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「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その1

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 第8話「うそつき先生」(1971年11月14日)

 17話までは名作・傑作・力作・佳作・問題作が目白押しの本作、この8話も、ベスト5とまでは行かないが、ベスト10には入る佳作である。

 冒頭、ひかる、子供たちに「わたしの家」と言うテーマで作文を書かせている。

 
 正夫「おい、なに書いてんだよ?」
 太一「やだってばぁ~」

 みんな黙々と原稿用紙の上に鉛筆を走らせるが、正夫は相変わらず騒がしい。

 レギュラー子役たちの性格付けがしっかりしているのも、このドラマの魅力のひとつである。

 
 で、カメラはレギュラーではない、ひとりの少女の姿をクローズアップする。

 彼女が今回の主役、尾関一子(かずこ)で、演じるのは「仮面ライダー」や「新マン」などにも出ていた荒井久仁江さん。

 なかなか可愛らしく、また演技のうまい子役である。

 一子の声「私の家は母が病気です。だからお台所もお洗濯もお掃除もみんな私の仕事です……」

 一子の作文の内容が、そのまま映像で再現される。

 だから、ひかるは勿論、視聴者までもがそれが事実だと思い込んでしまう。

 
 母親「すまないねえ、お前にばっかり働かせて」
 一子「いいのよ、私、働くのが大好きなんだもん」

 床に伏せっている母親が、台所でキャベツを切っている一子をいたわる。

 
 酒屋「こんちわー、酒屋ですがー」

 玄関の方から声がして、横顔を見せる一子。

 これを見ても、なかなか整った顔立ちだということが分かると思う。

 一子の声「父は大酒飲みです。だから私の家はいつも酒屋さんのカモ」

 
 その父親の姿が映し出されるが、最早その姿は、アル中を通り越して、完全な廃人レベルであった。

 一子「父ちゃん、父ちゃんたら」
 父親「はははは、もう飲めねえよ」
 一子「やんなっちゃう、酒屋さんがお勘定取りに来たよ」

 一子に言われて、それでも懐から小さながま口を出して開くが、出て来たのは5円玉一個。

 
 父親「金ならこれだけ、はぁーっはははははっ……」
 一子「ほんとに子供にばっかし苦労かけてさ!」

 いいなぁ、梅津栄さん。

 ゆるぎない役者魂が感じられるよね。

 
 一子、仕方なく自分が応対に出て、

 酒屋「お勘定、先々月からたまってるんですがねえ」
 一子「今ないんです」
 酒屋「だってお嬢さん、先々月から」
 一子「先々月からずーっとお金ないんです。帰ってください」

 無表情で包丁を突きつけて、なんとか酒屋を追い返す。

 酒屋の御用聞きが勘定取りに来るというのが、いかにも時代を感じさせるシチュエーションである。

 さて、一子の作文を読んだひかるは、当然、憤慨する。

 
 ひかる「なってない! 借金の言い訳を子供にさせるなんて!」

 
 旗野「どうしたんですか、月先生?」
 ひかる「下劣な地球人のサンプルを見付けたの。こう言うレベル以下の哺乳類はすぐに矯正しなくちゃ」

 立ち上がり、独り言のように言いながら生徒の名簿を開いて一子の自宅の住所を調べるひかる。

 旗野「はぁ……月先生の表現はかなり強烈ですねえ」
 ひかる「はっ?」

 ひかる、しばしば地球人に扮していることを忘れ、うっかりアルファ星人や平和監視員としての発言をしてしまうことがあるのだ。

 行動派のひかる、その日の放課後、ただちに一子の家庭訪問を行う。

 
 カーブを描きながら緩やかに続いている坂道を、自慢の(?)大根足を動かして、一子の自宅付近にやってきたひかる。

 ここは、「イナズマン」の15話のラストシーンにも出てきた場所である。

 ひかる、ちょうど路上で車を磨いていた中年男性に尾関家の場所を尋ねる。

 
 ひかる「あの、ちょっとお伺いしますけど、この辺に尾関さんていう大酒飲みで、だらしなーい人がいる筈なんですけど」
 父親「尾関?」
 ひかる「ええ、奥さんがご病気で一子さんて女の子がひとりで働いてるんです」
 父親「一子は娘ですがね、私は酒を一滴もやりません」
 ひかる「はっ?」

