第20話「機械レスラーの罠」(1981年6月20日)

冒頭、SF映画の宇宙船の内部のようなメカニカルなデザインの通路を、くぐもった呼吸音を漏らしながら歩いているのは、ブラックマグマの総統ヘルサターン閣下。
うむ、まんまダースベーダーである。

ふと、視線を向けると、戦闘員であるマシンマンが通信機に向かって腰掛けたまま、「ぐーぐー」と可愛らしい寝息を立てて舟をこいでいるではないか。
機械の分際でうたた寝すんじゃねえっ! (管理人の特に意味のない叫び)
管理人同様ムカッときたヘルサターンは、いきなり戦闘員の座っている椅子を蹴倒す。

戦闘員「あっ、総統!」
ヘルサターン「ええい、下がれ!」
戦闘員「ハッ」
慌てて立ち上がり、ナチス式の敬礼を取る戦闘員であったが、ヘルサターンは苛立たしげな声で退ける。
これ、ショッカーとかゲドンとかの体育会系の悪の組織だったら絶対に殺されてるところだよね。
おまけに下っ端の戦闘員にまで「総統」と呼び捨てにされているあたり、ヘルサターンって割と部下に軽く見られている印象である。まぁ、実際、部外者のヘドリアン女王に頭が上がらないどころか、生え抜きのゼロガールズたちさえ御し切れていないところがあるからねえ。
ひとりきりになったヘルサターン、誰もいない、ブーンと言う機械音だけが低く唸る基地内の各施設に目を向ける。

そして、おもむろに機器の挿入口にラベルの書いてないカセットをガコッと入れる。

てっきり、エロビデオでも鑑賞遊ばすのかと思ったが、そうではなく、過去のサンバルカンとの戦いの記録映像を見始める。
改めて見るまでもなく、ブラックマグマの繰り出す機械生命体(怪人)はことごとくサンバルカンに倒されているので、ヘルサターンの血圧(あるの?)はますます上昇し、

ヘルサターン「おのれ、サンバルカンめ! ぬくっ」
遂にブチ切れたヘルサターンは、ちょくちょく自分のフトモモに突き立てては痛い思いをしている鋭い爪で、目の前のパネルを思いっきり引き裂く。

破壊された部品がゴロゴロと床に散乱するが、ヘルサターンは放って置けば基地そのものを壊滅させかねない勢いで、大きな駄々っ子のように暴れ続ける。

ゼロワン「総統閣下! お気をお鎮め下さい!」
騒ぎを聞きつけてガールズたちが駆けつけ、必死に総統を落ち着かせようとする。

ゼロワン「いかがなされました、この真夜中に?」
総統「いや、なんでもない……」
女性たちにどうどうどうと左右から押さえられて、やっとヘルサターンは平静になる。
しかし考えたらヘルサターンって、周りは女子ばっかりなんだよね。側近を全て女性型アンドロイドにしたのは、やっぱり本人の趣味なんだろうか。
ヘドリアン「総統はこの幾日か眠れぬ夜を過ごしておる」
ゼロスリー「それはまた、どうしてでございますか?」
ヘドリアン「地獄に落ちきれぬものの魂が眠りを邪魔しおるのじゃ」
ヘドリアン女王は、サンバルカンに倒された機械生命体、ダークQ、マシンマンたちの魂が成仏できず、ヘルサターンを苦しめているのだと解説する。
ゼロワン「どのようにすれば? ヘドリアン女王様」
ヘドリアン「無敵の機械生命体を生み出し、その者に供養の暴れ旅をさせるが良かろう」
「暴れ旅」ってなんですか?
それはともかく、今回もまたヘドリアンの言いなりに、ヘルサターンは無敵の機械生命体レスラーモンガーを誕生させるのだった。
……
あのう、「無敵の機械生命体」を作ろうと思って作れるのなら、なんで毎回それを作らないんですか?
さて、ヘドリアン女王の言う「暴れ旅」だが、具体的に何をするかと言うと、

