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「スクール☆ウォーズ」 第13話「力の限り生きた!」 その1


 第13話「力の限り生きた!」(1984年12月29日)

 しょっぱなから、光男が新楽の店先で暴れている。

 光男「圭子ぉ」
 下田「よしな、よしなって!」
 光男「放してくれよ、放せよ!」

 店から飛び出して圭子に会いに行こうとしている光男を、義兄の下田が必死になって止めている。
 前回、新楽で働いていた圭子は出前中、父親である富田義道の部下によって拉致されてしまったのだ。

 ちょうどそこへ、滝沢が通りかかる。

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 滝沢「森田、どうしたんだ」
 光男「せんせぇ、圭子が、圭子が奴らに!」
 滝沢(またかよ……)

 滝沢のみならず、光男と圭子のいざこざに巻き込まれるのはいい加減もううんざりだと、当時の視聴者も全員思っていたと言うのは管理人の妄想ではありません。事実です。

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 滝沢、「そうか、大変だな、じゃ僕はこの辺で……」と言って帰りたいのは山々であったが、なにしろ脚本にそう書いてあるので、仕方なく店に腰を落ち着けて話を聞くことにする。

 滝沢「自分の意思で?」
 下田「ええ、電話があったんすよ、圭子さん、自分の意思で親許に戻ったそうなんです」
 光男「嘘だーっ! そんなこと嘘に決まってる!」

 カウンターに手をついて、背中で彼らの会話を聞いていた光男、くるっと振り向いて大音声を張り上げる。

 下田「勿論、大嘘だ! だがな、娘が実の親のところに戻るのを誰も引き止めることは出来ねえ、そうだろ」
 光男「だって、だってよーっ!」

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 滝沢「落ち着けよ、確かにお兄さんの仰るとおりだ、今は黙って成り行きを見守るしかないんだ」
 光男「先生……」
 滝沢「そりゃ、つらいだろう、だがな、ひょっとすると彼女の方がお前よりもっとつらいかもしれないんだぞ!

 ハイ、出ました!

 このドラマの登場人物は、「殴られた方より、殴った方がもっと痛い」的なことを言うのが大好きである。

 この定型句の応用例としては、

 「ボールをぶつけられた方も痛いが、ぶつけた方がもっと痛い」
 「ふられた方より、ふった方がもっとつらい」
 「騙された方より、騙した方がもっとつらい」
 「いじめられた方より、いじめた方がもっとつらい」

 などがあります。

 ほんとは全然そんなことないんですけどね。単なる詭弁と言うか、とりあえず深イイ話で使えそうな浅い名言を言ってみただけと言う感じです。

 とにかく、滝沢と下田から口々に「今は耐えるしかない」と諭され、光男は何とか自分を抑える。

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 ナレ「一週間が経った。光男は周囲の励ましと慰めを受け、ようやく、つらい試練に耐え抜く勇気を回復しつつあった」

 激しいトレーニングをしている光男の姿に、重々しいナレーションが被さる。

 ……いや、単に好きな女の子と会えないってだけでしょ? つらい試練て……、回復するのに一週間かかるて……。

 前々から思っていたのだが、このドラマのスタッフは……と言うか、ドラマそのものが、光男に対して甘過ぎるのではないか?

 他の部員たちの多くが、恋人どころか片思いの相手さえいないで頑張ってると言うのに……。

 ナレーターは続けて「ここにもうひとり、更に過酷な運命に敢然と立ち向かっている少年がいた」と、グラウンド上で走り回っているイソップの姿に焦点を合わせる。

 これも、一応「更に」と副詞をつけているが、余命僅かなイソップの運命と、光男の「圭子に会いてえよぉ」と言うしょうもない悩みとを並べて述べているのが、どうも引っ掛かるのである。

 イソップは本人や両親の願いもあり、脳腫瘍と言う難病を抱えながらも、他の部員と同様、思いっきりラグビーボールを追いかけて汗を流していた。

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 巨漢のマルモにしがみついて倒れたイソップを、思わず大木が助け起こす。

