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「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 後編

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 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」(1987年10月8日)
 の続きです。

 
 翔、唯の存在を知りつつ、何故かUターンしてそのまま立ち去ろうとする。

 唯、慌てて中庭に飛び降り、「翔、待てーっ!」と呼び止める。

 
 唯「あんた、やえばあさんにほんとのことを聞いてきてくれたんじゃろ? そうじゃろ?」
 翔「……」
 唯「そうやっていっちくり!」

 何度聞いても強烈な方言だ。この「いっちくり」と言い、さっきの「みちょっちくり」と言い……。

 翔、無言で振り返り、唯との間の地面をじっと見詰め、

 
 その超能力で地面から激しい炎を噴き上げさせる。

 
 さらに、それが連鎖的に起きて唯に向かって炎の柱が走る。

 明らかに唯と翔の距離が最初と違ってることには、目をつぶってあげて欲しい。

 
 唯「なんでなんじゃ、翔?」
 翔「わらわは人間以上、風間唯、うぬとは立つ地平その物が違うのじゃ」
 唯「嘘じゃ、なんで本心を隠す?」
 翔「笑止」
 唯「なら、なんでわちを助けた?」
 翔「取引じゃ。うぬの持つ男雛が所望じゃ。ただとは言わん、代わりに風魔のおいぼれをくれてやるわ」

 前にも言ったけど、こんな、標準語からあさっての方向へかけ離れた言語を操る二人が、普通に意思疎通できる日本語って、奥が深いよね。

 唯「そんひとは、わちらを守り育ててくれた乳母なんじゃ」
 翔「黙れ、人間以上と言うたが分からぬか」
 唯「翔、わちの話を聞けーっ!」

 翔、激昂して向かってくる唯の体を念力で封じ、それを振り切って唯の投げたヨーヨーも、鞠であっさり弾いてしまう。

 翔「よいな、風魔の仲間を助けたければ影の祭礼の谷に、うぬひとりで男雛を持て……待っておるぞ」
 唯「翔ーっ!」

 翔は条件を告げると、後退しながらふっと姿を消す。

 
 唯「影に飲み込まれた人間が、真に影に解放されるのは、死のみか……いや、わちには分かる、翔は心の奥で助けを求めちょるんじゃ! わちにしか翔を助けることは出来ん!」

 悲壮な叫び声を上げる唯の足元に、誰にも助けて貰えなかった法道衆の皆さんの成れの果てが散らばっているのが、なかなか虚無的である。

 助けを求めているのかどうか知らないが、翔が、その小さな胸の中に、抑え切れない孤独と寂しさを抱いているのは事実だった。

 座所に瞬間移動して戻ってくると、依然として正体なくぺたんと座り込んでいるやえの前に座り、その膝に手を置き、遠慮がちに頭を乗せ、

 
 翔「わらわは明日、この手で妹を討つやもしれん、それはわらわが人を超えた証なのだ。男雛と女雛が揃い、ヴァジュラが手に入る。影は、いや、世界はわらわのものよ」

 思えば、ほんの赤子の頃に果心居士にさらわれて以後、16年もの長きに渡って人の世と隔絶され、影の頭領としての英才教育(?)だけを施されてきた翔にとって、この1分にも満たないやえばあさんの膝の温もりが、唯一、人間らしい安らぎを味わえた時間だったのかも知れない。

 考えれば、家族は勿論、ひとりの友もなく、腹心のミヨズとオトヒだけを相手に人知れず影の世界に生きてきた……いや、生きていかざるを得なかった翔が、実に哀れな存在に見えてくる。しかも、10才で成長が止まるという呪いを掛けられ、果心居士のロリコン趣味の犠牲になってさえいるのだから。

 その点、両親こそいなかったが、帯庵と言うハムじじいに厳しくも、慈しみ育てられ、九州の田舎で自由闊達に生きてきた唯の方が遥かに幸せだったと言えるだろう。

 ただ、ドラマでは敢えてそう言うことを視聴者に強くアピールして、ドラマとして盛り上げようとしている気配が感じられないのがやや不満である。まぁ、35話だったか、唯が同じように翔の境遇について同情するシーンはあったけどね。

 それはさておき、唯は約束どおり、緑の濃い山の中の、影の祭礼の谷へ男雛を包んだ風呂敷を背中にくくりつけてやってくる。

 
 その場で、プロテクターをひとつひとつ装着していく唯。

 唯「翔、男雛を持って来た!」

 唯が男雛を岩の上に置き、空に向かって叫ぶと、すぐに谷の上に、翔がやえを伴って姿を見せる。

 翔、超能力で直ちに男雛を引き寄せようとするが、唯はヨーヨーを飛ばしてそれを落とし、

 
 唯「まっちくり、わちの話を聞いちくり、ミヨズとオトヒは果心居士の命令で役目が終わるとボロクズのように捨てられてしもうた、オトヒは死の間際まで言うちょった、翔を頼む、助けてやってくれと……」