あちこちの道場、ジムに、ダンベルを片手で持つと言う凄いスタイルでレスラーモンスターが押し掛け、一方的にそこにいる人間たちをボッコボコに、生まれてきたことを後悔するほどボッコボコにして行くのだった。
知らせを受けたサンバルカンは直ちに被害にあった場所へ急行するが、レスラーモンガーたちはいつも彼らが到着する前に姿を消していた。
そして、とある空手道場が襲撃された際、彼らの知り合いであるレギュラー子役の次郎少年もいて、重傷を負ってしまう。

病院のベッドに横たわる次郎のそばに、龍介たちが心配そうに立っている。
「サンバルカン」のレギュラー子役、特に、頻繁に出る次郎と正男、実はいまだにどっちがどっちだかはっきりと区別がつかないで困っていた管理人であったが、これでようやく明快になった。
再確認しておくと、この少年が次郎で、

こっちの少年が正男である。ついでに、女の子はまりちゃんね。
美佐「レントゲン検査したらね、脳に異常はないそうよ」
朝夫「良かったな」
正男「ベーゴマやろうぜ、元気になったら」
まり「漫画持ってきたわ、読んでー」
次郎「ありがとう」
子供たちは、お見舞いを済ますとすぐ帰って行く。
龍介たちはサンバルカンとして、次郎から事情を聞き出そうとする。
龍介「次郎、話してくれないか? どんな奴らに襲われたんだ?」
欣也「話してくれ、次郎」
次郎「稽古をしてたら、いきなり入ってきたんだ」
龍介「どんな奴だった?」
次郎「プロレスラーみたいな、でっかくて……おっかないよーっ!」
話しているうちに、次郎は叫び声を上げて顔を伏せる。
その時の再現シーンもちらっと出てくるのだが、案の定、ここにもいやがりましたよ、
笑いながら逃げてる奴が! それも複数。
次郎は、レスラーモンガーに捕まれて投げ飛ばされたことを思い出して、「怖いよー、怖いよー」と悲鳴を上げ続けるのだった。
司令室に戻った嵐山長官は、これはサンバルカンへの挑戦に違いないと断言する。
龍介「しかし、我々が行くと姿を消しています」
嵐山「そこだよ。何か訳がありそうだ」
などと話しているそばから、また都内の剣道場が襲われたと、地図付きのFAXが送られてくる。
三人は現地に急行するが、今回も彼らが到着した時には襲撃者たちは既に風を食らって逃げ出したあと。
いつになく血気に逸る欣也ことバルシャークは、単身、バイクを走らせながら「ブラックマグマ出て来い!」と叫び散らす。
ゼロガールズたちはかねてからの作戦通り、戦闘員に後続のイーグル、パンサーを襲わせて足止めさせておいてから、

シャークの前方からたくさんのドラム缶を放り投げる。

もっとも、
ついシャークがそれをぐにゃっと踏み潰してしまい、視聴者に、意外とドラム缶って柔らかいんだね~と言うことがバレてしまう。

ゼロツー「退けっ」
近くからその様子を見ていたゼロツーとゼロスリー、シャークが難なくそれらのトラップをかわすのを見て、慌てたようにその場から離脱する。
管理人はここで、ゴーグルをかけると女性の美しさが3割増になることに気付いたのである。
シャークはなおも彼らを追跡し、埠頭の倉庫に辿り着く。だが、ゼロツーたちの行動は彼を誘い込む為の罠だった。