 イソップ「平気だよ、これくらい」
 大木「そうか……」
 イソップ「どうしたんだ?」
 大木「なんでもねえよ」

 イソップの顔を見ると、つい涙ぐみそうになる大木であった。

 でも、イソップは大木が自分の病気のことを知っているのを知っているのだから、ここで不思議そうに大木に尋ねるのは、ちょっと違和感を覚える。

 親友である大木がどんな気持ちで一緒にプレーしているかくらい、繊細なイソップなら百も承知の筈だからである。

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 と、校長が練習を見にグラウンドに下りてくる。

 その校長に、滝沢は「本当にいいんでしょうか?」と、以前から胸中にわだかまっていた疑問をぶつける。

 いくら本人や両親が了承しているとは言え、このままでは自分たちがイソップの寿命を縮めていることになるのではないかと滝沢は言うのだ。

 校長「だが滝沢君、今彼からラグビーを取り上げたら一体何が残るか? 死への恐怖だけだ。そりゃあ病院のベッドでじっとしていれば、あと1年くらいは持つかもしれない。だがその1年の間、来る日も来る日も死と直面して生き続けることが、果たしてイソップにとって幸せなことだろうか?」
 滝沢「校長……」

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 校長を言葉を続けて、「我々に出来ることは、彼に輝ける死を迎えさせてやることだ」と訳の分からないことを言い出す。

 滝沢「輝ける死?」
 校長「そうだ、16歳の少年の死はせめて、せめて輝ける死でなければならない。彼自身がデザインしたあのライジングサンのマークのようにな! イソップに思う存分ラグビーを楽しませてやるんだ!」

 滝沢の問いに対する校長の答えは、かいつまんで言うと、「めんどくせえからこのままでいいんじゃないの?」と言うことだった。

 CM後、内田親子と一緒に少し酒を飲んだ滝沢(註1)は、今更ながら自分も父親なのだと言うことを思い出し、帰宅して、いつまで経っても成長しない娘のゆかりの寝顔を見ているうちに、「今度の日曜日、家族で遊園地に行こう」と言い出し、節子に約束する。

 (註1……11話で、イソップの回復を祈って断酒する! と高らかに宣言したことは奇麗さっぱり忘れている模様。もっとも、イソップはもう回復する見込みはないのだから、別に飲んでも構わないと言うことなのだろうか……それにしても……)

 翌日、以前練習試合を受けてくれた東都体育大学の糸井監督から、滝沢に電話が掛かってくる。糸井は滝沢の恩師でもあった。

 糸井の用件は、ラグビーの試合の解説者を自分の代わりにやってくれないかと言う頼みだった。だが、試合の日は滝沢が家族を遊園地に連れて行くと約束したのと同じ、今度の日曜だった。

 糸井「何がしかの謝礼も出るぞ」
 滝沢「申し訳ありませんが、今度の日曜日はちょっと……折角声を掛けて頂いたのに申し訳ありません」

 滝沢、今度こそ家庭サービスを優先させるのだと、恩師の頼みであったが断る。

 その後、グラウンドに出ると、イソップがつぶれたラグビーボールを拾い上げていた。

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 加代「駄目?」
 イソップ「みたいですね」
 加代「はー、これで今週三つ目よ。部費は遠征費でほとんどなくなったし……」

 予算の少ない川浜ラグビー部はラグビーボールの数も限られている為、、同じボールを繰り返し使い続けることになり、ボールが次々と使い物にならなくなっていた。

 イソップ「僕、何とか修理してみます……出来るかどうか分かんないけど」

 だが、部室に向かって走り出そうとしたイソップを、腕組みして聞いていた滝沢が「お前、練習してろ。ボールの心配なんかしなくて良い」と、止める。

 イソップ「でも、ボール足りないから」
 滝沢「良いから、俺に任せとけ」

 何か当てがあるのか、滝沢はイソップの肩を叩くと再び校舎の方へ走り去る。

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 残された二人は、怪訝そうにその後ろ姿を見送る。

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 イソップ「……」
 加代「こっち見んじゃねえよ」
 イソップ「すいません……」

 ……

 言うまでもないが、嘘じゃい。

 滝沢は職員室に行くと、今度は自分から糸井監督に電話を掛ける。そう、「何がしかの謝礼」と言う言葉が耳に残っていた滝沢、改めて解説の仕事を引き受け、その謝礼でラグビーボールを調達しようと考えたのだ。