 驚いて、ひかるが何気なくその車の車体を見ると、「個人 尾関タクシー」と書いてあるではないか。

 自分が話しかけた相手こそ、アル中の筈の一子の父親だと分かり、ひかるは目を白黒させる。

 そう、一子が作文に書いた両親のことは、すべて出鱈目だったのだ。

 
 母親「ま、先生、おひとつどうぞ」
 ひかる「ま、どうもすいません」

 尾関家の居間に座っているひかるの前に、母親が山盛りのバナナを置く。

 来客に堂々とバナナを出すあたりも、いかにも70年代初頭と言う感じである。

 母親「どうしてああひょいひょいと誤魔化し言うようになったんですかねえ」
 父親「俺がへべれけでお前が死にかけてるんだと! 帰ってきたらうんととっちめてやりますから」

 やがて、その一子が元気良く走って帰ってくるが、玄関のドアを開けたところで、中から父親たちの話し声が聞こえてきたので、ハタと立ち止まる。

 
 父親「小さい頃からホラ拭いたり、出鱈目言ったり、それがまた面白いって……なまじ笑って見過ごしたからいけねえ、近頃じゃあ、もう見境なし。口を開けば嘘八百並べるようになりました」
 母親「そうなんですのよぉ」

 
 父親「どうぞ」
 ひかる「いただきます」

 話の合間に、ちょいちょい父親がバナナを勧めてくるのがちょっとしたツボである。

 ひかるもバナナに手を伸ばすが、そこへけたたましく一子が飛び込んできたので、ひかるがバナナを頬張るシーンは結局見れずじまい。

 一子「お父さん、大変よ、泥棒! 車のサイドミラーを取ろうとしてるわ」
 父親「ほんとか!」

 
 今まで何度も似たような目に遭っているだろうに、学習能力がないのか、父親はその言葉を真に受けて、カッコよくテーブルを飛び越えて、コケる。

 ここで、かなりはっきりひかるの下着が見えているが、当時は、ミニスカ用の短いスリップとかはなかったのだろうか?

 それとも、下着は菊さんの私服で、それに衣装のミニスカを履いたので、つい、スカートからはみ出てしまったのだろうか。

 菊さんの下着事情について興味は尽きないが、とりあえず話を先に進めよう。

 父親が慌てて外へ出ると、確かにサイドミラーがなくなっている。

 当時は、車のサイドミラーを盗む奴がいたのだろうか?

 
 一子「あっははっ」

 存在しない泥棒を追いかけて、真っ直ぐ坂を下っていく父親の後ろ姿を見て、楽しそうに笑う一子。

 
 ひかる「尾関さん」

 と、いつの間にかひかるが怖い顔をして門のそばに立っていた。

 ひかる「このポリバケツ開けて御覧なさい」
 一子「何故ですか」
 ひかる「開ければ分かる」
 一子「はぁーい」

 良いなぁ、菊さんの生足!

 ただ、今回から髪型がストレートからソフトクリームみたいなパーマになってしまうのが残念である。

 それにしても、今更だが、菊さん、とても21才と思えない大人っぽさである。

 
 一子「わー、サイドミラー、先生、ありがとう」
 ひかる「へっ?」

 
 一子「凄い勘ですね、お父さん、きっと喜ぶわ。知らせてきまーす」

 ひかる、一子が、叱られたくないのでサイドミラーを自分で隠して泥棒に盗まれたと嘘をついたのだと見抜いて、その隠し場所も看破するが、一子はいけしゃあしゃあとそんなことを言って父親を追いかけて走り去ってしまう。

