第47話「機械帝国の反乱」(1982年1月9日)
冒頭、イナズマギンガーが、自分の分身とも言うべきファイターモンガーを開発している。

アマゾンキラー「何をしてるんです、そんなところで」
イナズマギンガー「見ろ、良いツラをしてるだろう。俺の弟分のファイターモンガーだ」
アマゾンキラー「あなたはまだ地下牢に入っていなければならない筈」
イナズマギンガー「だぁしてくれたんだよ、ヘルサターン総統がな」
アマゾンキラー「総統が?」
イナズマギンガー「そうよ、ファイターモンガーを作って暴れ回れだとよ」
アマゾンキラー、直ちにヘルサターンの前に行き、
アマゾンキラー「どういうつもりでイナズマギンガーを自由にしたのですかぁっっっ?」 ヘルサターン「すみません……」
その剣幕に思わず謝ってしまうヘルサターンであったが、嘘である。
ヘルサターン「何も力のあるものを地下牢で眠らせておくことはあるまい」
アマゾンキラー「……」
あくまで機械帝国のボスはヘルサターンであり、いくら怖い顔で諫めたところで、アマゾンキラーにもその決定を覆すことは出来なかった。
イナズマギンガーとファイターモンガーの最強コンビは、早速サンバルカンに戦いを挑む。

もともと個々の能力ではイナズマギンガーの方が上で、それが三対二と、ほぼ数的優位差のない状況での戦いとなれば、圧倒的にイナズマギンガーたちが有利となる。
サンバルカンは三人だからまだマシだけど、冷静に考えたら、他の戦隊はだいたい5人で1人の怪人を正義の名の下にタコ殴りにしているのだから、率直に言って「恥を知れ」と言う感じですね。
それはさておき、サンバルカン、必殺技・ニューバルカンボールを繰り出すが、

イナズマギンガー「イナズマバリアー!!」
イナズマギンガー、ファイターモンガーを庇うように前に立ち、体を特殊な光線で覆い、ニューバルカンボールを無効化すると、

彼らの背後に瞬間移動する。
しかし、この描写だと、イナズマバリアーの働きが、「瞬間移動して攻撃をかわすもの」なのか、「特殊なバリアーで攻撃に耐えるもの」なのか、はっきりしないんだよね。
もっとも、少し後に、嵐山長官が「5秒間だけあらゆる攻撃を跳ね返す」と言っているので、後者だと分かるのだが。

イナズマギンガー「今度はお返しさせて貰うぜ、ファイターモンガー、やれ!!」
ファイターモンガー「おう、ファイター爆弾!!」
アメフトの選手のような格好をしたファイターモンガー、胸についているラグビーボールの形をした爆弾を投げ付ける。
爆発の後、サンバルカンの姿が消える。
イナズマギンガー「あ、逃げた、卑怯者めーっ!! 出て来い、サンバルカン!!」
地団駄を踏んで悔しがるイナズマギンガーだったが、

サンバルカンは彼の想像を超えた卑怯者で、なんと、今度はジャガーバルカンに乗って戻ってきて、二人目掛けてミサイルをぶっ放すのだった。
これを専門用語で
「大人気ない」と言う。
ミサイルの一発はファイターモンガーの脳天に命中し、その衝撃で機能が停止してしまう。イナズマギンガーはファイターモンガーを連れて、やむなく退却する。

基地で、ファイターモンガーの修理をさせていると、ヘルサターンたちが来て、
ヘルサターン「いや、惜しいところであった、サンバルカンをもう一歩のところまで追い詰めたのにな」
イナズマギンガー「ああ、まさかジャガーバルカンで向かってくるとは……」
純真な悪の人たちは、日夜、正義を名乗る覆面戦士たちの卑劣さ・狡猾さに悩まされているのである!!
ヘルサターン、すっかりイナズマギンガーの強さに惚れ込み、彼を行動隊長に任命すると言い出す。
イナズマギンガー「アマゾンキラーが黙っちゃいませんぜ」
ヘルサターン「構わん、私の右腕になって欲しいのだ」
イナズマギンガー「ようし、引き受けた」
だが、そのやりとりは、ヘドリアン女王の水晶玉を通して筒抜けだった。

