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「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 前編

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 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」(1987年10月8日)

 タイトルにあるように、唯の双子の姉・翔の死を描いたエピソードである。

 個人的には、翔にはもう少し長生きして貰って、唯と二人で果心居士と戦って欲しかったところだが。

 
 翔「唯、風魔の女が何故、この女雛を……オトヒ、ミヨズ、もう誰もおらぬ……」

 唯の持っていた女雛を見詰めながら、さびしそうにつぶやく翔。

 既にオトヒとミヨズを失い、今度は魔破羅がいなくなり、翔に残されたのは薄ら寒い寂寥感だけだった。

 と、明かりが明滅したかと思うと、急に周囲が暗くなり、

 
 闇の奥から、黒いフードをかぶった果心居士のおじさんがズズズ……と、せり出してくる。

 果心居士「翔よ」
 翔「お方様、わらわの配下既になく、かくなる上はにっくき風魔の小娘、わらわ自身の手で」
 果心居士「ならぬ」
 翔「なにゆえに」
 果心居士「あやつらに関わるな」
 翔「わけをお教え頂きとうございます。居士様のお心が分かりません。オトヒ、ミヨズの時もなんのご沙汰も頂けず、わらわも知りとうございます。なにゆえ、風魔の小娘が女雛を?」
 果心居士「任せておけ」

 果心居士、少女の質問には一切答えようとせず、それだけ言って闇の中へ消えていく。

 
 翔「何故じゃ?」

 ひとりになった翔、なおも「風間唯女雛所有問題」についての疑義を抱くと共に、一方的、かつ秘密主義の果心居士に対する不信感がその目に宿っていた。

 
 OP後、ハッとするような美少女が、風魔の里を見下ろす峠の上に立つ。翔であった。

 翔「風魔の里、あそこに……」

 ちょうどそこへ山菜取りでもしていたのか、以前も登場したやえばあさんが森の中から道へ出てくる。

 
 ふと、振り返り、向こうから上下とも真っ白な翔が歩いてくるのを見て、

 
 何故かそれが、唯の顔に見えてしまう。

 やえ「ゆ、唯お嬢様!」

 翔がさっさと通り過ぎようとするのを思わず呼び止めるが、

 
 翔「なに?」
 やえ「まさか……いや、すまんことじゃ、他人の空似じゃ」

 翔の顔をつくづく見て、自分の勘違いに気付いたのだろう、慌てて打ち消す。

 

 
 翔「誰に、似ておると?」
 やえ「いや、すまんことじゃ、おばばも年を取ったのう、うぬ(註1)に話しても詮無いことよ」
 翔「かまわん、言うてみい!」

 翔の林美穂さん、こういうメイクや衣装だと、めちゃくちゃ大人びて見える。

 そして実に美しい。

 (註1……お前はラオウか?)

 
 やえ「お前は!」

 おばば、不意に相手が影だと気付いたのか、杖を両手に持って身構える。

 やえも、若い頃はピチピチした「くノ一」だったのだろうが、さすがにそろそろ毒マムシにいじられそうなお年頃である。

 
 翔「……」

 翔のひと睨みで、あえなく術中に陥り、翔の操り人形と化す。

 翔「わらわについてくるのじゃ」
 やえ「はい、喜んで!」(註・言ってません)

 サブタイトル表示後、翔はやえと一緒に再び自分の座所にいて、やえに洗い浚い過去の秘密をぶちまけさせていた。

 
 やえ「かつて、私は奈津様のもとで乳母をしておりました」
 翔「奈津とな?」
 やえ「はい、風魔、鬼組が頭、小太郎様の奥方でございます。小太郎様には二人の娘が」
 翔「して、その娘の名は?」
 やえ「唯様と翔様とおいいでな」
 翔「風間唯!」
 やえ「おいたわしや、姉君の翔様は果心居士と名乗るロリコン化け物に連れ去られ、巫女の力を保つ為、十の幼児の姿のまま、影の世界へ……」
 翔「もう、よい、しばし夢の中に」