 ひかる「あきれたー、自分で隠したくせに」

 
 旗野「はっはっはっはっ、なぁんだ、月先生が言ってたのは尾関のことですか」

 翌日、ひかるがそのことを話すと、旗野先生は謎が解けたというように大笑する。

 ひかる「笑い事じゃないわ、ね、前から要注意?」
 旗野「いやねえ、僕も、一度もならずやられましてね」

 旗野先生、タバコをくわえながら、自分の経験を語り出す。

 
 それは、D組の図工の時間、旗野先生が、生徒たちの作った色んな工作を品定めしている。

 旗野「どれかなー、これかなー? うん、これはなかなか優秀だぞ」
 進「ヒヒヒヒ」

 恐らく、どれが一番優れているか審査しているのだろうが、自作の壺が先生の目を引いたので、進は思わずほくそ笑む。

 
 と、彼らの背後にパッと一子が瞬間移動でもしたかのように現れる。

 旗野「尾関一子、お前か」
 一子「はいっ」

 
 進「……先生、それ僕の作品に似てるんですけど」

 進が不審に思って異議申し立てをすると同時に、再び一子の姿が掻き消える。

 
 旗野「うん? お前のはこれだ、ほら……あれっ」

 旗野先生が、「田辺進」と言う名札の付いている作品を取り上げると、それはぽっきり折れてしまう。

 それを見て他の生徒たちがどっと笑う。

 
 後ろの席に座って、楽しそうにその様子を眺めている一子。

 実に良い顔してるよね。

 今のシーン、ちょっと分かりにくいが、一子が目にも留まらぬ早業で、自分の作品と進の作品のラベルとを張り替えたことを意味しているのである。

 
 ひかる「じゃあ尾関さんが」

 
 ひかる「名前、取り替えたの?」
 旗野「ううん、そうとしか思われん」
 ひかる「まぁ!」
 旗野「いやぁ、なんというか、実に目に留まらぬ早業と度胸」
 ひかる「感心してちゃ困ります!」

 今回はいつになく真面目なひかる、タバコの煙をくゆらせながら感嘆の声を上げる旗野を、机を叩いて注意する。

 しかし、この回想シーン、一子のうそつき癖を示す実例として挙げるには、的外れな内容であった。

 ひかるは、虚言癖のことを言ってるのに、旗野が持ち出したのは、その早業のことだからね。

 それと、転校生じゃあるまいし、赴任してから自分が教えている一子のうそつき癖を、今までまったく知らなかった、と言うのもいささか不自然なような気もする。5話の意地っ張りヒロミのように、最近になって急に嘘をつくようになった、とかなら分かるんだけどね。

 とにかく、一子の嘘は、一部教師たちの間でも周知の事実となっているらしい。

 
 休み時間、今度は、一子、掃除をしていた山部を掴まえ、

 一子「おじさん、怖い、変な人が忍び込もうとしてんの、きっと空き巣だわ」
 山部「空き巣? カマン・レッツゴー!」

 空き巣と聞くなり、山部は一子の手を取って猛然と走り出す。

 
 果たして、校舎の窓から下半身を出してジタバタしている不審者がいた。

 山部「曲者! このっ!」
 旗野「いてっ、あいてっ」

 山部、いきなり持っていたホウキでその尻を引っ叩くが、

 
 旗野「な、何をするんですか、山部さん」
 山部「旗野先生? 何してるんですか」
 旗野「う、なにって……」

 それは空き巣ではなく、旗野先生だった。

 
 と、窓からひょこっとハルコちゃんが顔を出し、バレーボールを旗野に渡す。

 ハルコ「先生、取れたわ、急がば回れでしょ?」
 旗野「うん……こう言う訳なんですよ、いやぁ、僕のサーブが強過ぎちゃって」
 山部「はぁ、そうでしたか。……やられた! ちくしょう」

 山部も、一子の嘘には慣れている筈なのに、それでもやっぱり騙されてしまった。一子、天性のうそつき
と言うべきだろう。

 
 自分の嘘に踊らされた人たちを、雲梯の上に腰掛けてキャッキャッと笑いながら見ている一子。

 その2へ続く。


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コメント

管理人様、魔女先生のレビューお待ちしておりました。正にひかる先生のお見脚は“光る大根足”のお手本のようですね😅この頃は、しっかりと教育者を演じているようですね

Re:「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その1(09/16)  

自分が生きて来た年代だから言うわけじゃないですが、
本当に70~80年代っていいですよね♪
ポロリしても良いし、駅弁FKを堂々と放送して良いし(笑)

ブラックのエンディング曲じゃないですが、
人の温もりや、いい意味でのがさつさが見え隠れして
リアリティーを求める昨今より人間くさくて好きだなぁ。
菊お姉たまのミニスカもエロくなくて…嘘(笑)

Re[1]:「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その1(09/16)  

ふて猫様

お待たせして申し訳ありません。

でも、ひかるの足の魅力とかは、キャプではあまり伝わらないんですよね。

Re[1]:「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その1(09/16)  

ピコちゃん様
>ブラックのエンディング曲じゃないですが、
人の温もりや、いい意味でのがさつさが見え隠れして
リアリティーを求める昨今より人間くさくて好きだなぁ。

最近のドラマはほとんど見ないので偉そうなことは言えないのですが、昔に比べて「自分たちのやりたいこと」より、「世間に受けそうなこと」ばかり優先しているように思えます。

あと、毎クール、同じような俳優しか出ないとか。

BGMがひっきりなしにかかってうるさいとか。

「ウルトラマン」13話といい、  

 梅津 栄氏に酔っ払いの役をやらせたら天下逸品ですね!「仮面ライダー」「ミラーマン」「アステカイザー」等にゲスト出演した時のまともな役に違和感を覚えるのは私だけだろうか…?

