「宇宙刑事シャイダー」 第24話「美しきポーの仮面」

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　第24話「美しきポーの仮面」（1984年8月31日）

　冒頭、「我より美しき者の存在を許さず……我より美しき者を憎む……神よ、我に比類なき美を与えたまえ」と言う神官ポーの言葉を繰り返しながら、

　
　白いトンガリ頭巾を被った秘密結社のメンバー風の5人の得体の知れないものたちが、手に手に松明を持って、十字架に縛られているアニーの前にやってくる。

　
　十字架の後ろの高台にいるポーの指示を受け、5人はアニーの足元の薪に火を点ける。

　アニーは無言で身をねじらせていたが、そのまま足元から伸びる炎に飲み込まれてしまう。

　なかなかショッキングな焚刑シーンであったが、結局これが一体なんだったのか、説明はない。無論、本物のアニーが殺された訳ではないのだが……、ニセモノのアニーを使ってポーが儀式を行ったのか、それともアニーが見た悪夢だったのか？

　ちなみにこの5人、人数の上からも、頭巾の下にはギャルたちがいたのではないかとも思ったが、こちらの正体も最後まで明示されないままだった。

　
　それはともかく、ストーリーは新宿の地下街を歩いていた三人の女子高生が、「新宿の目」の前でアクセサリーなどを並べている（今時）ヒッピー風のおじさんに声をかけられたことから幕を開ける。

　女の子「どうする？」
　女の子「行ってみっか！」

　好奇心旺盛な少女たちは、おじさんの親しげな様子に誘われてホイホイやってくる。

　
　で、その怪しげなおじさんを演じているのが、「宇宙刑事シリーズ」皆勤賞となる地獄大使こと潮健志さんなのだった。

　
　女の子「私、ネックレス欲しいなぁ」
　女の子「似合うよ、なるみ」
　女の子「似合いますか？」

　楽しそうにアクセサリーを物色する少女たち。

　この左端の女の子は外川由紀さんと言って、後に「時空戦士スピルバン」にゲスト出演した時には、溜息が出るほどの美少女に成長されていた。

　
　おじさん「はっはっ、良く似合うよ」

　若い女の子たちを前にして、心底嬉しそうな潮さん。

　これは、一応入れ歯をつけて変装していると言うコトらしい。しかし、この特徴的な顔は、そのくらいの変装では誤魔化せないと思うのだが……。

　おじさんは300円でそのアクセサリーを売ると、サービスだと言ってタロットカードの形をした占いの招待券を人数分プレゼントしてくれる。

　
　三人はキャッキャッ言いながらその占いをやっている建物にやってくる。

　三人が、上の通路から下を覗き込むと、

　
　そこには、またしても潮健志がいた！

　三人は螺旋階段を降りて、リングの上でサックスを吹いている第二のおじさんに話しかける。

　ここは一応、ライブハウスと言う設定らしい。

　
　女の子「おじさん！」
　おじさん「なにっ？」

　いや、これって、さっきの露天商のおじさんとまるっきり同一人物なんですけど……。

　何故か、少女たちはそれに気付かない。一応、入れ歯は外してるみたいだが。

　
　女の子「おじさん、これなんだけど」
　おじさん「あっああ、占いね、この奥行くと良いよ」

　
　女の子「パイバーイ！」
　女の子「ピース、ピース！」
　おじさん「三人一緒に見て貰うといいな。きっと幸運が待ってるぞ！」

　元気におじさんに手を振りながら言われたとおり、奥の部屋に消えていく三人。

　「ピース、ピース」ってのは、当時流行ってたフレーズなんだと思う。

　三人は、おじさんの吹き鳴らす「不思議ソング」のメロディを背中で聞きながら、なんとなく不気味な通路を進んでいく。

　これで、占いのコーナーで待っていたのがまたしても潮健志だったら、管理人、大笑いしているところだが、

　
　実際に出てきたのはあのトンガリ頭巾を被り、黒猫を抱いたポー様であった。

　ポー「お座りなさい。目を閉じて……心安らかにしなさい。これから瞑想の世界に入ります」

　三人は、ポー様の正面から縦に三つ並んでいる椅子に腰掛け、素直に目をつぶる。

　
　三人のまぶたの裏には、シャボン玉の飛んでいる中、気持ちよさそうにサックスを吹いている潮健志と言う、もの凄い映像が浮かび上がる。その夢幻的なサックスの音色の作用なのか、次の瞬間、三人はその座り位置のまま、富士急ハイランドのジェットコースターに乗って絶叫していると言う幻覚を味わう。

　もっとも、あくまで彼女たちはその幻覚を楽しんでおり、笑いさんざめく声が遊園地に響き渡る。

　そして……、

　
　オープンカフェでまったりしていた大ちゃんのところへ興奮した様子でやってきた小次郎さんの持っていた新聞記事によって、視聴者は三人がそのままフーマの手に落ちたことを知るのであった。