 翔が閉じた扇でやえの額を触ると、やえはがっくりと首を倒して眠ってしまう。

 さすが翔、唯たちが長い時間を費やして、般若や帯庵の腹立たしいほど固い口を開かせて聞き出した出生の秘密を、簡単にやえの口から取り出してしまう。

 今思うと、般若や帯庵が、何かにつけ、「お前たち自身の手で探り出さね意味がない!」とほざいて、情報を出し渋っていたのが、単に、番組を長引かせる為の詐術に過ぎなかったことは明らかである。

 翔「唯が、わらわの妹とな……」

 
 翔「術中の老婆が、偽りを語ろう筈がない、肉親を敵と呼ぶもまた一興……じゃが、果心居士め! 許さん! 悲しみは人のさが、わらわは人を超えた存在、ヴァジュラの力を我が物とし、影の支配者となり、そして、果心居士をも取り込んでやろうぞ」

 初めて自分の悲惨な生い立ちを知った翔だが、16年にも及ぶ影の英才教育のお陰で、その悲惨さに気付くことなく、なおも妹である唯と戦おうとする愚かしさを露呈する。その一方で果心居士への怒りと憎しみをあらわにし、果心居士をも乗り越えて、名実共に影に君臨することを夢見るのだった。

 
 その唯、自宅の屋根にぽつんと腰掛け、暮れなずむ夕空を見上げていた。

 微風が唯のシャツをはためかせ、なんともいえない良い絵になっている。

 
 唯「姉ちゃん……」

 前回、止むを得ないことながら結花と由真の実父・小源太を自らの手であやめたこと、そのことで姉たちから恨みの篭った目で睨まれたこと、などを悲しく思い出す。

 唯「姉ちゃん、何処に?」

 二人は、あれ以来、家にも帰らず、唯の前からぱったり姿を消していた。

 翌日、唯はもしやと思って夏休み中の星流学園へ行って見るが、やはり姉の姿はなかった。

 そこへ般若が現れ、

 
 般若「風魔の里に翔が現れた。乳母のやえをいずこかへ。翔はやえの口から出生の秘密を知ることになる。姉と妹、互いにそれを知り……」

 唯、聞いているのかいないのか、話の途中で物悲しい子守唄の一節を口ずさむと、

 唯「赤ん坊時に聞いた歌っちゅうのは覚えちょるんじゃろか」
 般若「子守唄……」
 唯「アキラ君を寝かしつける時に、ふと口を突いて出たんじゃ」

 アキラと言うのは、29話に出てきた男の子のことである。

 唯「誰が歌ってくれたんじゃろう? わちは姉ちゃんたちと違う子守唄を聞いて育ったのかも知れん」
 般若「結花と由真の父を討ったことを悔やんでいるのか?」

 
 唯「違う! 姉ちゃんたちの気持ちは分かる。じゃけん、じゃけん、わちは決して間違ったことをしたとは思うちょらん! わちは風間三姉妹である前に、風魔の頭領じゃ!」

 きっぱり言い切る唯の逞しい顔を見て、

 
 般若「よくそこまで成長した」

 唯の見違えるほどの成長ぶりに、力強く頷き、惜しみない賞賛を贈る般若だった。

 唯「果心居士を倒す日まで、わちの思いはこのヨーヨーの中に封印するんじゃ!」

 ヨーヨーを掴んで、自ら言い聞かせるように雄々しく叫ぶ唯。

 やっと、最大の弱点であったメンタルの弱さを克服してくれたかと頷く般若だったが、その後、ひとりで屋上に上がった唯は、

 唯「結花姉ちゃん、由真姉ちゃん、わち、わち、やっぱり……」

 一転、また弱気になって、ぶつぶつ繰り言をつぶやくのだった。

 
 般若(てめえ、良い加減にしろよ……)

 般若の顔も三度まで、だぜ?