Re:「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その1(09/16)  

記事化された順序は前後しますが、「乳姉妹」でしのぶを痛め付ける事に命を掛ける(?!)千鶴子の様子に観ていて胃もたれする思いだった僕にとっては、生徒たち(今回は一子ちゃん)のために元気はつらつがんばっちゃうひかる先生の様子にすっかり癒された気持ちがします(笑)!!
さて、嘘で生徒、先生問わず手玉に取るのがライフワーク(?)と言う悪童であるにも関わらず、そんな一子ちゃんがかわいく思えてしまうのは不思議な物です!
その一子ちゃんとは違い、同じ「噓つき」でも全くかわいげがないのが、「大岡越前」第6部のその名も「嘘が病の札付き婆々」と言うお話に登場したおかく婆さん(千石規子さん)です!!題名の通りおかく婆さんは嘘を使ってのユスリタカリを収入源にしており、三次(松山英太郎さん)が営む居酒屋・たぬきでも食いさしのご飯の中にゴキブリをわざと混ぜて只食いを画策!しかし三次にその嘘を見抜かれるや否や、今度は腹痛の真似を決め込み、食中毒となったら大変だと思った三次に小石川養生所に駆け込ませてまんまと只食いに成功します!!
ひかる先生の一子ちゃんを見る眼差しからは、一子ちゃんを将来おかく婆さんの様な大人にさせられないと言う気持ちが滲み出ていると同時に、
「いやぁ、さしもの三次も一杯くったな。あのおかくは、有名な噓つき婆さんなんだよ。」
と三次にネタを割る養生所の新三郎先生(西郷輝彦さん)が旗野先生に。そして一度は嘘を見破りながらも結局騙され
「くっそーっ、あのババァーーーーっ(怒)!!」
となってしまう三次がひかる先生に重なります(笑)。

Re:「ウルトラマン」13話といい、(09/16)  

うんにゅるりん様

ウルトラマンでは、得体の知れない折り詰めまでぶら下げてましたね。

Re[1]:「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その1(09/16)  

笑太郎様

ゴキブリはさすがにきついですね。

No title

> ここは、「イナズマン」の15話のラストシーンにも出てきた場所である。

昨日は、お目汚しのコメント申し訳ございませんでした。ところでこの場所は、生田時代の定番ロケ地だったようですね。

http://taikino1.blog.fc2.com/blog-entry-12.html?sp

同じ新井さんが出演している「仮面ライダー」49話は、今の感覚ではどう考えてもどっかの片田舎でロケしているように思いますが、実際には、同じく生田近辺の川崎市麻生区あたりでのロケであり、70年代前半は、まだまだこのあたりも田舎だったのだなと思います。まあそういう意味では、やや野暮ったい雰囲気のある東映のドラマにはいいのかもですね。府中でのロケが多かった(これもスタジオが府中にあったせい)大映ドラマに近いものがあります。世田谷での撮影が多かった赤いシリーズ初期は、やっぱり雰囲気が違いますよね。

http://taikino1.blog.fc2.com/blog-entry-185.html?sp

それにしてもこのドラマ、ほんと17話までが面白く、それ以降がだめですね。「80」の学校編とならぶ「路線変更しなきゃいいのに」の児童ドラマです。

Re: No title

> 昨日は、お目汚しのコメント申し訳ございませんでした。

お気になさらずに。このブログ自体が「お目汚し」みたいなもんですから。

> ところでこの場所は、生田時代の定番ロケ地だったようですね。

わざわざリンクありがとうございます。

考えたら、錚々たる特撮レジェンドが歩いた場所だと思うと、聖地みたいな気がします。

> それにしてもこのドラマ、ほんと17話までが面白く、それ以降がだめですね。「80」の学校編とならぶ「路線変更しなきゃいいのに」の児童ドラマです。

ほんと、勿体無いですよね。

菊さんが早世されただけに、余計に惜しい気がします。

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