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「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その2

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 第8話「うそつき先生」(1971年11月14日)
 の続きです。

 一子の嘘はとどまるところを知らず、今度は、正夫がターゲットとなる。

 
 太一とキャッチボールをしていた正夫、逸れたボールを追いかけて一子とぶつかり、尻餅をつかせてしまう。

 
 一子「いたーい! いたーい!」
 正夫「オーバーな奴!」
 一子「だって見てよ」
 正夫「あらー、怪我してたの」
 一子「いたーい、先生、いたーい!」

 一子、袖をまくって、右肘に貼っている絆創膏を見せて、その痛さをアピールする。

 
 一子の喚き声を聞きつけ、校長が飛んでくる。

 校長「竜村君!」
 正夫「いっけねえ」
 校長「なんですか、か弱い女の子を突き飛ばしといて、いけねえとはなんです」
 一子「もう良いんです、先生、私もぼんやりしてたんです」
 校長「見たまえ、この友達を庇う優しさ」

 一子、おもむろに立ち上がると、スカートについた砂を払って走り去る。

 校長「君に足りないのは、この心の優しさですぞ」
 正夫「はいはい!」

 折角楽しく遊んでいたのに校長に説教される羽目となった正夫こそ、良い迷惑であった。

 
 一子「あー、おかしい、笑っちゃう!」
 ひかる「何がそんなに可笑しいの?」
 一子「……」

 放課後、ことごとく作戦が図に当たり、嬉しくって仕方のない一子がスキップを踏みながら後者から出てきたのを、またひかるが鋭く呼び止める。

 ひかる「その絆創膏、剥がして御覧なさい」
 一子「だってえ、痛いんです」
 ひかる「良いから剥がしなさい」
 一子「ほら、この通りよ、先生」

 一応抵抗したものの、強く迫られた一子はあっさりその命令に従う。

 てっきり、無傷だろうと思ったのに、ちゃんと絆創膏の下には、大きな、痛々しい傷口があった。

 
 ひかる「まあ、ほんとなの、怪我してるのは」

 
 一子「決まってるわ、私、嘘なんかついたことありません」
 ひかる「はぁ」
 一子「もう行って良い?」
 ひかる「い、いいわ。ごめんなさい」

 
 ひかる「確かに嘘だと思ったんだけどなぁ……」

 当てが外れて茫然としているひかるだったが、その横に忽然とバルが現れる。

 バル「まんまと騙されおったな」
 ひかる「バルぅ」
 バル「単純だのう、ええ、姫も」
 ひかる「え、じゃああの傷も嘘だって言うの?」
 バル「おう」

 バルの指摘は事実だった。

 学校から出てきた一子は、テープに着色した傷口をシールのように剥がし、道端に投げ捨てると、清々した顔で歩き出す。

 一子「あーあ、面白かった。私は嘘なんかついたことないなんて、それがもう嘘なんだからー!」

 バルからからくりを教えられたひかる、さすがにトサカに来て一子をとっちめようとするが、バルに押し止められる。

 バル「耳を貸しなされ、ムニュムニュムニュのコチョと」
 ひかる「うん」

 代わりにバルは、ある秘策をひかるに授ける。

 ここで、安易にムーントライトリングの力に頼らず、ひかるが、人知と他の生徒たちの協力によって一子を懲らしめるのが、この脚本の素晴らしいところなのである。さすがは辻真先さん。

 CM後、その大掛かりな作戦が実行に移される。

 
 翌朝、何も知らない一子が元気に登校してきて、

 一子「おはよう、竜村君」
 正夫「えーっ? 君、誰?」
 一子「やーだ、健忘症?」

 
 気にせず、着席しようとすると、既に自分の席にハルコが座っているではないか。

 一子「ここ、私の席じゃない」
 ハルコ「……」

 
 だが、みんな感情のない顔で、一子を眺めるばかり。

 しかし、後ろの女の子たちと比べると、手前のハルコちゃんの可愛らしさが余計引き立ちますね。

 
 一子「どうしたの、私の顔に何かついてる?」
 ハルコ「ねえ、あなた、だあれ?」

 
 一子「誰って、尾関一子よ」
 ハルコ「そんな人、うちのクラスにいた?」
 進「さあ、知らないなぁ」
 正夫「よお、お前な、陽気のせいで頭おかしくなったんと違うか」
 一子「かぁらかわないでよ!」
 
 
 一子「あそこに私の絵だって飾ってあんでしょう?」

 廊下側の壁の、自分の絵が飾ってあったところを指差すが、いつの間にか、自分の絵だけ消えている。

 進「何処にあるんだよ」
 一子「お習字だってあそこに……」

 ならばと、後ろの壁の習字を示そうとするが、その習字もない。

 無論、昨日のうちにひかるが、一子以外のクラスメイトと示し合わせ、あらかじめ絵も習字も外しておいたのだろう。

 正夫「ある訳ねえよな、だって、俺たち相手の顔見るの初めてだもんなぁ」
 一子「分かったわ、みんなで私のことをからかってんのね、いつも私にばかり騙されてるから、今日は騙してやろう、そう思ったんでしょう」

