ命が幾つあっても足りんよ」
 直記「命が惜しかったら出て行くんだな」
 蜂屋「生憎だな、こうなったら意地でも八千代と結婚するよ」

 原作では、守衛と蜂屋は共に「せむし」と言う、正史らしい設定になっているが、さすがにドラマではその点は無視されている。

 PDVD_013.JPG

 その騒ぎの後、屋代は直記に、念の為、探偵の金田一にしばらく泊まって貰おうじゃないかと提案し、直記は承諾する。

 PDVD_016.JPG

 その晩の食事の様子。よく考えたら、このテーブル、金持ちの家にしては狭いな。

 PDVD_015.JPG

 あと、八千代さんのこの髪型もちょっとどうかと思う。見るたびに、「トムとジェリー」でトムがパイナップル爆弾でチリチリ頭になったシーンを思い出す。

 八千代は部屋に閉じこもっている蜂屋にわざわざ自分で食事を持っていくが、何かいやらしいことをされたとか言って怒って出てくる。

 PDVD_017.JPG

 守衛「どうしたんだ、あいつが何かやったのか」
 八千代「お兄様やめて……あんな人嫌いよもう、婚約は取り消すわ。騒ぎはもうたくさん」

 と言うことになる。密かにホッとする直記に守衛。しかし、これもねえ、この段階で「婚約解消」になってしまうと、後に守衛が蜂屋を殺す動機がなくなるので、ミステリーとしてはキズだろう。

 また、その後、屋代が直記に申し出て、何かあるとまずいから、さっきの日本刀を金庫にしまっておこうと言うことになるのだが、これまた、屋代がそんなことを言い出すのは絶対にありえないのである。原作では、直記の方が言い出したことになっている。

 ともあれ、夜になり、あてがわれた部屋であれこれ考える金田一。と、廊下を忍び歩くような音がする。金田一や屋代たちが廊下へ出てくるが、

 PDVD_019.JPG

 それは女中のお藤だった。演じるのは小林伊津子さん。ちなみに管理人、小林伊津子さんが好きなのです(知るかっ)。

 彼女は蜂屋に頼まれて、水を持ってきたと話す。

 PDVD_020.JPG

 ここで屋代が、なんとなく不審な顔で「蜂屋、まだ起きてたの?」と尋ねるのが、実は重要な伏線になっているのだ。お藤は「寝ていらしたので枕元に水を置いてきた」と話すのだが……。

 PDVD_021.JPG

 その後もなかなか寝付かれない金田一だったが、真夜中、窓から見える森の木の葉がくれに、八千代が夢見るような眼差しでふらふらと歩いているのを目撃する。

 そう、彼女は夢遊病者だったのだ。……ほんと、横溝さんは夢遊病が好きだなぁ。タイトルの「夜歩く」は、無論、ここから来ているのだ。

 つづく。


関連記事
スポンサーサイト



コメント

レビューを読まないで(ネタバレ見ないで)全3回観ました。非常に面白かったです。

それにしても、豪華な配役ですねぇ・・・
何気に、嵐山長官&大博士リー・ケフレン&姿長官の揃い踏みですね。
「ウルトラマンA」4話での清水紘治さんの変態漫画家、最高です。

それにしても、夢遊病という題材は最近観ません。時代が違い過ぎるからかな?

Re[1]:横溝正史シリーズ2 「夜歩く」その1(11/14)  

影の王子様
キャストが異様に充実してますよね。

>それにしても、夢遊病という題材は最近観ません。

横溝作品には良く出てくるネタです。

Re:横溝正史シリーズ2 「夜歩く」その1(11/14)  

管理人様の仰るとおり何気に前半戦は豪華怪優(俳優)陣の共演ですね😅古谷一行さん、岸田森さん、清水紘治さん、村井国夫さん、谷隼人さん、おまけに小林伊津子さんも出演されていたようですね

Re[1]:横溝正史シリーズ2 「夜歩く」その1(11/14)  

ふて猫様

キャストが異様に充実してますよね。

ミラーマン鑑賞中

小林伊津子さんは39話にゲスト出演していますね。
主人公を逆恨みする少年の姉役で当然のようにミニスカ。

しかし声を聴いていると「赤毛のアン」で一躍、有名になった
山田栄子さんに似ているような…。

Re: ミラーマン鑑賞中

> 小林伊津子さんは39話にゲスト出演していますね。

その話、最初はレビューしようかと思ってたんですが、結局やめました。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

最近のコメント

カテゴリー

カレンダー

12 | 2023/01 | 02
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

FC2カウンター