ヘドリアン「うう、なんということじゃ、よりによってイナズマギンガーを行動隊長にするとは!!」
アマゾンキラー「このままでは私たち二人とも、浮き上がってしまいます」
ヘドリアン「どうすればいいのじゃ、私は機械帝国に君臨したいのじゃ」
アマゾンキラー「このままでは二人とも追放されてしまいます」
ヘドリアン「そんな悲しいことになりたくはない……」
自分たちの居場所がなくなるのではないかとおろおろする悪の女幹部ふたり。
そこで、初歩的な謀略だが、ヘルサターンとイナズマギンガーの間に亀裂を生じさせようとする。

ヘドリアン「俄かに湧き出でた暗雲が……」
ヘルサターン「わしの運勢?」
ヘドリアン「この暗雲に覆われた歴代の王たちは、いずれも、刺客の刃に倒れておる」
ヘルサターン「まさか」
ヘドリアン「私は未来を見通す力を持っておる。あまりに武術に優れた者を身辺に置くと、今に寝首を掻かれますぞ」
以前のヘルサターンなら、ヘドリアン女王の予知能力をそのまま信じていただろうが、
ヘルサターン「ふっ、お前たちの筋書きは分かっておる。わしとイナズマギンガーの仲を……」
その魂胆を見抜いて何か言いかけるが、「違います!!」と、横からアマゾンキラーの金切り声が飛んでくる。
アマゾンキラー「もっと冷静に判断してください、サンバルカンを倒せるほどの実力を持ちながら、何故行動隊長の地位に甘んじているか。ファイターモンガーを何故、自らの手で作り上げたか?」
ヘルサターン「うるさい、ワシはイナズマギンガーを信じている、信じているんだ」
ヘルサターン、自分に言い聞かせるように繰り返しつぶやきながら、二人の前から立ち去る。
これが他の悪の首領だったら、そんな讒言に心を惑わされることはないのだが、あいにく、ヘルサターンは悪の首領のなかでも特におつむの弱いことで知られていて、早くもイナズマギンガーに対する信頼が揺らいできた様子。
ヘルサターンの性格を知り抜いている二人も、「うまくいった」とばかり、顔を見合わせて笑う。
おまけにヘルサターンはメンタルも弱く、戦闘員相手に特訓しているイナズマギンガーの勇姿を見ているうちに、イナズマギンガーが自分に向かって来るビジョンを思い描き、眩暈を覚えて座り込んでしまう。
ゼロツーが来て、サンバルカンが奥多摩の訓練所でイナズマギンガーに打ち勝つ為の秘密訓練をしているとの情報をもたらす。
ヘルサターン、直ちにイナズマギンガーに出撃を命じる。
イナズマギンガー「ちょっと待ってくれ、もうすぐファイターモンガーが元気になる」
ヘルサターン「お前の力を持ってすればサンバルカンは物の数ではない筈」
イナズマギンガー「わかった、ファイターが元気になり次第、助太刀に寄越してくれ」
だが、ヘルサターン、肝も小さきゃ器も小さく、イナズマギンガーが出た後、修理の終わったファイターモンガーの心臓部を鉄の爪で握り潰してしまう。
しかし、イナズマギンガーの謀叛を警戒するにしても、サンバルカンと戦おうとしているイナズマギンガーの足を引っ張る必要は、全くないと思うのだが……
イナズマギンガーを粛清するにしても、サンバルカンと潰し合いをさせてからでも遅くはないのだから。
やっぱり、バカなのかな?

さて、再度出撃したイナズマギンガーはやはり掛け値なしに強く、バルカンキックを受けても平然としている頑丈さに加え、二丁拳銃やイナズマ光線、イナズマキャノンなど、多彩な武器を駆使してサンバルカンを翻弄する。
サンバルカン、ニューバルカンボールを放ち、イナズマギンガーもバリアーで防ごうとするが、あらかじめ嵐山長官に策を授けられており、

