直記は、捜査状況などを父・鉄之進に報告した後、

直記「お父さん、八っちゃんと僕は兄妹じゃないんですか?」
と、前から気になっていた疑問をぶつける。つまり、八千代が鉄之進とお柳との間の不倫の子ではないかと言うことだ。
しかし、二人とも噂に過ぎないと即座に否定する。
お柳「直記さん、安心しなさい。八千代は先代の娘よ。母親のあたしが言うんだもの、間違いないわよ」
だが、直記は八千代が夢遊病の発作を起こすのを見たと、尚も食い下がる。彼の言葉の意味は直後に明らかになる。その夜、鉄之進も、ふらふらと起き出して庭の方へ出てしまう。そう、彼も夢遊病だったのだ。だから、それが遺伝して、八千代も夢遊病になったのではないかと、直記は心配だったのだ。
それはともかく、鉄之進は池の中へ入り込み、底の石を動かしていた。偶然彼が出て行くのを見ていた四方太があとをつけ、鉄之進がいなくなったあと、池の底に手を突っ込んで探っていると、

こういう物凄いものを発見してしまう。逃亡したと思われていた守衛の生首である。
世界一怖い「箱の中身はなんじゃろか」ゲームに参加してしまい、死ぬほど驚く四方太。
この発見により常識的に考えて、殺されたのは守衛で、蜂屋こそ殺人犯と言うことになる。

また、四方太の証言により、今度は鉄之進が警察に疑われる。彼は夢遊病の発作を起こしたので、その間のことは知らないと容疑を否定する。
鉄之進「警察はね、こんな男の言うこと信用するの?」
四方太「仙石、お前ももうおしまいだ。守衛を殺して古神の財産をのっとろうなんて、そうは問屋が卸さないぞ」
鉄之進「この穀潰し!」
原作でも、普段は大人しいパッパラパーの四方太が、仙石を痛烈に糾弾することになる。
ドラマではここで鉄之進が金田一に真犯人を捜してくださいよと頼んでいるが、原作では、後半になって、鉄之進が金田一を正式に雇って呼び寄せたことになっている。

八千代は直記に、あまりに兄(守衛)がしつこいので、好きでもない蜂屋を引っ張り込んで、守衛に自分を諦めさせようとしていたと打ち明ける。
守衛は、妹の八千代を愛していたのだ。あらあら。
その後、八千代が忽然と姿を消す。その部屋はめちゃくちゃに荒らされていて、蜂屋に拉致されたのではないかと思われた。
直記はまた、八千代から蜂屋が「四人衆様」の子孫だと聞かされたと話す。岡山の旧領地では、かつて古神家の搾取に苦しみ、反抗して惨殺された四人のことを「四人衆様」として神社に祀り、今でも崇拝しているらしい。
つまり蜂屋は先祖の恨みを晴らすため、守衛や八千代を殺そうとしている、そう直記は主張する。
なんだか急に「八つ墓村」みたいな話になってきたが、原作にも一応そういうエピソードが出てきて、実は蜂屋でなく、真犯人がその子孫だったと分かるのだが、あくまでそれは偶然の一致に過ぎず、アクセントとして使われているだけだ。
警察の捜査も行き詰まり、舞台は一転、岡山に移る。
守衛の葬儀が、古神の本宅で行われる。それを抜け出して、土蔵へ向かう直記。

意外なことに、蜂屋に拉致された筈の八千代が、いつの間にかそこに隠れていた。彼女は蜂屋から逃れ、ここに密かに匿われているらしい。
あれこれと彼女を励ましたあと、
「ねえ、八っちゃん、トランプでもしようよ」と、カードを嬉しそうに切る直記のトホホぶりは必見です。
八千代「空気読めよ」 金田一もやがて村へやってくるが、ちょうど、四方太らしい首と手首のない他殺死体が竹やぶの中で発見される。
これはドラマのオリジナル要素で、一応ここで人殺しを入れておくかと言う感じで無理矢理付け加えられたものだろう。そのせいで、最後の謎解きがちょっとぼやけてしまうのが残念だ。
ちなみにこの村の名前は、鬼首村と言い、後の傑作「悪魔の手毬歌」の舞台となった村と同名である。しかし、これは名前が同じだけで違う村と見るべきだろう。
さて、本宅には屋代も来ていた。彼は、八千代を警察に黙って保護していることを懸念する。

屋代「警察はともかく、蜂屋は何をするか底が知れない。どうなっても知らんぞ」
直記「だから、協力してくれと頼んでるんだよ……お前、誰のお陰でここまで来れた? 親爺と俺には義理があるはずだ」
屋代「分かった……」
半ば恫喝されて承諾する屋代。しかし、「ここまで来れた」って、なんか屋代がある程度高い地位に就いてるみたいに聞こえるなぁ。実際は、居候みたいなものなのに。
村では、蜂屋と思しきルパシカ姿の不審者のうろついているのが、しばしば目撃されていた。

金田一、モンペ姿で甲斐甲斐しく働くお藤に声を掛ける。
お藤「まあ、金田一さん!」
金田一「やあ、来てたのかぁ」

お藤「(四方太は)蜂屋さまが殺したのでしょうか?」
金田一「僕にもまだ分からないんだよ」
お藤「でも、探偵さんでしょ?」
金田一「ははははっ」
この和やかなやりとり、好きだわぁ。お藤もめちゃ可愛いしね。原作でも、お藤は「使用人にしておくには勿体無い器量」と評されている。

その後、金田一は屋代とも顔を合わす。
金田一「お前も来てたのか」
屋代「お柳様がお藤を呼べと言ったらしいんだ。お藤ひとりを汽車に乗せる訳には行かないから、俺も付いて来たよ」
成人女性にわざわざ付き添いが要るのは変なのだが、当時(昭和23年)の鉄道は、そんな感じだったのだろうか? ま、原作に書いてあるまま台詞にしたとも言える。
金田一「僕は蜂屋と八千代さんを捜しに来たんだよ」
屋代「八千代さんは知らないが、蜂屋はこの辺りのどこかに潜んでるよ」
直記に義理立てして、親友の金田一にも八千代のことは伏せる屋代だった。
しかし、ある夜、蜂屋らしい不審者が乱入し、日本刀を振り回して八千代を追い掛け回すと言う事件が発生。八千代は近くの滝へ必死で逃げる。
金田一たちも遅れて後を追うが、彼らが追い付いた時には、八千代と思しき女性の死体が転がっていた。それも、首のない……。
つづく。