 そこへ首謀者のひかるが何食わぬ顔で入ってくる。

 
 ひかる「みんな、何してるの」
 一子「先生、みんなが私に出鱈目言うんです」
 ひかる「えーっとぉ、あなたは何処のクラスだったかしら?」
 一子「先生!」

 当然、ひかるも、みんなと調子を合わせてとぼけて見せる。

 
 ひかる「もうすぐ授業よ、自分のクラスにお帰りなさい」
 一子「……」

 先生にまで冷たく突き放されて、一子はいいようのない心細さに襲われ、教室を飛び出す。

 自分の所属や存在を周りから否定され、今、一子の中ではちょっとしたアイデンティティーの崩壊が起きているのだ。

 
 と、階段の下で、教頭先生とぶつかりそうになる。

 教頭「廊下を走ってはいけません」
 一子「先生、私の名前、知ってる?」
 教頭「君は……尾関君でしょう」

 
 一子「嬉しいーっ!」
 教頭「こらっ、何をするんですか」

 嬉しさのあまり教頭に飛び付き、結果的に、教頭が女児の体を抱いて、剥き出しになったパンツをむんずと掴んでいるという、とんでもない状況になる。

 
 教頭「親しき仲にも礼儀ありですよ」

 抱きかかえながら、教頭を後ろを見遣るのだが、やっぱり、こんなところを人に見られたまずと言う意識が働いていたのだろうか。

 もっとも、ひかるも彼らの嘘がバレるのは織り込み済みで、

 
 一子が教頭の手を引っ張るようにして教室に戻ってきた時には、さっきの一幕がなかったような顔で、一子を迎える。

 ひかる「あ、おはよう、尾関さん」
 ハルコ「遅かったわね」
 進「早く席に着けよ」
 一子「……」

 一子、あっけにとられて自分の席のところまで行くと、廊下側の壁を見る。

 
 と、そこには、さっきはなかった自分の絵があり、

 
 後ろの壁にも、やはり自分の字がちゃんと飾ってあった。

 しかし、うそつき常習犯の書いた字が「真実」と言うのは、実にシャレが利いてるよね。

 
 一子「こんな、こんなことって……」
 教頭「むう、また嘘をつきよったな」

 ひかるたちの作戦は成功したものの、教頭は、ますます一子のことを嘘つきだと思い込むようになって、後の騒動につながることになる。

 それにしても、黒板の前に立っているハルコちゃんのレザー調のミニスカから伸びる細い足が眩しい。

 女教師と女生徒が、どちらもミニスカって、どんだけ夢のような時代だったんですか?

 
 その後、臨時のホームルームみたいな感じになって、みんながしくしく泣いている一子を囲んで諄々と説いている。

 進「なぁ、尾関君、君は君独りで生きてるんじゃない」

 管理人、この場の感じからして、喋ってるのは一子の前にいるタケシかと思ったのだが、

 
 進「みんなが一緒になって暮らしてるんだ。お互いに言うことが信用できなくなったら大変だろ?」

 そうじゃなくて、離れたところに立っている進だったので、少しだけコケる。

 ま、どっちが喋っててもいいんだけどね。

 どっちにしても、今回、多忙の川口英樹氏はアフレコには参加していないようだ。

 一子「あはん、あはーん! あーああーっ!」

 とにかく、進の言葉に、一子は机に顔を伏せて盛大に泣き出す。

 
 ひかる(どうやら分かってくれたわ)

 教壇からその様子を見ていたひかる、心の中で安堵する。

 これが「中学生日記」みたいな教育ドラマだったら、これでめでたし、めでたし、となるところだが、

 
 ハルコ「もういいのよ、尾関さん、これからは仲良くしましょうね」

 派手な柄のミニスカのハルコが優しく話しかけると、一子はピタッと泣き止んで起き上がり、

 
 一子「今のは嘘泣きよ!」

 と、けろりとした顔で言ってのけ、ハルコたちを唖然とさせる。

 ひかる「……」

 さすがのひかるも、これにはお手上げと言う顔だった。

 
 旗野「集団嘘つき作戦ですか、そいつは面白いなぁ、化かされた時の尾関の顔が見たかったな」
 
 放課後、ひかるから一部始終を聞いた旗野先生は愉快そうに感心する。

 ひかる「暢気なこと言ってるけど、作戦は結局失敗なのよ」

 ひかる、物憂い顔で指摘するが、

 
 旗野「それはどうかな、案外、成功してると思うよ」
 ひかる「え?」
 旗野「元々深刻な嘘じゃない、ショック療法一発で効いてる筈だ」
 ひかる「あ、でもね、その後すぐ嘘泣きしてるのよ」

 
 旗野「ひょっとしたら、それも嘘かも知れん」
 ひかる「嘘泣きが嘘?」
 旗野「つまり彼女は本気で後悔したんだ。だけど、照れ臭いからそれを嘘泣きと言う形で表現した」
 ひかる「……」
 旗野「あなたは言ったんでしょう、お互いが信じられなくなったらおしまいだ。だったら、せめて我々教師だけでも生徒を信用してやろうじゃないですか」