倉庫の中にはリングが設けられていて、その上で、レスラーモンガーとゼロワンがてぐすね引いて待ち構えていた。
ゼロワン「待っていたぞ、バルシャーク、どぅお? レスラーモンガーと戦ってみない? それとも三人揃わないと戦えないのかしら?」
わざと甘ったるい喋り方でシャークを挑発するゼロワン。
キャプでは伝わらない、その少しかすれたボイスがめっちゃ可愛いのである!
シャークはその挑発に乗って、リングに飛び上がる。
ゼロワン「徹底的に痛めつけろ! そうすればサンバルカンの力は半減する!」 その途端、本来のドSキャラになってレスラーモンガーに鋭く命じるゼロワン。
この、相手を手玉に取る変幻自在ぶりこそがゼロワンの最大の魅力だよね。こういうのは(凛とした美貌と)高い演技力が要求されるので、ゼロワンは、北川たか子さんでないと成立しないキャラクターなのだ。
さて、無敵と言われるだけあってレスラーモンガーは桁外れの強さを見せ、シャークを一方的にぶちのめす。
そこへ、やっとイーグルとパンサーが応援に駆けつけた為、シャークはからくも嬲り殺されずに済む。
しかし、欣也はかつてないほどのダメージを負ってしまう。

美佐「どうなの?」
嵐山「命は大丈夫だ。あとは意識が回復するかどうかだ」
朝夫「バカな奴だ、単独行動に走るからこんなことに……」
龍介「いつものシャークと違ってた。異常に興奮していて……」

嵐山「それは弟さんを失ったせいだろう」
美佐「弟さんを?」
嵐山「シャークのお父さんは考古学者だった。サハラ砂漠に埋まった大都市を掘り起こすのに情熱を傾けていた。一家はアフリカに移り住んでたんだ、ところが、隣国との戦争が勃発して平和な街に砲弾の雨が降った。一瞬にして両親と弟さんを失ってしまった……」
嵐山長官の口から初めて聞かされる欣也の重い過去に、龍介たちは言葉を失う。
嵐山「シャークは平和に暮らす人々が暴力に晒されることを嫌った。それがどんな暴力でもだ! 私が太陽戦隊を結成すると聞いて、シャークは自ら志願してきた」

美佐「……」
意識のない欣也の顔を見詰めながら、美佐は熱い涙を落とす。
朝夫「シャークの敵討ちだ」
龍介「ようし!」
怒りに燃える二人は、再びレスラーモンガーに戦いを挑む。
しかし、二人がかりでもレスラーモンガーの強大なパワーを押し止めることは出来ず、このままではシャークの二の舞になるのは必至の状況であった。

ひとりシャークのそばに残った美佐は、その手を握って必死に神に祈る。
美佐「神様、お願いです。バルシャークの意識を元通りにして下さい! この人の力が必要なんです!」
欣也は夢の中で、レスラーモンガーに襲われる亡き弟の幻影を見る。そして手の平に美佐の温もりを感じると同時に、ハッと意識を取り戻す。

美佐「シャーク、私が分かる?」
欣也「ああ、いつ見ても可愛いぜ」
美佐「戻ったのよ、意識が元通り」
欣也「そうか、俺はレスラーモンガーに……そうだ、イーグルとパンサーは?」
美佐「あなたの仇を討つんだと言って……」
欣也「いかん!」
美佐「ダメよ、あなたは病人なんだから!」
欣也「次郎と同じ年だった……」
美佐「弟さんのように思えるのね、次郎くんや正男くんが」
欣也は美佐の手を振り払って、戦場へ向かう。
シャークはまだ半病人だったが、
根性で克服して、いつものように三人揃ってモンガーを撃破する。
レスラーモンガー、どこが、無敵生命体やねん……。
サンバルカンに倒された仲間の供養と言うテーマも、どっか行っちゃったし。
事件解決後、退院した次郎も含めて、いつものメンバーでサイクリングをしている。

美佐も可愛いが、

まりちゃんはそれ以上に可愛いと思うのだ。

龍介「いやー、空気が上手いね」
朝夫「早く弁当にしようよ、弁当!」
欣也「まだ来たばっかりだぜ」
部分的にしか見えないが、彼らが乗ってる自転車がいかにも80年代的デザインで懐かし過ぎる。
子供たちと川でボート遊びをしている美佐の姿を映しつつ、幕。
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