 もっとも、実際はその場に般若はいなかったので、唯の死んでも治りそうにないヘタレぶりを見ることはなかった。

 と、何かの気配を中庭の方から感じ、屋上の手摺を乗り越えて立つと、

 
 眼下に、大勢の僧兵の格好をした影が、ナギナタに太陽の光をキラキラ反射させながら現れる。

 これほどたくさんの影の刺客が唯の前に現れたのは、かつてないことだった。無論、果心居士の差し金である。

 
 彼らは「法道衆」と言うらしいが、さまざまな影の忍びたちのなかでも、もっとも不運な連中であった。

 
 唯「わちらを影に飲み込むのは無理じゃと悟ったようじゃな、じゃけん、物凄い数じゃ。結花姉ちゃん、由真姉ちゃん、わちは見事に生き延びてみせる。みちょっちくり。ようし、一点突破じゃ!」

 唯がヨーヨーを握り締めて自らを奮い立たせ、攻撃を開始しようとしたその時、

 
 中庭の、向かって右側から、白い服を着た少女が、鞠を突きながら歩いてくる。

 法道衆「翔様、何故このようなところに? すぐお帰りください」
 翔「わらわが用があるのは風間唯、うぬら(註2)、散るがよい」
 法道衆「そうは参りません、すべてはお方様の命令でございます」

 (註2……お前もラオウか?)

 
 翔「もう一度言う、散るがよい!」

 影の頭領としての威厳を見せて、重ねて現地解散を命じる翔だったが、彼らは翔の上の果心居士の命令を受けているので、容易に引き下がろうとしない。

 法道衆「風間唯なるもの、翔様とは切っても切れぬあやしの糸でつながりしものとか」
 法道衆「お方様が我らを遣いしはそこのところを慮ってのこと、お方様のお気遣い、大人しくお聞きなされ。ささ、お帰りなされっ」

 そればかりか、したり顔で翔を諭すような言辞を弄する彼らに、翔の怒りが爆発する。

 
 翔「おろかな、身の程を知るがよい!」

 こんな可愛い顔して、口から出るのは女王様のように苛烈な言葉。

 このアンバランス、番組はもっと早くこの魅力に気付くべきではなかったか。

 オトヒ、ミヨズもだが、アジトの奥深くに押し込め、変なメイクさせて待機させていた時間が勿体無い。

 翔、全身から紫色のオーラを発動させると、右手を広げて伸ばし、それにオーラを集中させると、

 
 ビームのようにそれを撃ち、中庭全体を、雷が直撃したかのような眩しい光で覆い尽くす。

 
 唯「うわわーっ!」

 屋上から見ていた唯も、そのあまりの眩しさに思わず悲鳴を上げてしゃがみこむ。

 
 雷鳴が轟き、唯がこわごわ身を乗り出して校庭を見下ろすと、

 
 なんと、あれだけいた法道衆が全員、僧衣と下駄とナギナタだけ残し、煙となって昇天していた。

 法道衆の皆さん、唯と一切戦うことなく、しかも、味方に一瞬で消滅させられてしまった訳で、これほど不憫な影の忍びは他にいないだろう。合掌。

 後編に続く。


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コメント

更新お疲れ様です。楽しみと同時に、あ~あ~、ついにこの回かという想いに。
翔様、もはや配下がおらず、たった1人に。当然ながら、自ら赴くことになりますね。
やえばあさんから出自の秘密を一発で聞き出しましたが、術を使ったある意味、邪道で強引な方法、まあ、影なので許容できる範囲なのかな。

ロリコン化物(笑)
翔様の威厳さが最も際立っている前半でした。
法道衆哀れ(笑)
この回は自然と背景にBGMが私の中で流れてきますね。鞠を地面に叩く音とか。

Re:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 前編(10/06)  

>このアンバランス、番組はもっと早くこの魅力に気付くべきではなかったか。
「宿命のライバルキャラ」としてはすごぶる完成度が高いと思いました。

Re[1]:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 前編(10/06)  

翔様ファン様
いつもコメントありがとうございます。

>楽しみと同時に、あ~あ~、ついにこの回かという想いに。

自分も、翔が死ぬシーンを書くのはつらかったです。

Re:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 前編(10/06)  

早くも翔様ロスに(おいおい、どんだけだよ)

>翔の林美穂さん、こういうメイクや衣装だと、めちゃくちゃ大人びて見える。
当時、翔を見た時も唯と同じくらいの年齢なのかなと思ってました。

>微風が唯のシャツをはためかせ、なんともいえない良い絵になっている。
私としては、法道衆の前に威風堂々とワンピース?のスカートを風になびかせながら立っている翔様も絵になっている。とても対照的な2人。この回は主役の座を翔にもっていかれた感があるんですよね。