三人「時間差アターック!!」
5秒と言うバリアーの持続時間が過ぎるのを待ってから蹴ると言う、セコい、いや、巧妙な作戦でイナズマギンガーを撃破する。

サファリで子供たちが電子ゲームに夢中になっている。
いわゆるゲームウォッチと言う奴だが、昔はこんな素朴なゲームでも、熱中出来てたんだなぁ。
生まれた時から、実写と区別のつかないハイパービジュアルゲームが腐るほどある現代の子供たちと、どちらが幸せなのだろう?
そこへ出前に行っていた助八がヒーヒー言いながら帰ってくる。

助八「ああ、疲れた、しんど」
まり「注文とっといたわよ、三丁目の井上さん、カレー三人前」
次郎「二丁目の木田建設さん、コーヒー6杯」
帰った途端、子供たちが手柄顔で新たな注文を告げる。
疲れ切った助八ががっくりしていると、奥から嵐山たちがどやどや出てくる。

助八「いったい、今まで何処で何してんです? こっちはひとりでてんてこ舞いだ。言いたかないけどね、僕はそんなに良い給料貰ってないっすからね!」
イヤミまじりに助八が重労働の不満を訴えると、
嵐山「悪かったなぁ、午後からの出前は美佐にやらせよう」
美佐「ごめんなさいねえ、助八さん」
イナズマギンガーを撃退した直後で気分が高揚しているのか、飛羽たちも、助八の肩を叩いたり、コーヒーやあんみつを奢ろうかと言ったり、妙に気前が良い。

嵐山「おお、カレーが食いたきゃカレーでも良いんだぞ」
助八「あの、なんだか気味が悪いね」
嵐山「気にするない、日頃、一生懸命働いてくれる感謝の気持ちだよ」
「あーら奥さん」的な仕草を見せつつ、江戸っ子口調で助八をねぎらう嵐山。
みんなから優しくされて、助八、感動するかと思いきや、急に泣き出して、

助八「どっほっほっほっほっほっ、今までどおり、厳しくこき使って、お願い!!」
そう、助八はドMだったのである!! かつて、これほどどうでもいい情報があっただろうか? いや、ない!!
だが、喜ぶのはまだ早かった。イナズマギンガーは負傷したものの、アマゾンキラーに助けられ、健在であった。

イナズマギンガー「助けてくれたのか」
アマゾンキラー「見殺しにする訳にはいかないでしょう」
イナズマギンガー「そう言えばファイターモンガーはどうした、あいつがいればこんな結果にはならなかったんだ」
アマゾンキラー「機械帝国に帰って御覧なさい、ヘルサターンの企みが分かる筈です」
イナズマギンガー「なんだとぉ」
賢くても一本気なイナズマギンガー、まんまと、親切ごかしにヘルサターンの背信を吹き込むアマゾンキラーの言葉に乗せられ、機械帝国に帰還し、ヘルサターンがわざとファイターモンガーを壊したことを知り、怒り狂う。

ヘルサターン「ああ、ふっふっふっふっ……」
そうとも知らず、ヘルサターン、ガールズたちに全身を揉ませて極楽気分に浸っていた。
……
メカの分際で、ギャルにマッサージされて喜んでんじゃねえっ!! まぁ、揉んでる方もメカ人間なんだけどね。
と、その目の前に、ヘルサターンが崇拝する黒い太陽神の偶像ががらんと放り投げられる。
ヘルサターン「ああ、神よ……」
イナズマギンガー「はっはっはっはっ、ヘルサターン、覚悟!!」
あっさりヘルサターンに反旗を翻したイナズマギンガーの挑戦状だった。
急転直下、信任した筈のイナズマギンガーと一騎打ちすることになったヘルサターン。
しかしまぁ、ヘドリアンたちの謀略に踊らされたとはいえ、ついさっき行動隊長に抜擢したものと殺し合いをする羽目になるとは、やっぱりヘルサターン、正真正銘のアホである。
それはともかく、ヘルサターンがその実力を示すのは、これが初めてだったが、