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 滝沢「先程の話ですが、出来ればやらせて貰えないかと」
 糸井「いいけど、謝礼ってクオカード500円分だぞ」
 滝沢「やっぱりお断りします」

 嘘はさておき、

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 その夜、帰宅した滝沢は結局、約束が守れなくなったことを節子に報告し、謝る。

 節子「やっぱり、きっとそんなことじゃないかと思ったわ」
 滝沢「ゆかりにはもう話したのか」
 節子「話しといて駄目になったらかわいそうでしょう?」
 滝沢「申し訳ない」

 恋女房の節子、こんなことがあるのを予想していたのか、ゆかりには何も言っていなかった。

 もっとも、その解説シーンは出て来ず、一週間後、

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 練習を終えて部室に戻ってきた部員たちの前に、5つの真新しいラグビーボールが置いてある……と言うシーンに飛ぶ。

 玩具を買って貰った子供のようにはしゃぐ部員たちは、加代の制止も聞かず、早速そのボールで練習しようと再びグラウンドへ駆け出す。

 滝沢「好きにさせてやれよ、これで俺も、冷や汗かきながらテレビに出た甲斐があったってもんだ」
 加代「あっ、見ましたよテレビ、落ち着いて出てらしたじゃないですかー」

 ふと見ると、ひとりだけ部員がその場に残っていた。イソップである。

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 イソップ「かわいそうだな、こいつ、もう誰にも見向きもされないなんて……お前だってまだまだ役に立つんだよな」

 誰にも顧みられることなく床に転がっていた古いボールを拾い上げると、イソップはいとおしそうに話しかけながら、いつものように布で磨き始めるのだった。

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 ナレ「ボール磨きをしてきたイソップにとって、誰よりも古いボールをいとおしむ気持ちは当然と言えた。だが、今、賢治と加代は消えかかっている自らの命をボールに託しているイソップの姿を見る思いがしていた」

 親切なナレーション付きで、イソップの寂しそうな横顔を見詰める二人。

 ……いや、このナレーション要ります?

 イソップが古いボールに自分自身の姿を重ね合わせているなんてことは、言われなくても分かるっての。

 と、加代が耐え切れなくなったように目に涙を滲ませ、部室から出て行く。

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 イソップ「先生、僕、山崎さんに悪いこと言っちゃいました」

 このタイミングでイソップは、以前、加代に唐突に告白したことを滝沢に打ち明ける。

 ……うーん、このシーンも要らなかったような気がする。

 と言うより、内気な少年としてはそんなことを人に話すだろうか? 自分だったら墓まで持っていく秘密にしたいと思うが?

 イソップ「どうしようもないってことは分かってたんです。言っちゃいけないことなんだってことも分かってたんです。でも僕、言ってしまったんです。先生、僕みたいな人間が人を好きになっちゃいけないんですか? もうすぐ死ぬ人間が女の人を好きになっちゃいけないんですか」
 滝沢「素晴らしいことじゃないか、恋をするってことは素晴らしいことだ。それだけ人生が豊かになる
 イソップ「でも、山崎さんにとってはきっと迷惑だったと……あの人、他に好きな人がいるんです。相手が誰か分かりませんけど、僕には分かるんです」

 滝沢の「人生が豊かになる」ってフレーズ、もうすぐ死ぬ人間に対して使ったら、これ以上ない皮肉に聞こえるんですけど……。

 イソップはさばさばしたように、「僕、自分の気持ち伝えられてとってもすっきりしちゃったから……」

 だが、彼らの会話は、部屋の外まで戻っていた加代にまるごと聞かれてしまっていた。

 加代が慌てて立ち去る気配に気付き、滝沢はその後を追いかける。

 その2へ続く。


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コメント

Re:「スクール☆ウォーズ」 第13話「力の限り生きた!」 その1(04/22)  

校長役の故・下川辰平さんも味がありましたよね。
個人的には「俺たちは天使だ!」の管理人と
「トリック」第3シリーズの第5・6話の「絶対死なない老人ホーム」の犯人の父親です。
後者のラストシーン、高嶋政伸演じる犯人の超能力を証明するために自殺し、
それを見た犯人が「生き返るわけないじゃん」(だったと思います)と吐き捨てる・・・
最高の後味の悪さが鮮明に記憶に残っています。