改めて、この回は、管理人様のツッコミは控えめでしたね。
個人的には、法道衆を倒したあと、Uターンして帰ろうしてたので、「おいおい帰るのかよ」とか、果心居士が現れる際、ずっと翔は「・・・・・」と沈黙してたので、何かしら挿入句は入れやすい場面だった思うのですが。

ミヨズは元々大人びてるのであまり変化がありませんが、翔やオトヒは初登場以来、若干成長しているのも伺えますよね。

個人的には、林美穂さん、中学生頃までには今の面影を残しているのですが、成人になって以降、この頃の面影を残してないんですよね。ホクロの位置と寝ている姿が重なるくらい。

連日投稿失礼しました。

Re[1]:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 前編(10/06)  

影の王子様

もうちょっと見せ場があったら良かったと思います。

Re[1]:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 前編(10/06)  

翔様ファン様
連日のコメントありがとうございます。

>改めて、この回は、管理人様のツッコミは控えめでしたね。
個人的には、法道衆を倒したあと、Uターンして帰ろうしてたので、「おいおい帰るのかよ」とか、果心居士が現れる際、ずっと翔は「・・・・・」と沈黙してたので、何かしら挿入句は入れやすい場面だった思うのですが。

いやぁ、ツッコミが少ないと言われたのはブログやってて初めてです(笑)。まだまだ修業が足りんわいと猛省しております。

Re[2]:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 前編(10/06)  

zura1980さんへ
早速の返信ありがとうございます。
>まだまだ修業が足りんわいと猛省しております。
とんでもないです。後編に申し上げた通り、もう感無量な気分です。

まだ最終回になってないのですが、今までの管理人様のツッコミで一番笑わせてもらったのは第10話、ミヨズと翔のやりとりの部分。
ミヨズさん目を開けて寝てたよね。「寝てなかった?」「寝ていません」とあたかも、そのやりとりがあったかのようなツッコミ、大いに笑わせて頂きました。他にも多々あるのですが。

ただ、残念なのが、この「3」だけがストーリー、場面やセリフ等覚えているので、管理人様のブログでより一層ストーリーの深みが増したり、わかるツッコミで爆笑できたりできるのですが、他のシリーズの内容が無知なもので、同じように楽しめないのが残念なところです。逆もまたしかりなのかもしれませんが、この時期のドラマの内容を沢山知っていて、尚且つ、管理人様のブログを楽しんでおられる読者の方々を羨ましくも思います。

また、ここ最近のドラマも管理人様同様かどうかわかりませんが、‟視聴者より”なので、これも個人的な趣向なのかもしれませんが、見てても面白くない。というより、今夏ドラマ、何一つ見てませんね(汗)おそらく私の世代がテレビっ子最後世代?ちょうど、挟まれた世代なんでしょうね。
紅白もここ数年つまらない(マンネリ感)ので、語弊があるかもしれませんが、年越しは管理人様のブログをまったりと見ながら年を越そうと思っとります。ちょっと、まだ時期が早いか(笑)

長文&トピずれ失礼しました。
これからも楽しみにしています。

Re[3]:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 前編(10/06)  

翔様ファン様
連日のコメントありがとうございます。

>ミヨズさん目を開けて寝てたよね。「寝てなかった?」「寝ていません」とあたかも、そのやりとりがあったかのようなツッコミ、大いに笑わせて頂きました。

ああ、ありましたね。我ながらくだらないこと書いてるなぁと感心しました。

>また、ここ最近のドラマも管理人様同様かどうかわかりませんが、‟視聴者より”なので、これも個人的な趣向なのかもしれませんが、見てても面白くない。というより、今夏ドラマ、何一つ見てませんね(汗)

自分は、ドラマどころかテレビ自体見なくなりました。

>紅白もここ数年つまらない(マンネリ感)ので、語弊があるかもしれませんが、年越しは管理人様のブログをまったりと見ながら年を越そうと思っとります。ちょっと、まだ時期が早いか(笑)

そこまで楽しみにして頂いて光栄のいたりです。

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