イナズマギンガー「イナズマ光線!!」
ヘルサターン「むんっ」
仮にも機械帝国に君臨してきた帝王である。イナズマギンガーのイナズマ光線も簡単に弾き返す。

真っ向から組み合い、

お互いエネルギーの塊となって激しく回転する両雄。
そのまま時空を越え、めまぐるしく場所を変えつつ、ありったけの技を繰り出して戦う。
だが、最後は、「ダイナマン」の終盤にも出てきた砂丘にて、イナズマギンガーのアンドロメダボールが炸裂し、さしものヘルサターンも力尽きる。
イナズマギンガー、実力で悪の首領をねじ伏せてしまった訳で、その強さは戦隊シリーズ最強と言っても過言ではあるまい。
ま、ヘルサターンが、戦隊シリーズ最弱の首領だったとも言えるが。
なんとか玉座の間に戻ってきたヘルサターンだが、ばったりと倒れ、同時に首が落ちて床に転がる。

ヘドリアン「メカ人間……」
ヘドリアンも、ヘルサターンが単なるメカ人間だったと知り、驚きを隠せない。
続いてイナズマギンガーも戻ってくるが、ヘルサターンの仇を討とうとするガールズたちを、アマゾンキラーが素早く止める。

アマゾンキラー「ここで同士討ちをやっている場合ではありません。我々の敵はサンバルカンの筈です」
ゼロツー「しかし、こやつは総統閣下を……」
アマゾンキラー「強いものが勝つのが武士の世界です、総統は堂々と戦って敗れたのです」
武士じゃねえだろ。 
ヘドリアン「そうじゃ、この際、みんなで力をひとつにしてサンバルカンを……それが総統を弔う道だと思う」
自分たちで総統を死地においやりながら、いけしゃあしゃあとそんなことを言うヘドリアン。
狡猾なアマゾンキラーは、あえてイナズマギンガーを次期総統に推して、ゼロガールズたちの反発を誘う。
ゼロツー「反対です、イナズマギンガーは総統閣下の仇」
アマゾンキラー「それでは誰を玉座に?」
ゼロフォー「ヘドリアン女王様がいい」
ゼロフォーを皮切りに、ゼロガールズや戦闘員たちも、一斉にヘドリアン女王支持に回る。
ヘドリアン「ヘルサターン総統の夢は、この地球上を機械帝国が征服することにある。私の夢も同じじゃ、何故なら私の心臓も……機械なのだから」
ヘドリアン女王は、さらに、自ら胸のハッチを開いて、ヘルサターンから与えられた人工心臓が脈動しているのをみんなに見せる。

ヘドリアン女王も自分たちの仲間だと知って、飛び上がって喜ぶ戦闘員と、会心の笑みで目を見交わすガールズたち。
この辺の、人間(じゃないけど)の細かい機微に通じたヘドリアン女王とアマゾンキラーの巧みな権力掌握術は、まるで魔法でも見ているように華麗である。
もっとも、ヘドリアン自身、かつてバンリキ魔王に政権を乗っ取られた苦い経験があり、そう言う熾烈な権力闘争を経てきた彼女にしてみれば、稀代の謀臣アマゾンキラーを得た今、所詮はメカ人間である彼らを思いのままに操るなど、さして難しいことではなかったろう。
ヘドリアン女王、直ちに全軍に、関東原子発電所の破壊を命じる。
一連の政争劇で、ひとり、貧乏くじを引いた形のイナズマギンガー、ヘドリアン女王に出撃を命じられ、「勝手にしろ!!」と、不愉快そうに吐き捨てるが、それでも不承不承従う。

ヘドリアン「なかなか良い気分じゃ、遂に夢が叶ったぞ、あっはははは……」
念願の総統の椅子の座り心地を楽しみながら、世にも楽しげに笑うヘドリアン女王。
それが、束の間の栄華に過ぎないことも知らず。
その後、イナズマギンガーのいさめも聞かずサンバルカンに攻撃を仕掛けたファイターモンガーとのラス殺陣となり、ファイターモンガーはあえなく倒される。
ラスト、ヘドリアン女王がなかなか寝付けずにいると、

突然、目の前に巨大なヘルサターン総統の顔が浮かび上がる。

ヘドリアン「はぁあああーっ! でったぁーっ!!」
ヘドリアンの悲鳴に何事かとアマゾンキラーが飛んでくる。
アマゾンキラー「女王様!!」
ヘドリアン「ヘ、ヘルサターン!! 確かに見た、確かに出た……」
だが、既にヘルサターンの姿は消えていた。
果たして本当にヘルサターンは死んだのだろうか?
48話へ続く。
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