　小次郎「女学生が三人も行方不明だよ。神隠しだよ！」
　大「友達と三人でライブハウスに入っていくのを友人が目撃しているが、その後の足取りは……」

　しかし、この紙面の右側に載ってる人たち、まさか自分たちの顔がこんなところに出てるとは夢にも知らないだろうなぁ。

　
　これだけの情報で、大ちゃんが捜査を開始すると言うのはちょっと早過ぎる気もするが、大ちゃんはそのクラブハウスへ足を運ぶ。

　今度は他の客たちもいて、若者が気だるそうにタバコを吸っていたり、リングの上でピエロが踊っていたり、なんとなくゲイバーっぽい雰囲気が立ち込めている。

　そんな中に紛れ込んだ、いかにも真面目そうな髪型の大ちゃんの存在は、はっきり言って浮いていた。

　
　大ちゃん、とりあえずカウンターに座ると、

　
　またしても潮健志が出てくる！

　フーマはこの調子で、大ちゃんの行くところ、次々と潮健志が出てくると言う、世にも恐ろしい潮健志無間地獄と言うものを作り出して、それで大ちゃんを責めたらかなりのダメージを与えられたんじゃないかと思う。

　そのうち、大ちゃんの目には小次郎さんやコム長官までが潮健志の顔に見えてきて、さらに、アニーや陽子、はたまたヘスラーやギャルたちまで……最終的には、大ちゃんがアンミラに行ったら（行くなよ）、潮健志があの制服を着て出迎える……。想像するだにおぞましいことである。

　えー、それで、何の話だったか？　ガラガランダの話だっけ？　え、違う？

　
　おじさん「いらっしゃい、お召し上がりものは？」
　大「ジュース！」
　おじさん「はい」

　間髪入れず大きな声で「ジュース！」と叫ぶ大ちゃん、いくら子供向け番組とは言え、ちょっとカッコ悪い。

　まぁ、昼間っからビールと言う訳にも行くまいが。

　大ちゃん、早速あの三人のことを尋ねるが、おじさんは「店には来たけどすぐ帰って行った」と説明する。

　これ以上はどうしようもないので、大ちゃんはいったんグランドバースに引き揚げる。
　そして今度は、大ちゃんの話を聞いたアニーが捜査に乗り出す。

　今回のポーの狙いは、シャイダーではなくアニーをおびき出すことにあったのだから、まさに作戦通りの展開と言えよう。

　ただ、アニーがあの店ではなく、「新宿の目」のおじさんにまず目をつけるのは、ちょっと変じゃないか？　アニーは、三人があのおじさんから招待券を貰ったことなんて知らない筈なんだから。

　もっとも、アニーがおじさんを尾行して辿り着いたのは、結局あの地下のクラブハウスであった。

　
　アニーが、誰もいない店の中をきょろきょろ見ていると、一匹の黒猫が「ニャアーッ！」と鳴き声を発する。

　
　そしてそれを抱き上げたのが、あの占いの店にいたトンガリ頭巾の怪人であった。

　それを見たアニーは、

　
　アニー「神官ポー！」

　開口一番、その名を呼ぶ。

　うーん、まだポーが何も喋ってないのにその正体を言い当てるというのは、ちょっと違和感があるなぁ。

　ポーも、平静を装っているが、一瞬（なんでバレたのかしら？）と思ったのではないだろうか。

　ポー「ハトホル、関連ある星は水星、月、良識ある聡明さを持ち合わせていますね、あなたは。でもあなたは反面、ずるい人でもあります。ハトホルが示す逆位置、無理解と我儘、冷感的な非情さ、裏切り！」
　アニー「彼女たちは何処へ？」

　勝手にアニーのことを占うポーには取り合わず、単刀直入に尋ねるアニー。

　ポー「私より美しいものはこの世に存在してはならないのですよアニー」
　黒猫「にゃー」
　アニー「三人の女の子たちはみんなここで消えたわ！」
　ポー「怒った顔、とてもお似合いですよアニー」
　アニー「女の子たちは何処なの？　何処？」
　ポー「花にたとえるなら薔薇ですね。そのキュートな顔はレモン○○○○（？）、フーマへの憎しみに満ちた心はレッドデビル」

　ポーは、アニーの真剣な問い掛けを一切無視し、ひたすらアニーの美貌を褒め称える。

　その後、本性をむき出しにしたポーが、アニーを連れ去ろうと襲い掛かってくる。アニーからのＳＯＳを受けた大ちゃんは「俺がこの番組の主役だど！」と言う顔で颯爽と救援に駆けつける。

　大ちゃんはコンバットスーツをまとい、異次元空間の中で、ポーや不思議獣ラブラブ（おじさんの正体）と戦う。

　
　シャイダーが、剣をムチのように変化させてアニーの体をからめとり、自分の方に引き寄せるシーンがあるのだが、その際、いつものようにアニーのパンツが全開となって、欣快の至りです。