 
 翔「……」

 敵の口から、初めて忠臣の最期の言葉を聞かされ、翔も粛然とした表情になる。

 
 唯「そしてこうも言うちょった、影の忍びは、みな光なき地獄で迷っていると……あんたの罪は無には出来ん、じゃが、償うことはできる筈じゃ! 翔、一緒に戦おう、一緒に果心居士を倒そう!」

 唯はさらに踏み込んで、翔へ共闘を呼びかけるが、

 翔「笑止、わらわは別じゃ、果心居士の道具にはならん」

 翔がきっぱり断言すると、にわかに空が暗くなり、空中に、果心居士の姿が出現する。

 
 果心居士「翔、今までの悪しき所業には目をつぶろう、その償いとして男雛を奪い、唯を倒すのじゃ」
 翔「……」
 果心居士「翔!」

 だが、既に果心居士に叛逆する意志を固めているのか、翔は果心居士の命令を聞こうとしない。

 唯が、幻影のような果心居士の体にヨーヨーを投げつけるが何の手ごたえもなく、逆に、果心居士の口から冷凍ガスのようなものを発射されて、防戦一方となる。

 
 と、不意に、まだ術がかかってぼーっとしているやえが、あの子守唄を低い声で口ずさみ始める。

 
 翔「なんなのじゃ、この得体の知れぬ気持ちは? 寂しいような、心温まるような……不可思議な……」
 唯「頭は忘れても、心が覚えちょる! あんたの心は懐かしさに震えちょるんじゃーっ!」
 翔「懐かしい? 時空のはざまに落とされ、時から見放されたわらわに過去を慕う心が残っておると言うのか?」

 
 翔「唯……」

 翔のいたいけな瞳に初めての涙が浮かぶ。

 遂に、翔が影から生還した瞬間だった。

 
 翔は、やえの額に手を当てて正気に戻すと、自分の持っていた女雛を託す。

 翔「これを唯に……」
 やえ「翔様ぁ」

 
 翔「果心居士!」
 果心居士「翔……」

 そして、右手を伸ばしてオーラのビームを果心居士に向かって放つが、果心居士もすかさずビームを放って対抗する。

 赤と青、二色のビームが空中で激突し、しばらく押し合いが続くが、やはり果心居士には勝てず、翔はエネルギーをまともに浴びて、「ああああーっ!」と絶叫して転がり落ちる。

 言うまでもないが、これも「スターウォーズ」で、皇帝に殺されそうになったルークを、父親であるダースベーダーが改心して命懸けでルークを助けたシーンのパクリなのである。

 
 唯「翔ーっ! 翔!」

 唯が慌ててその小さな体を抱き起こすが、翔は致命傷を受けて瀕死の状態だった。

 
 翔「唯、こんなことで泣いてどうする? 影には、情けも涙もないのよ」
 唯「うん……」

 それでも顔を上げてにっこり微笑み、逆に妹・唯を叱咤する、その健気さに唯の目から涙が溢れる。

 翔「ヴァジュラを手にできるのは、もう、あなただけ、影を、影を倒すの……」
 唯「必ず、必ず!」
 翔「唯……」
 唯「翔!」
 翔「唯、ゆ……」

 
 なおも唯の名前を呼ぼうとする翔だったが、やがてがっくりと頭を落とし、儚過ぎる一生を終える。

 唯「姉ちゃん!」

 その華奢な体を抱き締め、とめどなく涙を流す唯。

 唯「おぼえちょる、翔の香り、わちにはわかる。今、翔がわちの体の中に……」

 
 唯が翔の体を抱いたまま立ち上がると、額の鉄鉢が勝手に割れ、その下に梵字が浮かび上がる。

 それが一旦消えると、

 
 今度は、今まで見たことのない新しい字になって浮かび上がる。

 やえ「アーンク……大日如来の梵字!」

 それを見たやえが、驚きに目を見張る。

 そう、唯は翔の魂をその体に取り込んで、不動明王から大日如来にクラスアップし、いわば「完全体」となったのだ。

 だが、ロリコンで口が臭く、おまけに諦めの悪い果心居士のおじさんは、「翔が倒れても、もうひとりおるぞ」と、なおもヴァジュラを使って世界を混沌に引き摺り込むことを諦めないのだった。