 こういう前向きなヒューマニズムの感じられる台詞が、管理人は大好きである。

 この、いかにも「大人」な二人のやりとりも大好きである。

 しかし、今回は、旗野先生のほうが児童心理学については、常にひかるの一歩先を行っているように見える。まぁ、「岡目八目」と言うように、当事者じゃない分、旗野先生のほうが良く物が見えるのかもしれない。そう言えば、立場が逆の第5話では、ひかるのほうが的確にヒロミの心情を分析してたもんね。

 その3へ続く。


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コメント

嘘つきの子供が“真実”という習字なのも、中々ユーモア(皮肉)のあるセンスの良さですね😅これぐらいのお仕置き(或いはショック療法)はある意味で必要なのではないのでしょうか?

Re[1]:「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その2(09/16)  

ふて猫様
>嘘つきの子供が“真実”という習字なのも、中々ユーモア(皮肉)のあるセンスの良さですね

それらをアピールせず、さりげなく映しているところがますますセンスが良いのです。

Re:「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その2(09/16)  

サイケデリック(とまでは行きませんか?)な柄のスカートのハルコちゃんが、如何にも子供っぽく見られたくない女の子といった印象で、反対にかわいいです!!
一方でムーンライトリングに頼らず、クラス総動員で一子ちゃんにお灸を据えようとするひかる先生!「魔女っ子チックル」の「花嫁さんがこわい」と言うお話に登場した亮介なる少年もまた、噓でクラス中を引っかき回すのを趣味とする悪童でした。
しかし一子ちゃんの嘘と違う処は、それががクラスの女子たちを相手に偽ラブレターを濫発し女子たちが恋の虜になる様子を見て嘲笑う事に特化した不謹慎極まりない物!勿論チックルとチーコも漏れなく亮介に手玉に取られてしまいます!!
チックルは、最初こそここに観るひかる先生の様に魔法に頼らずクラスの女子たちを先導し亮介に報復を試みますが、あの手この手で巧みに攻撃をかわす一子ちゃん以上に狡猾な亮介に一矢報う事が出来ません。そこでチックルはいよいよ魔法を発動!亮介の目に入る女性たちは、若い女性は言うに及ばず、幼児からお婆さん、果ては雌犬、雌猫までが全員花嫁衣装を着て怒涛の求婚を迫って来ると言う生き地獄を味合わせて、遂にドン・ファン気取りの亮介を倒します!!
もし、D組の中にもクラスの女子たち(筆頭は勿論ハルコちゃん!)の純情を弄ぶ亮介の様なドン・ファン気取りがいたら、ひかる先生はムーンライトリングでどんなお仕置きをしちゃうかなともつい想像してしまいます(笑)!!

Re[1]:「好き!すき!!魔女先生」 第8話「うそつき先生」 その2(09/16)  

笑太郎様

ハルコちゃん、可愛いですよね。

普通ならムーンライトリングで一子を懲らしめるところでしょうが、あえて別の方法で懲らしめるところが素晴らしいと思います。

No title

ようやくこの回観ることができました。

>太一とキャッチボールをしていた正夫、逸れたボールを追いかけて一子とぶつかり、尻餅をつかせてしまう。

このシーン、ミニスカの女の子たちが馬飛びをしているのがポイントですね。さすがにここではパンチラはなしですが、たぶん現場では見えまくっていたはず。当時の児童ドラマのたぐいでは、学校でミニスカの子が縄跳びしたり鉄棒するのが頻出ですので、これは見逃せません…。って、私なに書いているんだろうと自己嫌悪に陥ります(嘘。ほんとは、こういうことを書いている時ほど楽しいことはありません(苦笑))。

それはともかく、仮面ライダーのイソギンチャックのところでも書きましたが、ほかは「時代背景」で一応OKとしても、さすがに教頭に抱き着くシーンは、当時としても一線を越えていますよね。マジで児童福祉法レベルのやばさです。だいたい荒井さんも、彼女の実年齢は不明ですが、たぶん当時中学1年生くらいだったのでは? それであそこまでさせるのはさすがにねえ・・・。まあ当時の彼女は、別に気にしていなかったのかもですが。しかしほんとパンチラ要員ですね、彼女(苦笑)。子役の人権などカスでもなかった時代の産物ではあります。

http://yctyct.blog64.fc2.com/blog-entry-2003.html

Re: No title

> って、私なに書いているんだろうと自己嫌悪に陥ります(嘘。ほんとは、こういうことを書いている時ほど楽しいことはありません(苦笑))。

正直ですね。

> それはともかく、仮面ライダーのイソギンチャックのところでも書きましたが、ほかは「時代背景」で一応OKとしても、さすがに教頭に抱き着くシーンは、当時としても一線を越えていますよね。マジで児童福祉法レベルのやばさです。

どうなんでしょうね。こればっかりは当時にタイムスリップしてみないと分かりませんね。

スタッフにしても、不純な思惑があったのか、特に何も意識してなかったのか……

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