　アニーはシャイダーに助けられるが、ラブラブは取り逃がしてしまう。

　ＣＭ後、

　
　ポー「老いたるものを捨て、静謐のうちにあらしめよ。そは彼ら、心行くまで悔いん為なり」

　不思議宮殿では、ポーを囲むようにしてあのトンガリ頭巾たちが腹ばいになって手を握り合っている。

　
　ポー「アニー、愛しいひとよ、薔薇の花よ！」

　いつになく男前のポー様でした。

　なお、ここでも今回の作戦についての説明は一切ない。また、ギャルたちの姿も見えないことから、やはりとんがり頭巾の中にはギャルたちが入っていたのではないかと思うのだが。

　その後、再びポーたちの魔手がアニーに伸びる。

　
　アニー、いつの間にか富士急ハイランドのジェットコースターに乗せられていたり、トンガリ頭巾たちに襲われたりする。

　色々あって、アニーは再び異次元空間に転送される。
　その空間には、あの三人を含め、行方不明になった数人の少女たちが透明なカプセルに入れられて蹲っていた。

　ポー「遂にお前も私のものになった」
　アニー「神官ポー！」

　
　と、次の瞬間には、廃墟の中庭のようなところに立っているアニー。

　ハッとして振り向けば、建物の窓からポーがこちらを見下ろしている。

　
　アニー「少女たちをあんな目に遭わせて一体何のつもり？」
　ポー「美しさを吸い上げているのです、私はもう12000年もの間生きてきました。500年に一度みそぎをせねば、美しい娘たちから命を吸い取らねば……」

　ポー、そう言いながらくるっと一回転して、

　
　おぞましい、夢に出てきそうに異形の顔を見せる。

　これがポーの真実の姿……と言うより、活力が枯渇して老いさらばえた姿なのだろう。

　それにしても、この造型はインパクトあり過ぎだ。

　さすがのアニーも大口を開けて驚く。その画像は、女性としてはあまり見られたくない瞬間だと思うので、あえて貼らないでおく。

　ポー「あぁあにぃー、おまえからも……」

　巨大な牙の間から、くぐもった声を漏らすポー、錫杖を顔の前で動かして、再び元の顔に戻る。

　ここでやっと今回の作戦の目的が明らかになった訳だが、大幹部の美貌をキープする為に美少女を誘拐するという、極めて個人的な欲求に基づく作戦であった。

　道理で、クビライやヘスラーたちが出て来ない訳である。

　でも、わざわざそんなことしなくてもギャルたちから美しさを分けて貰えば良いのでは？

　
　ポー「私は全宇宙で一番美しくありたい。私より美しいものの存在を許しません」

　念動力でアニーを引き寄せ、囁きかけるポー。

　ポーがアニーを狙ったのは、その美貌を奪うと共に、自分より美しいアニーを抹殺して、全宇宙美女ランキング1位（オリコン調べ）の座に返り咲こうという一石二鳥の作戦だったのだ。

　言い換えれば、ポーは、アニーのことを全宇宙で一番美しいと認めたことになるんだよね。凄いよね。

　
　体が思うように動かず、あたかもポーとダンスを踊っているようなアニー。

　設定は女同士なのだが、ポーを演じているのが男性と言うことで、なんとなく妖しい雰囲気があるんだよね。

　アニー、とうとう、あのカプセルに閉じ込められる。

　大ちゃんが、再度「くそーっ、俺がこの番組の主役なんだぞっ！」と半べそかきながら富士急ハイランドにやってくる。

　
　園内に入ると、コースターのレールの上に誰か立っている。

　
　はい、またしても潮健志さんでしたぁーっ！

　大（ほんと、もう勘弁してくれ……）

　このまま「潮健志無間地獄」が続いていたら、間違いなく大ちゃんは発狂していたと思われるが、幸いなことに、ほどよいところで不思議獣ラブラブに変身した為、大ちゃんは落ち着きを取り戻して焼結する。

　
　なお、このシーンでやっとギャルたちがチラッと登場しているが、今回は台詞も一切なく、誰もアップにならないと言うひどい扱いであった。

　クラブハウスの客とか、コスプレさせる余地は十分あったと思うのだが……。

　また、戦いの最中、クビライが「不思議時空……」と、いかにも面倒臭そうに一言つぶやいている。

　今回は最後の戦いまでに時間を使い過ぎたせいか、不思議獣との戦いが終わると、そのままナレーションが始まってエンディングに移行すると言う、せわしない編集がされている。

　無論、アニーと少女たちは無事、シャイダーによって救出された。

　ポーの作戦は失敗したが、これ以降、ポーは相変わらず男前なので、今回の件で、ある程度の美しさを取り戻したのだと考えられる。

　正直、今回もあんまり面白くなかったなぁ。見所は潮健志さんとポーの素顔くらいか。