 
 唯「……」

 翔の体を抱いて、前を見据えて歩き続ける唯の姿を映しつつ、幕となる。

 それにしても、今更だが翔の林美穂さんの大人顔負け演技には舌を巻いた。

 大西結花さんや中村由真さんはおろか、浅香さんより上手いのではないかと思う時があるほどだ。

 しかし、最初に書いたように、あまり活躍の場がなかったのが惜しまれる。


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コメント

この回は、いうまでもなく私のニックネームの名を冠したクライマックスに相応しい回ですね。
改めて見ると、2人が双子の事実を知ったうえでの対面は非常に感慨深いものを感じます。
それと同時に翔が、乳母のやえばあさんと居ると安らぎという心を少しずつ取り戻している表情が伺える。
この回での管理人様の翔や唯への感想、勉強になりました。ロリコン趣味やハムじじい(笑)はおいといて、翔への生い立ちは確かに同情しますね。

唯は礼亜のときの短刀と同様、ちょっと抜けてますよね。援護すればいいのに~、一緒に果心居士を倒そうと共闘を呼び掛けたのに~、幻影だし、咄嗟の出来事だったので、何もできなかったのか。翔様の最初で最後のやさしい笑み、うぅ~言葉がでない。
この「3」で一番出てくる固有名詞は‟翔”でしょう、いや、実際数えていたわけではないので、唯なのかもしれませんが、当初、謎のベールに包まれた影の姫、翔。そして、ミヨズ、オトヒから盛り立てられたり、崇拝されたりと、最もインパクトが強い登場人物だったのではないでしょうか。幼い頃に翔様、翔様、翔様、と聞いてしまってはカルガモの子どものように刷り込んでしまい、私の中でも偉大な存在として記憶に刻み込まれました。

あとは、時折話題に出てくる「時空戦士スピルバン」第40話。これは、“翔様ファン”としても、ずーーーーとこれまで気になっていて、結局、見る機会がなかったのですが、なにやら、あの翔様が悪者の人質に??えっ、翔様なら法道衆も一瞬で葬り去ったりと、念力やら超能力やらビームを使用すれば、なんとでも処理できるではないか、翔様1人で充分ではないかいと子供心に戻った気分(笑)
偶然なのか縁なのか、またまた剣に関する内容だそうで、もし、スピルバンもレビューされることがあれば、楽しみにしています。(宇宙刑事シャリバンやジャスピオンなど過去レビューを探し周り、漁りまくったりしたのですが(笑)、まだレビューされてなかったので。今はシャイダー終盤中なので次回?)

このような形で、思い出深いスケバン刑事3に出逢えるとは思いませんでした。私‟も”管理人様のブログを発見できてよかったです。
長文失礼しました。レビューありがとうございました。管理人様に心から感謝申し上げます。

Re:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 後編(10/06)  

唯との共闘は果たせなかったものの
最期に正気を取り戻す死に際はまだ救いがありますね。

Re[1]:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 後編(10/06)  

翔様ファン様
長文コメントありがとうございます。

>ロリコン趣味やハムじじい(笑)はおいといて、翔への生い立ちは確かに同情しますね。

自分も普通に見てたときはそうでもなかったですが、レビューした時に初めて気付かされた感じでした。

>幼い頃に翔様、翔様、翔様、と聞いてしまってはカルガモの子どものように刷り込んでしまい、私の中でも偉大な存在として記憶に刻み込まれました。

確かにビジュアルと言い、名前と言い、時代錯誤の喋り方と言い、非情な性格と言い、生い立ちと言い、どのパーツを取っても極めて印象的なキャラクターでしたね。

そもそも、小学生の女の子が「悪の組織」の首領と言う設定が、実に斬新で魅力的でした。ただ、中盤以降は、どうせならもっと積極的に現場に出て活躍して欲しかった気もしますが、子役だと、色々と撮影上の制約もあったんでしょうね。

>偶然なのか縁なのか、またまた剣に関する内容だそうで、もし、スピルバンもレビューされることがあれば、楽しみにしています。

ちょっと今内容は思い出せないのですが、いずれにしても「スピルバン」はレビューする予定ですので、その時は必ずそのエピソードを取り上げることをお約束しておきます。

>このような形で、思い出深いスケバン刑事3に出逢えるとは思いませんでした。私‟も”管理人様のブログを発見できてよかったです。
長文失礼しました。レビューありがとうございました。管理人様に心から感謝申し上げます。

もったいないお言葉、痛み入ります。自分も読者の方にそんなに喜んでいただけると、やり甲斐が湧いてきます。

Re[1]:「スケバン刑事3 少女忍法帖伝奇」 第39話「長いお別れ もう一人の唯の死」 後編(10/06)  

影の王子様

ま、どうせなら、唯と翔の本格バトルも見たかったですが、一方が子役だとちょっと無理ですかね。

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zura1980

Author:zura1980
70~80年代の特撮、80年代のドラマを中心に紹介しています。

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