Re:「スクール☆ウォーズ」 第13話「力の限り生きた!」 その1(04/22)  

待ってました、更新! ありがとうございます。

>この定型句の応用例としては、

>「ボールをぶつけられた方も痛いが、ぶつけた方がもっと痛い」
>「ふられた方より、ふった方がもっとつらい」
>「騙された方より、騙した方がもっとつらい」
>「いじめられた方より、いじめた方がもっとつらい」

>などがあります。

>ほんとは全然そんなことないんですけどね。単なる詭弁と言うか、とりあえず深イイ話で使えそうな浅い名言を言ってみただけと言う感じです。

ほんと詭弁ですよね。金八に出てきそうな言葉ですが。そんなことはない!とおばちゃんになった今はっきり言いますが、当時は、涙ぐんで聞いていたように思います。


それにしても、光男にはイラッとします。でも高校生ってこんなもんなのかな~とも思いますが。ただ、イソップとついつい比べてしまうので、「おめえ、何言ってんだ!」って言いたくなりますよね・・・。

滝沢、また約束破っちゃったか。できない約束はするな!と言いたくなります。浮世のつらさを知っている恭子さん、違った、節子さんだからうまくやってくれてますけど、普通の人なら荷物まとめて実家に帰ってますよ。こんな旦那、絶対いや。

Re[1]:「スクール☆ウォーズ」 第13話「力の限り生きた!」 その1(04/22)  

ふて猫様
>今回はどれも中々前へ進めない感じですね😅普通に考えてどう見ても殴られた方が痛いと思います

すいません。つい余計なことを書いてしまって。

Re[1]:「スクール☆ウォーズ」 第13話「力の限り生きた!」 その1(04/22)  

影の王子様
>後者のラストシーン、高嶋政伸演じる犯人の超能力を証明するために自殺し、
>それを見た犯人が「生き返るわけないじゃん」(だったと思います)と吐き捨てる・・・
>最高の後味の悪さが鮮明に記憶に残っています。

あれもなかなか邪悪な話でしたね。「トリック」は全体的に、そう言う後味の悪い話が多いですね。

Re[1]:「スクール☆ウォーズ」 第13話「力の限り生きた!」 その1(04/22)  

Biromi様
>待ってました、更新! ありがとうございます。

いつものことですが、お待たせてしてスイマセン。

>ほんと詭弁ですよね。金八に出てきそうな言葉ですが。そんなことはない!とおばちゃんになった今はっきり言いますが、当時は、涙ぐんで聞いていたように思います。

ま、それが大映ドラマの面白さでもあるんですが。

>それにしても、光男にはイラッとします。でも高校生ってこんなもんなのかな~とも思いますが。ただ、イソップとついつい比べてしまうので、「おめえ、何言ってんだ!」って言いたくなりますよね・・・。

でも、ある意味、ストイックが服を着て歩いてるような大木なんかより、よっぽどリアルなキャラクターと言えるかも知れません。

>滝沢、また約束破っちゃったか。できない約束はするな!と言いたくなります。浮世のつらさを知っている恭子さん、違った、節子さんだからうまくやってくれてますけど、普通の人なら荷物まとめて実家に帰ってますよ。こんな旦那、絶対いや。

ま、スタッフも視聴者も忘れてるから特に問題はないんですけどね。

川浜高校ラグビー部が相模一高に勝つために猛練習に取り組んでいる合間を縫って森田光男の家の中の中華料理店にて下田大三郎は富田圭子の後を追う森田光男を制止します。滝沢賢治は優しい口調で森田光男を諭します。富田圭子は兄貴の所に帰りました。川浜高校ラグビー部は相模一高に勝つために猛練習に取り組む方が最優先なのだから、スカート捲り等の回想シーン等と悠長な事を言ってられません。不良仲間と別れてシンナーを辞めてラグビー部に戻ったイソップこと奥寺浩はマネージャー山崎佳代に変な事を口走った事を謝罪しました。不良仲間が居なくなったからと言って油断大敵です。イソップこと奥寺浩は試合に出れるように猛練習に取り組む方が最優先なのだから、スカート捲り等の回想シーン等と悠長な事を言ってられません。スカート捲り等の回想シーンが無くなったからと言って油断大敵です。

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